モンスターハンター 古狩人の足跡   作:魚介(改)貧弱卿

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60年後 到節 ソラヲカケル

 「洞窟も捨てたものではないが……ここまで数が揃うと厄介が過ぎる」

 

 ゲリョスやフルフル、ジャギィにイーオスと洞窟に生息するモンスター達は数多く、そして種類も豊富、まともに相手をしていては手間がかかり過ぎる

とはいえ洞窟を丸ごと崩落させるような強烈な攻撃を繰り出せば自分ごと生き埋めになってしまうし狩場が一つ丸ごと潰れてしまう

それでは周辺域で狩りをして生計を立てているような下位ハンターや新人達、それどころか周囲の生態系にすら大きな影響が出てしまうだろう。

 

 さらに言うとすれば、それら湧いてくるモンスターたちは全て狂竜症を発症した暴走状態であると言うこと、狂竜ウイルスは一つでも発生源を残してしまえばそこらじゅうに広がり、感染者を増やし殺して骸から古龍の幼体がヒャッハーする悪質な感染症、当然ながらすぐに死んでしまうような弱個体であろうと一匹残さずに狩り尽くさねばならないのだ。

 

「えぇい……!」

 

 気刃を飛ばし、太刀を払い、飛んでくる毒液を躱して斬り払い大回転切り

さらに撃龍剣術の構え『雪月花』の一つ『鏡花の構え』によるカウンター斬撃を入れて飛びかかってきたジャギィを両断、その遺体を蹴り飛ばしてランゴスタを無力化しつつ跳躍して空中から縦回転斬り、着地直後に前転して何処からか飛んできたブレスを躱しつつブレスを刀身に擦らせるように当てて刃を研ぎ直す絶技を披露

 

「はぁぁぁっ!」

 

 精神を刀に集中させ、龍の血を活性化することで己の力を引き上げる『妖刀羅刹:紫電』

いま編み出したオリジナルの狩技で全身にスパークする紫のオーラを纏い、それを刀身に載せての気刃斬り、さらに仲間の死体をくぐり抜けてやってきたドスジャギイをティガレックスから奪った轟竜の腕で叩き伏せて首を掻き切った。

 

「オラァァァッ!!……はぁ……はぁ……」

 

 あまりにも数多い敵に息を切らしながら洞窟の奥を見遣るも、どうもまだ尽滅とは行かない様子、図らずも戦局は長期戦の様相になってしまう。

 

「いかん……!」

 

 このままではティガレックスが追跡不能になってしまう、焦るアカシはついに大技を解禁した。

 


 

 ハンターは全て、下位ハンター・上位ハンターの二極に分類される

さらにその中でも最も重要な任務を遂行するに足ると判断された一部のハンターは『G級』(マスタークラス)として分類され、さらに上位の扱いを受けることになる。

 

そしてその中のさらに上澄みには一部、明らかに人でない力を宿した者がいる

罠を無効化し(とろさーもん)咆哮を上げてモンスターを怯ませ(ゆうた)妨害を受けながらも古龍を撃破する猛者(ときあめ&ライ&ルシファー)や未来を知っているかのように

モンスターの移動地点を先読み(上級者プレイ)し、罠や設置攻撃を行うハンター(主人公)

彼のフランシスコ・シエロは生きた火竜を解体しながら戦闘し(シエロツール)、そのまま食したという。

 

 それだけの話ではないが、それら人を外れた人の中には、古龍と絆を結んだ『龍の友』が存在する

絆を結んだ龍はその力の一部を人、あるいは他のモンスターに代理執行させることができ、いつの時代も彼らは人と共に過ごして来た

それだけではない、赤衣の男や白いドレスの少女のように龍そのものやそれと共鳴した龍血保持者は自らやそれにまつわるモンスターの討伐依頼をギルドに流しているなど、人と古龍の関係性というものは、余人が考えているよりも遥かに近く、深いものなのだ。

 

知られざる、しかし数いる龍の友、その中の一人である麒麟の雷を宿した老爺が天を駆ける

予感を打ち払う為に、友を救う為に……。

 


 

「グゥゥウウッ……!」

 

 一方ティガレックスの方はウイルスをばら撒いての足止め工作を終えると洞窟を別ルートから抜けて山を降り、ドンドルマの街へと向かっていた。

 

「ァア!」

 

 街は近い、肉が近い、命が近い!

ついにまともに消耗を補う術が目の前に現れるという事実に歓喜するティガレックス

山林を超え沼地を超え広野を超えて長々と走って来た山岳地帯、そしてその先にはいよいよ街があるというところ、ティガレックスが喜ぶのも道理である

しかし、それを許さない者がいた。

 

「…………」

 

 視界が急激に悪化し、原始林を思わせる靄に包まれたティガレックス

その視界の悪さに違和感を感じ、立ち止まって周囲を見渡すが、さらに立ち込める霧が全てを覆い隠し、足元すら確認できないホワイトアウトを発生させる。

 

「グゥゥウ……ガァァア!」

 

 咆哮をあげ、周囲を威嚇するティガレックス、こうも悪い視界ではどこから奇襲を受けるか分かったものではない、アレが何処から攻撃してくるか分からないのは危険すぎる!

 

-我は我が友の産声を聞き届けたり-

 

 何処からか、声が聞こえた

遙かに遠く、触れるほどに近く。

 

-我は我が友の願いを汲むなり-

 

 声が聞こえた、波打つそれは老婆のようで、少年のようで、歌う詩人の声に似て。

 

-我は汝に進撃を禁ずるなり-

 

 何処までも自由で、何よりも張り詰めて

そして傲慢に響く声。

 

-ここは神域、無礼が過ぎれば-

 

 しじまの向こうから響く声

 

霞隠しぞ

 

 霞龍、オオナズチが姿を顕した。

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