新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

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あけましておめでとうございます
今年は早々に様々な出来事が世間の話題となっている今日この頃です。
まず持って、被災された皆様にお見舞い申し上げます。
そしてもしこれを読んでくださっている方の中に被害にあわれた方がおられましたら、これが少しでも気を紛らわせる一助になることを願うばかりです。
まぁ、こんなマイナーな2次小説なのでどれだけの方に届くかわからないんですけどね


35話 シンジの力

 『…なぜだ、なぜ君がリピアの力を纏っている?』

 

 ゾーフィは驚いていた、とは言っても表情に揺らぎはない。

 しかし、その仕草が、その声音が驚愕を物語っていた。

 何故ならば、つい先ほどまで自分の放ったスペシウム133を圧縮した光輪を防ぎながら窮地に陥っていた目の前にいる異世界の光の巨人が、突然失われた同胞の放つスペシウム133を纏い新たな姿となったのだから。

 当然理解は追いつかないだろう。

 そんなゾーフィを前にシンジが口を開いた。

 

 「リピアさんに頼まれたんだ。

  ゾーフィ、君を共に止めてほしいと。

  君は、リピアさんが望まないと知ってなお、この戦いを続けるのか?」

 

 言葉だけではなくリピアの力を纏うことで見えてくる、リピアの本当の想い。

 ゾーフィの想いを知っていても、共に戦った人間のために自らの命を手放し、その結果ゾーフィの心を壊してしまったことへの後悔。

 そして今、自らの願いとは裏腹に多くの命の犠牲の果て、自らの命を取り戻そうとしてくれていることへの苦悩。

 本来理知的なゾーフィをそこまで追い込んでしまった、自身の思慮の浅さへの苛立ち。

 そして、何よりも自身の力で、自身の言葉で止めたい相手には触れられないことへの葛藤。

 そのために、シンジとZを使う形になってしまうことへの申し訳なさ。

 その想いを受け止めた故に、シンジとZは誓った。

 ゾーフィを止めて見せると。

 

『リピアが…?

 君たちのその力から感じるのは真にリピアのスペシウム133だ。

 だが、もう止まれぬよ。

 儀式のための地獄の門はすぐそこに開いているのだから。

 リピアからの批判や断罪は後で受けよう、その身をこの世に取り戻してからな。』

 

 そういうとゾーフィは身構える。

 

 リピアさんすみません、言葉では彼を止められない。

 

 心の中で語りかけるとリピアの声が聞こえた。

 

 頼む、彼を…倒してくれ。

 

 その声はどこか苦悶に満ちていた。

 Zはベリアロクを構え静かにスペシウムエネルギーとゼスティウムエネルギーを刀身に纏わせる。

 二つのエネルギーは螺旋を描き刀身を大きく伸ばしその姿すら変え、青白く光る刀剣を生み出していた。

 対するゾーフィも両手にスペシウム光輪を圧縮し、両掌に高密度の光輪を装備する。

 両者とも感じていたのは、これはどちらかが圧倒する戦いではなく拮抗した力を持つ者同士の戦いになるということだ。

 すなわち、どちらかの刃が相手を斬るまで終わらない泥臭い斬り合いになること。

 両者とも構えたまま睨み合いが続き、先手を取りあぐねている。

 その時、艦橋から闘いを見ていたミサトの頬から一筋の汗が流れ落ちた。

 刹那、両者の刃がぶつかり合う衝撃と音が辺りを包み込む。

 ゾーフィは光の星の執行者を任せられていただけのことはあり、いわゆる二刀流の状態で流れるように連撃をZに向けて叩き込む。

 しかしZもシンジも負けてはおらず、着実に一刀で斬撃をいなしていた。

 さらに、刀身に纏わせた二つのエネルギーは高速で交差する螺旋を描いており、その力の奔流がゾーフィの光輪を弾き飛ばす。

 予想通りどちらの優勢でもない闘い、しかし気を抜けば確実にどちらかの刃が相手を喰らい尽くす。

 そのぶつかり合いの衝撃で付近の旧ネルフ本部跡は風化し始めている。

 切り結びながらゾーフィは問いかける。

 

『私はずっと疑問に思っていた。

 碇シンジ、そしてZ。

 何故君たちは戦っている?

