新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

26 / 36
26話 ただ一人の使徒

 ブリッジに向かったシンジが見たのはヴンダーを包囲するように展開されてたエネルギーの網がドーム状に展開している光景だった。

 交差する部分に目のような模様が見える。

 パターン青の反応を示しているということはやはり使徒なのか?

 

「ミサトさん、あれは使徒なんですか?」

 

「シンジくん、あれはネーメジスシリーズ。

 この世界の碇ゲンドウが作り上げた人造の使徒よ。

 宇宙で戦ったネーメジスに何か見覚えはなかった?

 やつらにはエヴァのパーツが使われているの。

 福音が聞いて呆れるわ。」

 

 確かにどこか機械的なあの姿、ネルフのエヴァのパーツを思わせるものだった。

 そうこうしているうちに、アスカが主機を点火、発進したヴンダーが人造使徒を引き摺り出し破壊することでことなきを得た。

 そして、機体を回収して4時間が過ぎた。

 今、シンジ用の部屋でこの世界のアスカと2人で向かい合っていた。

 

「…アスカ。」

 

「なによ、大人になった碇シンジ。」

 

 どこかアスカはツンケンしていた。

 

「君にも言いたいことがたくさんあるんだと思う。

 僕はこの世界のシンジじゃないから、君とどんなふうに時間を過ごしてきたかはわからない。

 それでもたった一つだけ、僕の命をかけてでも君に言えることがある。」

 

「な、何よ…」

 

 シンジの気迫に思わずたじろぐアスカ。

 それほど大人になったシンジは真剣な顔をしていた。

 そしてその真剣な顔を笑顔に変えて

 

「この世界でも君に出会えてよかった。

 そして、宇宙で守れたことも。

 世界が変わっても、僕にとってアスカは世界で一番大事な人だから。」

 

 いいなぁ、大事にされてるんだあっちのあたしは。

 思わず涙ぐみながら視線を逸らすアスカ。

 

「ふ、ふん!

 随分とまぁ惚気てくれちゃって。

 いいわ、教えなさいよ。

 アンタと、あっちの世界のあたしが今どうしているのか。」

 

 その言葉にシンジは顔を曇らせ、その変化にアスカは怪訝な顔をする。

 

「その話は、多分を君を傷つけると思う。

 その代わりに向こうでの闘い方を教えるよ。

 システムのデータはリツコさんに渡してあるから、いずれ君のエヴァにも搭載されるはずだから。」

 

 その言葉に真剣な顔を向けるアスカ。

 そしてシンジはオリジナルのキーを取り出す。

 

「このキーを使って僕はウルトラマンに変身してる。

 そして、そのデータの応用でエヴァの装甲をATフィールドを変形させて戦闘特化の姿に変えることができる。

 向こうの世界の君は、二刀流で刀を使えるように鎧武者のような装備を好んでいたよ。」

 

「興味深いわね、例えばそれはその二刀流以外の力は使えないの?」

 

「そんなことはないと思う。

 今のアスカと2号機にベストな戦い方ができるように調整してもらえれば、例えば弓を使う力になるかもしれない。」

 

 そうまで言ったところでアラートがなる。

 

「なによ、また奴らなの⁈

 シンジ、アンタはブリッジに向かいなさい!」

 

 そう言って駆け出そうとしたアスカだが、直後に廊下の壁が崩壊する。

 そこには山吹色のエヴァがいた。

 

「これって、零号、機?」

 

「逃げなさい!

 それはマークナイン!

 NERVの新型エヴァよ!

 もうあのエコヒイキはいないのよ、だから!」

 

 アスカの忠告が全て耳に入る前にマークナインと呼ばれたエヴァの両手に抱えられるシンジ。

 頭の中に声が流れてくる。

 

 碇くん、見つけた。

 あなたを連れて行く、それが命令

 

 聞こえた声は確かにレイの声だった。

 しかしシンジには見えてしまう。

 分かってしまう。

 世界で唯一のインフィニティである彼には全ての魂の在り方が見えてしまう。

 

 何だこのエヴァ⁈

 魂が空虚…でもその体はコピーでも何でもなくアダム?

 中のパイロットは…そんな

 魂が、ボロボロだ。

 リリスの魂が受け継がれていない。

 急拵えの魂で…この体を

 

 碇くん、私はアヤナミレイ

 さぁ、私と一緒に司令のところへ

 

 

 その時アスカは不意に感じた殺気に、圧に身震いする。

 

「…ふざけるなよ、碇ゲンドウ。

 僕の妹を、命をバカにするな!」

 

 シンジを包んでいたエヴァの手が無理やりこじ開けられる。

 そこには、インフィニティ化したシンジが立っていた。

 

 当然司令室でもこの姿はモニターされていた。

 

「これが、シンジくんの力…」

 

 リツコの呟きが、無言の司令室に反響した。

 あまりの驚きに誰もが声を上げることを忘れ、静かさに包まれていたが故に。

 

 

 甲板に飛び移るシンジ。

 再び手を伸ばそうとするマークナインを前にオリジナルのキーを構えるシンジ。

 キーが輝き深紅に染まる。

 

 ウルトラマンZ!アドバンスゼスティウム!

 ブートアップ!アドバンスAtoZ!

 

「希望を導け、真紅の絆!」

 

『ご唱和ください我の名を!

 ウルトラマンZ!』

 

「ウルトラマンZ!」

 

 真紅に染まるウルトラマンZがマークナインを蹴り飛ばす。

 甲板上を滑るように後退したマークナイン、そしてアヤナミレイは生まれて初めての恐怖を感じた。

 咄嗟に背面のブースターを起動させ飛び立ったのは奇跡に近いだろう。

 大腿部から下をアドバンスゼスティウム光線が焼き尽くす。

 光線が消えたあとマークナインは上半身のみで逃げ出していた。

 

 光が散るようにシンジが元の姿に戻っていく。

 恐る恐る近づくアスカに笑顔で振り向く。

 

「見られちゃったなぁ。

 アスカ、僕もね、もう半分人間じゃないんだ。

 向こうの世界で、そしてこちらの世界でもただ一人だけの使徒。

 リリンインフィニティ。

 こうやって体は成長しているけど、いつまで生きていくのか、どうやったら死ぬのかわかんないんだ。

 だから、君は僕に比べたらまだ人間だよ。」

 

 寂しげにいうと、踵を返しミサトヘ報告するために歩き出した。

 

「シンジ…」

 

 アンタ、アタシの秘密にも気づいてそう言ってくれたの?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。