1話 ご唱和ください我の名を!神話と光の巨人
時に西暦2015年
人類は使徒と呼ばれる巨大生命体の脅威にさらされていた。
しかし人類は対抗手段として人造人間「エヴァンゲリオン」を建造、その運用のため特務機関NERVを設立し第3新東京市に本部を構え迫りから使徒を撃退していた。
そのエヴァンゲリオンのパイロットとなるのは全員が14歳の中学生である。
パイロットの1人、碇シンジはNERV司令碇ゲンドウを父にもつが家族関係は破綻しており精神的にも優柔不断で他人の顔色ばかり見る傾向があった。
最近ではなぜか親子関係が徐々に修復されてはきているものの、未だ神事の心の傷は根深い。
そして現在マグマの中に潜む第8使徒を倒して3日が経過した。
学校で授業を受けていたシンジたちの端末が一斉にアラートを奏でだす。
「えぇ、緊急招集⁈
この間使徒倒したばっかじゃない!」
そう不満を叫ぶのは惣流アスカラングレー。
エヴァンゲリオン2号機パイロットでユーロ空軍のエース、ドイツ人のクォーターだ。
美しい赤毛を持つ彼女はその綺麗な顔を不満に歪めている。
「仕方ないよアスカ。
あいつらいつ来るかわかんないし、僕らしか戦えないんだからさ。」
彼が碇シンジ。
黒髪短髪の華奢な体つき、整った顔だが自信のない態度が彼の魅力を打ち消している。
エヴァンゲリオン初号機パイロットとして少しずつ成長していた。
「招集、先、行くから」
そう言って1人だけ先に走り去っていったのは綾波レイ。
青みがかった銀髪、透き通る肌、赤眼といった人目を引く見た目である。
性格もどこか浮世離れしておりどこか人と一線を引いている。
自分達も遅れてはいけないと慌ててネルフ本部へと走り出した。
それから30分後、彼らの姿はネルフ本部の作戦室にあった。
指揮を取るのは葛城ミサト1佐、作戦部長にしてシンジとアスカの保護者役でグラマラスな美人だが酒が絡むと途端にダメになる残念な美人だった。
「なーんか不愉快なこと誰かが言ってる気がするけど後回しよ。
状況を説明するわ。
今から30分ほど前、月の衛星近くで空間の揺らぎが確認されたわ。
現在まで使徒の出現は確認できていないけど、おそらく時間の問題よ。
よって、エヴァパイロット3名にあって各機体内で待機。
こちらは光学映像で状況を確認次第作戦立案とします。
何か質問は?」
状況が判然としていないものの、決して楽観視できる状況ではない。
誰も質問することなく各機体のところへ向かっていった。
時は遡り一時間前
別世界の月面近くで翼を広げた鳥の形をした青い光の怪獣らしき生き物と青色の巨人が向かい合っていた。
『おいおい、ようやくキングジョーを送り届けたのにこんなとこで怪獣と出会うなんて、ウルトラ困ったぜ。』
「Zさん!
ワームホールが開いているうちに、こいつを倒してみんなのところへ帰りましょう」
青色の巨人の名はウルトラマンZ。
相棒のナツカワハルキと融合し、あらゆる怪獣や、世界をゲーム感覚で滅ぼそうとした異星人から地球を守り切ったウルトラ戦士だ。
相棒のナツカワハルキはど根性が取り柄の青年だ。
市民を守ろうとして命を落とそうとしたところをZと融合したことで蘇り、地球を守ったのちに宇宙を守りにZと旅に出ていた。
そんな2人がいるのは本来とは違う次元の月だ。
彼らがここへ来たのは、本来の地球で宇宙海賊バロッサ星人に戦闘兵器キングジョーストレイジカスタムを奪われたのがきっかけだ。
追跡中バロッサ星人の転移に巻き込まれこの次元に来てしまい、この地球のウルトラマンであるウルトラマントリガー=マナカケンゴと接触し、壊れた変身アイテム、ウルトラZライザーに代わりハイパーガッツスパークレンスを受け取り、バロッサ星人を倒した。
その後キングジョーを取り戻し元の次元に戻るため2人は宇宙へ旅立った。
その途中元の世界へ戻るワームホールを見つけキングジョーを送り込み、元の世界で所属していた部隊ストレイジとの通信で無事キングジョーを返還できたことを確認して自分達も戻ろうしていたところ、突然見たこともない怪獣に襲われていた。
怪獣が光の光線を放ちながら近づいてくる。
今のオリジンの姿で避け続けていたが次第に追い詰められ–
『やばい、避けきれない!』
光がウルトラマンZを直撃した、が
『あれ、ダメージがないぞ⁈』
直撃の爆発もなければ、被弾のダメージすら感じさせない。
『なんだこの攻撃?
