バーンドヒーローZ   作:春夏の渇き

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四次元怪獣ブルトン、アンドロイド兵バリスレイダー、培養合成獣スカルゴモラ、培養合成獣サンダーキラー、培養合成獣ペダニウムゼットン、放浪宇宙人ペガ(エイリアンペガッサ)登場


第七話 ヴェリガのライズソウル

 

「ったく、手間取らせやがって……」

 

ブルトンの異次元空間に閉じ込められていたレイヤノは、彼が幾千の戦いの中でオリジン・トライ・マインドを覚醒させて身に付けた超パワーの一つ、輝破の力を使う。輝破は時間を巻き戻すことのできる超弩級のラストジャッジ、トゥウィンクルタイムドライバーを発動。ブルトンから脱出することに成功した。続いてレイヤノは自身の固有武器であるイージスボウとワイドアローを装備。放ったワイドアローは空間を歪め、ワームホームを作り出した。

 

「ゼスティの野郎、ヘマしてなきゃ良いが」

 

レイヤノはデスモバースへと空間転移した。

 

 

 

ギルバリスがやられ、地球に平和は戻った。しかし、思うように活躍できなかった己の実力不足から遥輝とゼスティは意気消沈していた。それを見兼ねた陸とジャスティニーはそれぞれの元に向かい、激励を送る。

 

「遥輝さん……でしたっけ? 大丈夫です。運命は、変えられますよ」

 

遥輝の元に向かった陸は自身の過去を語る。両親は産まれてすぐに亡くなってしまったこと。孤児で孤独だったこと。高校卒業後に出会った仲間達に支えられたこと。人は一人では生きていけないこと。しかしみんなと共に前を進んでいけばどんな困難でも乗り越えられること。そして、共に前を向いて進んでいくことができること。

 

「リッくん先輩のその、仲間ってどんな人達だったんですか」

 

「いつも僕の影に隠れてる恥ずがしがり屋だけど、優しくて機械弄りが得意な相棒。しっかり者で口うるさいけど、刀剣を振るうなら誰にも負けない親友。機械的で少しお茶目な一面もあるけど、とても賢い召使いさん。よくドジって僕を甘やかしてばかりだけど、頼れるお姉さん。無口で何考えてるかわからないけど、強くて真面目な先輩。気弱で平凡なサラリーマンだけど、守るべきものの為なら誰よりも必死なお店のお得意さま。みんな大切な仲間で、そして家族だ」

 

「そっか……なんか、良いですね。仲間」

 

「遥輝さんにもいるんじゃないですか。自分を支えてくれる仲間」

 

「そうですね。でも、あくまで職場仲間っていうか」

 

「今はそうかもしれません。でも、きっと見つかりますよ。遥輝さん、あなたは一人じゃない。だからまずは動きましょう。ジッーとしてでも、ドーにもならないですからね!」

 

「……押忍!」

 

ゼスティの元に向かったジャスティニーは自身の過去を語る。

 

「私の父親はヴェリガ。そして私は模造品のバラディアン。ヒーローでも、正義でもない。とても過酷な運命だったよ。しかし、私は諦めなかった。私を救い出したとあるヒーローが優しく囁いた言葉が、この胸に深く刻まれていたからだ。『この大地にしっかりと足をつけて立て。そしてどんな困難な状態にあっても、絶対に再びまた立ち上がれ。』と。だから私はこうして運命を変えることができた」

 

「なるほど……でもどうしてジャスティニー先輩はそんなに強いんですか」

 

「覚悟を決めたからだ。ゼスティ、君はもっと強くなれる。燃やした勇気と衝撃を見せつけろ。そして宇宙中の希望を守り続け、先人達の願いを繋いで行くんだ」

 

「ウルトラ有難いお言葉だ。励みになります、ジャスティニー先輩!!」

 

激励を受けて立ち直った遥輝とゼスティ。合流した四人だったが、そこに突然現れたバリスレイダーに襲われ、陸は捕まってしまう。ジャスティニーはバーンドヒーローとなった際に陸と融合している。そのため、普段は依り代や他の存在とコミュニケーションを取るには、投影状態となる必要があるのだ。故に、バラディアンである彼女は神社がない場所であっても、ある程度の距離ならば先程のように離れる事もできたわけなのだ。がしかし、いずれも限度がある。彼女も陸に引っ張られる形で同時に連れ去られてしまった。

