新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

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22話 NEXT STAGE 2029

 西暦2015年、謎の巨大生命体・使徒と人類との戦いは人類の勝利に終わり人々は歴史の1ページに使徒大戦という名で当時の戦いを記すこととなった。

 本来はNERVが情報統制をしていたのだが、最終決戦で一度LCLに還元され元に戻った人類たちが詳細は知らぬままだが使徒の存在を認知し、ウルトラマンZ=碇シンジの戦いを目撃していたのだ。

 戦いののち、日本政府・国連・NERVは世界中へ向けて使徒という巨大生物との戦いについて発表した。

 そしてそれに伴い、エヴァを軍事利用させないためにNERVの地下深くに封印することとしたのだ。

 とある条件で封印を解くという取り決めを交わして。

 あわや解散を迫られるかと思われたNERVであったが、世界を救った立役者であると同時に今後の世界の抑止力として存続を許された。

 全てが解決した2016年から13年の平和な月日が流れた。

 

 時に西暦2029年、新たな神話が動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございまーす。」

 

 朝の挨拶は当然おはようございますだ。

 声の主は職場に先についていた同僚たちに声をかける。

 

「おはようございます、碇先生。

 今日も早いですね。」

 

 同僚からの声に笑顔で答える。

 その男の名は碇シンジ。

 かつてエヴァンゲリオン初号機のパイロットとして、また光の戦士・ウルトラマンZとして世界を救った男だった。

 13年という月日は彼を少年から1人の大人の男として成長させていた。

 28歳となった彼の職業はNERV直属の病院の外科医であった。

 そして

 

「兄さん。

 明日手術の患者さんのカルテよ。」

 

「ありがとうレイ。

 いつもわるいね。」

 

 シンジを兄さんと呼んだ女性、青銀色の髪を後ろでひとつ結びにした女性で名を碇レイ。

 シンジの助手で看護師だった。

 実は失った肉体を復元する過程でリリスとしての遺伝子を一割だけ残し、残りを人の遺伝子として再構成した。

 その遺伝子というのがシンジの中にある碇ゲンドウの遺伝子だ。

 元々ユイのクローンとしてリリスの遺伝子を含めて存在していたが再構成したことにより通常の人間に、さらには遺伝子的にはシンジの妹になってしまっていた。

 レイはそれを受け入れ碇家へと迎え入れられていた。

 そして2人は使徒大戦の時に病院でぶっちぎりでお世話になったワーストコンビでもある。

 その2人が将来を目指す上でエヴァに乗れない以上、この選択肢を選ぶのは当然の帰結とも言えた。

 

 そして勤務時間を終え帰路に着いたシンジ。

 今の家はミサトと住んでいたあのコンフォートの一室ではない。

 決して小さくはない一戸建てがシンジの城だった。

 

「ただいまー」

 

 家に帰れば必ずする挨拶。

 ここに父や母、妹はいない。

 だが

 

「おかえりー

 早かったわね、ご飯できてるわよ」

 

 迎え入れるのは鮮やかな赤毛を例と同じように背中で縛ったエプロン姿の女性だった。

 

「ただいまアスカ。

 あれ?みーちゃんはまだ寝てる?」

 

「そう見たい、お昼にはしゃぎ過ぎてたからねえ。

 そろそろ起こそうかしら?」

 

 旧姓・惣流。

 今の名は碇アスカ、3年ほど前にシンジと結婚し一児の子宝に恵まれていた。

 その強気な性格は変わらないが、かつての苛烈な強さから穏やかな芯のある強さへと変わっていた。

 

「パパー、おかえりー」

 

 寝ぼけた目を擦りながら父親譲りの黒髪に、母親譲りのサファイア色の瞳をした女の子が歩いてきた。

 碇未来(いかりみらい)、それが彼女の名前だった。

 子どもの名前を決める時、シンジとアスカは全く揉めなかった。

 というより2人とも同じ名前を考えていたことに笑ってしまったほどだ。

 それだけ勝ち取った宝、未来を守っていきたいという思いが強かったのだろう。

 シンジは娘を抱き上げると食卓に着く。

 かつて、世界を守っていた手は今は家族を守る手へと変わっていた。

 

 ところ変わってNERV本部の一室。

 ここではある機械の調整が行われていた。

 

「あらリツコ、こんな遅くまで作業?

 そろそろ体に触るんじゃない?」

 

「それはあなたもでしょうミサト?

 そろそろリョウちゃんに帰って来いって連絡される頃でしょ?」

 

 赤城リツコ開発課長。

 ネルフのテクノロジーの全てを担当する女傑は目立つ金髪をやめ、黒髪に戻していた。

 男どもからの人気は黒髪にした途端爆発したが特定の誰かと付き合っている節はない。

 そしてその対面にいるのが加持ミサト副司令。

 冬月コウゾウが引退した後昇格しNERVのナンバーツーとなってしまっていた。

 

「そうねぇ、そろそろ息子たちも帰ってくるころね。

 今日の当直は…はぁ、明かぁ。」

 

 あいつこの間も居眠りしてたから鍵差しとかないとね。

 そう思いながらミサトは司令部へ歩いていく。

 

「あら、ミサト…じゃなかった加持副司令、どうしたの?

 そんなに怖い顔して。」

 

 司令部の席で椅子に乗ってくるくると回りながらミサトを待ち受ける女性。

 戸籍上の年齢は31になったはずだがいつまでも若々しいまま姿は変わらない。

 

「どうしたの?じゃないわよ明!

 今日はちゃんと当直の日誌も書いて、責任持ってやんなさいよ!

