新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

17 / 36
17話 ゼツボウノヤリ

 ジオフロントに広がる地獄絵図、その中心にいたのは倒れ伏す2人の光の戦士と絶望に染まったシンジとシンクロするように天に向かって叫ぶ初号機だった。

 その中で全てをNERV本部の頂点で見ていたシャニは妖艶な笑みを深くする。

 

「これでアダムは絶望に堕ちたわね。

 ここまできたら中の碇ユイには覚醒することもできない…

 さて、ゼルエルを射抜いたあと行方がわからなくなったオリジナルのロンギヌスも間も無くここにやって来る。

 まったく、絶望の槍とはよく言ったものね。

 神の子の絶望に呼応して引き寄せられる性質とは恐れ入るわ。」

 

 そう言いながら肩をすくめたシャニは自身の直下、ネルフ本部の地下にしてリリスを封印するセントラルドグマに視線を向けた。

 

「これで全てのピースが揃う……

 今の綾波レイは肉体ごとリリスに戻したけど、リリスは眠ったままな状態。

 でも当然よね、私自身気づいていなかった真実…

 まさかリリスの魂が私とあの子の中で二分されていたなんてね。

 あの子に宿った陽の魂でリリスが目覚めなかったということは…私の持つ陰の魂が核ってことよね。」

 

 試したことないけど、呼べば目覚めるのかしら?

 起きろ、リリス。

 

 次の瞬間轟音と共に巨大な綾波レイが地下から迫り上がってきた。

 だがその質量とは裏腹に施設には一切の壊れはない。

 巨大化したけど質量はないということなのか、モニターしていた司令室ですら一切わかっていなかった。

 ただ一つ分かっていたのはパターン反応から目の前の存在がリリスであるということだけだった。

 一同が呆然とする中で冬月だけがうめくように呟く。

 

「リリスがレイの姿をかたどっている…まさか、あの初号機を取り込んで儀式を始める気か⁈」

 

 そして全長百二十メートルほどになるまで巨大化したリリスとその肩に乗るシャニ。

 その手には初号機を掲げている。

 すると、どこからともなく高速でロンギヌスの槍が飛来し初号機の喉元で止まる。

 

「これで、儀式に必要なものは全て揃ったわね。

 それじゃ私も一旦リリスに戻りますか。」

 

 そういうとシャニはリリスの首元から体内に吸収されていった。

 直後、リリスの髪が暗めの銀髪に染まる。

 黒目に赤い瞳孔、この世の悪夢と言わんばかりの見た目に染まる人の始祖。

 それは行動の主導権をシャニが握ったことを示していた。

 リリス、もといシャニが次にした行動は初号機の胸部装甲をもぎ取ることだった。

 無惨にも露出する初号機のコア、そこにロンギヌスが触れた瞬間に初号機を包み込み生命の木となる。

 前後上下左右に突き出したどの方面から見ても十字架と言える形状の生命の木になった初号機をリリスはその豊満な胸の谷間に押しつけ少しずつ、少しずつ飲み込み、ついには一体化を果たしていた。

 そして儀式の始まりを示すように四枚の光の羽がシャニの背から生えてくる。

 

「あの羽は、15年前と同じ⁈」

 

 司令室でことの動きを見ていたミサトが叫ぶ。

 ミサトは、セカンドインパクトを爆心地で見た唯一の生き残り。

 何が始まるのか、その正体を感覚で捉えていた。

 

「デストルドー反応が増大している⁈

 このままだと人が形を保てなくなるわ、どうなっているのみさと!」

 

 計器を見つめ、ことのしだいを理解したリツコがミサトに問いかける。

 しかし、ミサトは答えない。

 これから起こることに、もう誰も抗えはしないと感じていたからだ。

 

 

 しかし、その絶望的な静けさを破る爆音が鳴り響いた。

 モニターを全員が凝視する。

 そこには、立ち上がりシャニにむけてベリアロクの黒い斬撃を放った体制でとまるZが立っていた。

 

『おいおい、全開のパワーで打ち込んだのにダメージがないぞ⁈

 シンジを引き剥がすのは骨が折れそうだな。』

 

 そう呟くZ、次の瞬間幾重にも重なったフィールドがZを押しつぶす。

 

「まだ倒れていなかったのね、ウルトラマンZ。

 無駄よ、碇シンジは儀式の核として私の中にとどまりやがてインフィニティの王として生まれ変わるの。

 この儀式が終われば、人はインフィニティかそうでないものかへ生まれ変わるのよ。

 その世界にあなたたちの生きる場所はないわ、だから消えなさい光の戦士よ!」

 

 シャニの言葉に戦慄するZ、早くシンジを助けなければ。

 焦りは募るが、デルタライズクローでは歯が立たない。

 アドバンスゼスティウムにはシンジがいないためになれない。

 万事急須といったところだった。

 そこで、ずっと黙っていたハルキが口を開く。

 

「Zさん、シンジくんを救うために何かを投げ出す覚悟はありますか?」

 

 最初ハルキの問いかけの意味が全くわからなかったが、すぐに答える。

 

『当たり前だ!

 私は、相棒を見捨てたりはしない!

 そのためならこの命、燃やしても構わん!』

 

 Zの覚悟を受け止めたハルキ。

 背中からあるものを取り出した。

 

『Zライザーじゃないか!

 なんだ、直っていたのか!』

 

 それはZ本来の変身アイテム、ウルトラZライザーだった。

 

「一応は使えるようにアキトくんが直してくれました。

 ただ、デルタライズクロー以上の力を使うと壊れる可能性が高いのでスパークレンスが壊れた時の予備として持ってきていました。」

 

『だけど、ライザーで変身し直したところでパワーは変わらない!

 新しい力でもあれば別だが…』

 

 言いかけてハッとしたZ。

 まさか…

 

「そのまさかです。

 アキトくんがこのメダルを作ってくれたおかげで、新しい力が手に入ったんス。」

 

 そういうハルキの手には、トリガーのメダルがあった。

 そしてハルキはさらに、コスモスとオーブのメダルを取り出し手の上に並べる。

 そうすると手の中でメダルが輝きだし銀色に光る新たなメダルに進化した。

 

「デルタライズクローとは違って、何かを救いたいという想いがメダルを進化させました。

 これに賭けてみませんか?」

 

 Zは即座に頷いた。

 これが最後のチャンスなのだ。

 そしてハルキの手にアクセスカードが舞い降りる。

 

 ハルキ、アクセスグランデッド!

 

 ライザーがカードを読み込む。

 

「混沌を照らせ、慈愛の聖剣!」

 

 コスモス・エクリプス!

 オーブ・オリジン!

 グリッタートリガーエタニティ!

 

 セットしたメダルを読み込み、新たな力を呼び覚ますウルトラマンたちの名を高らかに叫ぶ。

 

「押忍!」

 

『ご唱和ください我の名を!

 ウルトラマン、Z!』

 

「ウルトラマン、ゼェェェット!」

 

 そしてライザーを天に掲げ起動する。

 数多の輝きを放ち、三体のウルトラマンがZと融合していく。

 混沌すら包み込むその名を

 

 ウルトラマンZ・シータセイヴァー!

 

 トサカの横にエタニティのような金の筋が見える。

 体はエクリプス、オリジンの色を混ぜたように黒、赤、青、金に、彩られていた。

 デルタのような刺々しさはない。

 しかしその名を体現するかのように剣士であり救世主を思わせる薄い装甲を纏っていた。

 そのままベリアロクでフィールドを細切れにする。

 

『お前がなんだろうと関係ない!

 シンジを返してもらうぞ!』

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。