この聖なる刃に祝福を   作:仮面大佐

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第12章
69話 来訪せし、土の剣士の娘


まるで大切な任務を与えられたかの様な、決意に満ちた顔でアクアが言った。

 

アクア「広めなきゃ……。ギルドの皆に広めなきゃ……!」

ダクネス「ま、待て、待つんだアクア、私の話を聞いてくれ!」

 

 まさかのダクネスに娘がいた。

 

ユーリ「まあ、貴族は若くして子供を産むのは義務みたいなものだ。」

めぐみん「でも、本当にお母さんにそっくりですよね……!」

カリン「そうね!おめでとう!」

ダクネス「ユーリ、めぐみん、カリン違う、これには理由が……!」

 

 つい先日、塩漬けクエストを全てこなし、ズオスを撃破した俺達。

 こめっこの期待にも応えて、平穏な日常が戻ってきたはずだった……。

 

カズマ「お前また新しい属性をつけやがって。」

ダクネス「ちちちち、違!!」

カイト「自分にそっくりな女の子がそこにいるじゃないか。」

リナ「往生際が悪いわよ。」

零士「そう言えば、君の性癖を考えたら、子作りをしてもおかしくないよね。」

ダクネス「ぶっ殺すぞ貴様ら!」

 

 俺はそんなダクネスを無視して、困惑している女の子の前に屈み込んで、安心させる様に笑いかけた。

 

零士「お嬢ちゃん、お名前は?」

ダクネス「あっ!ま、待ちなさいシルフィーナ、今私が説明するから……!」

 

 ダクネスが慌てて止めようとする中、少女は、もじもじと指を捏ね回し、恥ずかしそうに呟いた。

 

シルフィーナ「ダスティネス・フォード・シルフィーナ。」

カズマ「お前の娘以外の何者でもないだろ。」

ダクネス「違う、この子は私の従姉妹だ!従姉妹なのだから、家名が同じなのは当たり前だろ!」

 

 そう言ってダクネスは、泣いた顔で俺達に訴えた。

 そうしてダクネスは俺達に説明をしだした。

 シルフィーナは、幼い頃に母親を亡くして、何かと世話を焼いていたダクネスの事を母親の様に慕っている。

 ちなみにダクネスの母親はこの子の実の姉で、母方の家系は強い魔力や魔法抵抗力を持つが体が弱く、シルフィーナも例に漏れず病弱らしい。

 ダクネスは、母方の強い魔法抵抗力に父方の頑強な体という両親の良い所だけを受け継いだ、ダスティネス家のハイブリッドらしい。

 

零士「ハイブリッド……?」

ダクネス「う、うるさいぞ零士、何か文句でもあるのか。余計な口を挟まず最後まで聞け!」

 

 最近何かと魔王軍が活発化している中、体の弱いこの子を何度も疎開させるのも負担がかかる。

 その結果、ダクネスの誘いでこの街に来て、ダクネスの親父さんからこの屋敷を聞いて、遊びに来たそうだ。

 

カズマ「……なるほど、なかなか良く出来た設定じゃないか。」

めぐみん「確かに今の所は無理のない設定ですよね。」

ダクネス「設定じゃない!そもそもこの子の年を考えろ、私がいくつの時の子供になるのだ!」

 

 その後、シルフィーナが屋敷に泊まる事が決まったり、アクアを追ってダクネスが飛び出して、カズマとめぐみんがシルフィーナと一緒におままごとで遊び、俺達はそれを和やかに見ていた。

 

零士「良いよな。子供の無邪気っぷりは。」

リナ「そうよね。……私も子供、欲しいな……。」

カイト「確かにな。」

カリン「可愛いわね……。ってリナ!?あんたとんでもない事を言ったの自覚してる!?」

 

 その日の夜。

 あの後遅くにアクアを連れて帰ってきたダクネスがシルフィーナに訪ねた。

 

ダクネス「シルフィーナ。今日はカズマとめぐみんの2人に遊んで貰ったと聞いたがどうだった?一体何をして遊んでいたんだ?」

シルフィーナ「はい、お2人にはおままごとで遊んでいただきました。」

 

 シルフィーナはカエル肉のステーキに四苦八苦しながらも笑顔で答えた。

 その光景を見ると、母子というよりは姉妹みたいな感じだな。

 だが、気になる事がある。

 

