少し騒いだ後、詳細は後日詰めるとして酒場の上の階の宿で休むことにした。全員が大きく衝撃を受けただけに直ぐに休んだわけだが..............
「フッ..........ハッ.........!」
レイルは一人、始まりの街からそこそこ離れた『ホルンカの村』の周囲の森でモンスターを狩っていた。ここで出るリトル・ネペネントと言うモンスターのうち、出現率の低い〝花つき〟を討伐して手に入るアイテムをクエストを発注したNPCに届けることでこの階層で手に入る片手剣の中では最強の《アニール・ブレード》を獲得をするために黙ってここに来ていた。
キリトは止めたくせに夜にわざわざ危険を起こしてまで来たのは三つ理由がある。一つは寝付けなかったから、二つ目はレベリングをして安心をしたかった。そしてもう一つは...........
(できれば一晩で花つき3体くらい倒せたらいいんだけど...........)
《アニール・ブレード》を売って金にするためだ。どうせならレベリングもかねて稼いでおこうと考えたのだ。自分が言い出した責任もあるためモンスターのドロップ品含む稼ぎが欲しい。言い出しっぺが大した仕事もせずにいるのはどうにも落ち着かない。後はおまけ程度にベータの時とドロップ率の違いを測るのもあるが..........
(ふぅ~..........流石にまだ落ちない。十数体程度じゃダメか............)
かれこれこちらに来て十数分狩りをしてるがまだ花付きは現れない。ベータの時は通常のペネントを狩り続けると確率が上がると聞いたのでレベリングもかねて狩りまくっているが中々でない.........
すると───
「私達に危険だのって言って貴方は一人でどういう了見かしら?」
「なんでミトがここに............」
後ろを振り返ればそこにはジト目で睨むミトがいた。何故、と考えていると............
「はぁ........私も寝付けなくて散歩してたらレイルが装備整えてフィールドに出ていくのが見えたから私も急いで支度して追いかけてきたの」
「見られてたか..........《索敵》スキル熟練度低いから全然気が付かなかった.........」
本当は二つ目のスキルロットは《投剣》を採用したいのだがソロで討伐に来たことと、これからを考えて《索敵》を採用していた。とは言え、練度は低いので能力も範囲も限られるために気が付かなかった。
「全く...........責任感じてるのかもだけど危険すぎよ。貴方も〝実つき〟の危険性は理解してるでしょ?」
此処に出てくるネペネントはレベル1でも十分戦えるほどの相手だ。だが、花つきを狙う上で最も注意しなくてはならないのが〝実つき〟と言う奴で、頭のたわわに実った実に傷がつくと仲間を呼ぶ煙を発生させて大量のペネントを引き寄せてくるのだ。なので実つきは絶対に攻撃してはならない為、集中力を維持しながら戦う必要もあり、更には暗い夜の森で足場も注意しながらと気に掛ける部分が多くなるのでかなりの危険行使だ。
「返す言葉もない...........」
「.........で?落ちたの?」
「いや、十数体は狩ったけど現れる気配もない。ミトにばれたし、今日は帰るよ」
俺は踵を返し帰路に就こうとしたが...........
「付き合うわよ。レイルはキリトとは連携とれると思うけど私とは取れないでしょ?練習もかねて.........そうね、後1~2時間なら付き合うわ」
「いや、二人でも流石に危険だし........」
「一人でやってた人が言うセリフ?それに............」
モンスターがポップする独特の発光エフェクトを見やるミト。こう来ては選択肢は1つだ.......
「まぁ、十数分はやったんだ............一時間粘るか」
街に帰ることも考えて一時間で切り上げよう.........そう考えながら、2人での狩りを始めるのであった
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あれから小一時間経ってしまったのだが.............
「出ないわね...........」
「出ないな...............」
二人で乱獲してたのだが、現れることはなかった。小一時間で、先に来ていた俺とミトはレベル4になった。先に来ていた俺にミトが追い付いたのはダメージ総量の差だろう。
「...........潮時かな」
「............そうね。あの時よりも低くなってるんじゃない」
二人とも帰るべきだと理性が告げている。だが、二人は重度のゲーマーだ。つまり............
「ねぇ、やっぱりもう一時間やらない?」
「奇遇だな。俺もそう思っていた」
確率は収束する........きっとあと一時間もあれば落とせるはず。相手が強くない分多少の集中力の低下こそ否めないがまだ余裕は確保できている。その為か旧世代のソシャゲのガチャの希望論をふりかざし二人はまた戦い始めようとしていると───
ぱんぱんぱん..........
「「!」」
後ろから乾いた音が響き、二人そろって武器をかまえると........
