どうしてこうなった。   作:Layvn

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蒼紅の迎合 その6

ブリュ・サフィール。その名前を聞いた両者の反応は、しかし異なっていた。

 

マイスターこと台場カノンはその名前を刻み込むように反芻し、自身を守ると言っているこの青年のことをもっと知りたくなった。

 

(けど、ホントに誰なんだろうこの人・・・?)

 

改めて青年をまじまじと見つめる。茶味がかった黒髪に、一般的なようでその実がっしりとした体つき。

 

黒いファーつきのジャケットをカジュアルに着こなしているその様は、女性視点から見ても好印象だった。

 

顔つきはどことなく鋭利な印象を受けるが、蒼に煌くその瞳が優しさを称えているように見える。要はありきたりに言うと

 

(ちょっとカッコイイ、なー・・・)

 

10人に聞いて8人はそう答えるだろう、そんな印象。

 

更に危険な砲撃から身を挺して守ってくれたのだ。所謂つり橋効果も相まって初対面だというのにカノンの中ではとても好印象に捉えられている。

 

まこと知らぬが仏といえよう。

 

そしてもう片方、砲撃主のほうは―

 

(・・・?)

 

困惑していた。何か違和感がある、とは思いながらそれが確たる証拠も無くただ気になるというだけの漠然としたもの。

 

けれどもとても大切なことを見落としているような感覚に苛まれるのだった。

 

 

「その、サフィール、さん?」

 

おずおずといった形でカノンは問いかける。しかしながら、呼びかけられた本人は何かを考えているらしく、俯いたままで返答は無かった。

 

「えーと・・・あの、サフィールさん?」

 

なんだか涙目になりながら尋ねているカノンがちょっと不憫になってきたので助け舟を出してやることにした砲撃主は、

 

「ちょっと聞いてんのアンタ?」

 

とりあえず近づいて背中を叩くことにした。割と遠慮なしに。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー主人公サイドー

 

前回のあらすじ、名前が、言えない。

 

いやホント、どうしてこうなった。さすがに予想外、でもないのか。体も無いわけだし、喋るのも制限があるわけだからあってもおかしくは無いわけだ、うん。

 

なんというかあれだ、凄まじいまでの喪失感が体、というか思考?を駆け巡ってる。

ここまで徹底的にアイデンティティを奪われたのはなんというか初めての経験といってもいい。

ちなみに特別な存在でもなければおじいさんからもらったわけでもないのであしからず。

 

んぅー、他のどれは盗られてもかまわ・・・いや構うけど、ただ名前を無くすのだけはちょっと容認できない。

 

 

あれはもう失くしてしまった大事な繋がり、その最後のものなのだから。

 

 

「ちょっと聞いてんのアンタ?」

 

 

て、あだっ!すげぇ背中痛いっ!

 

がばりと顔を上げると涙目のちゃんさまとおこ状態のちゃんさまに見つめられてた。

 

なんぞ?

 

あぁ、しまった。シリアスになってて会話が出来てなかったのか。

 

「すまないマイスター。少々考え事をしていた」

 

うむぅ、涙目のちゃんさまも可愛いけど罪悪感ぱねぇな。 い、いえいいんですっ なんて手をパタパタしながら言うちゃんさまが可愛すぎるっ。

 

殺伐としたシリアス思考から癒されムード全開な目の前の光景にささくれ立った思考が元に戻る。

 

ちょっといいっすかその辺ゴロゴロ転げまわりたいんで。えっ、ダメ?てかやっぱ言えないなー。

 

「その、サフィールさん。あなたは、えーと、その・・・なんて言えばいいのかな?」

 

困って隣のちゃんさまに聞いてるけど何言いたいのかわからんでしょうさすがに。

 

ふぅっなどとため息をつきながらキャノンもちのちゃんさまがこちらをキッという感じで見てくる。一寸待って砲撃はやめてっ!(トラウマ)

 

「アンタの名前はわかったけど、明確に何なのかアタシたちにちゃんと教えなさいよ」

 

といってもワタシは予想付いてるけどね、なんて言って〆た。え、何オレのこと何なのかわかってんのちゃんさま?

 

けどもう一方のちゃんさまはオレとキャノンもちのちゃんさまを交互に見返してる。どうでもいいけどいちいち動きが小動物っぽくてキャワワっ!

 

「あぁ、すまない。端的に言えばオレは神機だ。マイスターを守るのが使命であり、役割だ」

 

うーん、どうしても会話が芝居がかるなー。あ、そうだ大事なこと伝えとかないと。

 

・・・まさかこれも言えないなんてことになるんじゃあるめぇな?

 

「けれど先に謝っておく。まだオレはマイスターに本当の名称を明かせていない。いや、伝えることが出来ないと言った方がより正確だ」

 

相変わらずイケメン翻訳だけど名前が違うってのはちゃんと伝えれた・・・はず。

 

 

「何故オレに意識が生まれたかはわからないが、これからよろしく頼む」

 

そう二人に告げ、頭を下げる。まぁ礼儀と節度は大事だよねー。

 

とまぁほんわかと自己紹介も終わったところで。

 

オレはちゃんさまの神機として活動しながら自分の名前や体を取りもど・・・せるのかなぁ?

ひとまずこのままはよろしくない。なんてったってオレのアイデンティティが崩壊してるようなもんだし。

 

幸いなことにここならサカキくんもいることだし、なんつったって激戦区の極東だ。

 

特異点にアラガミ人間と面白アトラクション目白押しなのである。

 

というか何か起きるはずなのだとオレの第六感というなのメタ的な何かが囁いているのだ。

 

てなわけで今後の方針も決まったし、おされとは言いがたいが自己紹介も出来たしいいにほひだったしでとても有意義だったな!

 

今後はちゃんさまを守りながら名前を取り返すことを最優先に動いていくようにしよう。

 

あ、いやオレだけだと動けないんだった・・・うごごっ。

 

とりあえず今はいい笑顔で はいっ なんて言ってくれてるちゃんさまに癒されよう(思考停止)




更新が遅くなり申し訳ありません。ちょっと仕事がベリーハードでした。

はい、というわけで主人公の地雷がわかりました。
友人に見てもらったところ「歪ンデンナ!」などと某アニキ風に意見をいただきました。そこらへんうまく書けたかどうか不安ではあります。

ということで主人公の方針が決まり、それに向けて物語が動き出すことになります。
でもまだ全然動きませんがね・・・。

ではでは次回もよろしくお願いします。

2015/11/19追記
エタると思っておりましたが私は元気です。
とりあえずまたひっそりと始めようと思います。
えぇ、GERのちゃんさまがとても御奇麗でしたので。
相変わらずの不定期&鈍足更新なんですがよろしくお願いいたします。
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