「んっ…」
目覚めたシンジがいたのは金属製の筒の中だった。
しかしこのシートの感触、随分と懐かしいような…
ん?シート?
そこでシンジは自分がなにをしたいのか寝起きの訛りのような頭で考える。
そうだ、確か父さんに頼まれごとをして
Zさんと久しぶりに会って
そうだ、新型プラグに座らされてエントリースタートしたら眠くなったんだ。
その用途は
「別の世界への移動…ってことは!」
『無事成功したみたいだぞ?
おはようシンジ!』
1人だけの閉鎖空間に声が響く。
それもそうだろう、彼は今シンジと一心同体に再びなったのだから。
彼こそがかつて世界を救った光の戦士であり、シンジの相棒ウルトラマンZである。
しかしシンジは違和感を感じていた。
父の話だと、今はこっちの世界のエヴァの中のはずだ。
エヴァの中なのに何かが…
そう考えていると激しい揺れを感じた。
『なんだこの揺れは⁈
外で戦闘でも起きてるのか⁈』
場面は切り替わり外の空間、いわゆる宇宙区間での出来事。
とある作戦が進行中だった。
『コントロールセンターからツーダッシュ。
目標を視認できる距離のはずだ。
今後7分はこちらの誘導を受け付けない、それまでにケリをつけて!
good luck。』
そして作戦遂行のために大型ブースターを取り付けられた、機体がゆっくりと宇宙に浮かぶ十字架を目掛けて進む。
搭乗員は内心、このままなにもないといいけど、なんて思っていた。
しかしその淡い期待は裏切られる。
『目標宙域に反応あり!
妨害が入った!
パターン青、コード4bです!』
その連絡が入ると同時に宇宙空間を円形に四つの爪を持つ敵が進んでくる。
くっ、やっぱりきたか!
そして熱源を感知、やばい被弾する。
機体を挟むように設置された大型の盾で受け止めるが、所々に穴が開く。
あぁ、もう!
「邪魔!」
ヘルメットを脱ぎ捨て、長い髪を解放する。
そして左目を眼帯で覆った少女は被弾した盾を放棄してその機体の姿を
エヴァンゲリオン2号機の姿をあらわにした。
そのパイロットこそ
『アスカ!
目標物は⁈』
無線で呼ばれた自身の名前に反応する。
「若干動き出してる!
アタシはこのまま強行する!
コネメガネ、援護!」
『仰せのままに〜、お姫さまっ!』
空間を泳いできた数体の4bと呼ばれた物体が銃弾を受け爆散していく。
アタシは自分の任務を優先する。
2号機を移動する巨大な十字架に取りつかせると、大気圏突入直前だった。
勢いを殺さないと!
残りのブースターを燃焼させ勢いを殺すと用無しのデカブツを外しリリースする。
あーあ、不法投棄いけないんだぁ。
宇宙空間に巨大な鉄の塊を投げ捨てることに多少の罪悪感を覚えないこともないが、大気圏で燃え尽きることを信じるしかない。
「対象確保、状況終了。
帰投するわ。」
『了解、合流場所はサターンファイブ。』
昔はこんな時にお疲れ様とか一声あったのに。
事務的な口調の通信相手の過去を振り返りながら地上への降下まで一息つくことにしたアスカ。
だが、少女をすんなり返すほど敵はお人好しではないようだ。
コンソールに表示するのと同時にアラートが鳴り響く。
「パターン青⁈
一体どこに⁈」
飛び回っていたのは全部同僚が打ち落としたはずだ。
あいつのことだ、そんなヘマはしない。
しかし正体は灯台下暗しだった。
アスカが飛び乗っていた十字架、その一角が開き何十本もの鏡の触手が伸びていく。
その触手上を先ほどの4bと同種のものが滑っていく。
手持ちのハンドガンで狙うが動きが速過ぎて当たらない。
「洒落臭い!
こちとら再突入直前だっちゅーの。
コネメガネ、援護!」
「めんご〜。
高度不足で無理!