「ご、ゴメン.........驚かせるつもりはなかったんだ」
すると、二人の前に現れたのは真面目そうな片手剣と円盾を装備した少年だった
「さっきレベルアップのファンファーレ聞こえてさ.........もしかして他にプレイヤーがって思って........」
「いや.........こっちもいきなり武器を向けてすまない。そっちも《森の秘薬》のクエ目的か?」
因みにだが、このクエストは《森の秘薬》と言いクエストを発注するNPCの娘が病気で花つきが落とすアイテムが治療薬になりそれを集めてきてくれというあらすじなのだ。
「うん。でも中々落ちなくてね............」
「そうか........」
似たり寄ったりな状態なのでこれはいよいよ花つきの出現率の下方修正がどぎついのが確信めいてきた.........
「もし、よかったらなんだけど協力しないかい?乱獲すれば確率は上がるはずだし、三人の方が効率がいい」
確かにその提案は魅力的だ。正直ミトの腕もあり想定よりだいぶハイペースで狩れているがこれでも乱獲が足りないのなら三人で挑むのも悪くない。
「..........ミトはどうしたい?」
《アニール・ブレード》は結局のところ使うとしてもこの場では俺だけだ。売却しても分配して使うなりしても苦労の割りには会わないだろう。付き合わせてる彼女が上がりたいというのならそれに従うつもりだ。
「正直、ここまで出ないと逆に出るまでやらないと納得ができないわ」
「同感だ。余力は確認するまでもないか?」
「当然。そっちこそできるのよね?」
「問題ない...........じゃあ提案を受ける。俺はレイルで彼女はミト」
「レイル..........ミト?どこかで..........まぁ、いいっか。僕はコペル。パーティーはいいから、先に落ちたら君に譲るよ」
そうして臨時ではあるが三人での狩りが始まるのであった
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お互いレベル5までもう少しと言う所で約3~40分ほど経過したところで待望の時が来た。
「でた...花つきだ!」
「でも..........近くに」
複数体いるネペネントの中、レイルが遂に花つきを見つける。だがミトが警戒するように、そこには少し離れた所に実つきもいるというチャンスとピンチの紙一重のような状況だった。
「..........僕が実つきのタゲを取るから、速攻で二人が花つきを倒してくれ」
「わかった。くれぐれも気を付けてくれよ?」
「えぇ、慎重にいきましょ」
三人は気を引き締めると飛び出す。
「シィッ!!」
敏捷ではこの中で勝っているレイルが一番に接敵すると花つきを取り巻くネペネントの一対目の弱点であるウツボの接合部を単発スキル《スラント》で切り裂き一撃で倒す。レイルはシステムアシストの加速に加えたい捌きでさらに威力をブーストしていたために一撃で倒すと次に迫ったペネントを今度は───
「ハアァ!!」
今度はミトの鎌が弱点を切り払い、二人はさらに前に進んでいく。
二人の連携は、現在ではまるで淀みもなく行えている。そのことに何とも言えない満足感を感じつつ、斬り進む。
二人の実力の高さからすぐに花つきまでたどり着くと、花つきは2人めがけてつたを伸ばす。
「..........」チラッ
「..........」コク
二人は一瞬視線を交わすと、レイルはミトより一歩前に出てツタを絡め捕られぬように切り払っていく。こういった対処や小手先の剣捌きはレイルの強みである。キリトは同じ盾なし片手剣でも、重い一撃を好んで戦うスタイルだ。それに対し、レイルは連撃を主体に投剣も交えたやや変則的なスタイルで器用に戦うのが得意なのだ。
捌ききったレイルが花つきの正面から外れると、振りかぶったミトが弱点を正確に切り裂く。だが、普通のネペネントよりも耐久は高いのか僅かにHPを残し耐える。
ペネントがまるでしてやったりと言う様に腐食液の予備動作に入るが...........
「止め........だ!」
レイルが側面から鋭く踏み込み突きを放つと、ネペネントはノックバックしそしてガラスの破砕音と共に砕けて消えた。目的のアイテムもしっかりドロップをしたことを確認すると直ぐにコペルの援護にと振り返る
「コペル!!」
レイルが名前を叫びつつ、飛び出そうとしていると信じられない光景が目に入る。
(あの予備動作はッ.........《バーチカル》ッ!?)
