フォスが大広間に着いたのは、薄明の頃。
水平線がうっすら薄紫に美しく輝きだした時であった。
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アズライトはその前髪をオールバックにし、ヘテロクロミアの瞳で水平線を睨み付け仁王立ちしていた
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後々フォスは彼の時の美しくも恐ろしい背中を初めて目にし、今後も視ないであろうと語った
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『
「へっ?え?えぇ?」
『現状の把握・分析も遅い。やれやれ…』
『楽しくなりそうだな…っ!』
そういうのが早いか、
「うわわわわっ!?」
フォスは慌てて流し受けようとするが鍔迫り合いになった次の瞬間、持っていた木刀を弾き飛ばされた上に、勢いのまま尻餅をついてしまった
『その合金の腕は飾りか?大体、構えも、振りも、太刀筋もなってない。それでは何も守れない。』
「っ!」
『話は後だ。立て。すぐに武器を回収しろ』
「わ、分かってるよ!」
フォスはキョロキョロと見回し、大分遠くに飛ばされた木刀見つけを回収して戻ってくる
『因みに、今のでお前も回りの者も粉だ』
「い、いきなりだったからだろっ!」
『フォス…』
「な、なんだよぉ」
『月人はいつでも突然襲来する…!』
今度は構えも出来ずフォスの木刀は弾き飛ばされた
『…フン。フォス、お前、前に
フォスはきょとんとした顔で
『回収!』
フォスはハッとした表情をして慌てて木刀を回収して戻ってくる
『まぁ、過ぎた事はどうしようもない。』
『とりあえず…まずは構えから徹底的に教えてやろうか。日が水平線から顔を出す迄に構えは完璧にしてみせろ』
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あぁ。何度、日が沈み、夜が明けただろうか。
毎日の冬の日常業務に合金の腕の訓練、剣の修行。
こんなに長く丁寧に根気強く、諦めずに何度も、この脆くて弱い僕を見捨てず研鑽してくれたのは
けれど、日々寒くなり雪が多くなり、それでもアンタークは目覚めない。フォスには悲しくもある日々であった。
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その日は何日かぶりの晴天。
やや東よりの雪原にフォスとアズライトは居た。
「フォス、今日は晴れだから、月人が必ず来るわ。せっかくなので、月人の撃退を今回フォスだけに任せてみようと思います。」
アズライトは学校の方をチラリと見る
「…いざとなったら私も加勢するし、ここなら、先生も万が一の時に気付ける範囲だから安心してね。」
「えぇっ!?ぼ、僕だけで!?てゆーか、せっかくって何!?」
「ふふふ。大丈夫。それだけの実力をあなたはもう付けているの。後は実戦あるのみだわ。」
「うぅ。分かった。やってみるよ…」
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二人のほぼ真上に黒点が浮かんだ。
アズライトはその手の仕込み杖を雪に突き立て腕組みをしその黒点を睨み付けた。
フォスは自分の使いやすいようにした両刃の鋸を油断なく構える。
ーーーーー月人との衝突まであと幾許か