どういう意味が…
どうしたハルキ⁈』
融合していたハルキが急に苦しみ出す。
「なん、だこれ⁈
頭が、割れる…
く、来るな!
俺から何も奪うなぁぁ!」
尋常ではないハルキの様子に焦りを覚えるZ。
変身を解くため一旦地球に戻ることに決めたZ、早く帰ることより相棒の命が最優先だ。
『くらえ
ゼスティウム、光線!』
Zの必殺技を見舞うが
謎の光の壁に堰き止められる。
ならば、と方針を変えて地面に打ち込み煙幕がわりにして、すぐ地球に飛び去った。
『しっかりしろハルキ!
くそ、なんだあの怪獣…ウルトラ強いぜ。
今はハルキだ、ケンゴたちに事情を話して一旦休ませるしか…』
なんとか地球にたどり着いたZ。
ケンゴたちの母艦ナースデッセイを探す。
その時休む間も無く背中に攻撃を加えてきたものがいた。
『な、なんだこんな時に…
ってあれは…』
そこにいたのは赤い玉をコアとする機械の怪獣がいた。
『ギルバリス⁈
こんな時に生き残りがくるなんて…』
そんな時に援護射撃がやってくる。
黄色い戦闘機、ガッツファルコンだ。
そして隣に現れる太古の巨人、ウルトラマントリガーがやってきた。
『Zさん、どうしたんですか!
帰ったんじゃ…?』
『おぉ、ケンゴ!
ウルトラタイミングがいいぜ!
月面で別の怪獣に襲われてハルキの様子がおかしいんだ!
外傷はないけど、どうも錯乱してて…
今からハルキを分離するから避難されてくれないでおじゃるか?
その間、ギルバリスは俺が押さえ込む!』
そしてトリガーにハルキを託すとギルバリスと戦闘を始めるZ。
しかし地球で地球人と融合しないままでは当然パフォーマンスが落ち、次第に押され始める。
そして、いつのまにかギルバリスに抱えられて宇宙へ押し出されていた。
『ぬぅぉぉぉぉ、
離しなさいよコイツ!』
そして月の近くまで来ると先ほどとは違うワームホールが待ち構えていた!
『まずい!
今次元を移動したらハルキと離れ離れに!
ハルキィィィ!』
Zの叫びも虚しくギルバリスはZを抱えたままワームホールへと飛び込んでいった。
そして舞台は第3東京市へと戻る。
緊急招集から1時間後、状況が動き出した。
司令室のオペレーター、マヤが叫び声を上げる。
「大変です!
上空38万キロ地点、月面付近にワームホールが出現!
中から高エネルギー反応が…2つ⁈
出てきます!」
突然の緊急事態に慌てふためく司令室。
同じオペレーターの日向マコトが冷静に到着時刻を計算する。
「このままでは20分後地上に落下が予想されます。
落下地点は…変ですね。
第3新東京市と第二新東京の間です。
本来ならここに落ちてきてもおかしくないんですが…」
全員が疑問を頭に浮かべる。
これまでの使徒であればNERV本部を狙って侵攻してくるはずなのだ。
それであれば本部に落ちてきてもおかしくないが離れたところに落ちようとしている。
使徒ではないのか?
そう考えているところに、司令の碇ゲンドウの声で空気が変わる。
「総員、第一種戦闘配置。
エヴァ各機のフォーメーションは葛城1佐に一任する。
現在のパターンは?」
「はい、双方ともパターンオレンジ!
使徒とは、確認できません…」
現状使徒とは判断できないが危険な要素でないとは言えない。
各パイロットにも状況が伝えられ、各機体が落下予想地点付近に機体を配置される。
そして20分後
「目標、映像に出します!
