目が覚めたら勇者に憑依していた 作:yuuyyuyuyuyuyu
お気に入り200超えてたよ!!
ありがてぇ
UAも5000を超えました!!
まさかの事態に作者もびっくり。
感想まで頂けてニッコリしながら。
続きが思いつかないことに焦りを感じる今日この頃
今回もゆっくりみていってね!
私は、私は・・・赦し難い罪を、犯してしまった
魔王を倒した翌朝、目が覚めた私は能天気にも昨日までのあの重苦しかった雰囲気が、
幾分かましになった気がしていた。
ここ二か月ほど、私たち4人の雰囲気は、控えめに言って酷いものだったと思う。
それも当然と言えば、当然のことで、もとよりその空気を作り出したのは私達3人で、
それをよしとしていたのも私達だったのだから。
ソフィアが変わってから最初の一か月、私達3人は当初、ソフィアの雰囲気が全くの別人へと変わったことに、動揺を隠すことが出来なかった。
ソフィアの態度のあまりの変貌っぷりに、
ただ茫然と、私はロゼ様と目の前のナニカの話を右から左へと流すほかありませんでした。
あの時の話では、確か・・・
そう、肉体の修繕は間に合ったものの、すでに精神と肉体が乖離していたソフィアは助からず、その時たまたま精神のみとなっていた彼女の魂が、魂だけが抜けたソフィアの身体に入ったとロゼ様はおっしゃっていたと記憶しています。
もちろんあの時の私は、そんな話を聞いている余裕なんて、無いに等しい状態でしたが。
それからの私達といえば、酷いものでした。
姉の死を受け入れられないユリーカが彼女を責めるように糾弾し、
隣にいたカレンもまた、同じように言葉にはしないものの、
その目は彼女を殺さんとばかりに鋭い物となっていました。
そしてただ茫然とその様子を見ていた私もきっと、二人と同じような顔をしていたのでしょう。
だからその時、目に映ったよく知る彼女の顔が、今まで見たことも無いほどひどく歪んでいることになんて、これっぽっちも気付いていませんでした。
それから私達三人は、極力彼女との関りを持たない様にしていました。
いえ、私達がなんておこがましい話だったかもしれません。
彼女が私達と距離を取ってくれていたのです。
あのまま私達が彼女と一緒にいれば、何をしでかすかわかりませんでしたから。彼女が、私達を気遣って、そんなこと、本当ならしていられるような状態じゃなかったでしょうに。
でもそんなことにも気付くことすら出来ないほど、あの時の私達は、明らかに正気じゃありませんでした。今にしてみれば、彼女を貶めていたことに対する言い訳にしかすぎませんが。
ただそれでも、それだけソフィアの死は深く、重く私達に乗っかかっていたのです。
そうやって、ソフィアの死から目を逸らし、
目の前の彼女に全ての責任を押し付け一か月が過ぎました。
このままではいけない
ようやく、ソフィアの事に折り合いがつき、私には彼女に気をまわすだけの、彼女に気を回せるだけの余裕が出来ました。
そして、彼女の状況を客観的に考えることが出来るようになってしまった私は、
絶望した
私がこうしてソフィアの死から立ち直れた理由には、無二の友人である、カレン、ユリーカの存在があったことが大きいでしょう。あの状況で、ソフィアの死を受け入れるまでの期間を支え合える友がいたから、壊れることは無かった。そして、胸に渦巻く黒い感情を一方的にぶつけるだけの相手が、彼女がいたから私は立ち直ることが出来ました。
では、彼女は?
気付けば、見知らぬ土地に一人、頼れる相手なんてもちろんおらず、知りもしない人間に成り代わってしまったとしたら。
もしその立場が私だったら?
考えるまでもなく身体が震える。
そして、唯一頼れるはずの人間から悪感情を向けられ、敵視されたら。
戦ったことも無いのに突然命の奪い合いをさせられあまつさえその相手が他種族や魔物でなく、
同じ人間だったら。
あの時は気にも留めていなかった彼女の顔が脳裏に浮かぶ。
今にも泣きだしそうなあの顔が、ソフィアの時は常に凛々しく冷静で、表情を崩すことが無かったあの顔が、恐怖に引きつっていたなんて。
耐えられない、耐えられるわけがない。
もしその私がその立場にいたなら、壊れてしまう。
なら彼女は、彼女は平気だった?
