CHAOS;CHILD 探偵がやってきた!   作:キラトマト

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File.2 情報弱者の探偵は事件を追えない

 ────翌日、団地にて猛と桃寧は共に一夜(変な意味ではない)を過ごした。

 

「ふぁ〜、おはよ〜。──てあれ?」

 

 猛が起きると横で寝ていたはずの桃寧がいなくなっていた。そしてキッチンの方向からなにやら調理する音が聞こえてきた。猛はキッチンまで眠いながらもキッチンに足を運んだ。

 

「おはよ、桃寧さん」

 

「あ、おはよー。────って」

 

 そう、桃寧は既に食卓へと座っていた。では今キッチンにいるのは……? 

 

「おはよう、猛兄」

 

 そこにいたのは来栖乃々であった。世話焼きもここまで来るとおせっかいである。

 

「なんでここにいるんだよ!? 青葉寮はどうした?」

 

「いや、一応様子見とこうかなって思って、それで朝ごはん作るの手伝ってた」

 

(は、はぁ……)

 

「私が作るから、兄さんも席に座ってて」

 

「う、うん。わかったよ……」

 

 猛は桃寧のいる食卓へと向かった。

 

「おはよ、って、二回目か。まぁ……昨日は悪かった。無理に就職させたりなんかして」

 

「べ、別にいいわよ……。その変わり、ちゃんと給料は出してよね」

 

「うん。当たり前じゃん」

 

「はい、兄さん姉さん」

 

 すると来栖が料理を運び食卓に現れた。

 

「あ、乃々、ありがと!」

 

「ほんと乃々って料理作るの上手いよな〜」

 

「こら兄さん。食べながら喋らないの!」

 

 そうやって怒られるのも日常茶飯事の猛。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして更に二年後、後にニュージェネの狂気の再来とも呼ばれる猟奇殺人事件の、序章が始まろうとしていた……。時は2015年9月7日。

 

「今日も暇だな〜。なんか事件とか起きないかな〜」

 

「もう、不謹慎なこと言ってないでくださいよ、所長。ほーら、暇じゃないでしょ」

 

 天馬は机の上に山積みになった資料を指さして言った。

 

「ったく〜、浮気調査やら人探しやら、もっと派手な依頼よこせっての」

 

 それでもキッチリ解決するのは、猛の真面目さ故か。

 

「バカ言ってないでさっさと終わらせますよ〜」

 

 桃寧はというと、勤務時間内であるにも関わらず動画投稿サイトを見ていた。

 

「桃寧さんも働いてくださいよ!? ってか……何見てるんですか?」

 

「ニコニヤ動画だよ。この人がすごくってさ〜、未来予知ができるらしいのよ。それで最近見まくってる」

 

「え、ニコニコ動画じゃないのか?」

 

「だ・か・ら! 仕事に集中してくださいふたりとも!」

 

 珍しく天馬が怒って大声を出した。それに他の従業員が驚く。

 

「ったく、ほら、さっさとやるぞ桃寧」

 

 猛が桃寧の手を引き、立ち上がらせようとしたとき、彼女は驚いた表情で画面に食いつく。もちろんニコニヤ動画を映し出している画面である。

 

「ねぇちょっと! 猛も天馬もこれ見て!」

 

「んだよ────って、なんだよ……これ」

 

 画面には席に座る男の前に、ブツ切りにされたその男のものと思われる腕が皿に乗せられているという異常な光景が映っていた。そして未来予知を自称する男、大谷悠真はそれを食べ始めた。

 

「うわぁ……フェイク動画にしてもやりすぎだろ……」

 

「ち、違うわよ猛……。これ……」

 

「な、なんなんですか副所長……?」

 

「生配信なのよ……これ」

 

「え……」

 

 つまり、無加工ということ。手のくわえようがないのだ。だがしかし、画面に表示されるコメントは『最低ですね。ファン辞めます』『通報しますた』『同接減ってきてるな。当然か』など、心無い言葉で埋め尽くされていた。

 

「チッ……、この投稿者の住所はどこだ!?」

 

「そんなの公開してるわけないじゃない!」

 

(なにかいい案は無いのか……?)

 

「そ、そうだ! @ちゃんの鬼女板にいた人に頼もうよ!」

 

 天馬がアイデアを出す。この探偵事務所はそう言ったネット上を依代としている人を沢山雇っている会社なのだ。

 

「あ! そっか! なら!」

 

 猛は既婚女性板出身の所員に頼む。

 

「頼む! この生主の住所特定してくれ!」

 

 だが……。

 

「ん? それならずっと前にもう特定されてるけど……。どんな理由かは忘れたけど炎上して、それで」

 

「ま、まじか!? そんときのスレ表示させてくれ!」

 

 鬼女板出身の女性、緑川美咲はパソコンを操作し、炎上当時のスレッドを表示させる。

 

「よし! 急ぐぞ!」

 

 猛は全力で外へと駆け出した。

 

「ちょ、猛!? 何してんの!?」

 

 桃寧は困惑の表情で叫ぶ。

 

「何って、こいつの家行くんだよ!!」

 

「はぁ!? だからそういうのは警察の仕事だって言ってるでしょ!?」

 

「でも!」

 

「でももクソもない! 警察に通報して終わり! それでいいでしょ!」

 

 所長じゃないのに所長より所長っぽい態度をしている桃寧。

 

「ったく、しゃーねぇなぁ」

 

 だがそこで諦めないのが風見猛。勤務時間が終わり、所員が次々と帰っていく中、猛と天馬だけは残り、

 

「うっし、そろそろ行くか〜、天馬」

 

「ほ、本当に行くんですか……? 」

 

「ったりめーだろ。ここで調査しないで何が探偵だってんだ」

 

「いやだからそういう事件は警察の本分なんだって……てかいいんですか所長、恋人、家に置いておいて」

 

「そりゃあちょっと心配だけど……、でも桃寧なら俺の事待ってくれてるって信じてるから。それにこれ知られたら絶対連れ戻されるし……」

 

「絶対それが10割でしょ」

 

「ははは……、と、とにかくさっさと行くぞ!」

 

 猛は天馬と共に急いで事件現場となった団地へと向かった。しかし既にそこはニコニヤニュースの記者や警察が来ていて調査どころではなかった……。

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