新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

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13話 TRYNITY・NEXUS

「なぜだ。

 何故リリン・インフィニティは引いた?

 大半を焼却したとはいえ、未だ脅威たりえる存在の奴等が…

 一体なにを考えている?」

 

 戦略自衛隊の大出力兵器、n2爆弾の投入により大半を焼却せしめた。

 その代償として、ジオフロントの天井である一部の装甲板が融解してしまうというアクシデントはあったものの、ジオフロントへ至る前に第3新東京市の防壁が侵入を防いでいた。

 敵からすれば、一部とはいえ侵入可能な箇所が増えたのだ。

 それに奴らの数はいまだに多く、把握は困難といえる物量だ。

 大型兵器に恐れをなしたのかそれとも…

 ゲンドウが思考を加速したその時、けたたましくアラートが司令室に鳴り響く。

 

「大変です!

 マギがハッキングを受けています!

 現在までに1割強が無力化、完全掌握までおよそ900秒です!」

 

「防御プロトコルを展開、1秒でも長く進行を遅らせろ。

 赤木、伊吹両名は直ちにプロテクト作業を開始。

 以降のオペレーターは青葉が担当しろ。」

 

 ありえん、このタイミングでハッキングだと⁈

 ゲンドウの思考が最悪の結論を導き出す。

 冬月も同じタイミングで答えに至ったのか驚愕の表情を浮かべる。

 

「碇、まさか⁈〕

 

「間違い無いでしょう。

 ゼーレが約2ヶ月も進行を遅らせたのはエヴァシリーズの完成遅延がげんいんではない。

 計画にリリン・インフィニティを組み込み、奴らを覚醒させるために今日までなにもしてこなかったんだ。」

 

 この私ですら知り得ない存在を、なぜ計画に組み込めた…

 やはりイレギュラーが原因なのか…

 しかしゲンドウの思考は答えを導き出す直前で止められる。

 

「司令!

 こちらへ飛来する未確認飛行物体を8機確認!

 現在は戦略自衛隊の航空部隊が迎撃中とのことですが対象が大きすぎて有効打にはならないとのこと。

 さらにそれぞれからパターン青を確認!」

 

 司令室がざわつく。

 こんな時に大型の飛行する使徒が8体も現れたというのか。

 しかしゲンドウと冬月はそれで全てを察する。

 

「…総員、第1種戦闘配置。

 直ちにエヴァ二号機の出撃準備にかかれ。

 シンジは初号機で待機、発進の用意だけしておけ。

 レイは司令室で待機、0号機は凍結とする。」

 

「司令⁈

 一体どう言うお考えですか?」

 

 流石の指示にミサトも噛み付く。

 Zアーマーとアスカの能力があり、使徒一体であれば余裕で倒せるとはいえ、相手は8体でなおかつ0号機を凍結するとは正気の沙汰ではない。

 

「葛城くん、敵の正体が私の推測通りなら

 

 あの8体は量産型エヴァだ。」

 

 司令室がざわつく。

 それに構わずゲンドウがつづける。

 

「現時点でパターン青が出るのであれば、奴らには使徒の細胞たるS2機関が内蔵されパイロットはおそらくリリン・インフィニティだろう。

 そして奴らの狙いは、リリスの肉体、依代となるエヴァだ。

 その核となるのが…リリスの魂を宿すレイだ。

 レイを奪われれば最悪の事態を迎える。

 アスカくんの実力であれば奴らを沈黙させるのは難しくはないだろう。

 問題はエヴァシリーズの数だ。」

 

 秘密を知っていたシンジ以外はどよめく。

 リリン・インフィニティの姿がレイに似ていた理由にもそれで納得がいくと言うものだ。

 

「父さん、数が問題って多すぎるってこと?」

 

 シンジが気になったことを尋ねる。

 

「いや、その逆だ。

 エヴァシリーズは各国で9機開発されていた、はずだ。

 一機少ないのが奴らがまだ何か隠しているというのであれば、シンジ。

 そいつはいまこちらに向かっている8機以上の脅威となる。

 その時はお前とゼットの力が必要になる。

 可能な限り2号機のみで制圧、無理と判断すれば初号機も投入する。

 それに奥の手はまだ…おっと、これ以上は今は言えんが負けるつもりはない。

 行けるか、アスカくん?」

 

 そしてアスカに尋ねるゲンドウ。

 

「任せてください司令!

 シンジ、あんたは大本命の時のためにドーンとかまえときなさい!

 露払いはアタシの刀でするわ。

 だから、アレ借りるわよ。」

 

「気を付けてアスカ。

 あれって…まさかアレ⁈

 練習では確かに何度か使ったけど…

 わかった、まかせるよ!」

 

 そしてシンジはアスカにあるキーを手渡した。

 アスカはキーを受け取るとその手を掴んで抱き寄せた。

 やだ、男前!

 

「大丈夫よ、これを借りるのはただの保険だから。

 ちゃんと帰ってくるわ、あんたのとこにね。」

 

 そう耳元で囁いてアスカは2号機のところへ走り出す。

 それを見送るシンジの肩にゲンドウが手を置き

 

「…シンジ、孫の顔が楽しみだ」

 

 司令室、ほんわかしました

 

 

 

 

 

「アスカ!」

 

「レイ!

 あんた司令室にいないとダメじゃない!」

 

 アスカを追いかけてきたレイがアスカの手に何かを握らせる。

 

「アンタこれ!

