新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

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28話 シン・インフィニティ

 イレギュラーな13号機の起動。

 対13号機用に整えていたエヴァへのキーシステムの実装は間に合わず、現状最大火力の装備で2号機と8号機を送り出したヴィレ。

 そして13号機の後ろに控えるmark9。

 セントラルドグマの最下層、リリス封印の間にて睨みあう四機。

 その床はニアサーで強制進化に巻き込まれた人間、エヴァインフィニティのなりそこないの頭蓋骨が敷き詰められていた。

 そして奥にはリリスの亡骸と、激しい戦いを繰り広げたであろうエヴァが放置されていた。

 

「誰が乗っているかしらないけど、NERVのエヴァに警告するわ。

 それ以上、その機体を稼働させるのなら武力を持って止めさせてもらうわ!」

 

 アスカがわざと警告を発した理由、それはエヴァのパイロットの正体を掴むための意図があった。

 そして、その意図は汲まれた。

 

『…そこをどいてよ、アスカ。

 僕たちは、父さんの理想を叶えなきゃならないんだ。

 槍を抜いて、楽しかったあの頃に戻るために!』

 

 モニターに映った姿、その声。

 全て13号機のパイロットが、14歳の碇シンジであることを裏付けてしまった。

 

 混乱するヴンダー内。

 リツコがシンジに問う。

 

「どういうことなのシンジくん?

 あなたがここにいるのに、なぜエヴァにこちらの世界のあなたが乗っているの?

 同じ人間は、同じ次元に存在できないはずよ!」

 

 シンジすら状況を飲み込めていなかった。

 

「…わかりません。

 インフィニティとして覚醒しているから、世界が僕と彼を同一とみなしていないというのが一番納得のいく答えではありますが…

 しかし、いつ彼はエヴァの中からサルベージされたんですか?」

 

「実は、あのあと何度もサルベージを試みても誰も救出できていないのよ。

 だから、何が起きているのか。」

 

 しかし状況は刻一刻と進んでいる。

 アスカが止めるために手にしていた斧で切り掛かるが、ビットがフィールドを貼り攻撃を防ぐ。

 マリがアンチATフィールド弾を打ち込むが13号機本体がフィールドを持っていないためにすり抜ける。

 13号機はビットで攻撃をいなしながら悠然とリリスに向かう。

 

『無駄だよ、アスカ。

 でも、邪魔するんなら見過ごせないかな。

 大丈夫、全部終わらせたら会いに行くよ。

 だから、消えろ。」

 

 そして13号機に乗るシンジがその瞳を真紅に染める。

 13号機が緑のラインを朱色に染め、その一対の瞳を真紅に染め、頭上に天使の輪を掲げ始めた。

 

「擬似シン化形態⁈

 そんな、アンタ一体⁈」

 

 答えはビットから放たれた過重なフィールドの圧力で返される。

 2号機も避けるが次々にふりかかる。

 正直、キリがない。

 

 

『あれは…14年前にシンジが操られて私たちと戦った時の初号機と同じ⁈』

 

 Zが使徒大戦中、トリガーと共に操られたシンジの初号機と戦ったときに手も足も出なかった形態。

 あの時はシンジもほかのリリン・インフィニティに操られていたためシンジの意思ではなかったが。

 その言葉にミサトが反応する。

 

「では、あの擬似シン化形態はインフィニティ化が原因だと?」

 

 しかしシンジは首を横に振る。

 

「いえ、あっちの僕の力はインフィニティの力とは別のものです。

 シンクロ率が高まって、意図的に封じられたエヴァの使徒としての力を解き放っているんでしょう。

 それよりミサトさん、僕も出ます。

 こうなった以上、このチョーカーを外して力を使うしかない。」

 

「…世界の存亡の危機には変えられないわね」

 建前上口にしなくてはならない言葉を吐きつつ、またシンジに全てを託さねばならない己の無力さをミサトは感じた。

 気にする時間はないと、気持ちを入れ替えミサトはチョーカーの解除コードを発動し、その場にチョーカーが金属質な音を立てて落ちる。

 ミサトは15年前と違い、今度こそシンジを見送ることにした。

 

「シンジくん、いってらっしゃい。

 あの子達を頼むわ。」

 

「行ってきます。

 みんなを、救ってきます。」

 

 そして甲板上に出たシンジはキーを起動しながら、宙へその身を踊らせる。

 

「絶望を打ち払え!紫電の福音!」

 

 ウルトラマンZ イプシロンエヴァがフィールドを足場に地下へと加速する。

 そしてセントラルドグマの空中で追い詰められている2号機を見つける。

 でかい一撃で弾き飛ばすしかない!

 

「真っ赤に燃える、勇気の力!」

 

 ウルトラマンZ!ベータスマッシュ!

 ブートアップ!ベータ!

 

『ゼスティウムラリアット!』

 

 重量、加速力が加算されたラリアットが直前で気付きクロスガードで構える13号機とぶつかり合う。

 

『くっ、来たな偽物!

 お前がいなければ、父さんの理想も!』

 

「何を言ってるんだ!

 あの槍を抜いても、何も元には戻らないんだぞ!」

 

 2人のシンジがぶつかり合う。

 不意打ちと加速なので隕石レベルのパワーを弾き出しているというのに13号機のガードは揺らぎもしない。

 パワーではこちらが弱いか、ならば!

 インフィニティ化し、アドバンスゼスティウムになり即座に格闘戦に切り替えるシンジ。

 13号機はビットからフィールドの腕を作り出し全方位から攻撃を繰り出す。

 アスカたちはマーク9を相手取っていた。

 しばらくの殴り合いから距離を取り、Zのシンジが問いかける。

 

「一緒に乗っているのはカヲル君なのか?