落下予想地点へ落下します!」
各機でも映像で確認できるのは青い人型の巨人と機械の怪獣だった。
「目標のパターン双方オレンジ。
ですが、機械の怪獣らしき方にはコアのような部位が確認できます!」
コア、使徒の弱点とされる赤い球体。
波長パターンでは使徒ではなくとも使徒と同じ特徴を有している。
NERVにはそれだけで殲滅する理由としては十分だった。
碇ゲンドウの命令が下る。
「機械の怪獣を優先殲滅対象と断定する。
第二目標である青い巨人型に関しては様子見、攻撃を仕掛けてくるようなら殲滅対象とする。」
そしてエヴァ各機は携行している大型ライフルをギルバリスに向けて構え、打ち出した。
ギルバリスも攻撃を予想していなかったのか全弾直撃、その衝撃で拘束が外れたZはなんとか着地した。
『ここは…
というかギルバリスを攻撃したこの巨人たちは…?
なんだこの感じ…ウルトラ気持ち悪いぜ』
Zはエヴァ達から感じる雰囲気に何か異様なものを感じていた。
しかし、優先すべきはギルバリスの撃退だ。
Zはギルバリスに肉弾戦を仕掛ける。
「殲滅対象に着弾、ATフィールド確認できませんがダメージは少ないようです!
また巨人が対象に肉弾戦を仕掛けています!」
やはり使徒ではないのか?
そんな疑問を頭の片隅に浮かべながらミサトはシンジたちに指示を出す。
「エヴァ各機、巨人の援護を!
援護射撃程度でいいわ!
こちらに攻撃を仕掛けてくるようなら即時殲滅対象として攻撃を許可します!」
ギルバリスから飛んでくるミサイルなどをATフィールドで防ぎつつ、マシンガンで攻撃を仕掛けるが決定打にはならない。
「巨人頼みなんて!
スマートじゃないけど…!」
自分が仕掛けたいアスカだが、なかなか攻めに転じることができない。
そんな時、ギルバリスのミサイルがエヴァに電源を供給するアンビリカルケーブルに被弾し、ケーブルが断裂した。
「エヴァ三機、活動限界まで残り240秒!
危険域です!」
エヴァの活動限界=人類の破滅の図式が成り立つ世界だ。
本部司令室が静まり返った時
「ミサトさん!父さん!
僕たちは誰も諦めない!
だから指示を!」
それは普段人の後ろに隠れるシンジからの通信だった。
司令室に活気が戻る。
「各機援護ではなく対象を殲滅して!
全兵装の使用を許可します!」
そしてそれぞれ地上に設置されているウェポンラックから威力の高い銃火器を装備し撃ち続けた。
わずかにギルバリスを押し始めた時に異変は起こった。
活動限界まで2分切ったところでシンジがまずいと思い銃から日本刀型の武器マゴロクソードで切り掛かったのだ。
右腕を切り飛ばしたが、その一瞬がすきになった。
Zが思わずガッツポーズを決めた瞬間、カラータイマーが高速で点滅し始めた。
すでに3分の限界なんかとっくに過ぎていた。
そしてパワーダウンしたところでギルバリスのフルバーストを初号機と共に受け、地面に倒れ伏したまま動かなくなった。
「シンジィ!カッコつけたまま死ぬんじゃないわよ!
早く立ち上がれバカシンジ!」
「碇君!
今助ける!」
0号機と2号機がシンジを助けるために奮戦するも右腕以外のダメージは認められない。
「初号機パイロットバイタル確認できません!
強制心臓マッサージ、効果認められず…いやぁぁぁぁ!」
立ち上がる力を与えた男が死んだことが辺りに伝わる。
絶望が全員包み込みつつあった…
シンジが目覚めた時、辺りは暗闇に包まれていた。
あきらかにエントリープラグ内ではなかった。
『あぁ、僕死んだんだ。』
驚くほど冷静に受け入れた自分の死、嫌だった戦いもこれで終わる。
でもみんな、あいつに勝てるかな?
そう考えていると
『起きなさい地球人。
言葉通じてるの知ってるわよ。』
話しかけられた。
え、誰に?
声の方を見上げると先ほどまで一緒に戦っていた青い巨人がいた。
『私はウルトラマンZ。
君はあの紫の巨人の中にいた少年だな?