 ディフェーザーのキーじゃない!」

 

「私は今回戦えないから。

 私の祈りがあなたを守ってくれるように、これを。」

 

 奇しくもイプシロンエヴァのキーを手に入れた時のような状況になった。

 今回は託される立場になったアスカ。

 2人の思いを受けて力がどんどん湧いてくる。

 

「任せときなさい。

 あんたが生きる未来はあたしが作るわ。」

 

 

 そしてジオフロントへ出撃したアスカが見たのは宙をまう白いエヴァの姿だった。

 遠目に見れば白き鳩のように見え、名前を考えれば平和をもたらす福音と言えなくもないだろう、と場違いなことを考えていた。

 そう思っていたのが20秒前のこと。

 降りてきたエヴァの姿は顔のない、白いウナギのようなエヴァだった。

 唯一顔と認識できる口で、口角を上げこちらをニヤニヤと見てくる。

 

「気持ち悪い…

 悪いけど負けてらんないのよ、アンタ達なんかにね!」

 

 アスカはそう叫ぶと即座にベータスラッシャーへと換装し、量産型に切り掛かる。

 しかし、敵の持つ諸刃の剣に受け止められ中々有効打につながらない。

 

「こんちく、しょう!」

 

 ようやく一機をダルマにして首を跳ねることで無力化したアスカ。

 ケーブルは切られていないから時間気にする必要はないが、早く片付けたいのが本音だ。

 

 仕方ない、ケーブルがついている今なら…

 

「リツコ、ごめん!

 あれをやるわ!」

 

 アスカからの通信にリツコが驚く。

 

「アンタまさか、アレをやるの⁈

 …いいわ!

 その代わり、必ず生きて帰ってきなさい。」

 

 リツコからの返事に最高の笑顔で返したアスカはシンジから借りたキー

を起動させる。

 

 ウルトラマンZ デルタライズクロー

 

 そして新たに操縦桿に付けられたサブスパークレンスにキーを装填する。

 

「闇を切り裂け!紅蓮の嵐!」

 

コードアップ、ベータ!

コードアップ、デルタ!

 

コードミックス!

デルタライズスラッシャー!

 

 そこに立っていたのは全く新しい2号機だった。

 元々の赤は光沢を持った真紅へと染まり、部分的に金色の鎧が追加された、いわば2号機版デルタライズクローであり、ベータスラッシャーと融合し、新たな力を纏う。

 そしてこれまでとちがうことを裏付けるように加速度的に量産型達は倒れ伏していった。

 あるものは首を落とされ、あるものは胴体から一刀両断された。

 しかし、

 

「ちっ、ケーブルが切られたか…

 げっ!

 思った以上に電力消費が早いな。」

 

 リツコの懸念事項通りにエネルギー消費が激しく少しずつ活動停止までのカウントダウンは早まっていた。

 残り三体まで減った量産型を見てデルタライズクローのキーを抜き、予備の電源へと走り出す。

 しかし

 

「嘘でしょ…

 なんでこいつらまた動き出してんのよ!」

 

 目の前には欠損部分はあるものの再び動き出す量産型の姿があった。

 3体は欠損部分が多すぎて行動はできないが、それでも五体は脅威としか言えない。

 そして奴らは浅いダメージを2号機に与えては離脱を繰り返す。

 このままでは…

 

「初号機出します!」

 

 シンジが初号機で射出口へ移動するが時間はかかる。

 ここで変身すれば施設が壊れる。

 どうかアスカを守って神様!

 そしてシンジの祈りは届く。

 

『シンジ、キーからオーラが!』

 

 Zの指摘でキーからオーラが溢れていることに気づく。

 そしてキーは飛んでいった。

 

「そっか、僕の祈りが…

 アスカ、すぐ行くからその力でなんとか耐えてよ!」

 

 ところ変わりアスカは残り4分を切った2号機で敵をいなしていた。

 実はバッテリーの強化で最大10分は稼働できるようになっていたエヴァでこの残り時間は心もとない。

 

「くそ!

 S2搭載型ってやになっちゃう!

 コアさえ破壊できれば…」

 

 苦痛に歪むアスカの顔を嘲笑うようにエヴァは笑う。

 その時射出口を突き破り、光が2号機のコアに突っ込んできた。

 突然の状況に警戒する量産型。

 しかし内部では…

 

「なんなの一体…ってこれ!

 シンジのキーじゃない!

 なるほど15使徒の時と逆のことが起きたわけね。」

 

 シンジのところから飛んできたのはイプシロン・エヴァのキーだった。

 アスカ達の祈りが生んだキーが、シンジの祈りでアスカの元に届く。

 運命を感じざるを得ない状況だ。

 そしてそのオーラに呼応するようにベータスラッシャー、レイから渡されたガンマディフェーザーのキーが輝き出す。

 もしかして…そう言うことなの?

 

「はっ!

 いいわよ!あたし達の絆で世界を救う!

 こちとらまだ花も恥じらうティーンエイジャーだっちゅうの!

 青臭いこと言っても許されるのよ!

 行くわよ、シンジ、レイ!」

 

 そしてアスカがベータスラッシャーを引き抜き、全てのキーを起動する。

 

 ウルトラマンZ!イプシロン・エヴァ!

 エヴァ・タイプセカンド!ベータスラッシャー!

 エヴァ・タイプゼロ!ガンマディフェーザー!

 

 三つのキーが空中で力を放ち、中心で新たなキーを生み出した。

 

「見せてやるわ!

 紫電の絆、山吹色の希望、真紅の情熱!

 混ざり合え、鋼鉄の福音!」

 

 エヴァンゲリオン・トリニティ!

 コードアップ!トリニティ・ネクサス!

 

 顕現する三位一体の巨人。

 ベースの2号機を鋭角にしたスタイルに他のエヴァのカラーリングで染め上がる。

 

「エヴァ・トリニティ…あたしは1人じゃない!

 かかってきなさい、スクラップにしてやるわ!」

 

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