 なんで、僕を止めてやらなかったんだ、カヲルくん!」

 

 その問いに薄ら笑いで答えるシンジ。

 

『カヲル君?

 あぁ、この始祖もどきを知ってるんだね。

 父さんが魂を入れたまま廃人にして座るだけのせているよ。

 しかし、偽物の僕はこんなものまで人扱いしてるとは、飛んだゲテモノ趣味だな。』

 

 その言葉にかつてない怒りを覚え、全力のゼスティウム光線を即座に打ち込む。

 煙が晴れる時にはそこに13号機の姿はなく、リリスの上で槍を掴んでいた。

 

『君の相手は此世界の終わりでしてあげるよ。』

 

 13号機が槍を引き抜き、一閃すると横たわっているエヴァの首が落ち、コード状のナニカが出てきた。

 感覚でわかる、こちらの世界の使徒。

 そしてその使徒が球体に圧縮され13号機が噛み砕く。

 

『見せてあげるよ、君が至ったことのない姿を。

 擬似シン化、第三形態』

 

 一瞬で全身が白く染まり、背後に輪が浮かぶ、

 そして瞬く間に上空まで飛び去ってしまった。

 

『シンジくん!

 13号機が空中に移動、ガフの扉が開き始めてるわ!』

 

 ミサトからの連絡が最悪の事項を告げる。

 即座に飛び上がり空中へ向かうが1分ほどかかってしまった。

 

 そこで見たものは儀式を始めた13号機。

 

『やばいぞシンジ!

 あのエヴァを止めようにも、先に扉を閉じないと!

 片手間で相手ができる相手じゃないぞ!』

 

「わかってます!

 槍がトリガーになっている以上、こっちも槍を出すしかない!」

 

 そしてシンジは自らの心臓の位置に両拳を重ねる。

 そこから、ロンギヌスの槍を抜き出した。

 一回転させ正面に構える。

 

「アダム、リリス、力を貸してくれ!」

 

 槍が光に包まれると黄金と黒のキーへと変わり軌道する。

 

 ウルトラマンZ!ΖETAロンギヌス!

 ブートアップ!ゼータ!

 

「光と闇!

 狭間を穿て、終幕の槍!」

 

『ご唱和ください、我の名を!

 ウルトラマンZ』

 

「ウルトラマンZ!」

 

 最強のZが顕現する。

 14年の力のコントロールの修行が、かつての力を比べ物にならないほど強力な存在へと変えた。

 前回はグリッター化してようやく壊れた扉だが、今のシンジならば

 

「こんな未来は認めない!

 ゼスティウム・ロンギヌススマッシャー!」

 

 ロンギヌスの矛先からありえない量のエネルギーが放たれる。

 その力はガフの扉に吸い込まれていき、扉を自壊させた。

 そして高速で移動し、槍で13号機を叩き落とした。

 

「悪いけど、君とは戦ってきた年季が違う。」

 

 追撃のため地上に降りたZとシンジが目にしたのは、シン化が解け立ちあがろうとする13号機の姿だった。

 装甲はところどころ壊れ、ダメージを物語っている。

 

『…此世界のことなんて君には関係ないはずだ、手を出すなよ。

 まさか、父さんにもらったこれを使う羽目になるなんてね。』

 

 次の瞬間、エヴァの量こめかみあたりから鋭角なツノが装甲を砕いて迫り出してくる。

 同様に体の中心部に、黄色く発光する器官が迫り出してくる。

 装甲は黒く染まり、その両手は鋭角な鎌に変わる。

 

『君たちウルトラマンを殺すにはこれだと聞いてね。

 ハイパーゼットンのキーを使ったゼットアーマー、フォービドゥンゼットンだ。』

 

 なんだと⁈

 ゼットアーマーは使徒大戦中に向こうの世界のリツコが考案した強化システムだ。

 しかも怪獣のキーで行うなど聞いたことがない。

 なぜこいつらがそんな力を⁈

 思考は迷いを生む。

 

 気づけば槍は折れ、全身からダメージを感じながら倒れ伏していた。

 

 早い!

 攻撃は捉えられず、頼みのロンギヌスすら、一瞬で砕かれた。

 

『シンジ、大丈夫か?

 よりにもよってハイパーゼットンとは…

 ダイナ先輩やゼロ師匠、コスモスさんが合体してようやく勝てた相手だってのに…

 頼みのロンギヌスも通用しないなんて!』

 

 ガフの扉を閉じた以上、離脱してもいい。

 しかし、13号機をこのまま放置すればアスカたちが殺され、再び儀式が起こる可能性も考えられる。

 戦うしかない。

 

「…切り札を出します。

 ゼットさんは、奴を倒すことだけ考えてください。

 僕らがシンクロしないと、勝てない!」

 

 そしてシンジはZも知らない奥の手を解き放つ覚悟を決めた。

 

 スパークレンスからキーを引き抜き、再び起動する。

 

 オーバーゼスティウム!

 

 再び挿入する。

 

 ブートアップ!オーバー・ゼータ!

 

『シ、シンジ?』

 

 動揺するZをよそに、新たな祈りの言葉を紡ぐ。

 

「宵闇を切り裂く、蒼き明星!」

 

『えーい、ままよ!

 ご唱和ください我の名を!ウルトラマンZ!』

 

「ウルトラマンZ」

 

 ウルトラマンZ!ZETAインフィニティ!

 

 14年前、全世界とZ、シンジの願いが一つになり進化した2人の到達地点。

 インフィニティの力を完全にコントロールできるようになったシンジがZとシンクロすることで進化した。

 

 2人のシンジ、その戦いに決着をつける時が来た。

 

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