『サードインパクトを始めよう。』
スパークレンスを使い、カヲルが変身した姿。
それは一言で言うとエヴァの形をした光の巨人だった。
司令室もどよめく。
『目標の反応、第17使徒であるのと同時に…
第1使徒であるとも計測されています。
マギはこの件については解析不能の見解を示しています。』
「…想定外の事態だ。
まさかアダムが復活するとはな。
シンジのスパークレンスからこの結果を生み出すとは…
全迎撃兵装をフル稼働、シンジを援護するんだ。」
ゲンドウの指示で兵装を起動させ攻撃を仕掛けるものフィールドに弾かれ、アダムが手を振るだけで破壊されてしまう。
これを見ていたシンジは、一瞬俯くが覚悟決めて顔を上げる。
「ゼットさん、カヲルくんを止めよう。
たとえ彼を殺すことになっても…」
『シンジ…
男の顔になったな。
戦いの前にこれを渡しておく。』
ゼットから渡されたのはZオリジナルのキーだった。
『あいつはかなり手強い。
私が死ぬこともあるだろう。
その時はオリジナルのキーで戦ってくれ。
私がいなくても変身できるはずだ。
君に私の後を託したい。』
Zも覚悟を決めたようだ…しかし
「嫌です。
何カッコつけてんですか。
この戦いを生きて勝ち抜いて、みんなで笑うんです。
だから戦うんですよZさん。」
そういって笑いながらシンジはキーを起動させる。
「君の絶望なんか、僕たちが砕く!
絶望を打ち払え!紫電の福音!」
ウルトラマンZ!イプシロンエヴァ!
ブートアップ!イプシロン!
『…そうだったな!
最強の第1使徒…
相手にとって不足はないぜ!
ご唱和ください我の名を!
ウルトラマンゼェーット!』
「ウルトラマンゼェーット!」
トリコロールの執行者が降臨する。
相手はタブリスでありアダム。
先手を仕掛けるが、フィールドが厚すぎて中和しきれない。
逆にアダムの攻撃は苛烈すぎてとめることができなかった。
『嘘だろ⁈
それなら、ベリアロク!』
ベリアロクを手元に召喚し、必殺の一撃に全てを込める。
イプシロンエヴァのエネルギーとベリアロクの光が混ざり合い、夜の輝きのような眩いエネルギーが刀身にこめられる。
『イプシロン・デスシウムスラッシュ!』
『なんだこの威力は⁈
フィールドが持たない…』
全エネルギーとフィールドエネルギーを込めた一撃はなんとかフィールドを切り裂き、アダムの体から着弾の爆発が起こる。が、
『なるほど、フィールドを切り裂き僕にダメージを与えるか。
それがポンポン放たれたら流石に僕も不味かったけど、今ので出涸らしかい?。』
確かにコアの真横に深いダメージの跡が見える。
だがそれだけだった。
それにひきかえ、Zは全エネルギーを使い切り変身解除寸前だった。
『残念だ。
君達の敗因は僕が覚醒してしまうきっかけを与えたことだ。
ばいばい、シンジくん。』
そしてアダムはフィールドエネルギーを圧縮し、ゼットに向けて打ち出した。
最強と言われた14使徒…
それとは比べ物にもならない威力のフィールドを使った攻撃。
ゼットになすすべはなく、その場に倒れた。
「ぐはっ」
変身を解除されたシンジが倒れ込む。
しかし横には目の光を失い、オリジナルの姿で倒れ込むゼットの顔があった。
「何やってるんですか?
ほら、早く変身しましょうよ。
いつものやつ言ってくださいよ!
ほら、ご唱和ください我の名を!
ウルトラマンゼット!って!」
しかしゼットは起き上がらない。
徐々に体が石化しつつある。
「なんで、ゼットさんが石に…?」
『聞いたことがある…
遠い宇宙の光の戦士たちは、死するときに体が石になると。
それが復活のための準備なのか生態なのかはしらないけどね。
これで終わりだよ、君がゼットになれなくなった以上、初号機に乗ったところで勝ち目はない。
前倒しだが儀式を始めようか。」
そういうとアダムは背中から四枚の羽根を生やし、宙に浮かび上がった。
そして、コアを中心にこれまで倒してきた使徒の姿が浮かび上がり何かの模様を描いていく。
「あれは生命の樹か。
コアから自らの生み出した使徒の情報を抽出し、儀式へのプロセスを進めているのかもな。」
そこにはゲンドウがいた。
よく見れば後ろにNERVスタッフ全員がいた。
「ガフの扉が開かれれば直下のものは全て飲み込まれる。
今レイとアスカを救出しているところだ。
世界の終わりまで生き残ろうじゃないか。」
そういうと父さんはしゃがみ込んで僕を抱きしめた。
「すまないシンジ。
お前に辛い思いばかりさせて、結局お前の明日を用意してやることができなかった。
だがお前はよく頑張った。
みんな誰もお前のことを責めはしない。
だからもういいんだ。」
そしてみんなから賞賛の拍手が送られる。
心地いい。
とても心地いい。
もう頑張らなくてもいいと心地よい声が囁く。
でも
「だめだよ父さん。
僕たちはまだ、ちゃんと生きていない。」
「…シンジ?」
「僕は一度死んだんだ。
そのときZさんが選ばせてくれた。
戦いを拒んであのまま死んでいくのも一つの選択肢だった。
でも、僕はこの一度だけの人生で、みんなを守りたいから生き返って戦う道を選んだんだ。
僕はまだ、生きているんだ。
この命が果てない限り、諦めてなんていられない!」
そう言うシンジの目は赤く輝いていた。
「たとえゼットさんがいなくても、僕は戦う。」
そのシンジの言葉にみんなの顔に力が戻ってくる。
「ふっ、まさか、息子に教えられる日が来るとはな…
諸君、今一度抗うのに付き合ってくれ。
中学生が諦めていないのに、大人が諦めてはいられないだろ!」
そのゲンドウの言葉に全員が今自分のできることに取り組んでいく。
そしてその思いが、希望がゼットに光を取り戻した。
『シン、ジ…
そうか、私は一度死にかけて…』
「ゼットさん!
