Re:夜の剣士   作:graphite

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新たな鎌を求めて

 

「ここの洞窟が目的地なんだな?」

 

「えぇ、そうよ。この最奥のネームドMobを倒して開く宝箱の中のアイテムをNPCに届ければ、強化すると4階層まで使える鎌がもらえるの」

 

二階層が開通した翌日、俺とミトはとある洞窟に来ていた。

 

他の面子........キリトとアスナはそれぞれ別件でいない。とは言え、キリトについては一人で何処かにフラフラといなくなっていて、アスナの方は数少ない女性プレイヤーのさらに少ないであろう鍛冶師の友達に誘われたらしく今頃二層の主街区で息抜きをしているだろう

 

そして俺達はと言うと、ミトの主武装更新の為に主街区からそこそこ歩いた森奥の洞窟に来ていた。ミトの現在の鎌は第一層の武器屋のものでクエスト報酬品の武器に比べれば性能はいくら見劣りするのだ。とは言っても一層では鎌はクエスト報酬やモンスタードロップはしないらしく、ここにきて初めて鎌を更新できるのだ。

 

「4階層まで使える代物かぁ.........2階層ではかなり強武器だな。俺のアニール・ブレードもこの階層はいいけど次かその次では変えないといけないんだよなぁ」

 

アニール・ブレードはこれで結構気に入っているのだ。見た目が好みなだけに惜しいものがあるが、次の階層の大型イベントをこなしていけば新たな剣との出会いもあるだろう。

 

「強化試行回数もあと2回だっけ?成功するとも限らないからね」

 

「あぁ、そもそもノーミスでここまでできたのが十分凄いけどな」

 

6回ノーミス成功したのはだいぶ運がいい方だ。+8にできれば確実に4層中盤まではいけるだろうがそこまでするのも素材も結構重いものがある。

 

「それもそうね......さて、そろそろ行こうか」

 

「あぁ」

 

お話はここまでにして、俺とミトは暗い洞窟へと進み始めるのであった

 

 

****************

 

 

「オラッ!!」

 

「クギャッ!?」

 

(まず一体...........)

 

悲鳴を上げ斃れるモンスターを脇目に、他の個体を警戒する。

 

洞窟に入ると現れるMobの系統は虫の様で、洞窟蜘蛛とでもいうのか全長は1メートルちょいで黒曜石のような胴に長い足を持ったそれらが数多く湧いていた。粘糸を吐いて、行動阻害をして来たり、毒液を吐いてきたりするが今のところはどれもうまく回避できている。

 

だが、俺としてはこのMobは相性が悪い

 

(堅いんだよなコイツ............)

 

胴体が黒曜石の様と言ったがそれはあながち間違いではなく、非常に硬いのだ。普通に胴を攻撃しようものなら逆に弾かれかねないほどにだ。

 

レイルはSTRが高い訳ではない。レベルアップのボーナスはAGIを6、STRを4くらいでAGIに多めに振っているスピードタイプのアタッカーだ。因みにキリトの場合は俺の逆だ。まぁ、この際それは置いておくとして、堅い相手にはレイルは基本的に正面から攻撃は論外で関節を攻撃する以外はあまり有効なダメージを与えられない。

 

とは言え、器用なレイルだから戦いにくいとはいえ同じタイプの剣士よりも格段にうまく立ち回れているほうだ。レイルでもなければ一対一でもかなり厳しいものがある。

 

(成程な、これは確かに鎌を報酬にするにふさわしいクエだ)

 

蜘蛛の胴と頭の節や脚部の節を的確に攻撃し、倒しながら一緒に洞窟に入った彼女の方を見ると.........

 

「はあああああッ!!」

 

「「「くぎゃ!?!?」」」

 

ミトはソードスキルを発動させ、鎌を横薙ぎにすると3体まとめてバッサリ切り払い倒しきる。今回は間違いなく彼女の独壇場だ。キリトだってこんな真似はとてもできるものじゃない。彼女の火力の高さは本当に凄まじい。

 

「ふぅ~..........どう?ここのMob堅くて大変でしょ?」

 

「あぁ..........結構気を使いながらやらないといけないから面倒..........だなッ!」

 

