トレセン学園って普通の学校じゃなかったんですか!?   作:普通のモブ娘

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メジロドーベルなんていなかったんや……(石の枯渇)






問題児の敗北

◆◆◆

 

 

「で、なにか申し開きはあるか?」

 

「え、えーと……」

 

「自主練をサボり、レースはまださせないと言っていたにも関わらずレースの約束を勝手にして、尚且つそれに負けたことに対する言い訳はあるかと聞いているんだが?」

 

「私もしたかったわけじゃないんだよぉ……しかもトレーナーも許可したってルドルフが……」

 

「はぁ……あんなのほぼ事後承諾みたいなもんだろうが。まぁもういい。相手を聞いた時点で君が負けることは正直分かっていたからな」

 

「わかってたんだ……じゃあもう正座は……」

 

「それは許さん」

 

 どうも。絶賛正座で怒られてるトワイライトアサヒです。なんで正座してるのかと言うとそれはもう皆さんお察しですね。

 

 半ば強制的に模擬レースをする事になったあの日から数日後、逃げることも出来ずに結局レース出ることになったんだけど……

 

 

 

 

 

「わーい!勝った勝った!やっぱりワガハイは無敵のテイオー様なのだー!」

 

「くっ!殺せっ!」

 

 負 け ま し た !

 

 普通に負けたわ!あれー?なんだかんだで勝てる流れじゃなかった?

 

「最初はビックリしちゃったけど途中からダメダメだったじゃん!やっぱりトレーニングが足りてないんじゃないのー?」

 

「ぬぐぐ!中坊のくせに生意気な!」

 

 くぅ~!完全にバ鹿にされてますよこれは!

 

 いや、でもテイオーの言う通り最初はかなり良さげだったんだけどねぇ。どんな感じで走ってるんだろって前のテイオー見てたら変な感じになっちゃった。

 

「アサヒ、テイオー」

 

「あ!カイチョー!ねぇねぇ!見てた見てた!?ボク勝ったよー!!」

 

「あぁ、素晴らしい走りだった」

 

 嬉しそうにしよってぇ……!ふ、普通に悔しい……強いんだろうなとは思ってたけどさ!い、いや、私の物語はまだ始まったばっかりというか、まだスタート地点なんですけどね!ね!

 

「アサヒ」

 

「うぅールドルフー……まさか後輩にコテンパンにされるなんて思ってなかったよー……なんとなく嫌な予感してたけど」

 

「よしよし。それで、なんでテイオーに勝てなかったかわかるか?」

 

 え、普通に実力で負けたんじゃないの?でもこう聞いてきたってことは理由があって負けたってことだよね?

 

 …………わからん!

 

「『テイオー』に引っ張られ過ぎだ」

 

「会長。それは一体?」

 

 あ、エアグルーヴも来た。っていうかゴルシにゴルシのチームメイトとかも野次ウマしてるじゃん!他にもちょこちょこ見知った顔がいる……意外と注目されてたんだ。

 

「テイオー、最初走っていた時どうだった」

 

「どうって言われても……あっ、なんかね、アサヒじゃないみたいだった!スゴい気迫があって、これはボクも本気出さなきゃな!って思ったんだよ」

 

 本気とか出さなくてもいいのに……むしろ油断してくれよぉー!

 

「でも途中からなんでか段々走りが悪くなってさ。怪我でもしたのかなーってちょっと心配しちゃうくらいには変わっちゃってたよ」

 

 えぇー!?そんなに変わってたかな!?変な感じはしたけど怪我を心配されるレベルでだったんだ!?

 

 うーむ……これは確かに実力の話ではないのかも……

 

「つまりはそういうことさ。後はアサヒのトレーナーに任せよう」

 

「えー?カイチョー、もったいぶらないで教えてよー!」

 

「私から言うのもお節介だからな。テイオー達も今度のアサヒのデビュー戦を見たら理解するさ」

 

 私のトレーナーはちゃんとわかってるんだね。もしかしてトレーナーがレースはしないって言ってたのはそれと関係あるのかな?

