新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

5 / 36
5話 笑う絶望 

『第二次防衛戦突破!

 それに…

 え、嘘だろ。

 現在まで完成していた32層の防御壁、蒸発!

 地上迎撃間に合いません!』

 

 第14使徒、最強の拒絶タイプ。

 死海文書にも力の使徒と記される圧倒的なパワーと防御を誇る最強の使徒だ。

 その骸骨のような仮面は、抵抗する人類を嘲笑うかのような形をしていた。

 

「迎撃はジオフロント内で行います!

 オフェンスは2号機、援護は0号機、

 アスカ、レイ、行けるわね!」

 

 ミサトの問いに力強く頷く2人はすぐさま機体へ走り出す。

 

「葛木1佐、初号機はダミープラグで起動させろ。

 もうシンジは、いない。

 今回の使徒は圧倒的な火力だ。

 全兵装、装備の使用を許可する。」

 

 ゲンドウがこの指示をする意味…

 ある意味大一番の戦いだと誰もが感じる。

 

 そしてジオフロント内に配置した2号機には改良型ポジドロンライフル、0号機にはサブマシンガンが装備される。

 ジオフロントへ降下してくる使徒はさながら死神のように見えた。

 だが死ねない理由はこちらにもある。

 

「レイ!

 とっととこいつを倒して、あのバカを迎えに行くわよ!」

 

「わかってるわアスカ。

 碇くんの帰る場所は私たちが守るもの。」

 

 都市兵装、エヴァの圧倒的火力による砲撃が使徒を飲み込むが…

 

「効いてない⁈」

 

 アスカの驚愕が響く。

 

『大変です、使徒からATフィールドの発生を感知できません!

 なんらかの理由で攻撃が当たっていないものと判断します!

 パターンは青ですが若干ノイズが…なんらかのものが混じっている?』

 

 そんな中使徒の攻撃が辺りを蹂躙する。

 フィールドを攻撃に転用したビームと、変形してハンマーや槍になり対象を貫く両腕。

 まさに最強の使徒と言えた。

 そしてその姿が、なぜかぶれて見える。

 あたりには笑い声のような不気味な鳴き声が響いている。

 

「なるほど、ただの使徒ではないようだな。

 初号機の起動まだか。」

 

「ダメです、初号機、ダミーを受け付けません!」

 

 なぜだ。

 なぜ私を拒絶する、唯!

 

「冬月先生、少し頼みます。」

 

 そしてゲンドウは初号機を起動させるためケージへ向かった。

 

「ほんとなんなのよこいつ!

 レイ、近接は逆に狙われるわ!

 遠距離でダメージを与えるしかない!」

 

 エヴァは攻めあぐねていた。

 そこにいるはずなのに攻撃が当たらない。

 そんな時、空から光が飛んできた。

  シュワ!

 ウルトラマンゼットだ。

 

『こいつ、なんでグリーザと融合してるんだ⁈

 くっ、シンジは頼れない…

 あれ、そもそもシンジのエヴァがないぞ⁈』

 

 シンジがいないことに驚くZ。

 目の前の敵は残念ながら現状では倒せる確率がゼロに近い相手だった。

 虚空怪獣グリーザ。

 それが第14使徒、ゼルエルが取り込んだ怪獣の名前だった。

 この世の歪みと言える存在で、ゼルエルは融合の際に守るためにATフィールドを使えなくなっていたが、存在が矛盾しているグリーザと混ざり合って攻撃の大半が通らなくなっていた。

 攻撃を当てるためには圧倒的なパワーか矛盾を打ち砕く力のどちらかが必要だった。

 

『やむを得ん!

 碇、槍を出さねば勝てない相手だ。

 ロンギヌスの槍を出すぞ。』

 

 ロンギヌスの槍、それは地下でリリスに刺さる神器。

 冬月の判断とゲンドウの承認により0号機が地下に取りに降りた。

 その間2号機とゼットでの足止めが行われたが…

 圧倒的な力の前になすすべもなかった。

 最初に倒れたのはゼットだった。

 融合していない状況で、2号機の盾になりビームを大量に喰らい吹き飛ばされた。

 

「巨人!