よかった、戻ってきたんですね。」
『あぁ、闇の中でシンジの声が聞こえた。
相棒が諦めてないのに、ウルトラマンの私が寝ているわけには行かないよな!
勝ち目があってもなくても抗うだけだ!
ウルトラ気合い入れるぞ、シンジ!』
「行きましょう、Zさん!」
2人の絆が、進化の力を呼び覚ます。
シンジの目が真紅に輝きZから渡されたオリジナルのキーが輝き出した。
「オリジナルのキーが…
まさか、進化した⁈」
『シンジ、その目は…
いや、今はそんなことよりカヲルだ!
あいつが絶望を誘う原初の光なら、こっちは希望を導くだけだ!
絆の力で進化した光をみせてやろう!』
そして新たなキーを起動する。
「希望を導け、真紅の絆!」
ウルトラマンゼット!アドバンスゼスティウム!
ブートアップ!アドバンスAtoZ!
『ご唱和ください我の名を!
ウルトラマンゼェーット!』
「ウルトラマン!ゼェーット!」
そして立ち上がる最後の希望、進化した光。
その名はウルトラマンZ アドバンスゼスティウム。
デルタライズクローを超える、新たな力。
ゼットとシンジの絆、そしてシンジの持つ謎の力が導いた進化の形。
体表は青と黒から、部分ごとに赤より濃い真紅の色が混じっていた。
『見てくれが変わったところで、何も変わりはしない。』
アダムがフィールドエネルギーを打ち込んでくる。
が、Zは片手で払い除ける。
『アダムとなった僕のフィールドを片手で⁈』
『シンジ、あまり長い時間は変身できそうにない。
フィールドごとぶち抜くぞ!』
そしてZは手に青と赤が入り乱れたエネルギーを纏い、最初にA、最後にZを描くように手を動かして必殺技を放つ。
『アドバンス!ゼスティウム光線!』
直感で危機を感じ取ったアダムは、光線を弾き、そらし、止めようと角度を変えたり密度を上げたATフィールドを幾重にも重ねた。
そして重なった分厚いフィールドはゼットのすぐ目の前まで展開された。
最初は阻まれる光線に安堵したアダム、しかし
パリン
1枚、また1枚と割れるフィールド。
そしていよいよ、アダムが最終防衛ラインとして貼った最大級のフィールドにたどり着くが、
『ふっ、はははははははははは!
たかが2人のちからでなんとかなるものか!
僕はアダム!
全ての始祖だぞ!』
フィールドを越えられないシンジ達に勝ち誇るカヲル、しかし
『それがどうした!』
『…なに?』
Zの一言で笑いをやめた。
ゼットの言葉をシンジが引き継ぐ。
「僕たちはいつだって、1人じゃ勝てない相手と戦ってきたんだ!
君が何だろうと関係ない、僕たちの絆が、負けるなもんか!」
『よく言ったシンジ!
フルパワーで行くぞ!』
そして2人の声が重なり合う。
『ぶっ飛べぇ!』
そして光線はついに、最大のフィールドをぶち破り、アダムのコアを撃ち抜いた。
アダムはその場に崩れ落ちながら光となって消えていく。
変身解除したシンジがアダムの倒れた場所に行くと、そこにはカヲルが横たわっていた。
しかし体は倒された影響なのか、端の方から光となって消えていっていた。
「あぁ、シンジくん…
きっと僕を止めれるのは君だと思っていたよ。」
「カヲルくん…
こんなのってないよ!
君と友達になれると思ったのに…」
シンジは涙ながらにカヲルを抱きしめた。
「本当に君は甘いなぁ。
なら、僕は友達として君にこれを託そう。
しばらくは眠りにつくだろうけど、いつか君を助ける時が来るはずだ。」
そして受け取ったのは、なんとアダムのキーだった。
しかし、シンジが受け取ると光が失われて使えなくなった。
「君と出会えてよかったよ。
泣かないで、きっとまた会えるさ。
縁が君を導くだろう。
それまで、サヨナラシンジくん。」
そしてシンジが抱きしめていたカヲルだった光は全て散り、カヲルが使っていたスパークレンスが落ちて乾いた音を立てた。
「…サヨナラ、カヲルくん。
君に出会えて、よかったよ。」
アダムのキーを握りしめながら、シンジは空に散っていったカヲルの光を見上げ続けていた。
最後のシシャとの戦いから半月、怖いほどに静かな時間が流れた。
ゲンドウと冬月は2人で語らう。
「これで全ての使徒は倒した。
ここからだ、後の敵は人間なのか…?」
「冬月先生、まだわかりません。
私の知る死海文書の内容とはかけ離れている。
タブリスを倒したのにも関わらず、ゼーレが仕掛けてこない。
そしてZの存在、備えるべきことは備えねば…」
2人の声は部屋の闇に吸い込まれていった…