ドヤ顔でこちらを見てくる彼女に負けじと対応していた蜘蛛に対して垂直二連撃技《バーチカル・アーク》を発動させ、初撃で攻撃を仕掛けてきた前足を斬り落とし、二撃目で下から胴を分断するように剣の起動をうまく調整し倒しきる。

 

倒せたところでミトの方に向き直り、ミトと同じくちょっと自慢げにしながら口を開く

 

「ふぅ~..........まぁ、俺だってこれくらいは、な?」

 

「相変わらず器用な事ね」

 

ミトは相変わらずの腕を見て内心感嘆する。レイルの剣捌きの正確さは尋常じゃない。アスナだって凄まじいが、レイルはソードスキルを意のままにコントロールできている時点は大きな差だ。アスナとて正確に弱点を突くが、レイルはただ正確なのではなく、応用の幅が極めて広いのだ。スキルを発動後保持してカウンター気味に決めたり、スキルの動作を回避や援護など多岐にわたる方法で活用していく腕には感服する。

 

お互いちょっとした意地の張り合いにおかしくなり笑みを浮かべる。

 

「ふふふ...........こんなことになったのに少し楽しいわね?」

 

「あぁ、そうだな」

 

βテストではついぞ組むことはなかったがこうして当初の想定と違う状況でもやはり彼女との冒険は楽しい。あの時ももう少し早くに声をかけていればと悔やまれる。

 

「さて、先に行くとしますか」

 

「そうね。さっさと最奥まで行きましょ」

 

 

 

*******************

 

 

「アレが目的の相手だな?」

 

「うん。耐久値も高いし攻撃力もそれなりにあるから注意して」

 

岩陰から洞窟の最奥に構えるこの洞窟の主の様子を窺う。ここに来るまで蜘蛛型の敵が多く出てきたため予想通り、最奥の敵も蜘蛛型だが.............

 

(足は鎌みたいになってるな..........アレに攻撃されるのは避けるべきだ)

 

蜘蛛の形を取っているが、八本の脚の先はすべて鎌の様に刃になっており、下手に直撃でも喰らえばと思うとぞっとするものがある。そして、HPゲージも二本ある為ミトの言葉通り耐久も厄介そうだ。

 

「攻撃パターンはここまでの蜘蛛型Mobと変わらないわ。けど、脚の鎌による攻撃は要注意よ。アレを喰らうと滅茶苦茶ダメージはいるから絶対回避ね」

 

「了解した..........なら作戦としては俺が陽動でミトが攻撃だな」

 

「そうね。手順は一層のボス戦と同じで行きましょ」

 

俺達が洞窟の最奥、そこに構えるネームドと相対すると向こうも俺達の姿を認識して戦闘が開始される

 

(ディケイプティ・ポイズンスパイダー.........ね。まんま鎌が本体みたいなものか)

 

切り離す毒蜘蛛........直訳するとそんな意味合いを持つ相手にレイルは近づいていきタゲを取ると、ご自慢の前足を振り上げてこちらに攻撃をしてくる

 

「っっっ!!!」

 

(思ったよりも早い!)

 

攻撃が想像よりもやや早く、少々ヒヤッとしたが左に最小限の動きでステップを踏んで回避し、そのまま駆け抜ける様に二本目三本目の脚の節に斬撃を入れて敵の後方へと即離脱。

 

此処までの相手とは異なりあまりダメージが入っていない様子で何でもないような風だ。

 

(ソロだったらヤな相手だな........倒せない.......ってことはないだろうけど面倒だ)

 

ダメージを与えた俺に蜘蛛のタゲはあり、離脱した俺を追おうと後ろに回った俺の方に向き直ろうとする蜘蛛。だが.............

 

「やあぁぁぁ!!!!」

 

ミトが振り上げ鎌を蜘蛛の頭部を襲うと、大きくHPが減少したのがわかる。流石に両手武器の攻撃なだけに俺の攻撃以上に有効打になりそうだ。

 

ミトの攻撃ダメージが大きく直ぐにヘイトはミトに移り、ミトに襲い掛かろうとするところで..........

 

「ッ............でりゃッ!!!」

 

巨体の下をスライディングで滑りながら、多少は防御力が落ちるであろう、おなかの部分を切り裂いて正面に戻ると、先程よりかはダメージが入る。

 

ダメージで行動を阻害すると忌々し気に蜘蛛は俺達を睨みつけると...........