少なくとも、私が同じ立場なら彼女のように私達に気を遣っている余裕なんてなかったでしょう。他人のために身を犠牲にしている余裕なんて、
そんな状態でも私達のことを気遣うだけの精神力を持っていた彼女なら大丈夫だったのか
今も最前線で、顔色一つ変えず剣を振るう彼女は、どうしようもなく壊れていた。
もっと早く気付かなければなりませんでした。
自分の状態も顧みず、私達の事に彼女は気を配っていたのに、
自分たちの事ばかり気にして、彼女の状態に気を配っている暇が無かったなんて、
言い訳にもなりませんね。
一度出来た溝は、私達が気付けぬうちに、さらに時間をかけて深く、広がっていた。
私達はその溝を深める手伝いをしただけ。
他の二人より少しだけ早くそのことに気付いた私は、
それを、すぐさま行動に移すことが出来なかった。
当時、二人はまだ彼女に悪感情を抱いており、ここで私が彼女の側に立つことで、残る二人と彼女の関係がさらに悪化してしまうことを恐れたから。
この時なりふり構わず彼女に手を差し伸べることが出来ていたら、
私が彼女の逃げ道を作って上げられれば、
この後起こる悲劇を、防ぐことが出来たのかもしれません。
その後、ユリーカさんと彼女が雪山で遭難する事件が起き、私達が洞穴で寒さを凌いでいた二人を見つけた時には、少なくともユリーカさんが今まで持っていた悪感情が、無くなったといっていいほどまでになっていました。
それからは、ユリーカさんが彼女に話しかけるタイミングを探していたのですが、彼女は基本的に戦いなど、やむを得ない場合を除いて、私達の視界に入らないよう、私たちの邪魔にならないよう常に気を配っていましたから。
加えて私達の戦いもそれから苛烈を極め、日々満身創痍で、戦いの後は疲れによって泥のように眠ってしまったため、彼女と話す機会を作ることが出来ませんでした。
そうして、私達が眠っている間も、彼女が苦しみ続けていることには気付かずに。
そのまま魔王討伐がなされた昨日まで、起きている時間は街で受けた依頼をこなし、魔物討伐をし続け、それが終了次第、野営をするか、街戻ってはすぐに眠る生活を続けていました。
戦っている間の彼女は、まるで何かにとりつかれたかのように剣を振るい続けていて、とてもじゃないけどそんな彼女に話しかけることは出来ませんでした。
魔王討伐から一夜明けて、
私はようやく落ち着いて彼女と話すことが出来ると、少し浮かれていたのです。
私は昨晩の野営の残りをお椀によそっていました。
異変に気付いたのはその時でした。
いつもなら必ず置いてあるはずの、彼女のお椀が無いのです。
今までこんなことは無かった、どんな時でも彼女は私達から離れた場所でご飯を食べ、
私達が眠った後に洗ったお椀を返しに来ていたのですから。
それまでの彼女の行動からは想定していなかった事に、
ルミアの背に冷たいものが流れ、一抹の不安が募っていく。
まさか・・・、そんな。
何度もかぶりを振ってその考えを否定する。私は再び彼女のお椀がどこかに無いか、何度も何度も周囲を見渡し、見つからないお椀に焦りを覚える。
その時だった
ソフィアを呼びに行ったユリーカが、何かを持ってこちらに走ってくるのが見えた。
目は潤み、今にも泣きそうになりながら、何度もも転びそうになりながら、走ってこちらに来るユリーカが両手に抱えるようにして持っているそれに、私は見覚えがあった。
しかし、すぐさま私の頭がそれを否定する。
そんなはずがない、
あれは別の何かだ。
だって、おかしいじゃないか
いつも空になって置かれているはずなのに、
なのに、なんで・・・
なんでユリーカが持っているソレには、
昨日私が彼女に渡した時と同じように、
中身が入ったままになっているの・・・