 こいつよくもをぉ!」

 

 アスカがライフルを連射するも両腕を斬り飛ばされ、戦闘不能になった。

 レイが地下から上がってきた時、辺りは使徒の攻撃の影響で地獄絵図となっていた。

 

 「よくもアスカを!」

 

 レイにとって、きづけばアスカは大事な友となっていた。

 生まれて初めての激情がレイを支配する。

 ロンギヌスの槍を使徒目掛けて投擲する。

 しかし間一髪気づいた使徒が避けたため、コアにダメージを与えられず右腕を消し飛ばしただけだった。

 だがそれもかなりゆっくりとだが再生を始めていた。

 

「槍は投げた勢いで向こうに突き刺さってるけど、取りに行く間にやられる。

 なら持ってきたこのN2爆弾を、コアに直接!」

 

 大型ミサイルの後部にブースターのついた特別仕様。

 これをコアに当てるために0号機は爆弾を抱えて使徒に突っ込む。

 

「そんな、やめなさいレイ!」

 

 ミサトが止める、がレイは止まらない。

 

「だめ。

 こいつは倒さないと人類が終わる。

 それに、碇くんとアスカが生きていけるなら怖くない。」

 

「ばっ、れ、い。

 約束、したでしょ…

 2人であの馬鹿、迎えに、いく、って」

 

 シンクロのダメージのため息も絶え絶えのアスカが呼びかけるも

 

「ごめんねアスカ。

 約束、守れない。」

 

 その瞬間使徒のコアに接触した爆弾が爆発、0号機を巻き込んであたりに破壊を撒き散らした。

 爆炎が晴れた後、そこには

 

 

 

 黒焦げの0号機とほぼ無傷の使徒が立っていた。

 使徒は残った左腕で0号機の四肢を切断し、目のビームで頭部を焼いた。

 

「0号機戦闘不能!

 シンクロカットのおかげで生きてはいますがパイロットの心音微弱です!」

 

「やばい、ここにくる!

 初号機は⁈無理なの?」

 

「ダメです、起動しません!」

 

 万事急須、絶望的な状況だった。

 

 

 シンジはジオフロント内のシェルターに避難していた。

 ほかの客も一時は一緒にいたが、使徒がジオフロントに入ったと知ると慌ててどこかへ逃げていった。

 自分には関係ない、誰かがなんとかしてくれる。

 そんな思いは爆風と共に吹き飛ばされた。

 0号機の使った爆弾でシェルターの一部が倒壊した。

 暗闇の中から急に光が入り目が眩んだが、外を見た時これまでの自分の考えがいかに愚かか知ることになる。

 倒れ伏したZ、両腕が斬り飛ばされた2号機。

 そして、立っているものの焼け焦げて使徒に四肢を切断されつつある0号機。

 もう乗らないと決めた。

 全て捨ててここから出ていくと決めた。

しかし気づけばシンジは走り出していた。

 なんのためかわからない、だが自分にできることをやらなければ後悔する。

 みんなが死ぬ。

 そして辿り着いたのは倒れたゼットの元だった。

 

「Zさん!

 しっかりしてくださいZさん!」

 

『シン、ジ

 なんだ、そこにいたのか。

 この間は、殴ってゴメン。』

 

「そんなこと!

 僕がいけなかったんです!

 だから、もう一度だけでいい!

 力を貸してください!

 みんなを、守りたいんです!」

 

 シンジの目の奥の光を見たZ。

 先日生み出した自らの闇を打ち消し、誰かを守るための覚悟を秘めた光を。

 

『アイツは強敵だ。

 多分、ただ融合しても勝てない。

 でも、今のシンジになら、これを托せる。

 最後の、キーだ。

 力が強すぎるからハルキにしか使えなかった。

 でも今なら、いける。』

 

 Zから託された最後の一本。

 それを託したあとZは力を維持できず消えた。

 

「ありがとう、Zさん。

 もう一度、一緒に戦いましょう!」

 

 そしてシンジは使徒へ向けて走り出した。

 右手にスパークレンス、左手にキーを握りしめて。

 

「使徒、なおもセントラルドグマ入口へ向けて進行!

 時間の問題です。」

 

 マヤの報告に顔をこわばらせるミサト。

 もう猶予はない。

 最悪、本部を自爆させるしかない。

 

「日向くん、もしものときは、頼むわよ。」

 

「構いませんよ。

 あなたと一緒なら怖くありません。」

 

「すまないわね」

 

 そんなやりとりをしているとマヤが

 

「巨人、光の粒子となって霧散して行きます!

