21話 幕間 シン
シン
心、しん。
あなたのこころ、わたしのこころ
神、しん
天の神、信仰の対象、この世の絶対的存在
真、しん。
まこと、全ての本質、ほんとうのこと
深、しん
物事の奥底、覗かれたくない所、除いてはいけない場所
新、しん。
新しいこと、これからの希望
信、しん。
しんじること、信じれるもの。
芯、しん。
揺るがないもの、揺るがない心。、
進、しん。
すすむこと、決して振り返らないこと。
SIN、しん。
罪、誰の罪、私の罪
「そうだ、私の罪だ。」
どこからか聞こえるそのざらりとした悪意を纏った声。
だがどうにも聞き覚えるある声だが思い出せない。
「忘れたというのか、貴様の罪を。
子を虐げ、愛してくれたものを虐げ、そして世界すら滅ぼしてまでも自らの望みに縋った愚かな貴様の罪を。」
そうだ、それは全て私の罪だ。
だからこそ、償うべきなのだ。
「償う?
その世界で妻も子もある貴様がか?
どう償う?」
それは…
失ったものはもう戻せない。
せめて、今ある幸せを、この世界を守り家族を守るのが私の償いだ。
「それは所詮、貴様のエゴではないのか?
かつて、第一の使徒すら貶め、自らの子を贄としようとしたエゴイスト。
そしてそのために人の身を捨てた。
違うか?」
違う!
今の私は…!
「なにが違う?
なぜ違う?
どう違う?
なぜ貴様だけが幸福を享受している。
…貴様と私は同じだというのに。」
そしてようやく声のする方向を振り向くと声の主を見つける。
髪は短い黒髪、体つきはがっしりしているし背も高いほうだろう。
よく見知った姿であるが相違点をあげるとするのなら普段眼鏡をかけていたが今は赤い機械的なバイザーをつけている。
それは聞き覚えがあって当然だろう。
見知っていて当然だろう。
なぜならそこにいたのは、僅かな違いはあると言えど私
碇ゲンドウの姿なのだから。
「なぜ貴様が私の夢の中にいる?
貴様は過去の亡霊のはずだ!」
冷や汗を流しながらもう一人の自分に問いかけるゲンドウ。
しかし目の前の自分は表情を変えない。
「なぜ?
わかっているのだろう?
私は貴様で、貴様は私。
あの時分たれた私は、貴様と違いまたあの世界にいる。
そう、貴様が願いを叶えたあの世界だ。
時が満ちれば会いに行こう、我が半身よ。
楽しみだな、貴様の幸せとやらがどれほど続くのか…」
そこで目が覚める。
呼吸が荒い、当然だあんなものを見せられては…
時間は午前3時、まさかこの歳で悪夢に起こされるとはな。
隣で寝ていた妻が起きる。
「あなた、大丈夫なの?
随分うなされていたようだけど…」
「ユイ、あまり時間は残されていないのかもしれない。
奴が、私に会いに来るそうだ。
計画を急がねばならないかもしれん。」
「そう、なのね。
彼は来てくれるかしら?」
「あぁ、奴を呼ぶためのサインは聞いている。
準備が仕上がった段階で連絡するさ。」
そしてユイはゲンドウの肩に頭を乗せる。
「また、あの子に頼ることになるのね。
まだ話していないんでしょ?」
「あぁ、しかし現状で立ち向かえるのはあの子だけだ。
また全てをお前に託そうとしている、愚かな父を許さなくてもいい。
すまないな、シンジ。」