 

「クギィィィ!!!」

 

口から毒液を弾丸に空いたように吐き出し、攻撃を仕掛けてくる。やはり主なだけに攻撃速度は早い。まだ躱せるレベルではあるが.........

 

「なぁ!ミト!この毒の種類って何?」

 

「確か麻痺毒よ!レベルは1だけど絶対回避!」

 

よりによって麻痺か...........スリップダメージの方がましだ。一応ミトが行く前に解毒ポーションを買っておくよう言われたから予想はしてたが毒と言うのは厄介極まりない。

 

今のところ攻撃パターンは近づいたら足の鎌による攻撃、大ダメージを受けたら毒の攻撃.......恐らく、まだ粘糸もあるし行動を阻害される毒と粘糸は威力の高い攻撃があるといううのだから余計厄介だ。

 

とは言え、毒の散弾は早いが射線は読みきれた............

 

「...........」

 

現実ならともかく、この世界なら正直その気になれば弾丸クラスでもなければ回避はさほど問題ない。一直線に走ってステップをうまく踏みながら近接していく。

 

だが、近づくと回避だけに専念は厳しい。とは言え毒は剣で防げないこともないが耐久値が大きく下がる。だから............

 

「っ!」

 

ホルスターから短剣を取り出し、投擲で迎撃する。肉薄すれば毒ではなく足の鎌で攻撃するのはわかっている。とは、言え既に...........

 

「クギャ!?」

 

短剣は弧を描いて、敵の死角から攻撃しようと振り上げた足の付け根に突き刺さる。練習すればブーメランの要領で曲げることは造作もない。先の毒の迎撃の際、一本だけ敵の攻撃を先読みしてブーメランの要領で投げておいたのだ。

 

「セリャアァッ!!」

 

攻撃を阻害したことでワンテンポ遅れた足の鎌を節を《バーチカル・アーク》で斬り落とし、斬り上げを全力で振り切り、敵の姿勢を跳ね上げ隙を作る。

 

「スイッチ!!」

 

「はあああぁぁぁ!!!」

 

ミトが俺が攻撃を決めると同時に鋭く踏み込み、鎌を振り上げ3連撃技を叩き込んでHPバーを見ると一本目は既に無くなり、2本目も今のミトの強力なソードスキルで残り8割まで削っている。

 

確かに硬くてパワーもあり、いろいろと厄介だがこれなら───

 

(なんだ?この予備動作?)

 

基本的に此処まで見た予備動作は道中のMobと同じものだ。だからこそ体に力をため込むようなモーションは見たことがない。瘴気のようなものを纏い始めいかにも不穏な雰囲気を醸し出している。だが、どこかで似たような動作を...........

 

(まさか!?)

 

「ミト後ろに全力で飛べ!!」

 

「ッ!!」

 

その瞬間、禍々しい瘴気が勢いよく広がる。恐らくは毒ガスの範囲攻撃。ダメージこそこの手の攻撃は低いが、毒の種類からして喰らえば麻痺するだろう。

 

先の階層でも毒ガスの範囲攻撃をする奴はいたが、まさかここで出会うことになるとは...........

 

アレ?ミトは.......って!?

 

「っく..........(ベータの時にはこんな攻撃なかったのに.........)」

 

ミトは俺よりAGIが低いのは分かり切っていた。だから咄嗟の回避に間に合わず、麻痺毒を喰らいその場に倒れ込んでいた。

 

倒れ込んだミトに目掛けてもう既に足の鎌を振り上げており..........

 

(間に合えッ!!)

 

とてもじゃないがミトを抱えて攻撃を回避するには時間がなさすぎる。だから───

 

「レイル!?」

 

「間に合った............良かった」

 

左手でミトを振り下ろされる鎌から押し飛ばして突き放し直撃を防ぐ。もてるAGI値を限界まで使い一気に間合いを詰めたので、自身が直撃してしまうのを剣を地面に突き刺しブレーキをかけ俺も一応無事に助けられたが...............

 

「少し我慢しててくれよ?」

 

剣を手放し、ミトを右腕で、脇に抱えて離脱する。

 

正直、抱え方はあれだが仕方ない.........何故なら...........

