「エヴァ2号機、起動しています!」
「何ですって!?」
「凍結解除用の起動パスワードはユーロ管轄の筈じゃなかったの!?」
「アスカは!?」
「確認します————待機室に不在!」
「……乗ってるのかしら」
「双方向通信はカットされており搭乗員の情報は不明!」
「————アスカじゃないわねコレ。勘だけど。日向君、2号機の現在位置は?」
「何者かによってケイジの出撃システムが起動されています! この経路は……ジオフロント内に射出予定!」
「了解。このタイミングでの謎の起動、看過は出来ないわ。エヴァ零号機を起動して追跡させて!」
「了解!」
さまざまな情報が錯綜する混乱の中で、まずは最も至近距離で発生した2号機の不審な挙動から対処するべく、そう指示を出したミサトは、続いて既に上陸を果たし、第3新東京市目掛けて凄まじい速さで侵攻している第十使徒に対応するべく指示を出す。
「市民の避難は!」
「ジオフロントのシェルターにほぼ収容が完了! 残る未収容の市民もジオフロント内を走行中の避難用電車内です! 地上の人員はゼロ!」
「了解! N2弾頭搭載ミサイルおよびN2爆弾、全弾使徒に向け発射および投下して!」
「了解! ミサイル発射!」
「無人機による空爆開始します!」
通常の戦争ならば『相手を国土諸共何もかも消し飛ばすつもりなのか』と言われそうなその指示。
だが、対使徒戦において必要な火力に際限はないのだと作戦課長葛城ミサト一佐は強く確信しており、そしてそれは事実だ。
「————目標、健在! しかし足止めには成功しました! 侵攻停止!」
「目標に高エネルギー反応!」
「あの距離から此処をブチ抜くつもり!? 射線上の防御壁、ありったけ展開して!」
そのミサトの指示の直後。放たれた怪光線が地を裂くように薙ぎ払われ、進路上の全ての構造物を消しとばして、ジオフロントの天井を蒸発させた。
「何ちゅう威力よ!?」
「24層の装甲を一撃で!?」
その異常なまでの火力に慄く間も無く、侵攻を再開した第十使徒は自らが吹き飛ばしたジオフロントの天蓋から地下へと降りるべく、その大穴を覗き込み、フヨフヨと漂う様に降下を開始する。
束ねられていた身体を無数の帯状に解いて降りてくる異形の使徒。それに対して迎撃を開始したのはジオフロントへと出撃済みの2号機だった。
* * * * * *
「第5次防衛線を早くも突破……速攻で片付けないと本部がパーじゃん。ね、パイセン?」
そう2号機内でつぶやくのは、真希波・マリ・イラストリアス。
WILLEの一員としてこの場に立つ彼女と2号機の周囲にはNERV内に潜むWILLEの面々の支援を受けて2号機の各種兵装が用意されており、彼女はその中から、二丁のサブマシンガンを選択して照準する。
目標は、天井の大穴から降りてきた使徒の顔面。
そしてそれに同調する様に、彼女の傍らに零号機が、あまりにも物騒な武器を担いで現れる。
「わぁ〜お。……パイセン、頭おかしくなったの? それN2ミサイルじゃん」
自滅覚悟の特攻という余りにも覚悟が極まりすぎているその武装に流石に苦笑いするマリだが、使徒はそんな彼女を待ってはくれない。
いよいよ姿をジオフロントに現したソレにありったけの弾薬をブッ放す2号機だが、使徒は何とATフィールドを幾重にも展開して押し出すことでその弾丸を食いとどめている。
「ATフィールドが強すぎる! こっからじゃ埒が開かないじゃん!」
そうぼやくマリだが、その時、不思議なことが起こった。
そんな中で突如として使徒がそのATフィールドを慌てた様に自らの下方に集中させ、何かを押し潰そうとするかの様に、叩き付けたのだ。
「何事!?」
思わずそう叫ぶマリの声に応えたのは、使徒の下方から噴き上がる強烈なATフィールドの奔流と、聞き覚えのある少女の声で放たれた、ジオフロント全土に轟く裂帛の気合を込めた咆哮だった。
「エヴァンッッ————ゲリオォォォォンッッッッ!!!!」
現れたのはぐんぐんと、天に拳を突き上げる様な姿勢で膨れ上がる光の巨人。
マリの乗る2号機の如く赤と金と銀で派手に塗られたその機体はしかし、有り得ない識別コードを有している。
その異常事態をいち早く報告したのは、NERVのオペレーター達だ。
「ジオフロント内にエヴァ3号機が出現しましたッッ!?!!?」
「何ですって!?!!?」
「エヴァ3号機!? 死んだはずじゃ————!?」
そんなオペレーター達の困惑の中で、使徒へと挑みかかる3号機は多層展開されたATフィールドを一撃で殴り飛ばし、そのまま使徒すら殴りつけて、この日初めてとなる有効打を使徒へと叩き込んだ。
そのあまりの威力に踏鞴を踏む使徒に、容赦無く掴みかかる3号機。
そして3号機は使徒の顔面を鷲掴みにして諸共飛び上がると、 強烈な錐揉み回転を掛けて地面へと投げ落とす
挙句に、その反動を利用して更なる高さを得た3号機はくるりと宙返りをして体勢を整えると、地に臥せる使徒へと向けて、容赦の無い
大地諸共蹴り砕きかねないほどのその威力にメキメキと凄まじい音を立てて砕ける使徒の顔面は、もはや原形が無いほどに崩壊し、どうにか反撃に放った怪光線は、クルクルとバク転で回避した3号機を大きく外して天井の大穴の向こうへと消えていく。
「コネメガネ! レイ! 流れ弾が本部に当たんないように見といてよね! あと、レイ、その物騒なモン寄越しなさい! 何処で拾ったのよN2なんか!」
「アスカ!? ————わかった」
「了解だよん、姫!」
外部スピーカーで交わされるそんなやり取り。零号機が投げ渡したミサイルをキャッチした3号機は、そのN2弾頭を槍の様に構えて、使徒へと向けて突撃する。
それに対し、当然使徒が迎撃しない訳もない。無数の触手が狙い過たずエヴァ3号機を貫き、破壊光線がそれを追う様に放たれる。
しかし。
————その全てを『無視』してエヴァ3号機は使徒に向けて只ひたすらに加速し続ける!
「————攻撃が全部エヴァの身体を突き抜けている!?」
そんなリツコの困惑の声が発令所に響く中で、使徒の顔面の傷口へと派手に捩じ込まれたN2が起爆し、3号機と使徒は諸共に、業火の中へと包まれたのであった。
不定期更新宣言は既にしているので今更ですが、いよいよ師走の繁忙期と合わせて体調が死んできたのでちょっと休養します。
次回は少々お待ちください。