片手直剣単発スキル《バーチカル》は英語の意味する通り垂直斬りだ。利き手次第で多少は角度がつくが今はそれはどうでもいい。重要なのは、ネペネントの弱点である接合部は基本的に水平斬り、或いは斜めに切りはらうのが普通だ。そして特に、実つきならばなおさらだ。実を傷つけてはいけないペネント相手に垂直に切り下ろせば、頭上にある大きく実ったそれを傷つけてしまうからだ。
なので信じられない光景だった............コペルのミスは考えられる。が、しかしこの場にいると言う事はコペルはまず間違いなくベータテスターだ。そんな初歩的ミスをするわけが───
(ッッ!!!........クソッ!自分で考えてた可能性じゃないか!?なんで俺は簡単に受け入れた!?)
そう、はなからコペルは狙っていたのだ
〝
「ミト直ぐに離れるぞ!!」
「ッ!?了解ッ!!」
ミトも流石にコペルのモーションが何のスキルかは分かったたのですぐに後退する。最もその意味をなすわけもなく.............
プシュッーーーーーーー!!!!
袋に閉じ込めた空気が噴き出るような音共に、毒々しい色をした煙が一瞬で辺りに広がっていく。それと同時に夥しい程の敵mobを表すカーソルが煙の中から見える
(拙った........この数を此処で捌くのはいくら何でも..........)
剣の耐久値、集中力や体力も踏まえてかなり状況は悪い。それはミトも同じで顔を強張らせる。
「(俺の責任だ.........)ミト..........どうにか俺が群れの中に穴を作る。そこから離脱しろ」
「何馬鹿なこと言ってんの!?こんな状況でレイル残したらッ!?」
皆まで言わなくともわかる。生存は絶望的だ..........逃げるのも無理だろう
「二人此処で倒れるくらいなら、俺はお前を生かす」
死の恐怖の緊張からか笑っているのを感じるが、どうでもいい。彼女だけは何があても生かすのだ。自身の警戒心の無さが招いた事態だ............俺が死んでも別に..........
「.........お断りよ!!二人で帰るの!!アスナを........私達を助けて勝手にいなくなったりするなんて絶対に許さない!借りを返すまで死なれたら困るわ!!」
無茶に退路を作ってもこの様子じゃ意地でも離脱する気はないだろう............鎌を持つ手が震えている癖して..........
「..........分かった。なら、背中を頼む...........ミトだけは死なせない」
「任せなさい。私も貴方を死なせたりなんてしないからね!」
二人は無数のネペネントが襲い来るのをかつての経験を活かし、最小限の消耗と動作で対処を開始する。
この無限にも思えるネペネント相手に気にしなくてはいけないのは三つ。武器の耐久とHP管理、そして二人の位置の把握。武器を使いきれば戦う術がないし、互いが互いのカバーをできなければとてもじゃないがこんな無茶な耐久戦は出来やしない。
(剣の耐久値も考え腐食液は絶対回避..........攻撃も防御も最小限に.........ミトの援護ができる位置取りと足場に注意して...........)
回避できるスペースや距離感、相手の行動予測を立てながらレイルは剣を振るう。防御はなるべくせず躱すことを基本に立ちまわる。時折空いている手や蹴りで捌き続ける。
「いやあぁぁぁぁッ!!!」
ミトも恐怖を振り払うかのように声を上げながら、凄まじい勢いで鎌を振り抜きながら掃討していく。間合いも今レイルの装備している《スモール・ソード》の比じゃない為かなり助かっている。逃げろとは言ったが彼女を逃がしてたらもしかすると数分と持たなかった可能性も.........
(余計なことはどうでもいい..........コペルが混戦になって他に何か仕掛けてこないとも限らない。今はどこに..........ってアレ?反応がない..........)
コペルの事も警戒して立ち回らなくてはと思い《索敵》スキルを用いたのだが反応がない。直ぐに索敵範囲を抜け出せる状況じゃないだけに何故、と考えつつネペネントを切り払っているとタネに気が付く
(..........《隠蔽》か..........これで俺達を嵌めたのが100%確定したが───)
元よりミスなのでは?とはあまり考えていなかったが、決定的な証拠である《隠蔽》スキルの使用にレイルは怒るのではなく.........寧ろ、〝憐れみ〟を覚えた。
「コペル.........お前《隠蔽》スキルの弱点..........知らないのか..........」
《隠蔽》は確かに便利だし、俺とて習得予定だ。だが、キリトや俺が《索敵》を優先するのはソロ思考だからではない。ネペネントのような目でプレイヤーを追うタイプではない相手には効き難いのだ。それ故に──
「!!!!」
何体かのネペネントは俺やミトの位置とは見当はずれの位置へと茂みへと殺到していく。恐らくそこに..........