 

「レイル..........左腕が...............」

 

助けられたのはいいが、左腕を肘から先を斬り落とされてしまった。そのせいで剣を手放さなくてはミトを安全圏に離脱させることができなかった。HPも部位欠損のせいで無視はできない程度には持ってかれた。

 

「ゲームなんだからそんな顔すんなって.........にしてもアレ変更された攻撃パターンか?」

 

「うん...........あんな攻撃ベータの時はなかった」

 

ミトを洞窟の壁によりかかせるように下し、腰のポーチから解毒ポーションを取り出してミトにのませる。

 

(残りHPは8割............ガスは範囲が広いけど広がるのはさほど速くはない。これなら剣をどうにか取り戻せば何とかなるか?)

 

撤退をするほうがいいのだろうがここまで削っておいて下がるのは惜しいものがある。

 

「しばらくは俺が支えるから回復したら二人で倒すぞ」

 

「レイルもHPが...........」

 

部位欠損とそれに伴うスリップダメージで今は丁度5割という所か。ポーションを呑んだから少しずつ回復はしているので回避に専念して無理をしなければ問題はない。

 

「ポーションも飲んだし無茶しなきゃ問題ないさ」

 

とは言え武器を回収しないと始まらない。投げナイフは質はいいものではないのでこれをメインに戦うのは無理がある。

 

レイルはミトに攻撃が当たらないよう、投剣で意識を自身に持っていくとミトから離れた場所へと誘導し、接近を試みる。

 

そして、それを迎撃するように蜘蛛も毒を散弾の様に放ち応戦してくる。

 

(チィ..........さっきよりも少し毒の散弾の速さが上がってやがる)

 

右手に投剣用の短剣をもって回避しながら近づくレイルは、攻撃が強化されたことに内心毒ずく。回避はまだできるが近づくのが困難だ。剣の回収を早急にしたいがこうなると少々厄介だ。

 

レイルは一旦接近を試みるのをやめ毒の攻撃が収まるまで回避に専念する方向へシフトする。

 

すると今度は、粘糸を放ってくる。粘糸自体はダメージはないのだが、喰らうと動きを阻害されてしまう。最悪はその場に張り付けになってしまうため厄介なものだ。その上、放たれたそれはしばらくその場に残るので、動ける範囲を制限もされると言ったおまけもついてくる。

 

ただ、粘糸の方は毒よりも射出スピードは大したものではない。回避自体は簡単だ。このまま一気に距離を詰めて剣を.............

 

レイルはこの隙にと一気に前に進んで剣の回収に走る。が───

 

「レイル!!」

 

ミトの叫び声。その瞬間、蜘蛛は毒の散弾ではなく毒のブレスとでもいうのかそれを勢いよく一直線で放ってくる。まだ、何かあるとは思っていたがブレスとは............

 

だが、回避は難しくない。射程が長いが範囲はさほど恐れるほどではない。そのままいったん跳躍して回避すると、構わず剣へ向かい走りそして..........

 

(よし、回収できた!)

 

回収できたので一旦後ろへ飛んで回避するとミトも回復がすんだようで駆け寄ってくると隣に並び立つ。

 

「迷惑かけたわね..........にしても毒ブレスまであるなんて........パターン変わり過ぎじゃない」

 

「気にすんなって...........で、どうだ?やれるか?」

 

「そうね...........撤退するのが賢いのでしょうけど、私とレイルなら........ね?」

 

「ふっ......だな。手順は変わらない。サクッとやっちまうぞ」

 

レイルが先行して攻めに出ると毒のブレスを俺に向け、放ってくる。だが、先の発動時に目が光ったのを見逃していなかった。来ると分かれば回避は簡単。

 

レイルはブレスを下から搔い潜るように回避し、接近していく。敵の前足一本斬り落としてるおかげで動きは鈍ってる。もう片方の足を振り上げるのもバランスがうまく取れないのか少し、動きに違和感がある。その隙をついて...........

 

「セラアァッ!!!」

 

低姿勢から《ソニックリープ》で巨体をかいくぐる様に、すれ違いざまに後ろ脚3本を一気に切り落とし、巨体が大きな音を立てて崩れる。

 

「今だミト!!」

 

「任せなさい!ヤアアァァァァ!!!!」

 

大きく勢いをつけ振りかぶった鎌を豪快に振り回して正面から切り倒すというよりも、蜘蛛の装甲とでもいうにふさわしい皮膚をかち割るような強攻撃を乱発すると、レイルが三本も足を斬り落としたことで激減したHPをさらに吹き飛ばし遂に───

 

パリィィィィィン!!

