目が覚めたら勇者に憑依していた 作:yuuyyuyuyuyuyu
今更ポケモンレジェンドアルセウス買いました。
いやぁまさかあんなことになるなんて、趣深いというか罪作りというか。
とまぁそんなことは置いておいて、
今回もゆっくりみていってね!
彼女は親友と違って、弱い人間だと思っていた。
戦い方は素人同然、魔物を殺すことにすら抵抗を感じている様子で、
賊を殺した時の顔なんて見れたもんじゃなかった。
それでも彼女は生き物を殺すことも、人を殺すことにも耐えて、
私達の知らないところでひたすらに努力を続けていた。
あの時顔を背けていたのは私の方だった。
そんな自分の過ちに気付いたのは、彼女との旅を始めてから一か月も後の事だった。
最初の違和感は、そう彼女の顔だったろうか、目の下に濃い隈が出来ていた。顔色も悪く、頬はこけて酷い有様だったように思う。代わりに彼女の剣の腕はみるみるうちに倒れる前の頃と同じくらいにまで戻っていた。
身体が覚えていたといえば、そうなのだろう。ただ、全く戦いというものを知らなかった彼女がその感を身体になじませるのに一体どれだけの努力をしたというのだろうか。
それこそ、眠る間も惜しんでひたすらに剣を振っていなければ土台無理な話だったものを、彼女はそれを完遂したからこそ、一か月という短い期間の中であれだけ戦うことが出来るようになったのだろう。最も彼女が全くと言っていいほど睡眠をとらずひたすらに剣を振るっていたことに気付いたのは、それから二か月も後、魔王と対決する前夜のことで、それも本当に偶然が重なった結果知ることが出来たのだが。
二か月、そう二か月だ。それだけの時間があって、私は彼女に何も出来なかった。息つく暇も無い程の旅程は私に彼女と話す機会を失わせた。
いや
あの二か月間の間、私はどこかほっとしていた。
それは、彼女との問題を先送りに出来るそんな甘い言い訳を探していたからかもしれない。無理を押せば話す時間なんていくらでも作れたはずだ。それをしなかったということは、つまりはそういうことだったのだ。いつだって私は彼女から逃げ続けていた。彼女の優しさに甘えて、目の前の問題から目を背けていたんだ。そしてそれは今もなお続いている。
魔王を倒した翌日、彼女がいなくなった。
最初に異変に気付いたのはルミア、朝食を並べている時に彼女のいつも使っているお椀が無いことに気付いた。昨日は随分と疲れていたし、夕食後すぐに眠ってしまったのだろうと私は思った。
私たち自身昨日は食べた後、泥のように眠りについたのだから。私たち以上に消耗していたであろう彼女がそうなっていてもおかしくない。
それなのにルミアが有り得ないといった様子で顔を青くさせているのが印象的だった。
それからすぐに彼女を呼びに出ていたユリーカが今にも泣きそうな顔で戻ってくる、
その手には彼女が使っていたであろうお椀があり、走りながらやってくるために中身が零れ、
地面を汚していく。
ユリーカに彼女が昨夜眠りについたはずの場所へと連れられ、私たちはまだ彼女が周辺にいないか探すことにした。
お椀に入ったままの食べ物、人のいた形跡の残っていない地面によく伸びた草木、野生動物たちが通っているであろう幅の狭い獣道と、それよりも少し幅の広い草木をかき分けた後。
ここに彼女はいない、そう物語るにはあまりに状況が揃い過ぎていた。
過ちに気付くのが遅すぎたんだ。いつだってそうだ。失ってから初めて気付く。
それでも、もうあの時には戻れない。私は彼女を探すと言ってきかないユリーカとユリーカだけでも彼女を探させてあげてほしいと頭を下げるルミアの言葉に私は耳を貸さず、魔王討伐の報告のため一度王都へ戻ることを強行した。
私は再び逃げることを選択した、どうしようもない臆病者だ。
途中まで煮え切らない態度でついてきていたユリーカだったが、王都まで間もなくといったところで、突然血相を変えて彼女を探しに行くと今度は止める間もなく行ってしまった。
それから数日後、王都に到着し魔王討伐達成を祝した式典に出た後、
ルミアも何かを決心したように彼女に会いに出てしまった。
未だ彼女と会うことに踏ん切りがつかず、
かといって王都で何をするでもなく迷い子のように茫然と日が過ぎるのを待つばかり。
ユリーカは何故あんなにも焦っていたのか・・・
私は取り返しのつかないところまで
「逃げてきてしまったのではないだろうか」
そう独り言ちた私に言葉を返すものはいなかった