 あれ、同じ場所に人がいる…

 って、え⁈

 シンジくん⁈」

 

 全員がモニターを凝視すると、そこには使徒に向けて駆け出そうとするシンジの姿があった。

 その両手に白い銃とキーを持っている。

 シンジを死なせたくない。

 屋外スピーカーで呼びかける。

 

『逃げなさいシンジくん!』

 

 しかしその願いは意外な形で裏切られた。

 

 

 ミサトさんの声が聞こえる。

 ごめんなさい、ミサトさん。

 僕は逃げ遅れたんじゃないんです。

 あんなことを言ったけど…

 

「僕は、みんなを守るために帰ってきたんだ!

 行くよ!ゼットさん」

 

 走りながらキーを掲げてスイッチを押す。

 

 ウルトラマンZ!デルタライズクロー!

 

「闇を飲み込め!黄金の嵐!」

 

 ブートアップ!デルタ!

 

 そして走りながら銃身を開くとその後ろからZさんが飛んできて手を広げながらこう叫ぶ。

 

『ご唱和ください我の名を!

 ウルトラマンゼェーット!』

 

「ウルトラマン、ゼェーット!」

 

 トリガーを押した僕はそのままZさんの胸のクリスタルに吸い込まれ融合していった。

 

 

 知らないウルトラマンが僕らの周りを飛んでいる。

 Zさんと融合しているからか彼らの名前がわかる。

 ゼロビヨンド。

 ウルトラマンジード。

 ベリアルアトラシアス。

 今更になって気づいた、今まで変身した時も別のウルトラマンたちが力を貸してくれていたことを。

 どうかお願いします、みんなを守る力を僕に。

 そして3人のウルトラマンの力が僕らに溶け込んでいった。

 

 

 

『僕はみんなを守るために帰ってきたんだ!』

 

 外部マイクから聞こえてくる音声に涙が止まらなかった。

 ミサトはシンジが自分の意思で戻ってきてくれたことが嬉しくてたまらなかった。

 

『行くよ!ゼットさん!』

 

 しかし聞きなれない単語が出てくる。

 シンジくんの手に持った機械が何やら音声を発しているが聞き取れない。

 

『闇を飲み込め!黄金の嵐!』

 

 シンジくんがそう叫ぶと、先ほどまで倒れ、そして急に消えた青い巨人が背後を飛んでいた。

 そして驚くことに巨人がしゃべった。

 しかも言ってることがわかった。

 

『ご唱和ください我の名を!

 ウルトラマンゼェーット!』

 

 シンジくんも叫んだ。

 

『ウルトラマン、ゼェーット!』

 

 そしてウルトラマンZと名乗った巨人にシンジくんが吸い込まれ…

 明らかに異次元の強さを放つ黄金の巨人がそこにたっていた。

 それを見たリツコが驚く。

 

「まさか、あのウルトラマンZとシンジくんが融合して戦っていたというの⁈」

 

 気づけば私はモニター越しに祈っていた。

 シンジくん、みんなを守って!

 

 

『いくぞシンジ!

 こい!ベリアロク!』

 

 Zさんの声に顔のついた黒い剣が手元に来る。

 

『あぁん?

 ハルキじゃねえのか。

 まぁ、いい。

 なんだあれ、グリーザとなんかが混じってるな。

 アレを切るんだな!』

 

 よくわかんないけど納得してくれたみたいなので

 黄金の光まとって突っ込んでひたすらに切った。

 使徒も攻撃が通じ始めて焦ったがもう遅い。

 

『デスシウムスラッシュ!』

 

 闇色の斬撃が使徒の左腕を斬り飛ばした。

 だがまだ倒せない。

 ふと、赤い槍が地面に刺さっているのに気づいた。

 すごい力を感じる、これならコアを!

 抜き取って黄金のオーラを纏わせ、コアに向けてまっすぐ突き出す。

 

『いっけぇぇぇぇ!』

 

 僕とZさんの思いと声がシンクロする。

 そして槍はコアに当たり暫くは塞がれるが…

 次第にめりこみ、貫通した。

 コアを破壊された使徒はいつも通り形状崩壊して跡形もなくなった。

 

「Zさん、この間はごめんなさい。

 僕ともう一度一緒に戦ってください。」

 

 変身を解除したシンジが隣に立つZに語りかける。

 

『当たり前だろシンジ!

 使徒退治付き合うぞ、相棒!』

 

 そういうとZさんは光になって消えていった。

 大変なのはこれからだ。

 多分変身するところをみんなに見られてるしな。

 でも構わない。

 改めて心に誓う。

 僕がエヴァに乗る理由。

 ウルトラマンに変身する理由。

 それはみんなを守るためだと。

 決してもう心が折れないよう、そう誓ってボロボロのNERV本部へと僕は駆け出した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。