 

ガラスの破砕音と共にもう慣れしたんだモンスターが倒れるエフェクトを見届ける。

 

「ふぅ~...........手古摺ったけど終わりだな」

 

「うん。色々とありがとう。お疲れ様」

 

〝〝パンッ!〟〟

 

勝利を祝すように取り決めていたわけではないが同時に手を掲げハイタッチをする。

 

「「ふふ........あはははは!!」」

 

手応えのある相手を倒した達成感から俺達は朗らかに笑いあうのだった

 

 

 

 

 

****************

 

 

 

その後、目的の物を宝箱から回収したのだがそこでもまた変更があり、ミトが言うには宝箱には一つだけ宝玉があり、それを届けると鎌をを報酬としてもらえるそうだがなぜか2つ入っていた。

 

「クエストの大筋は確か一族の遺産を回収して届ける...........だよな?」

 

「うん。今回のその宝玉にはアインクラッドができる以前、ご先祖様がおまじないをかけてあってそれの力を使って、クエスト発注した男性の不治の病を患っている奥さんを助けて家に伝わる武具を譲り受けるって話なんだけど...........」

 

「ふむ.......アニール・ブレードの時と似た感じか」

 

「うん.........まぁ、届けてみればわかるか」

 

考えてもわからないことは考えても仕方ない...........と言ううわけで主街区に戻り、クエスト発注したNPCの民家に尋ねると..........

 

 

「冒険者様方、本当にありがとうございます!ご先祖様が残したこの宝玉のおかげで妻を救うことができました!」

 

「それはどういたしまして............ただ、この宝玉二つあったんですが..........」

 

「二つ?フムそれはおかしい..........確か言い伝えでは確かに宝玉は二つあったと聞きましたが、一つは既に壊れてしまったはず...........」

 

そもそもなぜあの洞窟にあったのかと言うと、不治の病をいやすほどの力を求めて争いが怒るのを危惧したからだそうだ。それに子孫にしかその宝玉は扱えない為、子孫を守る意味も含めて洞窟に強力な魔物を配置して宝箱に封印したとの事だ。だが、その時点では既に〝一つ〟は使われた後で二つあるのはおかしいとの事だ。

 

「むむ..........いや........この宝玉は伝えとは違う...........どこかで...........」

 

するとその宝玉を手に取って眺めていたNPCは何か思い出すようにしていると..........

 

「はっ!思い出しました!我が一族が代々守ってきた封印された宝物庫にこれを嵌められそうな部分があったはずです!我々も中身はあずかり知らないのですが少し、ついてきてもらえますでしょうか?」

 

そう言われその民家の裏手にある、地下室へ案内される。ミトもこの展開は全く知らなく何がなんやらと言う状態でついていくと...........

 

「ここです........ここのくぼみに恐らく........」

 

如何にもなRPGにありがちな展開に少し楽しみにしていると...........

 

ガコンッ

 

そんな音と共に、宝玉がぴったりと嵌まると封印された宝物事やらの扉の装飾なんかが輝き始め、大きな音共に開かれる。すると..........

 

「おお!これは、ご先祖様が残した宝剣にその奥方の大鎌!こんなところに!!」

 

(奥方鎌なんて使ってたのかよ......いや、まぁ.........ミトも鎌使ってるし変でもない.......のか?)

 

NPCの旦那は感無量と言ったように、ご先祖様が残されたと思われるものに触れる。他にも日記や子孫に残した有難い言葉や資産etc...........いろんなものに色めき立っていると───

 

「お二方にはご先祖様が残したものを開放してくださり誠に感謝しております。そこで相談なのですが、この宝剣と大鎌をお二方に振るってもらえないでしょうか?きっと封印された宝箱に此処を開けるための宝玉があったのもご先祖様がお二方のような仲睦まじい(・・・・・)者らに振るって欲しいと願ったからでしょう」

 

確かにこの場にいる俺達はそれぞれ剣士と鎌使い.........言い方は少々あれな部分があるがあの宝剣...........うん、無骨だがめっちゃ凄そうな代物だ。欲しい........