おっさきー」
しかし同僚の方はいつの間にやら降下地点の方まで降り始めていた。
タイミングの悪い。
そう思っていたアスカの目に4bが輝き出すのが見えた。
そして咄嗟にATフィールドを展開するがそれを透過して光が2号機を焼く。
「ちょっ、この光!
フィールドを突き抜けてくるじゃない!」
光に焼かれる感覚に耐えていると、鏡上の触手が2号機を囲むよう展開される。
うっそ、やっば!
案の定なにも見えなくなるほどの光がアスカの視界を覆い、そして体を焼いていった。
どうすんのよこんなの⁈
次の瞬間アスカは無意識に叫んでいた。
「なんとかしなさいよ!
バカシンジィィィ!」
なんかすごく揺れるな…
状況が全く認識できないシンジ。
プラグの電源や外のモニターを表示しようにもつかないのだ。
参ったなぁ。
その時Zが呟く。
「シンジ、何か近くにいるぞ。
一つは懐かしい気配だ。
もう一つは、なんというか…気持ち悪い!
よくわからんが今エヴァは何かの箱みたいなのに入っていてうまく感じ取れない。
アルミホイルで携帯包む感じだな。」
よく知ってるなこの宇宙人。
そんなことを思っているとどこからか声が聞こえた気がした。
なんとかしなさいよ!
バカシンジ!
パラレルワールドだろうと聞き間違えることのない子の声は
「Zさん、アスカが呼んでる!」
『おぉぅ、さすが夫婦!
でもこの感じで呼んでるってことは、ピンチだな。』
ようやく現状が認識できた2人。
やることは決まってる。
「13年ぶりですね。」
『あぁ、ウルトラ気合い入れていくぜ!』
そしてシンジはキーを起動する。
ウルトラマンZ!イプシロンエヴァ!
ブートアップ!イプシロン!
「絶望を打ち払え!
紫電の福音!」
『ご唱和ください我の名を!
ウルトラマンZ!』
「ウルトラマンZ!」
突如アスカを取り囲んでいた触手が半分以上切断された。
そしてアスカは自分を助けた存在を目の当たりにする。
そこには黒い剣を構えたエヴァと同じ大きさの巨人が2号機を庇うように立っていた。
「なにこいつ…
パターンオレンジ、でもなんで初号機、0号機、2号機のシグナルがこいつから出てんの⁈」
混乱するアスカをよそに、巨人は次々と触手を両断し、遂に本体だけが宇宙空間に取り残されていた。
そして巨人は人差し指にものすごいエネルギーをチャージすると、一瞬でその本体を撃ち抜いて破壊してしまった。
すごい…
その手慣れた戦闘スタイルは人を認めないアスカから見てもその一言しか出ないほど手際が良かった。
すると巨人がこちらを見てくる。
なによ…
『私の名はウルトラマンZ。
申し訳ないが、君たちの責任者のところまで一緒に行ってもいい?』
まじか、こいつ喋るぞ。
母艦にことの経緯を話すとすんなり話し合いは了解されてしまった。
そして私たちの母艦、ヴンダーに帰投すると先に戻っていた同僚、エヴァ8号機が銃を構えて待っていた。
艦橋にはミサト、いえ葛城ミサト大佐が待っていた。
『あなたがウルトラマンZ?でよかったかしら?
私がここの責任者葛城大佐です。
なにが目的なのかしら?
一応正体がわかるまでは銃を向けるけど、警戒のためと理解していただきたい!』
ミサトの声がスピーカーで響く。
そしたら巨人は一瞬頭を掻くような仕草をした後、光の柱になる。
そして艦橋に現れた人物に誰もが目を疑った。
「こっちでは始めましてかな、ミサトさん?
自己紹介、一応しとく?」
ミサトが明らかにフリーズする、だってそこにいたのは
「シンジ、君なの?
なんで…あなたはまだエヴァの中で眠っているはずじゃぁ…」
背丈も伸びて顔つきも変わっているけどそこにいたのは碇シンジ、この世界を滅ぼした大罪人のその姿があった。