 ここは君たちの住む世界ではないし、すでに崩壊しかけた世界だ。

 君たちの愛する人たちとそっくりな人たちがいるだけの世界だ。

 君たちが命をかけて守るだけの価値が見出せない、答えろ。』

 

 思っても見なかったゾーフィからの質問に思わず油断し、大きく弾き飛ばされるZ。

 しかし当のゾーフィも追撃は仕掛けてこない、答えを聞かせろとその目が訴えている。

 シンジは語りかける。

 

「確かに、君のいうとおり僕はこの世界の碇シンジじゃないし、ここには僕の本当の家族もいない。」

 

 

『ならば』

 

「だけど‼︎

 一緒に戦った人達だ。

 一緒にご飯を食べた人達だ。

 一緒に笑った人達だ。

 そして、父さんが守ってほしいと願った人達だよ。

 僕が命をかけてこの人達を守るのに、理由はそれだけで十分だ。」

 

 その言葉にZも続く。

 

『私も言ったはずだ。

 私は宇宙警備隊、その使命は宇宙のどんな命をも理不尽に奪わせず守ることだと。

 それに相棒が守りたいと願っているんだ、命をかけるのにこれ以上の理由はないだろう‼︎』

 

 シンジとZの思いを受け止め、ゾーフィはしばらく沈黙した後に

 

「…分かった。

 君たちが守りたいと思う気持ちと、私がリピアを取り戻したいと願う気持ちは同じものだ。

 愛ゆえ、ということだろうな。

 私はどこかで、君たちが戦う理由が私の想いよりも下であればいいと願っていた。

 私の思いよりも下であれば、リピアを取り戻すまでの障害はさほど大したものにはならないと思っていたからだ。

 だが、想いに優劣などない。

 もう、どちらかの命を持って決める他ないだろう。』

 

 そう語るゾーフィはふたつの光輪をぶつけ合わせ、混ぜ合わせると一つの光球がその右手に現れた。

 そう大きくはなく手に収まる程度、しかし超密度の光輪を掛け合わせただけのことはあり、双方向の乱回転を生んでおり、中心は極小のブラックホールと化しているようで、そこだけ周囲が歪んでいる。

 当然そんな力はいかに光の国の生命とはいえ命を削ることになり、現にゾーフィの体表からは時折皮膚が弾ける音が聞こえ僅かずつだが複数箇所の出血も見られていた。

 

 これで決めるつもりだ。

 

 そう感じたシンジ達も二つのエネルギーをさらに力強く込めて、シンジのインフィニティの力で覆っていく。

 この力も高めすぎたのか、Zの体表の装甲もダメージを負っていく。

 その二つの力がぶつかりあい、周囲をホワイトアウトさせるほどの衝撃を生み出した。

 

 瞬間、ゾーフィの意識は別次元へと飛んでいた。

 見たことのない、白と黒が反転した宇宙のような空間。

 

「ようやく会えたな、ゾーフィ。」

 

 振り返ると、同化していた人間である神永シンジの姿をしたリピアが立っていた。

 自身も借り受けている加持の姿になっていた。

 

『なぜ、何が起こっている?