名前を聞かせてもらえないか?』
ウルトラマンZと名乗る巨人。
「えっと、碇シンジです。」
『シンジ、落ち着いて聞いてくれ。
君は死んだ。
ついでに私もウルトラやばい。
だがギルバリス、あの怪獣を倒すために力を貸してほしい。
私と融合して、あいつと戦ってもらえないでござるか。
そうすれば君も蘇ることができる。」
融合して戦う、蘇る。
非日常的な言葉に理解が追いつかない。
『あれ?
言葉通じてない?』
「あ、通じてます。
日本語は少しおかしいけど…」
すげえ日本語だなと思うも
「けどすみません。
僕はもう、戦えません…
戦いたくないんです。
痛いのも!守れなくて泣くことも!
もう嫌なんです!」
自分の死という現実が今まで押さえつけていた感情を呼び覚ました。
大人たちから言葉で誘導され誤魔化し誤魔化し戦ってきたが、心はもうボロボロだった。
『…そうか、シンジ。
君は傷つきながら戦ってきたんだな。
何も無理強いをするつもりはないんでっせ。
死して眠ることがシンジの望みならそれもまた一つの答えだからな。
だけど、』
Zは目線をシンジに合わせるようにひざまづく。
『シンジはそれで後悔しないんだな?』
Zの言葉に思わず顔を上げるシンジ。
『人は守れず後悔するやつもいるんだ。
もし少しでもシンジが誰かを守りたいなら力を貸しましょう。
シンジも私の戦いに力を貸してくれたしな。
人生は一度で人の命は儚い。
だから、後悔のない選択をしてほしい。』
シンジの脳裏をNERVに来てからの記憶が通り過ぎていく。
『おかえり、シンちゃん』
『すごいわシンジ君』
『おはよう碇くん』
『ちょっとだけ、感謝してるわよバカシンジ』
『シンジくん』
『シンジくん』
『シンジくん』
『シンジ!』
『碇!』
『…さすがは私の息子だ、シンジ』
僕の答えは…
「Zさん…」
『どうするシンジ?』
「僕に、力を貸してください!」
その答えにZの顔が一瞬笑った気がした。
そして光がシンジの元に降りてきて…
白い銃とUSBのような鍵になった。
『それはハイパーガッツスパークレンス。
ほんとは別に道具を使ってんだけどな。
今はこれを使ってる。
さぁ、キーのボタンを押して起動しちゃいなさい!』
シンジはUSBのボタンを押すと音声が鳴り響く。
ウルトラマンZ!アルファエッジ!
『お、うまく起動できましたな。
スパークレンスの底にキーを差し込んで銃身を開くのです。』
シンジがキーを差し込むと
ブートアップ!アルファ!
と鳴り響き、銃身を開くとモニュメントが現れる。
そして自然に言葉が口から出た。
「宇宙拳法!秘伝の神業!」
『そして気合を入れて叫んだらトリガーを引くんだ!』
「え、叫ぶんですか?」
『そうじゃぞ!
いくぞ、
ご唱和ください我の名を!
ウルトラマンゼェーット!』
こうなったらなんでもやってやる!
「ウルトラマン、ゼェーット!」
あたりを光が包み込み、気付けば自身が巨人・ウルトラマンZになっていた。
『シンジ、お互いに限界が近い!
一撃で決めるぞ!』
「はい、Zさん!」
そして両拳にエネルギーを集め、軌跡でZを描き…
『ゼスティウム、光線!」
全エネルギーを込めてギルバリスに打ち込み、
破壊した。
そして光に包まれその場から消えた。
それからシンジが目を覚ましたのは3日後だった。
いつもの病院、見慣れた天井。
見慣れないのは、ベッド横にあるスパークレンスとキーだった。
「あれは、夢じゃなかったんだ。
ありがとうZさん…」
ところ変わってネルフ本部の司令執務室。
ゲンドウと冬月副司令が神妙な顔持ちで話し込んでいた。
「碇、あんな巨人が出てくるなんて俺は聞いていないぞ。」
「あぁ、私の方にも朝ゼーレの老人たちから連絡が来ていた。
おそらくはあれは死海文書にすら記載のないイレギュラーだ。
もしくは誰にも知られていない外典が存在するのか…
しかし計画に変更はない。」
組んだ手の隙間から笑みをこぼすゲンドウ。
『シンジが無事だったのだ。
あの巨人のことなど、それに比べたら大した問題ではない。」
お父さん、子煩悩出てます