「ゼロさんって、Zさんの師匠の?」
ゾーフィの放った髑髏型量産エヴァに窮地に追いやられたシンジの前に現れ、その窮地を打開したマナカケンゴとアスミカナタ。
彼らが次元を超えて現れた理由、それは光の国にいるZの師匠・ウルトラマンゼロからの伝言を頼まれてのことだった。
「そうそう。
用意するからちょっと待ってて。」
ケンゴはそういうとポケットから銀色の棒を取り出し、そのくぼみを押した。
筒の先端が開き、赤い球体が見えたかと思うとそこから上空に映像が投射される。
そこに写っていたのは頭部の両端に鋭利なトサカを持つ銀色と青色を纏ったウルトラマンだった。
『あー、ようやく繋がったか。
ケンゴ、カナタ、ご苦労だったな。
そんで、お前が碇シンジか?」
シンジは恐る恐る頷く。
『俺はウルトラマンゼロ、お前と一緒に戦っている三分の一人前の…一応師匠をやらせてもらってる。
Zのやつが世話かけてるな、これからもよろしく頼む。』
「い、いえいえ!
僕の方こそ、Zさんに頼りきりで…」
『Zから聞いてた以上に謙虚なやつだな。』
ゼロの言葉に思わず驚くシンジ。
いったいどんな話を…
『ん?
あぁ、別に変な話じゃないさ。
シンジっていう14歳の相棒がすごいやつだって、自信はないけどやる時はやるし誰よりも優しいウルトラ強い男、だそうだ。
悪いが思い出話をしに通信をしたわけじゃないんだ、大事なことを伝えるぞ。
まず俺たち光の国の戦士たちはお前たちの今の戦いには手を貸せない。
エネルギー反応からしてお前も接触したと思うが、ゾーフィというウルトラマンが奴らの世界の天体制圧用最終兵器ゼットンを光の国に放ってきやがってな。
宇宙警備隊の総力を上げて三日三晩の決戦が行われて何とか倒したが、光の国はボロボロでその気に乗じて暴れ回る奴らが多すぎた。
要はその鎮圧と光の国の立て直しで手が回らん。
そこにいる奴らも、自分のいる地球でのゴタゴタの合間に俺の用事を手伝ってもらってるところだ。
だから、この通信が終わり次第元の場所に帰還予定だ。』
自分たちの知らないところでそんな出来事が起きていたとは…
もはや事はウルトラの星すら巻き込んでいる。
『手は貸せねえ、だがなにもしないってわけじゃない。
シンジ、スパークレンスを見てみろ。』
言われてみてみれば、ところどころパーツが割れ内部が露出し、あまつさえスパークを上げていた。
『過負荷の代償ってとこだな。
シンジも気づいていると思うが、お前の中の使徒ってのの力が14年前とは比較にならないほど強力になってきてるってこった。
そしてそのスパークレンスは、本来ケンゴがトリガーに変身する前提で設計されているもの。
インフィニティ、だっけか?
その力が想定されていない以上、遅かれ早かれの結果だ。
そいつを、光の国の科学力で俺たちがお前の力に耐えれるように改造する。
だから、3週間後にはZが必ず目を覚ますはずだ。
そのときに光の国に来てくれ。
シンジも反動で今力は使えないと思うからしっかり休め。
行き方は3週間後にまた使いを送る。
最後に、この機械はシンジが持っていってくれ。
じゃあな。』
そう言って通信は切られた。
疲れた頭に何とも理解しきれぬ話だ。
ケンゴが迷いながら切り出す。
「シンジくん、ごめんよ。
僕らは今、スフィアという正体不明の敵から地球を救うために戦ってる最中なんだ。
だからもうここから帰らなきゃならなくて…
ごめんね、向こうでの戦いが終わったら必ず力になるから!」
彼は再び戦いの中に身を置いている。
今のシンジに構う余裕などないはずだろうに、それでも気遣いを見せる優しさ、これこそがマナカケンゴという英雄だったと思い出す。
シンジは震える体でありながらも心配をかけまいと気丈に振る舞う。
「大丈夫です、僕もあの時よりも強くなったんです。
だから二人は、自分の守るべきものを守りに行ってください!
ここは、僕が守るべき場所です。」
そして3人はお互いの武運を祈りそれぞれの道へ歩き出した。
「何カッコつけてんのよ、やっと見つけたわバカシンジ!
さっさと行くわよ!」
急な声に驚くと背後にアスカがいた。
「アスカ⁈
なんでここに?