暫くするとそこからガラスの破砕音と共にモンスターが散る、エフェクトに似たそれが確認できた。
「..........ミト。右の茂みを目指したい。出来るか?」
「出来るわ........でも、どうして?」
倒しながら背中合わせになり、警戒しつつミトは真意を問う
「コペルは《隠蔽》が効かなくてそのまま..........だからアイツの剣を拝借したい」
レイルの剣はいくら丁寧に使っていても耐久値の限界はすぐそこだ。だからこそ彼の剣が必要だ..........
「..........ネペネント相手は効き難いってのにっ............了解よ」
ミトもそれは知っていたため歯を食いしばりながらそう零すと俺の望みに応えて少しずつ、位置をずらしていく。レイルは戦いながら辺りを探っていると.........
(あった.............借りるぞコペル.........お前の分までコイツを使わせてもらう)
とは言え、装備切り替えをするのにはどうしても隙ができる。その間にミトがダメージを負うのは容認できない。だから───
「ちょっと!レイル何両手に剣持ってるの!スキル使えないわよ!?」
イレギュラー装備状態である二刀流でレイルは戦い始める。ミトの言う通りこの状態ではソードスキルは使えない。だが──
「ぶっちゃけこっちの方が戦いやすいんだよッ!」
確かにスキルは使えない、が単純な手数は増える。ベータの時は二刀流はしなかったが投剣用の短剣で疑似二刀流のようなものをしていた。変則的だが、これが多勢を相手にするのに好都合なのだ。掃討までに時間はかかるが、消耗を抑えることができる。
まるで剣舞のように二刀を振るう姿をみたミトは.........
「嘘でしょ........使いこなしてるし........」
二刀を使うのは違和感が生じやすく難しい。そのためにまともに活用できるレイルに対しミトは驚愕を禁じ得なかった。
「ミト!俺がカバーするから一点突破するぞ」
多少は無理がきく状態になったので、突破力のあるミトを援護して離脱を選択。何もここで殲滅戦にこだわらなくてもいい
「わ、わかった!こっちが手薄いから行くわよ!」
ミトを支援しながら手薄い方から一転突破をして暫くすると気がつけば森を抜けむらに辿り着いていた。森に抜けた後、レイルはコペルの剣を森とむらの境目に突き刺し、へとへとの状態でミトと共にクエスト終了報告に向かうのであった
******************
倒し続けていたら気がつけば目的のアイテムはもう一つ持っていたので気が付かないうちにもう一体を倒していたようで二本の《アニール・ブレード》を入手できた。最初は売るつもりだったがキリトに譲渡することにした。今回の事で少しでも戦力を整えておきたいからだ。
「..........本当にすまなかった。勝手な行動した挙句に危険な目に合わせて」
「そうよ。あんなこと言って自分は例外みたいに動いてさ。勝手に方針話して死なれても困るわよ」
宿に帰りながらミトに謝罪する。発端はリスクもあると止めていたくせに我慢できずに突っ込んだ自分の責任だ。彼女の言う通り言うだけ言って死んでは責任放棄もいいところ。自分だけが例外なわけがない。
「正直...........ミトがいなかったら死んでたかもしれない。助けてくれてありがとう」
「どういたしまして。どこかで美味しいもの驕ってよね」
「あぁ、驕るさ」
どこかキリトといるようで気が楽になる。キリトとのベータの時の冒険は楽しかった。お互いがお多賀雄を巻き込んでわちゃわちゃしたりと...........ゲームをとにかく楽しんでいた。
「ねぇ、レイル。私がアスナに『ゲームが上手いから』って言われた時、私の事気遣ってくれてありがとうね。あれ結構嬉しかった」
ミトがレイルを追いかけた理由は心配が半分。そしてもう半分はその事のお礼がしたかったのだ。もしあの場でレイルの言葉がなかったらミトは最悪アスナと距離を置いてしまったかもしれなかった。それがどんなに言われたくない言葉でも彼女を見捨てるような真似はしたくなかった。
「どうも............まぁ、ゲーマの宿命みたいな感じだよな。ガチプレイしたらこっちで知り合うような相手以外からはいい目されないし」
「確かにね...........私も学校ではアスナ以外にはゲームが趣味なの隠してたし」
なぜか自然とリアルの事が口から出たことに少なからず驚いた。でも何となくレイルなら話せる。それはきっと.........
