エヴァシグマの攻撃を受け止めた初号機。
話はこの場面から2分前に遡る。
なんとか地上へ出撃した初号機は、ミサトの命令を受けてアスカの回収に動き出していた。
回収地点に横たわっている2号機。
シンジは慌ててプラグから飛び降りると、2号機のプラグ射出用の外部コードを打ち込みプラグを露出させる。
中にいたアスカは想像通りぐったりしていた。
「アスカ、アスカ!
しっかり、怪我はない⁈」
シンジの声かけにうっすらと目を開けるアスカ。
「シン、ジ…
そうか、アタシは司令に助けられて…」
頭のはてなマークが盛大に飛び交うシンジ。
初号機に外部カメラの映像は届いていなかった。
そのことを何となく察したアスカ。
「アタシのエヴァ・トリニティが動かなくなった時に司令がアタシを量産機から守ってくれたの。
シンジがゼットになるみたいに、見たことのないエヴァに変身したわ。
それであっという間に量産機を倒して、そこから先は気絶しちゃったから覚えてないの。」
アスカが何を言っているのか分からなかったシンジだが何となくは察した。
やはり父には何かの秘密がある。
だけどそれは、自分達に敵対する何かではない。
そんな考えに浸っていたところ、ミサトから通信が入り我に帰る。
「シンジくん!
もう一機の量産型が司令と交戦に入ろうとしているわ!
問題はエネルギー量以上に、外見がゼットに似ているの…
シンジくんもすぐ向かって!」
ミサトの声から緊急事態を察したシンジ。
そこへアスカが持っていたキーを握らせる。
「シンジ、トリニティのキーは機能停止してるから使えないけど…
他のあんたから預かったキーは無事よ。
持ってきなさい!」
気合いと共に渡されたキーを握りしめ、初号機に乗って父の元へと向かう。
父さん、どうか無事で…
幸いにもシンジは間に合った。
大地に横たわる父、その父を踏み潰そうとするウルトラマンを醜悪に形どったエヴァ。
やらせない!
そこからは無意識にデルタライスクローを起動し黄金の嵐で加速する。
足を受け止め、エヴァを弾き飛ばすシンジ。
そして物語は現在へと繋がる。
黄金の嵐でかなり遠くまで吹き飛ばしたシンジは、急いでゲンドウを回収する。
「父さん!
無事?」
「シンジか…
すまない、あのエヴァ…
エヴァ・シグマには勝てなかった。」
「シグマ?」
「あのエヴァに乗っているインフィニティがそう言っていた。
すまないシンジ、あとはお前たちに託してもいいか?」
そう言ったゲンドウの目は、申し訳なさとシンジへの信頼で溢れていた。
父からの信頼。
それはひ弱な少年を戦士へと変えた。
シンジが抱いた覚悟、それは父を、全てを守るために敵を倒すと言う覚悟。
そしてその覚悟が、少年を覚醒させる唯一のtrigger。
覚醒した碇シンジはその瞳を真紅に染める。
「父さんは、初号機の中で待ってて。
行きましょうZさん。
今なら、あれが使える。」
その右拳を眩い光に輝かせて、エントリープラグを出ていく。
『シンジ、その目はまさか…
いける、のか?』
自信に満ちた顔で頷くシンジ。
真紅に輝くオリジンのキーを握りしめ、起動する。
「希望を導け、真紅の絆!」
ウルトラマンZ!アドバンスゼスティウム!
ブートアップ!アドバンスA to Z!
青と銀、黒と真紅の巨人が顕現する。
『こいよ偽物!
お前の歪な力と、私たちの絆のどちらが強いか見せてやる!」
激しい肉弾戦が始まった。
Z最強の形態であるアドバンスゼスティウムは通常の徒手格闘戦ですらデルタライズクローを大幅に上回る能力を見せる。
現にゲンドウが手も足も出なかったシグマ相手に着実にダメージを与えていた。
しかし戦況も徐々に変化していた。
シグマの拳もZを捉え始め、逆にZの攻撃はいなされ始めた。
とは言え、全ての攻撃がふせがれているわけではない。
だが流石は使徒とエヴァ、そしてウルトラマンの融合体というべきか、とうとうZが決定打をくらい後退してしまう。
そこですかさず体制を立て直したZとシンジはさすがと言うべきだろう。
しかし、シグマは必殺の一撃を放つ体勢に入っていた。
両腕にゼスティウム光線のエネルギーとフィールドエネルギーを凝縮するこの技はゲンドウを倒した光線とは違い、真にシグマの必殺技と言える技だった。
この星の使徒に楯突く愚かな異星の巨人よ、その魂ごと散らしてくれる。
インフィニティの思念が伝わってくる。
これは、やばいやつだ!
Zも全力の一撃を瞬時に放つ。
『アドバンス、ゼスティウム光線!』
黄金の光線と真紅の光線がぶつかり合う。
その光線のぶつかり合いによる爆発はジオフロントを覆う装甲板を全て蒸発させ、二体の戦いの舞台をジオフロントへ移させた。
Zは手元にベリアロクを召喚し、そのエネルギーを真紅の斬撃に変換し、シグマに向けて放つ。
土煙が舞う中の奇襲は全ての斬撃を命中させ、シグマの左腕を切り落とすと言う深手をおわせた。
司令室からも歓声が上がる。
着実なダメージを与え、深手をおわせた。
このままいけばいずれは!
