Re:夜の剣士   作:graphite

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第一層攻略会議

 

 

 

あの後宿に戻った俺達は早く起きた体で何食わぬ顔でいようとしたのだが、宿に使った酒場の前で仁王立ちするキリトとアスナを発見した。どう見ても怒ってるのがわかったのでとりあえずは一番の原因である俺が弁明したのだが.............

 

「さて.............随分と無茶してくれてたな、んん?」

 

「その節は大変反省しております.............一応言っておくとミトは───」

 

「ミトも止めるならまだしも一緒になって狩りなんてしてたから同罪よ。そうよねミト?」

 

「はい.............」

 

道のど真ん中でそれぞれの友人に正座を言い渡され説教を受けていた。幸いなのはクライン達やほかのプレイヤーがいない明け方だったこと。見られたら黒歴史だ。

 

「全く.........俺も二人と同じ状況なら粘ってたさ。間違いなくな..........でも、いきなり黙って抜けてか夜に狩りなんてしてたら心配するに決まってるだろ?」

 

「すまなかったが......まぁ、でも流石キリトだな!ゲーマーとは何たるかをよくわかって「レ・イ・ル・君?」............すいません調子乗りました」

 

明るい空気にして押し流そうとしたら雪女も真っ青で逃げ出しそうな絶対零度の名前呼びに頭を地面にこすりつけるほかなかった

 

「全く.........ミトを巻き込んだのは怒ってる。けどね?それ以上に私を助けておいてそんな無責任なことされても困るわ。それに何度も言うけどミトもミトで止めずにのかってあまつさえ意地になって粘るのにも怒ってるからね」

 

「すいませんでした」

 

二人して街のど真ん中でそれは綺麗な土下座をする珍妙な光景。心配させてしまっただけに申し訳ないが、絵面が酷い。

 

MPKされかけたことは話さなかった。話せば余計に説教が長くなりそうだし、昨日今日でそんなことがあったと余計な負担はかけられない。

 

 

その後、キリトに《アニール・ブレード》を渡してこの件はお開きになった。

 

 

 

 

 

 

ただその数日後、レイルとミトはまた寝付けずレベリングに向かい今度はキリトもこちら側に加わった結果、三人ともレベルが6にまで上がり、アスナに加えクライン達にまで説教された

 

 

****************

 

 

SAOサービス開始から大体一か月

 

レイルの立てた方針通り行動を開始してしばらくたった。その間で、鼠こと情報屋のアルゴと接触ができ、彼女の協力もあり、一層のクエストの攻略情報やフィールドでの注意点、そしてこのゲームと向き合っていく上での注意事項などをまとめたガイドブックを作成し無料配布を開始すると、飛ぶように売れていった(タダだけど)。ハイペースで集めた情報だった.........だが、それでも犠牲者は多かった。

 

そして今日.............

 

遂に、第一層攻略会議が始まる

 

 

「はーい!皆、聞いてくれ!今日は俺の呼びかけに答えてくれてありがとう。俺の名前はディアベル!気持ち的にないとやってます」

 

迷宮区手前の街《トールバーナ》ここでディアベルと言った人当たりのよさそうなプレイヤーが前に立ち会議が始まった。

 

「いよいよだなキリト」

 

「あぁ」

 

そして俺、レイルはベータの時からの相棒であるキリト、そして──

 

「気を引き締めていかないとね」

 

「そうだねミト」

 

ミトとアスナを含めた四人でボス戦に望むことになった。キリトとミトは言うまでもなかったが、アスナの吸収が尋常じゃなかった。レベルだって俺とキリトとミトが13でアスナが12と遅れてレベリングを始めたにもかかわらず成長速度も目を見張るものがあり、正直初心者だというのが信じられないほどの腕だった。

 

何人かのツッコミを受け朗らかに笑いながらナイト.......もといディアベルは会議を続ける

 

「数日前、俺達のパーティーが第一層のボス部屋を発見した。俺達の役目はボスを倒してゲームクリアを目指すこと!始まりの街で待つ人たちにいつの日か解放されると証明することが俺達の責務だと思う!皆もそうだろ?」

 

そんな呼びかけに会場の者たちは応え、ディアベルも感謝を述べると........

 

「みんなありがとう。では、ボスを倒すレイドを組みたい。皆5~6人のパーティーを組んでくれ!」

 

うーん............どうしよう。俺達4人で組むのはいいけど.......