カズマ「で、お前は一体何やってんの?」

 

 と、カズマが正座したまま反省させられているアクアに尋ねた。

 それを受けて、アクアが騒ぎ立てる。

 

アクア「聞いてよ皆!ダクネスってば、ちょっと冒険者ギルドや色んな所で話を広めたくらいで大変な怒り様だったのよ?ダクネスに捕まった後折檻される端からヒールで癒して平気な顔してたらお家の権力を使って私にお酒を売らない様に圧力をかけるって脅されたの。私は見たままを話しただけなのに、酷くないですか?」

ダクネス「冒険者ギルドに入った瞬間おめでとうを言われた身にもなってくれ!酔っ払い冒険者には冷やかされるわ、ギルドの受付嬢には何故か妬まれるわで散々だったのだぞ!それに、父親は誰かと聞かれるし……!」

 

 シルフィーナが申し訳なさそうに俯いた。

 

シルフィーナ「私のせいでごめんなさい、ママ……。久しぶりに会えたから、嬉しくて、つい……。」

ダクネス「あ、違うんだシルフィーナ!私は子供は好きだし、お前の事は迷惑だなどと思ってはいない!父親が誰だと勝手な予想をされ、揶揄われただけで……。」

アクア「本命予想がカズマさんで、2番が零士さんで、3番がどこかに居なくなっちゃった熊みたいな領主のおじさん。」

カズマ「俺が自分で言うのもなんだけど、お前ロクでもない男との噂しか立てられないな。」

ダクネス「うるさいぞ、本当にお前が言うな!」

零士「なんで俺も入ってるの?」

 

 その後、皆でシルフィーナを囲んで今までの冒険話をしたりした。

 俺は、カリンに聖剣を預けて、部屋でのんびりしていたら、ドアがノックされた。

 ドアが少し開き、リナがそこにいた。

 

リナ「零士、起きてる?部屋に入っていいかしら?」

零士「構わないけど……。どうしたんだ?」

リナ「実は……。話があってさ……。」

零士「ジュンに対してか?」

リナ「いや、ジュンじゃなくて、零士に。」

零士「え……?」

 

 そう言って、リナが入ってきて、ベッドに座ってきた。

 俺は動揺したが、既に何回も一緒に寝ている事もあり、すぐに復帰した。

 

零士「……それで、話って何だ?」

リナ「実はね……。あの時の返事をしてほしいなって。」

 

 特大の爆弾をぶつけてきた。

 流石に、これにはフリーズした。

 

零士「……あの時の、返事?」

リナ「そうよ。あの砦の時の告白のよ。」

 

 あれか!

 そういえば、あの時に告白されて、ディープキスされたんだったな。

 

リナ「それで……、どうなのよ?」

零士「どうなのって……。」

 

 改めて、リナの事を考えていると、リナが口を開いた。

 

リナ「ならさ、まずは、仲間以上恋人未満から行ってみない?」

零士「……それって、めぐみんが言ってた奴だよな?」

リナ「うん。私としては、すぐに恋人になりたいけど、零士の決心がついたらでも構わないんだけど。」

零士「はぁ……。」

 

 そうは言われても、彼女いない歴=年齢の俺には、好きになるだとか、恋焦がれるとか、そんな気持ちがいまいち……。

 …………。

 あれっ。

 軽く将来の事を想像してみたが、リナといきなり結婚、そして子作りは重いなと思うが、リナと付き合うのは、ちっとも構わない。

 むしろ凄く嬉しく感じる。

 

零士「あの……、女の子と付き合った事が無いから、正直どうすればいいか分からない。でも、まずはそんな関係から始めてもいいですか……?いずれ返事はする。」

リナ「……わ、分かった……。とりあえず、今はそれで……。返事を待ってるわよ……。」

 

 リナも照れながらそう言った。

 ヤバイ、初々しいバカップルみたいだ。

 えっ、俺、彼女持ちになるの!?

 そうして、リナと今は仲間以上恋人未満の関係になった。

 




今回はここまでです。
次回、アクセルの冒険者が苦しみます。

賢者の孫とリバイスの小説で、原作キャラは変身させるべきか。

  • 変身させる。
  • 変身させない。
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