 

「ぐっ……誰だ、お前は!」

 

「――キエテ、カレカレータ」

 

陸を拘束した者の正体は鏑木慎也であった。投影状態が強まったジャスティニーを鏑木が視認することは難しい。しかし、陸の体はもう普通の人間ではない。彼ももう超人である。鏑木は陸の血液からヴェリガの因子を採取。更にそれを特殊な技術で加工して抜き取り、新たなライズソウルを生成する。

 

「そこまでだ! リッくん先輩を解放しろ!!」

 

陸とジャスティニーの救出に向かった遥輝。鏑木は顔を見られる前に手を打っておいたバリスレイダーを従えて足止めさせる。遥輝は装備していた20式レーザー小銃を片手にバリスレイダーを撃退していく。陸を助け出すことには成功するものの、鏑木は既に姿を消してしまっていた。

 

「ヴェリガ、髑髏怪獣、古代怪獣、宇宙怪獣、異次元超人、宇宙恐竜、宇宙ロボット……」

 

鏑木が作り出した怪獣や異星人の力を宿したメダルのようなアイテム・モンスソウルを鏑木はバラディアンから強奪したライズライザーZに次々と装填する。それぞれの組み合わせにヴェリガのライズソウルを混ぜ合わせることで、強力なヴェリガ融合獣へと合身(フュージョンライズ)させていく。

 

『ギャグオオオ!!!』

 

『ギィビィィーー!!!!』

 

『ピロロログワシ…‥』

 

スカルゴモラ、サンダーキラー、ペダニウムゼットンが誕生してしまった。怪獣達は進撃を開始し、遥輝の前に立ち塞がる。

 

「ここは俺が!」

 

ゼスティも駆け付けるが、圧倒的な戦力差の前に、歯が立たない。

 

「私達も行こう、陸」

 

「うん! ユーゴー、」

 

陸はジャスティニーに拳を突き出す。

 

「アイゴー、」

 

ジャスティニーも拳を合わせてグータッチする。二人は叫ぶ。

 

『ヒァウィーゴー! インティグレート……!!』

 

陸とジャスティニーは融合し、バーンドヒーロー・陸ジャスティニーとなる。

 

「あれが……」

 

「バーンド、ヒーロー」

 

陸ジャスティニーの登場に、ゼスティと遥輝は息を呑む。陸ジャスティニーが戦闘に加わったことにより、ようやく三大怪獣に立ち向かえるようにはなった。しかし、それでも相手はヴェリガの因子を持つ怪獣だ。ヴェリガ融合獣軍団の進撃に、二人は徐々に窮地に立たたされるいていく。

 

『このままじゃ……』

 

「負ける――!!」

 

そこにもう一人のバーンドヒーローが現れる。

 

『おいおい、ゼスティ! 俺の弟子を名乗るなら、もうちょい根性見せやがれ!!』

 

新たに現れたバーンドヒーローがヴェリガ融合獣達を薙ぎ払う。

 

「レイヤノ師匠!?」

 

実はレイヤノは、第四次デスモストラグルの開戦間近に出逢った彼女当人の選ばれし者である伊賀望 蘭(いがもち らん)と同化しており、バーンドヒーロー・蘭レイヤノとなって融合していた。ゼスティを指導するべく、一時的に蘭と分離してオリトバースに渡っていたわけだったのだ。

 

『久しぶりだね。蘭さん』

 

蘭と陸は顔馴染みであった。それもそのはず、彼は陸にとっての大切な仲間であり、家族である一人なのだ。

 

『陸くん! 君も覚醒したんだね』

 

『はい。共に戦いましょう!』

 

蘭の意識はレイヤノのものに切り替わる。

 

『よし。ジャスティニー、ゼスティ、見せてやろうぜ。俺たちの快進撃を!!』

 

こうして二人のバーンドヒーローとゼスティ、そして遥輝がヴェリガ融合獣たちに勝負を挑む。ゼスティはベータスマッシュに、蘭レイヤノはパワーと火力に優れた形態、燃力の姿になる。