「そっか.......俺も似たようなもんかな。学校じゃ立場があってあんまりそう言うの大っぴらに話せなかったし」
そしてレイルもまた何でもないようにリアルのことを話し始めた。
「へぇ~もしかしてレイルって生徒会とか委員長とかしてるんじゃない?なんかリーダーシップって言うか........みんなを引っ張るタイプっぽいし」
「正解。生徒会に入ってるよ。うちの学校伝統あるみたいでさ~ゲームの話とかできる相手もいなければ、校則で学校内でゲームをするのはおろか、スマホだって校内じゃ全面使用禁止だし、身だしなみ検査なんかも面倒なくらい項目も頻度も多いし、年度始め・年度終わりともなれば今度は部費の予算決議とかも...........」
リアルじゃ本当にめんどくさい仕事ばかりの生徒会に忙殺されていた。そこに勉強も加わり、とてもじゃないがふざけんな!と言う状態だった
「それは大変ね.........そっか.......やっぱり私たちそうたいして年変わらないみたいね」
「もしかして俺老けて見えてたりする?よく高校生とか果ては大学生とか言われるけどまだ中三なのに........」
実は少しだけ実年齢より上に見られることを気にしてるレイル。よく言われることだが喜べる事.......ではない気がして微妙だ。
「(やっぱり同い年だ........)確かに少し中三には思えないかな」
そう答えるとちょっと気にしてたのか顔を触り始めるレイルに苦笑が零れる。あれだけ冷静に考えられるのだから確かに中三には思いにくい。でもそんな今の姿を見てると納得もでき不思議だ。
(あぁ.........そっか、レイルってアスナに似てるんだ........)
そしてそんな姿を見ていると一緒にこの世界に巻き込まれた友人と姿が重なる。彼女も大人びていて、家のしがらみで苦労しているのを見てきた。その彼女にどこか似てるように思えた。
「ねぇ、レイル。もしギルドを作るとしたらどんな名前にするの?」
「え?それはそうだな...........って、ギルマスはクラインがやるだろうからクラインが決めるんじゃないかそれ?」
「何でクラインなの?」
「いや、半分以上はクラインのグループだし...........正直ギルマスはなぁ~ぶっちゃけこうならなきゃキリトとコンビ組むかソロで遊んでただろうし」
「ふ~ん...........でも、たぶんギルマスはレイルがやることになると思うよ?私、レイルを推薦するつもりだし」
悪戯っぽく笑うと彼は勘弁してくれと言ったように肩をすくめる。
「それで?未来のギルマスさんはどんな名前を考えるのかな?厨二全開な名前かな?それともセンスの欠片もない酷い名前かな?」
「確定してないだろ?しかも酷い名前確定かよ.........ねーみんセンスの無さは否定しないけど。まぁ、でもギルマスはキリトは..........なしとしてミトだって候補のうちだし、アスナもアレで素人だけど根は真面目そうだしそう言う管理職っていうのか?向いてると思うけどなぁ」
キリトは引っ張る力はあってもギルド運営ができるかと言われたら微妙なのは知っているから外すとしてそんなことを伝えるレイル。
「え~私は絶対いや。ガラじゃないし、アスナは.............確かに向いてそうだけどゲームに対しての理解が深いレイルが一番だと思うけどな~」
「そんなことないと思うけどなぁ」
不思議と会話が弾み、心地よい。ただ、レイルは話題を意図的に逸らして名前の事は忘れてもらおうとしてるのだが、また思い出したように.......
「って、話題逸れたけどギルド名は思いついた?」
「忘れてくれてよかったのに...........」
「私、記憶力に自信あるの。それに学校じゃいつもテスト一位なんだからね?」
「ほぅ.........なら俺がもしギルマスになったら頭使う仕事は全面的に頼むことにしようかな」
「嫌な意趣返しはやめてよね!それで本当に何にも思いつかない?」
彼女に問われ少し考えてみる。元よりネーミングセンスには自信がない。だが、ひねり出すようにお洒落な感じの名前を考える。
すると、少しずつ空が明るくなり始めてる様子を見てふと思いつく
「《暁の旅人》.......とかどうだ?」
「ふむふむ.........悪くないんじゃない?むしろ結構好きかも」
「お気に召したようで恐悦至極ですお嬢様」
「ぷっ.........何それ」
「「あはははははは!」」
夜が明け始めた道の途中で...........二人は笑って帰路につくのであった
今回は原作八巻のMPKの話でした。映画とは少しテイストを変えてミトは命がけで抗うように変更しました。とは言っても近くにレイルがいる状況なのもありますが、レイルの行動なんかが変えた結果だと思ってもらえればうれしいです。そして今回のレイルの若干の暴走ですが........正直にいます。このオリ主めちゃ面倒ですw何せ書いてる自分自身の性格を意識してるので断言できますw次話以降でも述べますが、クソ面倒な奴です。そんな面倒な奴が加わった物語を楽しんでもらえるよう頑張るのでよろしくお願いします。
それにしても完全にSAO熱が再燃しています...........今週末また二回目の映画見に行こうかな?
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