新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

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随分とお久しぶりになってしまいました
実はこの話は9月頃から取り掛かっていたんですが細部にこだわってしまってなかなか完成に至りませんでした
3000文字程度の短い話ですが、どうぞ読んでやってください


34話 ウルトラの誓い

 甲板上に現れた人物は、いつものような軽薄な笑みは浮かべていなかった。

 どこまでも無機質な、能面の様な表情に知己の間柄の者は自らの認識をどこまでも認めることはできなかった。

 いつもの着崩した青のワイシャツではなく、喪服を思わせるような黒のジャケットに黒のワイシャツ、そしてエル結界を思わせる真紅のネクタイ。

 見慣れていたはずの無精髭はなく、唯一後ろで縛った髪が以前の男との唯一の類似点だった。

 

「なんで…

 加持、なの?

 そんな、あんたは!」

 

 誰よりも近しく、加持と子まで授かったミサトには現実を受け入れられなかった。

 それもそうだ、なぜなら彼は

 

 

 

 ミサトと子供を守るためにサードインパンクトを止める人柱になったのだから。

 しかしその正体に気づけるただ一人の男だけはすぐに表情を驚愕から警戒へと引き戻す。

 魂の形を唯一知覚できるインフィニティの力を持つシンジはその魂を正確に見つめ、かつてヴィレクルーが聞いたことのないほどの冷たい声で問いただす。

 

「加持さんの格好で現れてなんのつもりだ❔

 答えろよ、ゾーフィ。」

 

 一同が驚愕する。

 そこにいる人物は加持リョウジの形をした光の巨人だと告げたシンジの言葉を皆理性では受け止めている、しかし本能がその理解を拒んでいるのだ。

 中身があのゾーフィなら、加持の魂は…

 うちに渦巻く疑問に拍車をかけるように、加持が笑い出す。

 

「あぁ、そういえば君は魂の形が見えるんだったな。

 君たちの中には当然湧き上がる疑問があるだろうから答えよう。

 私のこの姿は擬態ではない、正しく加持リョウジの肉体だ。

 最も、君やZのように共生関係というわけではないがね。

 だが、私がこうしてこの体にいることでこの男の命を繋いでいるのもわかるだろう❔」

 

 その言葉にハッとしたシンジは目をこらす。

 なんてことだ、あの体の中には…加持さんの魂が眠っている。

 

「私がこの世界にたどり着いた時、君たちの言うサードインパクトの最中でね。

 矮小な生命でインパクトを止めようとするこの人間に興味が湧いた。

 そして我々の魂の波長は異星人であることを関係ないと言うようにピッタリとあっていたのもあってこの人間と一体化したのだ。

 最も、この星での長期活動を行うにはそのやりかたが効率が良かったのもあるがね。」

 

 それを聞いて黙っていたシンジがゆっくりと口を開く。

 

「それは、心の奥底にリピアさんを理解したいって気持ちがあったからじゃないか。

 それならきっと僕たちは分かり合えることができるはずだよ。

 なんで父さんに協力しているのか、今の話でもっとわからなくなった。

 答えろよ、ゾーフィ」

 

 シンジの言葉に確かにと声が周囲で上がる。

 周囲の状況をひとしきりみてゾーフィは一つため息を落とすとシンジに向き直る。

 

「なるほど、やはり君には小手先の言葉では足りないらしい。

 私が碇ゲンドウに手を貸す理由だったか?

 そう難しくはないよ、単にリピア復活の生贄の調達のためさ。

 碇ゲンドウは連鎖するこのパラレルワールドの地球全てを命のない星にしたがっている。

 その後のこの星は好きにしていいと言うことだったからな、魂の残りを集めてリピアの贄とし、私とリピアでこの星を楽園にすることが私の目的だ。

 誰も傷つける必要のない自立した強者たちの星、そして外や光の国からの干渉を拒絶できる力ほどの強さとリピアと同じ優しさを持った生命でこの星を満たす。

 元来弱く醜い、他者へと依存するこの星の命があったままでは成し得ない事柄なのでね。

 碇ゲンドウの計画は非常に都合がいいのだよ。」

 

 ゾーフィの口から語られるゲンドウの補完計画後のこの星の歩むシナリオ。

 傷つけ合わない強く優しい生命がこの星を満たす、理想的だ。

 だが、それを聞いて黙っていない男が一人、拳を握り口をひらく。

 

「確かに僕たち人間はとても弱いし醜く争うよ。

 だけど優しくて強い人だって大勢いた、みんな自分の守るべきもののために必死だったんだ。」

 