 

「み、ミト........良いよな?あの剣、絶対欲しいんだけど?」

 

「え?......あ、えっと..........そそ、そうね..........コホン.......では私達が譲り受けさせてもらいます」

 

レイルはまさかこんなところで強そうな装備が手に入るなんて思わず興奮気味にミトを促したが、ミトはどこか様子がおかしい..........普段ならレイルも違和感を持つだろうが今は剣だ。あの剣のプロパティを早く見たくて仕方がない。

 

「そうですか!では、是非手に取ってください!」

 

こうしてそれぞれ装備を手に取るとクエスト達成の通知が出て、このクエストは思わぬ形で終了するのであった。

 

 

 

 

 

「《アルタイル・ブレード》............すごっ、強化試行回数15回!?しかも滅茶苦茶スペック高いんですけど!?」

 

他にも《麻痺(パライズ)》耐性などこの階層ならかなり有効なおまけもある。そんな感じで興奮した様子でレイルはプロパティ参照している。この剣なら恐らく五階層......或いは六階層相当だろうか?

 

「《ベガ・サイズ》.........こっちも強化試行回数15回だし、ベータの時もらえたのとは雲泥の差なんだけど...........でも何でこんな...........」

 

両方が手に入れた武器は尋常ではないスペックだが、どうしてこんな代物が手に入ったのかは皆目見当がつかなかった。ミトは別段β時とは異なる方法でクエストをクリアしたわけじゃ...........

 

(もしかして片手剣士とクエストをクリアしたから?βの時はソロでクリアしたし...........そう言えばボスもあの時よりもパターン変更で分かりにくかったけどずっと手強かった様な..........)

 

因みにだが、ミトの考察は半分正解で半分間違っている。

 

この結末になるのは片手剣士と鎌使いの二人で蜘蛛を倒すことの他にその剣士が〝男性プレイヤー〟で、鎌使いは〝女性プレイヤー〟でないといけない。

 

そしてそれに加えて───

 

「にしてもこの剣の特殊効果面白いよな?《ベガ・サイズ》を装備したプレイヤーとパーティーを組んでいるとSTRとAGI両数値に補正が入るなんてなぁ~」

 

「確かに面白いし珍しいわよね..........でも、私達にピッタリね。現状はパーティ解散する予定はないもの」

 

「だな!いやぁ~ミトの主武装更新が俺までこんな強武器に更新できるとはな~」

 

「そうね.......これは苦労した甲斐があったわね」

 

「ホントあの敵強かったからな~いい気分だし、どこか美味しい店で飯でも食べていこうぜ!」

 

「ふふ........そうね。レイルの奢りで、ね?」

 

「え!?俺の驕りなの!?..........まぁ、女の子に払わせるのもカッコ悪いしいいけどさ」

 

「言質取ったわよ?あそこ行きましょ!」

 

「ん?おい、あそこβの時から旨いけど高いってことで有名なとこじゃん!?奢るとは言ってけどマジで!?」

 

「ほら、グズグズしないで行くよ♪」

 

俺の手をがっちりつかんで高いSTRに物を言わせず俺を引っ張て行くミトはご機嫌な様子だが........

 

(俺の財布が........トホホ......)

 

きっとこの店を出る頃は.........そう思うと怖くもあるが、これだけいい思いをした後なのだ。楽しまないのは損である。

 

「全く..................分かったよお嬢様」

 

 

 

 

 

 

今回のクエストが今回の形に分岐した理由は二つ.............

 

1つは、剣士の男プレイヤーと鎌使いの女性プレイヤー二人のパーティーによるMob撃破

 

そしてもう1つが一番の理由だ。もう1つは『二人の男女間の〝信頼値〟』

 

嘗て夫婦となった剣士と鎌使いの武具は確かな関係性がなくては出会えないものなのだ。

 

その事に2人が気が付くのはもうしばらく先........かもしれない

 

 

 




二階層編です。強化詐欺の件も書き進めていたんですが..........なんといいますかこれじゃない感があり没にして、省略しようと思います。その代わりにミトの主武装更新におまけのレイルの主武装更新回にいたしました。いうなれば今の二人の武器はアスナが後に手にする《シバルリック・レイピア》相当の物です。二階層時点でやや強過ぎな印象ですが........まぁ、レアアイテムと言うことで

それでは今回もここまで読んでくださりありがとうございます!沢山のコメント、お気に入り登録、評価をしてくださりありがとうございます!


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