 

「一人足りないな............」

 

「ま、まぁ..........良いんじゃないか?下手に知らない人いれるよりずっといい」

 

キリトはそう答えるがこれは恐らくボスの相手ではなく取り巻きの対処に回されそうだ。不満がないとは言わないが仕方ない。

 

四人は既にパーティーを組んでるので他の集団ができるのを待っていると........

 

 

 

「ちょお待ってんか!?」

 

 

 

大きな声でディアベルの下に一人のとげとげ頭が降り立った

 

「発言の際は名前を述べてくれないかな?」

 

ディアベルが落ち着いて対応するととげとげは名乗った

 

「ワイはキバオウや」

 

「ではキバオウさん何ですか?」

 

「コンなかに今まで死んでいった奴らにわび入れなあかん奴がおるはずだ!」

 

その発言にキリトとミトがびくっと震えるのがわかる。俺だって予想はしていても来るものがある。

 

(想定はしていた............だが、やっぱ怖いもんだな)

 

極限状態で排斥されると思うと正直なところ怖い。周りに敵が増えて落ち着けなくなると思うと息が詰まりそうだ。けど───

 

「キバオウさん........貴方がその詫びを入れないといけないという相手は元ベータテスターの人たちの事だね?」

 

「決まっとるやろ!コンくそゲームが始まって初心者置き去りにして、自分たちはうまい狩場やアイテム独占してポンポン進んでいったクソ野郎の事や!コン中にもいるんやろ!?ベータ上がりの薄汚い奴が!!そいつらにこの場で土下座させて、ため込んだアイテムやらを此処で吐き出してもらわへんとパーティーメンバーとして背中を預けられんし預かれん!!」

 

酷い話だ。ただの責任のなすりつけだ..........確かにそう言う事実がないとは言えないだろう。けど全員が全員そうじゃない。俺はそんな3人のテスターを知っている

 

「発言いいですか?」

 

「レイル?」

 

俺は手を上げると前に促されたので前に出る。

 

「俺はレイルだ。キバオウさん。貴方がもし仮にそれを為したとして、弱体化したテスターが死んだら責任取れますか?」

 

「っ.......そ、それは..........」

 

「とれるわけないですよね?ついでにですが、テスターは1000人いて仮にその全員が死んだら、その親族はきっと今の発言で扇動したキバオウさんをつるし上げるように責め立てるでしょう...........いや、それだけじゃない。それに加担したと疑われた一般プレイヤーも同じようにテスターの親族は目の敵にするかもしれない。そうすればキバオウさん........最悪貴方は今の発言でSAOの全プレイヤー並びにその親族全員に目の敵にされる可能性があるわけだ」

 

最悪の想定をしたのかキバオウさんは顔を青ざめる。ちらほらこの会場に集まってきた人もいい顔はしなくなっていた。

 

とは言え、いくらか思う所がない訳ではないがここでこの人を潰す気はない。あくまで俺達は攻略しに来たのだ。

 

「それはテスターも同様。テスターだって他人の命まで責任はとれるわけじゃない...........だからと言って今の発言でテスターを擁護するのが気に食わないと思った人もいるだろう。だけどテスターだって全員が全員キバオウさんが言ったような人たちじゃない。これを皆さんももらったと思います」

 

俺はクライン達や鼠と協力して作ったガイドブックを掲げる

 

「これはテスターでしか知り得ない情報が載っている。少なからずここにいる人々が助けられたのは事実だ。テスターたちが協力して情報はしっかり残されていたんだ。それでも死んだのは引き際を見誤ったことも起因していると思う。そしてそれは今回のボス戦だって同じです。ベータの時の情報は既に道具屋にありました。ですが不測の事態が........ベータの時と変更されて情報通りにいかないかもしれない。だから、こそ俺達は絶対に引き際や、慎重さを忘れてはいけない。そうですよね皆さん!」

 

俺が言いきるとテスターの排斥ムードは払しょくされているように見える。正直言ってこんな役回り支度もなければ柄じゃない。こっち来てからこんな事ばっかだ..........

