新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

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2話 見上げた空、唸る筋肉

「シンジくん、おかえりぃ!

 しばらくは訓練もさせれないからのんびりしてていいわ。

 だって心臓が止まってたんだもの、ほんとに、ほんとに…

 心配したんだからぁ‼︎」

 

 目が覚めて四日後、無事退院できたが迎えにきたミサトだが早速号泣さら抱きつかれた。

 一緒に来ていたアスカにも抱きつかれた。

 そうそう、意識が戻らない時に父さんが見舞いに来たんだとか…

 雨どころか使徒が降ってくるかもしれない。

 ちなみに妙な停電騒ぎが入院中あったが、どうやら第9使徒の影響らしいのだがアスカたちが倒したそうな。

 

 

 

 そんなこんなで日常生活に戻ったころ、技術顧問赤木リツコ博士に呼び出された。

 

「シンジくん、体調に異変はない?

 あそこから息を吹き返すなんて信じられないけど…

 もちろん結果が良かったことについては私も同意だわ。

 あなた、あの戦闘から変わりは無くって?」

 

 いつ怪獣が来てもいいようにスパークレンス持ってますとか言えないなぁ。

 

「いえ、全く。

 ちょっと体調がいいくらいですよ。」

 

 とりあえず無難な答えを笑顔で答えておく。

 

「それでシンジくん。

 この間の巨人について何か知ってるかしら?

 あなたたちはあの怪獣の攻撃で倒れて26秒ほど身体接触が見られたわ。

 名称なんかも知りたいわね。」

 

「ウルトラマンZのことですか?」

 

 しまったと思ったがもう遅い。

 

「ウルトラマンZ?

 それが彼の名前なのね!

 シンジくん、彼とやはり接触したのね!

 他には何が目的とかは言ってたのかしら?」

 

 興奮しながら聞いてくるリツコにひきながら

 

「いえ、意識がない間に夢?の中でその言葉が出てきたので、彼の名前としてそう呼んでいます…」

 

 嘘だけど、と思いながら伝える。

 

「なるほど…

 潜在意識下での接触があったのかもしれないわね…

 わかったわ、また聞くからよろしくね。」

 

 やっとリツコに解放されたシンジは胸を撫で下ろしながら帰路へついた。

 自分がゼットさんと融合できるなんて知られたら…まずいなんてもんじゃない。

 

「…司令、私です。

 やはり初号機パイロットと巨人は接触があったようです。

 名をウルトラマンZというそうです。

 はい、本人はそれ以上わからないとのことで…

 えぇ、またわかりましたら報告いたします。」

 

 リツコは碇司令の命令でシンジが巨人と繋がりがないか探っていた。

 個人的にもエヴァの操縦に影響がないのかも知りたかった。

 

「しかし子煩悩よねぇ。

 あれで接し方が不器用すぎるなんて…

 ふふっ、見ていて飽きないわ」

 

 ところ変わってアパートの廊下

 あと15メートルで部屋へ辿り着くというところで

 

『シンジ、シンジ。

 時間あったらキーのスイッチを2回押しなさい。』

 

Zの声が聞こえたので言われた通りキーを2回押すと…

空間が裂け四角形の出入り口が出来上がった。

 恐る恐る中へ入ると同じくらいの大きさに縮んだZがいた。

 

『シンジ、無事でよかった。

 もし私に話したいことがあればこうやって部屋にくるといい。

 それとあと二つのキーを渡しておく。

 パワー特化のベータスマッシュ、超能力が使えるガンマフューチャーのキーだ。

 シンジの記憶を見させてもらって、使徒と戦っているのは理解した。

 だが、この間のように怪獣が紛れ込んでくる可能性もゼロじゃないざんす。

 私がこっちに来た時開いたワームホールの影響だ。

 使徒との戦いでどこまで役に立つかは分からないが、もし危機を感じれば私の力も使ってほしい。』

 

 今日はキーを渡すのと話をするのが目的だったらしい。

 そして翌日、自分が以前迂闊にも考えてしまったことが現実となるとは知らず。

 

「マグノリア観測所からの連絡通り宇宙空間にて使徒を確認!」

 

 パターン青、ATフィールドを有する人類の敵が宇宙空間でその存在を確認された。

 光学映像ではオレンジ色の目のような形をした物体が浮かんでいた。

 アホほどの爆雷を喰らっているのに影響ゼロ。

 ATフィールドが強すぎるようだ。

 

『はぁ⁈

 素手でうけとめるぅ⁈』

 

 シンジとアスカの声がシンクロする。

 

「そうよ、落下予測地点が不明な以上エヴァ三機による広域カバーで受け止めるのが最も可能性の高い作戦よ。

 配置の根拠は女の勘、勝算は神のみぞ知るってところね。」

 

「なんたるアバウト」

 

 アスカが毒づくがいつものキレがない。

 パイロット全員がこれ以上の作戦を提示できないのがわかっているからだ。

 

「みんなの力を貸してちょうだい!

 奇跡を起こすために。」

 

 

 そして各機が配置され、状況が始まる。

 

『これ以降は各機の判断によって行動してください、碇司令と冬月副司令がいない今、全ての責任は私が負うわ。

 支援は惜しまないからなんでも言ってちょうだい。

 それでは、作戦開始!』

 

 ミサトの通信で気合を入れて各機が使徒の落下予想ポイントへ向けて走り出す。

 

「くっ、早い!