 そのシンジの強い視線を真っ向から受け止めてゾーフィは続ける。

 

「だが、そんな命から先に死んでいった。

 リピアのようにね。

 それが私の生きてきたこのマルチバースという世界だ。

 君もそうだ、碇シンジ。

 ウルトラマンという大きな渦に巻き込まれ、一度は命を落としたか弱き命よ。

 やはり大きな力の前では君たち人間は無力なのだ。」

 

 そう言い切ったゾーフィを前に今度はシンジが目を閉じ改めて向き直る。

 

「そんなことない。

 僕たちはいつだってそんな大きな力に抗ってきたんだ。

 絆っていう強さを持っているから。」

 

 そう言ってシンジはスパークレンスを掲げる。

 

「だからゾーフィ、君を倒して証明してみせる。

 君のいう大きな力に打ち勝てる、力だけじゃない本当の強さを‼︎」

 

 ゾーフィも懐から自身のベータカプセルを取り出す。

 

「…いいだろう。

 君こそリピアの最初の贄に相応しい。」

 

 赤き光が辺りを包み込みゾーフィが本来の姿へと戻る。

 

 そしてシンジはこの世界のシンジに語りかける。

 

「君はマリさんに連れて行ってもらってこの世界の父さんを追うんだ。

 君がけりをつけている間、ゾーフィは僕がなんとかするから。」

 

 そしてマイナス宇宙へ八号機が飛び立つのを見送るとシンジもすかさずアドバンスのキーを作動させる。

 

「希望を導け、真紅の絆」

 

『ご唱和ください我の名を、ウルトラマンZ‼︎』

 

 ウルトラマンZ アドバンスゼスティウム

 

 2体の巨人の右拳がぶつかり合い開戦の狼煙を上げる。

 激しい肉弾戦が続く中、両者が距離を取り光線をぶつけ合う。

 互角、それを見てゾーフィが感嘆を漏らす。

 

「ほぅ、今は私と互角か。

 随分と光の国で鍛え直したらしいな。

 だが付け焼き刃で倒せると思ったら間違いだぞ。」

 

 光線をやめガフの扉に匹敵するほどの巨大な光輪を放つゾーフィ、

 受け止めようとするZだが、エネルギーの密度が違いバリアを少しずつ削られていく。

 

 このままでは…

 

 その瞬間時が止まる。

 目の前に伝説の初代ウルトラマンが立っていた。

 いや、カラータイマーがない…

 

「初めまして、別のウルトラマンよ。

 私はリピア、私もウルトラマンと呼ばれる者だ。」

 

 彼こそがゾーフィの同胞、しかし死んでいるはずでは

 

「君がゼロから預けられたベータカプセルは私のものだ。

 そしてゾーフィの放つ強いスペシウム133に触れることで君の意識に介入している。

 単刀直入に頼もう、ゾーフィを共に止めてくれ。

 彼は自分を制御できなくなっている、私のせいでだ。

 私は新たな命など望まない。

 魂が生命の輪に溶け込むのも悪くないことだ。

 だがしかし、彼は罪を重ねるたびにその魂に傷を負っている。

 どうかともに…」

 

 リピアの願いにホルスターのキーの一つが光を放ち応じる。

 

「Zさん、マン兄さんが言ってる…

 自分も力を貸すからって」

 

『私も感じたぞシンジ。

 行こう、お二人の力と絆を君の力で束ねるんだ。

 そうすればきっと…」

 

 頷いてシンジはリピアの手を握り、もう片方の手で光り輝くキーを掴む。

 シンジのインフィニティの力が光り輝き、一層光を増すとリピアの手を握っていたはずの手に新たなキーを持っていた。

 リピアの姿は見えない、きっと力を託すところまでが精一杯だったのだろう。

 時は動き出し、光輪は変わらずZを飲み込もうとしている。

 だが、託された思いが二人を後ろへ引かせることはなかった。

 

「いくよZさん‼︎」

 

『おう相棒、見せてやろう‼︎』

 

 そしてシンジは新たなキーを起動する。

 

 ウルトラマンZ ベータエクリプス・インフィニティ‼︎

 ブートアップ、エクリプス‼︎

 

「宿命を超える、運命の双星‼︎」

 

『ご唱和ください我の名をウルトラマンZ‼︎』

 

「ウルトラマン、Z‼︎」

 

 ウルトラマンZ ベータエクリプス・インフィニティ‼︎

 

光輪を切り裂いたのは同じ大きさの光輪だった。

 

 新たな赤と黒のZが立ちはだかる。

 

「ゾーフィ、お前を止めてみせる。

 このリピアさんの力にかけてな‼︎」

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