 

「発言いいか?」

 

ガタイのいい黒人の男性が手を上げてこちらに歩み寄ってくる

 

「俺の名前はエギル。俺もこの兄ちゃんの言葉に賛成だ。情報はここにあった!兄ちゃんの言う通り俺達に必要なのは責任者の所在探しなんかじゃなく慎重に物事を考える時間だ!俺はこの会議にそれを期待してきていたんだがな.........」

 

助かった..........流石に空気を変えられても所詮は子供の言葉だ。大人からすれば納得しにくいだろう。だからこそこのエギルと言うプレイヤーの口添えは非常に助かった。

 

それから会議は進み、ガイドブックの情報の確認と戦闘時の立ち回りの確認をして終えるのであった

 

 

 

**********************

 

 

「「「レイル(君)」」」

 

「はい........勝手なことして申し訳ございませんでした」

 

路地裏でキリトとミト。そしてアスナにまた正座するように言われ説教タイムが訪れた

 

「お前なぁ............いくら俺達のためとはいえ危険すぎるって!もしお前あの時揚げ足でも取られてらたら迫害じゃすまなかったかもしれないんだぞ!」

 

「はい.........」

 

「そうよ。上手くいったからいいものの全プレイヤー敵に回す寸前だったのよ!その自覚ちゃんとある?」

 

「はい..........」

 

「レイル君?」

 

「その.........何も言わずともわかってるよな?っていう感じなのが一番こわ.......「何かな?」......申し訳ございませんでした」

 

アスナが一番怖いよぉ...........

 

何も言わず名前言うだけ言って雰囲気で「わかってるよな、おい?」は女の子がしていい事じゃないでしょ.....しかも威圧パネェっス、アスナさん.............

 

「おう、いたいた............って..........どういう状況だこれ?」

 

するとそこに先程手助けをしてくれたエギルと言うプレイヤーが三人に凄まれ土下座すると言った珍妙な場面に登場するのであった

 

 

 

 

 

 

「あっははははははは!!!兄ちゃんたちおもしれえな!!」

 

顛末を聞いたエギルは大笑いをしてどこか眩しそうに俺達4人を見た。

 

「でも兄ちゃん本当に中三なのか?俺はてっきり高校生か大学生かと思っちまったぜ」

 

確かにレイルの身長は同い年の男子たちから見ても大きい方であるが、そこまで上に見られるのは若干微妙な気分だ.......

 

「レイルって年上だったんだな...........なんか以外」

 

「おいキリト。それはそれでショックだぞ、オイ」

 

キリトにはどうやら同い年に見えていたらしい。それは正直編に畏まられるよかましだし構わないんだが.......以外と言われるのはそれはそれで微妙だ。なのでこのモヤモヤをアイアンクローとして文句を示していると女性陣は呆れた表情を浮かべる。

 

そんな俺に構わずエギルは.......

 

「にしても兄ちゃんの発言はよかったぜ。俺もすっきりしたってもんさ。明日のボス戦期待してるぜ」

 

「そっちこそ。頼むぜエギル」

 

キリトにかけてたアイアンクローをかけていた手をほどきエギルの大きく頼りがいのある手と握手すると、彼は仲間の方に移動していった。

 

 

********************

 

 

その後、俺達は当日の立ち回りを確認して俺とキリト、アスナとミトに分かれ宿に戻った。アスナとミトの二人は風呂付のNPCの家を借りている。俺達も風呂に入りたかったが...........まぁ、それは女子に譲るべきだろうと言う俺達男子の紳士的気遣い(脅された)だ..........

 

「なぁ、レイル。ボス戦前で悪いんだけどまたこれの取引持ちかけられてるんだよなぁ」

 

「まだ粘ってるのか相手?いくら何でもしつこすぎるというか.........ぶっちゃけその金あればよほどの装備じゃなきゃキリトのそれよりも余ほど有意義な使い方あるだろ」

 

キリトと宿部屋で向かい合って何を話しているかと言うとキリトの現在の愛剣《アニール・ブレード+6》の取引についてだ。アルゴを通して持ち掛けられた取引なのだが.............

 

「そうなんだよなぁ........さっきアルゴが39,800コルまで釣り上げて来たって連絡あってさ........」

 

「はぁ!?なんだその金額!?........前々からもしかしてとは思ってたが、相手俺達と同じテスターでしかも今日の攻略会議にいる誰かなんじゃないか?だとすると狙ってるのは間違いなく.........」

 

「あぁ、多分だけど〝LA(ラストアタックボーナス)〟狙いだろうな」

 

階層ボスのラストアタックをとったものには非常に強力なユニークアイテムが落ちる。俺とキリトはベータテストの時一度経験しているからどれ程の物かをわかっているからそう考えれば納得は出来るが...........