 私じゃ追いつかない…」

 

 アスガが目標を追う。

 が、落下速速度が早すぎて追いつかない。

 しかし、

 

「僕がなんとかする、ミサトさん!」

 

 シンジの呼びかけに即座にミサトが応える。

 

「緊急コース形成、8番から32番全部上げて!」

 

 第3新東京市の兵装を運用し、初号機の走る道を作り出していく。

 ひたらすら走り続ける初号機の前にフィールドが展開され、次第に加速し、音速に達したことで辺りの車が吹き飛んでいく。

 跳躍、そしてたどり着いた決戦の地。

 肉眼でも確認できるほどの距離に使徒は迫っていた。

 一番小さい胴体ですらエヴァの全長の倍はある。

 僕が止めなきゃ

 

「ATフィールド、全開!」

 

 何人をも拒む不可視の盾が初号機を中心にあらゆるものを拒絶する。

 そして使徒のフィールドとぶつかり合った瞬間

  ドンッ

これまでにない圧力がのしかかる。

 あまりの重量に受け止める初号機の腕がひしゃげる。

 シンクロしているシンジの両腕には当然、腕をミンチにされる痛みがフィードバックする。

 涙が止まらない、だけど死んでもここだけは譲らない。

 そこはアスカと綾波が走り込んでくる!

 3人のフィールドならば…

 徐々に押し返しだし、勝てると思った刹那

 

 

 使徒の中心部からエヴァサイズの人型使徒が迫り出してきた。

 

「こいつ、まだこんな切り札を!

 しゃらくさいわね!」

 

 アスカが2号機にカッターナイフ型の装備、ソニックグレイヴを持ちコアを引き裂こうとするが…

 

「避けた⁈」

 

 コアが人型使徒の周りを縦横無尽に動き出した。

 エヴァ3機が翻弄される中、人型に迫り出した部位の両腕が槍のような鋭利な形状に変化し、初号機の両腕を貫く。

 

「ぐぅ、ぁぁぁぁぁあ!」

 

 シンジの声にならない悲鳴が辺りに響く。

 アスカと綾波にも焦りが浮かぶ。

 早くコアを壊さなければシンジが壊れる。

 その焦りを嘲笑うかのようにコアの動きは激しさを増す。

 そして内部電源による稼働時間も1分を切ろうとしていた。

 

『シンジ、相手がエヴァを貫いている今なら変身しても体が支えられるから正体がバレないぞ!

 あのコアを抑えるならベータスマッシュだ!』

 

 Zのアドバイスにそれなら、とキーを取り出し2回スイッチを押す。

 

 ウルトラマンZ!ベータスマッシュ!

 

 異空間に体を滑り込ませ、頭に浮かんだ言葉を力強く唱える。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力!」

 

ブートアップ!ベータ!

 

 スパークレンスを変形させ、準備は整ったとZを見上げる。

 Zも頷き返し、

 

『ご唱和ください我の名を!

 ウルトラマンゼェーット!』

 

 Zの言葉に応えるように痛む手でスパークレンスを天に掲げてシンジも叫ぶ。

 

「ウルトラマンゼェーット!」

 

 そして迫る使徒の前に真紅の巨人が立ち塞がる。

 ウルトラマンZベータスマッシュ。

 目の部分を赤いマスクで覆ったガチムチ体型の戦士。

 見た目通りパワー特化の姿だ。

 

「この前の巨人! 

 だけどなんか違う!」

 

 司令室でも騒ぎになり始めた。

 謎の存在であった巨人が姿を変えてまた現れたのだから。

 混乱をよそにZは使徒の人型にアッパーを決め、コアをアメフトの要領でキャッチする。

 これはエヴァ数機がフィールドを中和しているからできる芸当だ。

 そしてZがアスカを見る。

 いまだ、とどめを刺せと言わんばかりに。

 

「はっ!

 あんたに言われんでも!

 わかってるっちゅーの!」

 

 そしてアスカの武器がコアを貫き、ダメ押しとばかりに2号機の膝蹴りをお見舞いした。

 圧倒的質量を持った使徒が形状崩壊を起こして辺りを血の海に染め上げるが、疲労困憊のパイロットたちにそれに突っ込む余裕はない。

 変身を解いたシンジもプラグ内でぐったりだ。

 腕も痛くて上がらない。

 そんな中宇宙に行っているゲンドウから通信が入った。

 

「話は聞いた。

 よくやったなシンジ。

 腕はゆっくり治せ、ではな。」

 

 父に褒められた。

 それだけで…

 シンジは僅かな満足感に満たされながら目を閉じたのだった。

 

 

 同じ時、地球上のどこか

 

「サハクイェルのあの形状、死海文書には記述がないぞ!」

 

「どうしますか議長?

 この僅かなずれが、いずれ我々にもコントロールできない事態を招くと思われますが?」

 

 議長と呼ばれた男、キールローレンツが頭をあげる。

 

「イレギュラーの元凶があの巨人かは不明だ。

 しかしあと8体の使徒を倒し、約束の日を迎えることこそがリリスとの契約。

 そのための戦力の足しとなるのなら、あの巨人も利用させてもらおうではないか。」

 

 同時刻、宇宙では

 

「碇、あの使徒の形態は計画にはなかったはずだが…」

 

「あぁ、今ごろ老人たちは慌てふためいていることだろう。

 あのウルトラマンZと呼ばれる巨人を、倒すのか戦力とするのかでな。

 我々は我々の補完計画を進めるだけだ、例え神の理やあの巨人と対峙することになってもな。」

 

「お前の背中を見せても息子のためにはならんとするか。

 私はそうは思わんがな。

 シンジくんがいい加減可哀想だが。」

 

「冬月先生、あの子は自慢の息子です。

 私の背中など見なくても、立派な大人になってくれますよ。

 あの子の未来のために、今は辛い思いをしてもらいます」

 

 仮にこの戦いで死んだとしても、計画が成就すればまた3人で暮らせるのだから。

 

 

 

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