しかしその希望は、歓声と共に凍りつく。
傷の断面が盛り上がり、素体の左腕を形成し出したのだ。
そして右手にはいつの間にかロンギヌスレプリカを構えて突っ込んできた。
面食らったZだがベリアロクで、受け止め払い除ける。
Zとシンジの心の焦りを表すかのようにカラータイマーが赤く点滅し出す。
やばい、一撃で仕留めないと勝ち目なんかない!
残りの全ての力をベリアロクに込める。
闇色のエネルギーが迸る。
『アドバンス・デスシウムスラッシュ!』
光線の時とは比べ物にもならない馬鹿げたエネルギーの斬撃がシグマを飲み込もうと空間かける。
しかしシグマも槍にウルトラマンの光を込めて投擲する。
拮抗したのは一瞬だった。
辺りを閃光が包み込み、この戦いの決着を誰もが知覚できない。
やがて聞こえる地に倒れ込む何かの音。
Zの体に新たなダメージはない。
そして視覚を取り戻した時、目の前に倒れ伏したのはシグマのものと思わしき肋骨から下の巨体が倒れ伏していた。
「僕らの、勝ちだ。」
そう呟いた時には全ての力を使い果たし、シンジは元の姿に戻っていた。
司令室でも勝利に沸いていた。
ミサトもその余韻を感じながらもシンジを回収する指示を出していた。
これで全ての戦いにケリがついた。
アスカも、レイも、あのゲンドウですら、天に向けて拳を突き上げていた。
司令室の冬月が涙ながらに呟く。
「これで、我々にも平和な明日が来るのだな…」
「そんな明日、劣等種のあなたたちに来るわけないじゃない。
愚かね、ただのリリンの皆さん。」
司令室に響く声は聞き覚えのある声だった。
レイの声だ。
誰もが驚きレイの方を見る。
しかし、レイ自身が驚き首を振る。
「今の声、私じゃない!」
そしてレイの後方、闇の中から歩いて出てきたのは
「綾波、レイ⁈」
リツコが呟き驚きが伝播する。
新たに出てきたレイは、レイより三つほど年上に見え、ダークシルバーの髪をセミロングにしていた。
インフィニティのような狂気の微笑みもなければ、純白の容姿でもなかった。
「久しぶりね、リツコお姉ちゃん。
そして初めまして、二番目のわ・た・し?」
その言葉に答えを見出したのは司令室では冬月とリツコだけだった。
「あなたまさか!
綾波レイNo.アン⁈
あり得ない、あなたの魂は既にこのレイに!
それにあなたはあの時母さんに…」
「殺された?
あのあとすごくないてくれたでしょ?
あれは嬉しかったなぁ。
リリスの魂が二番目の私にあっても問題ないもの。
今の私は、私自身の魂を持っているから。
私の名前は太陽のシャニ。
リリン・インフィニティ10星のトップで、全てのリリンの母、マザーリリンとでも言うべき存在よ。
そこの末の妹を迎えにきたわ、邪魔をしないでちょうだい。」
その時けたたましくアラームが鳴る。
「エヴァシグマ再起動!
両腕を再構成中ですが時間の問題です!」
「もうプルトったら。
その場には新世紀のアダムもいるのね。
さぁ、どうなるのかしら?」
シンジは理解できないものを見ていた。
目の前にはついさっき体の半分を消し飛ばしたはずのシグマがこちらを見下ろしていた。
やばい、もう力を使い切って変身して戦う余力なんかない。
そしてシグマが再構成の終わった手をこちらへ伸ばしてくる。
圧倒的恐怖心を感じながら脳裏に浮かんでいたのは以前Zに言われた言葉だった。
『シンジが諦めていないのに、ウルトラマンである私が諦めてはいられないよな!』
Zさん、僕は最後まで諦めませんよ。
そう思ったシンジは無意識に叫んでいた。
「ウルトラマン、ゼェェーット‼︎」
その時、シグマの左横から紫色の光の光線がシグマに襲いかかる。
よろめくシグマ、シンジは光線の放たれた方向を見ると、見覚えのあるウルトラマンが立っていた。
あれは、確かガンマフューチャーに変身するときに力を貸してくれるってZさんが言ってた…
「ティガ先輩?」
いや、似てるけど違う。
「あのウルトラマンはティガ先輩じゃないっすよ。
あの人はウルトラマントリガー。
超古代から目覚めた光の戦士っす。」
傍には灰色の服を着た男の人が立っていた。
この人、どこかで…
『ハルキ…なのか?』
具象化したZさんが呟く。
ハルキさんってまさか⁈
「Zさん、探しましたよ!
今はこの子と戦ってるんっすね!
ナツカワハルキ、ただいま参りました!」
残り数話で旧劇編が終わります。
その後は新劇編若しくはANIMA編のどちらかを続きでやろうと思ってます。