 

「そう言えばレイルの方はどうなんだ?」

 

「俺は逆に《アニール・ブレード+6》以上に二万コル以上つけなきゃ絶対に取引しないって門前払いしてやった」

 

「滅茶苦茶だな.......」

 

苦笑を零すキリト。因みにだが、強化システムをざっくりに説明すると強化できる試行回数があってその限られた回数の中で《鋭さ(Sharpness)》《速さ(Quickness)》《正確さ(Accuracy)》《重さ(Heaviness)》《丈夫さ(Durability)》のパラメーターを対応の素材を用意して行うのだ。

 

そしてその強化度合いを『+回数』と各要素の英語の頭を取って表す。例えばキリトの場合は《アニール・ブレード+6(3S3D)》、つまりは鋭さと丈夫さに振っている。俺は《アニール・ブレード+6(2S2Q2D)》だ。ある程度の耐久と攻撃力と速さを求めた形だ。

 

「なぁ、レイルは誰が取引相手だと思う?」

 

「わかると思ってるのか?」

 

「レイルなら想定ぐらいしてそうだと思っただけさ」

 

「そうだな.............可能性があるとすれば............ディアベルかキバオウかな?」

 

「意外な名前と納得できそうな名前だな..........根拠は?」

 

「仮にディアベルがテスターだとしてキリトの剣を奪えばまず間違いなくボス戦において優位に立てるのは確かだ。そして、勇者ディアベルとしてラストアタックを取れば始まりの街で待つ人たちに対しても周囲に対しても外聞もいいからな...........キバオウに関しては逆恨みかな..........アイツはテスターを憎んでるぽっいし」

 

ディアベルが悪人だとはとても思えない..........だが同時に唯のお人好しではないとも思う。アイツは確かにこのゲームをクリアに導こうという意思がある。そのために必要な周囲の期待や象徴になろうとすることを創造するのはさほど難しくない。

 

「成程なぁ...........確かにその線な感じがしてくる」

 

「とは言っても俺の勝手な憶測だ..........十中八九攻略に参加する誰かだとは思うがまともな動機が考えられるのが二人ってだけだしな」

 

そんな話をしていると..........

 

コン、コココン

 

ドアノックの音だ。この特徴的なものは彼女と取り決めた合図だ

 

「お前から来るのは珍しいな」

 

「まあナ。キー坊の剣の事今日中に答えを聞いてくれってクライアントがナ」

 

独特な語尾をした小柄な彼女が凄腕の情報屋でもある鼠のアルゴだ。敏捷を極振りにして逃げ足と《隠蔽》に特化した彼女は様々な場所で情報をかぎ集めてくる。今は、副業である口頭での言伝の仕事もしている。今でいう所の代理交渉人だ。

 

「答えは変わらないよ...........けど折角だから1,500コル払うから相手の名前教えてくれないか?確か口止めが1,000コルだったよな?」

 

「オッケー聞いてみるヨ」

 

するとある語は高速タイピングで相手にメッセを送り確認を取る。すると..........

 

「.........教えて構わないソーダ」

 

キリトはウインドを出し、コルを取りだしアルゴに支払う。アルゴも確認すると答える

 

「確かに.........さて、依頼人だがキー坊もルー坊も知ってる相手だヨ。会議で大暴れしてた奴からナ」

 

「キバオウ、か..........にしてもレイルの推測はあたりか」

 

「ん?ルー坊は読んでたのカ?」

 

「読んでたっていうより消去法だな。動機があるとしたらキバオウかディアベルのどっちかだろうなって。正直それ以外のプレイやはー全然知らないし」

 

「ふーん。ルー坊は中々いい考えしてるナ。オネーサンと一緒に情報屋やらないカ?今なら美人のオレっちが手取り足取り教えてあげちゃうヨ~」

 

「あっ、そう言うの興味ないんで」

 

「..........ルー坊はオイラのこと舐めてるナ?オオネーサンだってそう言う態度されると傷つくんだゾ?」

 

「へぇ~(棒)」

 

「...........二人と行動してるあの娘達に在ること無いこと吹き込んでこようかナ~」

 

「おい!お前確証がない情報や嘘の情報は売らないのが信条だろ!?何しようとしてくれてるの!?」

 

「冗談サ。ルー坊の慌て得た顔が見れて満足したからオイラはそろそろ帰るヨ」

 

そんなことされた日にはアスナにめった刺しなりミトにバッサリ切り裂かれかねない...........