てか、エヴァはどうしたのさ?」
アスカの話によると、シンジが戦っている間にマークナインがアダムスとして覚醒し、ヴンダーをハッキングしたらしい。
何でハッキングできたのかとかそもそもアダムスって何だかよくわからなかったがとりあえず置いておく。
それでアスカが2号機を自爆させマークナインを撃退したんだそうな。
「というわけであんたに船まで連れて帰ってもらおうと思ったんだけど、さっきのあんたらの話聞く限りだと無理そうね。
別ルートでいきましょう。」
「?
どこかで船に合流できるのかい?」
「違うわ、現状船への合流は不可能よ。
特にこの赤い大地の上ではね。
だから、合流できるところまで移動するの。
人類の生き残りが住むコロニーの一つ、第3村までね。
安心なさい、懐かしい顔もいるから。」
そして歩き出すアスカについていく。
正直言って、僕には知らないことが多すぎる。
全ての知識を得ていると言っても、この世界のことは知らないことが多すぎる。
父さんから教えてもらったのはあくまで断片的な必要最低限なネルフの行動くらいだ。
それに、ゾーフィの存在。
彼の存在は間違いなくイレギュラーだ。
横槍だったとは言え、今の僕で勝てるのだろうか?
そう悩んでいた時アスカが急に足を止めた。
何事かと足を止め、前を見るとエントリープラグが落ちていた。
その横に佇む、綾波レイの形をしたクローン体。
待てよ、プラグの中に誰かいるぞ?
シンジは魂を知覚できる。
この魂は、もしかして…
「…アスカ、中にこっちの僕がいる。」
その言葉にアスカは拳銃を抜こうとするので慌てて抑える。
「落ち着いて、何かあれば僕が制圧する。
彼も、ゲンドウに裏切られたんだ…
今の彼には、何かをできる気力はないさ。
だけど、まだトリガーになる可能性はあるから一緒に連れて行きたいんだ。」
アスカは呆れた様子だったけど、好きにしなさいと僕に任せてくれた。
プラグを開けると虚な目をした僕が座り込んでいた。
「初めまして、こっちの世界の碇シンジ。
僕は、君が偽物って言ってた碇シンジさ。
ゆっくり話したいんだけど、一緒に来ない?」
しかしこっちの僕は
「僕なんかほっといてよ…」
動こうとしなかった。
仕方ない、と彼を背負って無理やり歩き出すことにした。
彼をみる限り、そこまでエヴァの呪縛にはかかっていない。
つまり、アスカたちと違ってこのままでは死んでしまう。
背負って歩きながら話しかけてみる。
「悪いけど僕の本業は医者だ。
目の前で見捨てるつもりはないよ。
死にたいなら、自分で自分の死体を始末できるようになってからにしな。
身勝手に死ぬのは、君のやったことに落とし前をつけてからだ。」
そういうと、こっちの僕は黙っておぶられたままになった。
それでさらにそういう理由で綾波レイもついてきた。
困ったな、二人のことをなんて呼んだらいいんだろう。
そのことだけ考えてアスカについていった。
「ここがピックアップポイントね。」
そうアスカがいうと一台の車が目の前に止まる。
中から防護服を着た人が一人出てきた。
「いやぁ、随分待たせたかな?」
何だか聞き覚えのある男の声だった。
「今来たところよ。
それより全員乗れるかしら?」
「問題ないよ。
それより、碇、だよな?」
そうか、彼はこの世界の
「ケンスケ?」
防護服の人物が頷く。
そして車に乗り込み、助手席に滑り込んだ。
走り出した車の中でケンスケと話ができた。
「話はミサトさんから聞いてるよ。
おっきい方のシンジは違う世界から来たんだって?
それから頼りになるお医者さんだってな。
今、俺たちの村にはトウジが医者としているから滞在している間は手伝ってやってくれ。」
そうか、トウジもいるんだ。
そう思っていると昭和時代のような街並みが見えてきた。
「ようこそ、第3村へ。
歓迎するよ、この惑星最後の希望達。」
こっちは新年初の投稿となってしまいました。
一点お知らせです。
外伝として2話ほど掲載しているanima編については今月末で一旦消去します。
本来で行くとエピソードZも交えてヒロインを選んだことで分岐した世界線で、元の世界に帰ったシンジが前回の補完計画の世界でトゥバートになった前回のシンジたちと戦うという話を計画していました。
しかし、正直ANIMAの世界そのままになってしまいそうでうまく書けませんので、一旦リセットします。
そして、sin編の続編として計画しておりますので何とか2023年中には新ANIMAを見ていただけるようにはと考えておりますので、気が向いた時にでも覗いてやってください