ーーーフォスとアズライトの上に黒点が現れる少し前、アンタークは目覚めた。
「ーーーうっ。一体何が…?」
浴槽から体を起こし、アンタークは傍らの机の上に畳まれた白いいつもの制服を身につけた。
ぼんやりと窓の外を見ると二人が少し離れた雪原にいるのを見つけた。
「あれはっ!アズライトと…フォス…か?」
雪原の上をうっすら覆っていた雲の切れ間から日が射す。
「!大変だっ…!」
アンタークは外へ向かおうと部屋を出た瞬間、先生に抱き止められた。
「!?せ、先生…!?あ、あのっ!二人が今、交戦しています!救援に行かないとっ!」
「アンターク、落ち着きなさい。私も行こう」
先生はアンタークをお姫様抱っこしたまま外へ向かう
「(先生のお手を煩わせるわけには…で、でも今、抱き締められてる…キャッ///)」
ーーーーーーーーーーー
アンタークは先生に抱き締められている事に悶えていたが、外に出て、フォスの戦闘を見た瞬間、まだ夢を見ているのかと自分の目を疑った。
ーーーーーーーーーーー
フォスは、その合金の腕を完全に自分の物にしていた。
いや、むしろ前の腕よりしっくりきているような動かし方であった。
その合金の腕を自由自在に動かし、月人の弓矢を弾き、踵の合金をぐんっと伸ばして空へ跳躍し、月人をまるごと全て合金で包み込んだ。
そのまま合金の重みで圧縮する。
今回の月人は旧型で小さい物であったが、それでも大きなそれをまるごと包み込む程の柔軟性と、月人を斬らずに霧散させる戦闘方法をアンタークは初めて見た。
「今回は旧型だったわね。新型の場合は、中央の像を切って、慎重に中身を確認してから対処すると良いわ…」
ややぼんやりとアズライトはそう伝える。
「フオスフォフィライト…良く精進したな」
先生はアンタークと一緒にフォス達に近付く。
「!先生!」
フォスは先生に撫でられてニコニコとし何処か誇らしげにしている。
「…アズライト…」
アンタークは、複雑な表情を浮かべアズライトに声をかけた。
「…ん。ふぁ。アンターク…後の…仕上げは…よろしく。ね。」
アズライトは大きなあくびをしてから、そのまま雪原に倒れ込む。
「あ、アズライト!」
フォスが慌ててアズライトの顔を覗き込むが、アズライトは呑気にも深い眠りに入ってしまった様子であった。
「えっ?ね、寝てる…?」
「はぁ。全く…」
アンタークはアズライトを背負うと学校へ歩きだした。
「えっ?アンターク、ま、待ってよ!大丈夫なの?」
「何がだ?私なら、大丈夫だ。大分寒くなったおかげで破片はしっかりくっついたし、強度も上がった。」
アンタークはアズライトを図書室まで運び隅の方に敷かれたシーツの山に横たえる。
「え?こんな所になんでシーツの山?」
「お前知らないのか、マジで図書室利用しないんだな。
ここは、こいつのベッドだからだよ。
他の皆は寝相悪くて、こいつよく粉にされるから、避難してるんだ。」
ーーーーーそれに、ほとんどの皆から嫌われてるからな