 

「心臓に悪い冗談はマジで辞めてくれ...........」

 

「にゃはははは~.............二人とも、死ぬなヨ?」

 

笑うだけ笑った後アルゴは真剣な眼差しで俺たち二人にそう言う。コイツはふざけてるようでこの世界を相手に真剣に向き合っている。だからこその言葉だろう。

 

「勿論だ」

 

「そっちこそな」

 

俺とキリトの返答に満足したのかそのまま立ち去っていく。

 

明日は本当に死ぬかもしれない戦いなのだ。そのことを否応なくアルゴの態度が物語っていた

 

 

 

 

 

********************

 

 

 

 

 

「フッ!.......シッ!.........ハッ!!」

 

トールバーナの街のはずれの湖畔。ここ最近キリトが寝たらここにきて一人で剣を振っていた。景色が綺麗でこの場所が好きなのはあるが、何より剣を持っていると落ち着くのが大きい。

 

(明日........もし、ベータ版の時と違いがあるとしたらどこにあるだろうか...........)

 

ベータ版では死に戻りできたから兎に角突っ込みまくって倒したが今回は死に戻りなんてできない。あの時よりも確かにレベルは大きく上がっているが、懸念材料がそれだ。

 

変更点が些細な事ならいい...........でも、戦局が大きく変わるような..........誰もが初見のような変更がされていたら........そう思うと不安になり、気づけば剣を振りに来ていた。

 

「ここの景観はいいわよね」

 

「ミト.......それにアスナも」

 

聞き覚えのある........いや、聞き間違えるわけない仲間の声に振り返ると鎌を肩にかけた少女がいた。その後ろにはアスナもいる。

 

「知ってるわよ。最近夜な夜なここに来ては剣を振ってる.........ちゃんと寝てるんでしょうね?」

 

知られていたらしい。正直最近は眠りが浅くて早くに寝ても夜中に目が覚めるし、夜遅くに寝ても2、3時間と経たず目が覚めてしまう。だからトールバーナにきてからはここにきてぼーっとするか剣を振ったり、クエストを受けたりしていた。

 

「何で知ってるんだ?今日はちょっと気を抜いてたけど普段ここに来るときはかなり入念につけられてないか気にしてたぞ?」

 

「アルゴさんに聞いたの。ここ最近情報の提供が早いから少し気を付けてやってくれってね」

 

その問いに答えたのはアスナだ。確かにここ最近はボスの情報がないかフィールド探索系のクエを幾つもこなしてその情報を流していた。他にも比較的安全なクエも可能な限り受けたりと、どこかに重要な情報がないかと思い、多少睡眠時間を削っていた。

 

「..........はぁ、アイツはマジで人のプライベートなんだと思ってるんだか..........」

 

「それは同情するけど、無茶なことし過ぎ。自分一人でできないから私達に協力を頼んだんでしょ?」

 

ミトの言葉の通りだ。そもそも俺一人でできるならはなから仲間集めなどしなかっただろう。ただ、リアルでもそうなのだが、人に何かを頼む、人に頼るのはどうも苦手なのだ。自分が押し付けられたり、自らやる面倒ごとに文句は言ってもそれを他人に協力を頼むのはとことん苦手なのだ。自覚はあるが我ながら面倒な性格をしている。

 

「それはそうだが...........俺が言い出しっぺだし一番俺が働かないと........」

 

「前々から思ってたけどレイル君って面倒な性格してるわよね?頼んどいて他人に何かしてもらうのを嫌うとか面倒くさすぎるわ」

 

「アスナの言う通り変わってるわよね~レイルってなんでこうも面倒なのかしら」

 

「わかってることとはいえ他人から言われると心にくるなぁ.........」

 

心にぐさぐさとくる.........しかも事実だから強くは言い返せない.........いや、言い返せたところで正面から論破されそうだけど

 

「........でも、なんだかんだ言って優しいし真面目で..........そう言う意味ではちゃんと信頼もしてるし頼りにしてる」

 

「そうね........自分に厳しくして身内にはとことん甘くなる.......お馬鹿で面倒な人だよねレイル君は」

 

「.............」

 

突然、褒められた?様で何とも言い難い気分になる。こうも素直に面に向かって言われたことは今まであっただろうか?