 

『ギャグオオオ!!!』

 

スカルゴモラは足踏みとともに強力な振動波を伴う高熱の火炎弾・ショッキングヘルボールで二人を爆撃。しかしそれをもろともせずに爆発の中から飛び出したゼスティのベータラリアットが決まる。スカルゴモラも負け時と角から破壊振動・スカル超振動波で反撃しようとする。

 

『ガーネットバスター!!』

 

蘭レイヤノの強力な熱エネルギーパンチが先に炸裂。スカルゴモラが木っ端微塵に押し潰されて、そのまま爆散する。

 

『ギィビィィーー!!!!』

 

サンダーキラーは陸ジャスティニーに尻尾を巻き付けて放電するサンダーテールを浴びせる。

 

『僕たちは負けない!』

 

全身の装飾に施された金色のラインから電磁破滅光線・ストリームデトネーションを解き放って尻尾の機能を麻痺、そして跡形もなく破壊する。

 

『ギィビィ………ビギィーー!!!!』

 

サンダーキラーは口から光刃・ライトニングキラーカッターを連射する。陸ジャスティニーはレッキングクローで全て防ぐ。

 

『ギガスラスト!!』

 

一気にサンダーキラーを貫き、絶命させる。

 

『ピロロログワシ…‥』

 

残された最後の一体、ペダニウムゼットンは瞬間移動しながら胸部から破壊光線・ペダニウムメテオでバーンドヒーロー達を砲撃する。

 

『ゼットアイスアロー!!』

 

アルファエッジになったゼスティがエンシェスピアローから巨大な氷の矢を発射。ペダニウムゼットンは身動きを封じ込められ、凍結する。

 

『今です、師匠!!』

 

『おう!』

 

蘭レイヤノはスピードや治癒、超能力に優れた形態である慈魔の姿に変化する。

 

『――レボリュームスマッシュ』

 

ペダニウムゼットンに手をかざし、強力な衝撃波を放って天高く吹き飛ばす。そしてゼスティがラストジャッジ・ゼスティウムメーザーを発射。ペダニウムゼットの機能は停止された。

 

怪獣達が倒れ、バーンドヒーローが街中に並び立つ。その遠景を見ていた鏑木は、回収したギャラクトロンMK2とギルバリスのモンスソウルを手に握りしめていた。彼は不気味にほくそ笑んだ。

 

こうして戦いが終わった。しかしジャスティニーは任務でこれからすぐに別の戦いに向かわなければならない。

 

「ごめん、僕も行きたいところだけど……」

 

「リク〜!! 探したよ、どこにいってたの?」

 

異星人であり、陸の相棒であるペガが陸の元にやってくる。

 

「今の僕には家族がいます。僕はまだ戦いには出向けません」

 

「分かった。陸、君の覚悟が出来たその時まで、私は暫くオリトバースに戻ろうと思う」

 

「うん。準備が出来たら必ず呼ぶよ」

 

こうして陸とジャスティニーは分裂した。

 

「なら、コイツを使いな」

 

蘭レイヤノはジャスティニーに特殊なパワードスーツを渡す。

 

「これは……?」

 

「ギャラクシーライジングスーツ。コイツを着てれば、デスモバースでも少しな戦えるぜ。最も、本来持つ能力は上手く発揮できないかもしれないがな」

 

「ありがとう、レイヤノ」

 

ギャラクシーライジングスーツを装着したジャスティニーは陸、ゼスティ、蘭レイヤノと別れる。別れ際にゼスティに選ばれし者を探し出し、バーンドヒーローになること、地球での陰謀に立ち向かうことをジャスティニーと約束した。こうして、ジャスティニーは宇宙へと飛び立った。

 

また、蘭レイヤノはまだ未熟なゼスティをほっといて次の任務に行く訳には行かなかったため、もう暫くだけ地球に居残ることに決めた。

 

「ほう。面白い。精々俺の計画の上で踊ってもらうぜ、バラディアンども」

 

休養から帰還した蛇倉隊長は一連の様子を眺めて、怪しく独り言を呟いた。


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