 あんた一応作戦部長補佐なんだからね!」

 

 ミサトにどやされている人物、この人物がかつて世界を作り替えようとした進化した人類リリン・インフィニティの最上位種。

 シャニこと碇明(いかりあきら)だった。

 レイと同じように再構成された明は碇家の長女となり、なんとNERVに就職していた。

 危険視する声ももちろんあったがもともと頭も良く、立案する作戦も的確なため気付けば作戦部長補佐となっていた。

 しかしこの部署、作戦課長がそもそも存在しないため実質のトップである。

 

「そんなにカリカリしないでよー。

 また小皺増えるぞ⭐︎」

 

 この水と油コンビだが、天災などの救助ミッションを含む有事の際は非常に優秀であり抜群のコンビネーションを発揮する。

 もうこの世界には敵はいない。

 この13年間流れた穏やかな空気はそれを世界に感じさせるほど平和という言葉を感じさせていた。

 

「なにをしている。」

 

 背中から聞こえる低い声に肩をびくつかせる2人。

 

「碇司令、私は部下の指導をしていただけです!」

 

 ミサトはあさっての方向を見ながら答える。

 階級は上がっても怖いものは怖いのだ。

 ゲンドウは白髪が増えた程度で一切その見た目が変わらなかった。

 

「そうか、明。

 給料分はしっかり働けよ。」

 

「はぁーい、パパ!

 それより、あの件。

 そろそろシンジくんに話すんでしょ?

 お店、用意してあげようか?」

 

 あの件?

 ミサトが一切わからない内容をこの親子は話している。

 

「…あぁ。

 大丈夫だ、明後日シンジとうちで飲む。

 その時に切り出すつもりだ。」

 

 そう言って帰路に着いたゲンドウ。

 

「おじいちゃんになっても、臆病なのは変わらないなぁ。

 でもとうとう決めたんだね…」

 

 そうして明は遠い目で宙を見ていた。

 

 それから2日が過ぎた。

 シンジは今日は自宅ではなくゲンドウたちの住む新しく建てられた実家へと向かっていた。

 

「ただいま、父さん、母さん。

 それと姉さん久しぶり、元気だった?」

 

 そう声をかけると明が抱きつく。

 

「シンジくーーーん!

 おかえり!

 ねぇ、アスカちゃんと未来ちゃんは?

 お家なの?ざんねーーん!

 いいなぁ、私も子供欲しいなぁ…シンジくん、お姉ちゃんと…ぶほぉ!」  

 

 後ろから強烈な一撃を後頭部に喰らう明。

 背後にはスリッパを振り抜いたユイがたっていた。

 

「明ちゃん?

 話が進まないから静かにしてなさい。」

 

 母は強し。

 その言葉を痛感し、ゲンドウ、明、シンジの3人は冷や汗を流す。

 

『い、イエス・マム…』

 

 その後は穏やかに家族同士の久々の夕食と酒を楽しんだ碇家。

 和やかだった雰囲気はゲンドウの言葉で突然終わる。

 

「シンジ、お前に話があるんだ。」

 

 いつになく真剣な、優しいがどこか不安を秘めた声。

 シンジは頷くとゲンドウに続いて外に出た。

 

「どうしたんだよ父さん、改めて話なんて?」

 

「あぁ…どこから話したものかな?」

 

 ゲンドウが何か言いづらそうにしている。

 その時だった、けたたましいアラームが鳴り響く。

 

「なんだ…?」

 

 そして次の瞬間ゲンドウから三メートルくらい離れた空間が突如開くと巨大な手が出てきた。

 シンジは直感的に動きゲンドウを抱えて横っ飛びに飛ぶ。

 その巨大な手は空を切った。

 それを見てゲンドウはつぶやく。

 

「馬鹿な…!

 なにがなんでも早すぎるぞ!」

 

 父はこの手の正体を知っている…だけどそんなこと後だ。

 まずはこの手をなんとかしないと!

 焦るシンジ、その時だった。

 空から青い稲妻が光ったかと思うとその手に直撃した。

 ダメージがよほどデカかったのかその手は空間に引っ込み、空間の穴もそのまま閉じた。

 一体なにが…?

 ふと稲妻の正体が気になり空を見上げるシンジ、そこには

 

『13年ぶりか…

 シンジ、デカくなったな!

 碇司令、約束に応じて参上した。』

 

「そんなまさか…Z、さん?」

 

 かつてシンジと共に世界を救った光の巨人ウルトラマンZがそこに浮いていた。

 

『その様子だとまだ話していないようだが…大丈夫なのか?』

 

 しんぱいするZを手で制するゲンドウ。

 

「問題ない。

 これは私のやるべきことだ。

 シンジ、今日お前やZを呼んだのは他でもない。

 お前に話さなければならないことが、頼みたいことがある。」

 

 ゲンドウが自身の黒いスパークレンスとキーを取り出し話し続ける。

 

「疑問に思わなかったか?

 急に私のお前に対する態度が変わったことや、私が死海文書や生命の書について知っていたこと、そして最後の戦いのあの日、エヴァに変身して戦ったことを。」

 

 確かに疑問に思っていた。

 しかしこれはパンドラの箱だ。

 開けば、何か恐ろしいものが飛び出してくるようなそんな予感がしていた。

 覚悟を決めたゲンドウから聞かされた内容は衝撃的なものだった。

 

「私は、お前の父であり、父ではない。

 私はこの碇ゲンドウとしての人生は2回目なのだ。」

 




さぁSINシリーズ実質の第一話目がなんとか始まりました。
ここからは更新頻度が毎日ではなくなるかもしれませんが、変わらずに読んでいただけると嬉しいです
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