 

「...........無駄な心配かけて悪かったよ」

 

そっぽを向きながら二人に言うと........

 

「違うでしょ?何を悩んでるか言って。どうせまた色々と考えてるんでしょ?」

 

「な~んにも考えちゃいないよ。元々俺そんな寝つきがいい方じゃないし」

 

ミトが鋭い..........確かにボスの変更はどこにあるかは悩んでたが余り余計なことは───

 

「レイルが嘘つくとき視線が右に泳ぐ」

「レイル君が嘘つくとき右手を握るんだよ?」

 

「えっ、嘘だろ!?」

 

そう思い右手を見たが.............

 

「あれ?握ってなんか............まさか!?」

 

「掛ったね?さっ、何を隠してるか話しなさい」

 

ミトがにやりとしてやったり風に笑う。アスナ似たように若干の呆れを感じさせる笑みを浮かべていた。どうやら二人にまんまと嵌められたようだ。嘘をつくときの癖なんて出まかせ............

 

「レイル君は出まかせだって思ってるかもだけど、本当は別の部分に出てるからね?」

 

なん........だと!?

 

「案外わかりやすいわよ?」

 

「」

 

え?もしかしてキリトとかにもばれてる?

 

「それで観念して話したらどう?」

 

「..............はぁ..........降参だ」

 

俺はもう誤魔化すのは無理だと思い両手を上げる

 

「考えてたのはボスが情報通りじゃない場合だ。ベータテストから変更されてない......なんて茅場がそんな事するとは思えないんだよ...........些細な事ならいいけどやっぱり、な..........」

 

「そう言う事ね..............」

 

アスナはいまいちだがミトは違う。

 

多分、ミトも一層ボス攻略戦に参加していたはずだ。そうなればボスが他とどれほど隔絶しているかよくわかっているはずだ。ただでさえボスが強いのに、予想外の事態もある前提に考えればボスの難易度は確実に上がる。

 

「だから少しでもベータの時に身に着けた技術の確認と考察しておきたかった............そう言うわけだ」

 

「それで...........もし変更されてるとしたら何が思いつくの?」

 

アスナはそう問いかける。恐らく一つくらいは何か思いついていると考えたからだ。

 

「取り巻きの数が増えてるとか.........ボスの行動パターンに変化があるんじゃないかくらいだ。正直どこかのクエストに情報があるんじゃないかって思ったけど..........アルゴも俺も見つけられなかった」

 

「だから最近クエストを受けまくってたのね...........言ってくれれば私もキリトも協力したのに」

 

「まぁ、俺は面倒な性格してるからな。出来ることは自分でするさ」

 

「わかってるなら直しなさいよね..........でも、それディアベルさんとか攻略会議の時なんで言わなかったの?」

 

「それ言ったら余計キバオウを刺激しかねないだろ?アレもぶっちゃけギリギリのラインでの口論だったし」

 

「わかってるなら黙って欲しかったわ..........こっちの方が心配で怖いもの」

 

ジト目で睨んでくる二人にバツが悪くなる

 

「サーセン..........まっ、アレだ。諸々の不安はあるが最低限ミトやアスナ、それにキリトは俺が死なせたりなんかしないからあんま気にすんなよ?」

 

そこが許容できる最低ラインだ..........攻略してる中から犠牲が出るならせめて自分が知る人じゃなければいい。最低だが、人間なんてそんなもんだろ。

 

(自分の仲間は死なせない.........きっと死なれたら俺は俺じゃいられなくなるから........)

 

自分が死ぬよりもよっぽど自分が自分じゃなくなる方がもっと怖い。

 

「全く..........そんな簡単に言っていいの?」

 

「言うだけならタダだしな」

 

おどけて見せると二人も苦笑を零す。俺のせいとはいえ遅くなったので二人を送って俺も床に就くことにした。明日が無事終えらるのを願って

 

 

 

 

 

 






今回はここまでです。次回はボス戦です!映画のストーリーとはだいぶ改変してミトを組み込んでいますがどうでしょうか?楽しんでもらえれば幸いです!一応ヒロイン候補全員フラグはたたせる予定なんです。ただ、アスナは抜きます。アスナはやっぱりキリトだと思うので!となるとヒロインはほぼほぼ確定ですね!

それでは今回もここまで読んでくださりありがとうございます!コメント、お気に入り登録、評価をしてくださりありがとうございます!
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