 

 ……もしかしてテイオーとレースってマズかった?い、いや、ほんとにダメならちゃんと止めるでしょ!大丈夫!怒られない!

 

「あ、そういえばアサヒってまだデビューもしてないんだっけ……カイチョーの同級生なのに」

 

「そういうテイオーだってまだトレーナーもいないでしょ」

 

「いや、アサヒのはもうボクとは別次元じゃん……」

 

 

 

 

 

 思い出したら泣きたくなってきた……うぅ、これからテイオーに煽られ続ける生活を歩まないといけないのか……!

 

「とりあえず結論から言うが、君は器用なようで器用ではないということだ」

 

「どゆこと?」

 

 ……どゆこと?

 

「君がまともに走ったのはシンボリルドルフとのレースだけだろう?あそこで君は自然とシンボリルドルフの走りを身につけた。今回も最初はその走りをしていたんだ。だからトウカイテイオーも本気になった」

 

 まぁ確かにルドルフの走りをしていたのだとすれば、そりゃもう速いだろうな。あんまし自覚ないんだけどね。

 

「でも途中でダメになっちゃったよ?」

 

「そこがキモなんだ。レース中トウカイテイオーが走る姿、君は走りながら観察してただろ」

 

「だって気になるじゃん。どんな感じなんだろーって」

 

「そのせいだ」

 

 テイオー見てたのがダメ…ってコト!?

 

 でもレース中に相手を観察して状況判断することも大切だーってリギルのトレーナーが言ってたのになぁ。別に私に言ってた訳じゃなくて、そう指導してるのを聞いただけだけど。

 

「君は相手を見てその走りを模倣することが出来るほどに器用……だが、『同時』に模倣出来るほど器用ではないんだ。最初にルドルフの走りをしていたのに、テイオーの走りを観察したせいで無意識にその真似をしてしまった……だからテンポが噛み合わず速度が急激に落ちた」

 

「えぇー?普通2つ取り入れたら合体して最強じゃん」

 

「それが出来なかったから負けたんだろ?ビデオを見たが見事にお互いの良いところを打ち消し合った走りをしていた」

 

 まぁそう都合良くはいかないのか……でもルドルフの走りなんて自覚してやってる訳じゃないのに、意識して続けるなんて尚更無理だと思うんだけど。

 

 ……ていうか、1つのことしか出来ないってなんかバ鹿っぽいじゃないですかやだー!

 

「しかも本番のレースなんて更にウマ娘が多いんだ。2人3人と見てたら頭がパンクして走りどころではなくなるだろう」

 

「じゃあ勝てないじゃん!」

 

「ま、対策というか、克服するための課題は用意してある。デビュー戦までに課題をクリアすればひとまずは大丈夫だろう」

 

 お、てことはメニューも変わって筋トレ地獄から開放されるということかな!?明らかに筋トレでどうにかできる話じゃないでしょコレ。

 

「ん?あぁ安心したまえ。筋トレしながら出来る課題だからな。」

 

 ……え。

 

「むしろ本当は意図は隠し、今のメニューと並行して徐々に新しいメニューを増やすつもりだったんだ。しかし、こうやって問題が露呈してしまっては隠す必要もないから説明したというわけ」

 

 上げて落とすとはこういうことを言うのか!やだやだ!筋トレやだ!……ぐえ!

 

「やはり逃げる前にさっさと捕まえるに限るな」

 

 くっそぉ!先手を取られると絶対捕まる!やっぱりこのトレーナーおかしい!身体能力がおかしい!

 

「よし!1に筋トレ2に筋トレ、3,4も筋トレ、5は筋トレだ!」

 

「やだぁぁぁぁぁあああ!!!マッチョにされるぅぅぅ!!」

 

 




時系列は、アニメ的にはスペはスピカ加入からデビューの間くらいのつもり。
設定の軸としては、多少アプリも混ぜるけど基本的にアニメ寄りなので仮にアサヒがちゃんとトゥインクルシリーズを走るとしたらクラシック三冠レースは出走できない……のかな?
確かジュニアクラスのC組だけみたいな設定あったよね
アプリ版だと関係なさそうだけど……

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