 君は死んだはずだ、ということは…

 そうか、私も彼らに敗れて命を落としたのか。』

 

「早合点は君の悪い癖だゾーフィ、君はまだ死んでいない。

 正確には、君の力と碇シンジの力がぶつかり合った結果この空間が形成されている。

 私も先ほど全てを理解したが、リリン・インフィニティと呼ばれる種族にはそれぞれ固有の力が宿っているようだ。

 君が知り得ているかは分からないが、彼の義姉にあたる明という人物の力は破壊・分解・活性の特性を有している。

 しかし、碇シンジはもっとシンプルだ。

 彼の力は、束ねることや繋ぐことに長けているようだ。

 一言で言えば、絆の力というやつかな。

 その力の恩恵で私たちは今意識を繋げられている。」

 

 絆、目に見えないその存在を非科学的だと思っていたゾーフィ。

 しかし、現実は目の前で死者の魂と意識を繋げれている。

 

『そうか、私は一人で戦っていたが彼は多くの人と繋がっていたのだな。

 リピア、君がゼットンを倒せたのも一人ではなく地球の多くの人の助けを得ることで成し得たのか。

 君と繋がることで私も理解できた、こんな簡単なことにも気づけないだなんて。』

 

「私たち光の国の住人は、進化を遂げて大きな力を持つことで忘れていったんだよ。

 世界は一人ではない、誰かと支え合うから大きな困難をも越えれるということを。」

 

 リピアの言葉に、柔らかい笑みを向けながらゾーフィは続ける。

 

『そうか、すまないリピア。

 私はあまりにも一つのことに目を向けすぎたらしい。

 謝罪しよう、君の命を蘇らせることができないこと、そして君の想いを見ようともしなかったことを。』

 

 その言葉にリピアも微笑み返す。

 

「いいんだ友よ。

 共に安らかに眠ろう、生命の輪に戻り、叶うならば君とまた友であることを願うよ。』

 

 その言葉を最後に空間はひび割れ、ゾーフィの意識は元の空間に戻る。

 自らの光輪は砕かれ、Zの刃が胸を貫いていた。

 ゆっくりと、旧ネルフ本部跡で崩れ落ちるゾーフィ。

 そしてその姿を加持の姿に変えて横たわると、変身を解いたシンジが駆けつけ抱き起こす。

 

『…私の完敗だよ。

 安心していい、この体の持ち主は君の見立て通り私の中で魂は眠っている。

 肉体も憑依している間に自立して生きれるほどに回復しているから、葛城ミサトのところへ返してやるといい。』

 

 その言葉に安堵するシンジ、しかしゾーフィがシンジの胸ぐらを掴む。

 

『私の命は後わずかと言うところだ。

 冥土の土産に教えてもらおうか、何が君をそこまで強くした?

 インフィニティとなったことやウルトラマンとして戦ったことが君を戦士にしたのだろう。

 だが、それと強さの根底にあるものは別の話だ。

 答えてくれ。』

 

 自らの過ちと向き合うためにも。

 

 ゾーフィの言葉からはそんな意図を感じ取った。

 ならばと、シンジは口をひらく。

 

「…誰かを守りたいという祈り、その信念を貫く覚悟。」

 

 それを聞くとゾーフィは加持の顔で笑いかける。

 

『それが君の強さか…

 ならば急げ、碇ゲンドウがインパクトを起こそうとしているのはこの世界ではない。

 マイナス宇宙を経由して全ての因果の集まる次元へと向かった。

 それこそ、君がいた世界だ。』

 

 ゾーフィの置き土産とも言うべき情報、それは碇ゲンドウの真の狙いとも呼べるものであり、シンジとゼットは驚愕する。

 

『そこで、君の世界の父の中にある力を取り戻すことによって奴は全てにケリを付けるためのカードが揃うと言っていた。

 私に勝って貫いた信念だ、この先も貫いて見せろ。』

 

 そういうと、ゆっくりと瞼を閉じたゾーフィ。

 加持の中にあったゾーフィの魂は抜け、よく見ると待っていたようなリピアの魂と共にどこかへ消えて行った。

 

「分かったよ、ゾーフィ。

 改めて誓うよ、これから先の未来も守ってみせるさ。」

 

 

 そうシンジは見えなくなったゾーフィの魂に誓った

 

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