新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

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6話 輝きの福音

 シンジは囲まれていた。

 主な司令部のメンツとアスカとレイに。

 話は3日前に遡るが、14使徒襲来の際に地上で変身した姿を見られたシンジはNERV本部に着いた瞬間速攻で拘束され、つい先ほどまで独房に入れられていた。

 出られたと思えば三重の手錠をかけられ司令室まで連れて来られたのだ。

 

「さぁ、話してもらおうかシンジ。」

 

 うちの親父こわっ

 父の言葉から放たれる圧にびびるシンジ。

 するとZが話しかけてくる。

 

『シンジ、ここは私が話そう。』

 

 そうZが言うと手錠が自然に外れた。

 そして宙に浮いたスパークレンスが勝手に開いて…

 シンジの隣に人くらいの大きさのZが現れた。

 

『ナイスチューミーチュー。

 私はウルトラマンZ。

 訳あって別次元の宇宙からやってきたm78星雲出身の君達で言うところの宇宙人だ。

 今はシンジの力を借りて戦っている。

 君達に危害を加えるつもりはない。』

 

 しばらく驚きで全員が固まるが、ゲンドウが立ち直って口を開く。

 

「私は特務機関NERV司令碇ゲンドウだ。

 そこのシンジの父親でもある。

 貴様に問おう、目的はなんだ?」

 

『あなたがシンジの…

 私の目的は、シンジの力になることだ。

 私と共にこの次元にやってきた怪獣、ギルバリスを倒すために一度死んで私と融合したことで蘇ったシンジに報いるために戦う。

 これでも私は宇宙警備隊のメンバーだ。

 それに私がこの次元に来る直前に戦った怪獣、そいつが使徒と同じATフィールドを使っていた。

 あの力は私の次元には本来ない力だ。

 合わせてその謎を解き明かしたい。

 どうか、シンジと共に戦うことを認めてほしい。』

 

 しばらく口を噤んだゲンドウ。

 そして

「貴様の言い分は理解した。

 ただし、こちらも条件をつけよう。

貴様とシンジの融合時のデメリットを隠さず伝えること。

 シンジに怪我をさせないこと。

 我々と敵対しないこと。

 以上が守れるのなら認めよう。」

 

『三つ目はシンジに対して、そちらが危害を加えないのであれば了承する。

 お互いに、まだ信用し切れてはいないだろう。』

 

「ふっ、よかろう。

 そうだ、シンジの命を救ってくれたこと、またこれまでの使徒戦で力を貸してくれていたこと、礼を言わせてもらおう」

 

 そう言って先を立ち上がろうとするが

 

『碇司令、私も聞きたいことがある。

 使徒とは、なんだ?

 私の知る宇宙生命体とはどれとも当てはまるがどれとも当てはまらない。

 そしてエヴァの正体を教えてもらいたい、あれはただの巨大兵器ではないだろう。

 使徒を倒した先にあるのは本当にこの世界の平和だけなのか?』

 

 Zはこの世界の核心に触れようとしていた。

 突然の話で理解できていたのは司令、副司令、赤木博士だけだった。

 

「なるほど、やはり一筋縄ではいかないか。

 シンジ、Zを連れてついてきなさい。

 葛木くんたちは別に説明をするのでこの場で待機だ。

 冬月先生、葛木くんたちに説明を頼みます。

 リツコくん、君もきたまえ。」

 

 そして言われるがままついていくシンジ達。

 辿り着いた先は地下奥深くの空間。

 

『おいおい、人工物でこんなに地下深く潜れるなんてとんでもないテクノロジーだな。』

 

「我々は用意された器を使っているにすぎない。

 用意した者はこの奥にいる。」

 

 ゲンドウが扉をカードキーで開き、扉…いや、もはや封印と言っても過言ではないものが解かれようとしていた。

 解かれた先にあるもの、それは十字架に磔られた白い巨人だった。

 

『これはエヴァ…

 いや、違う。

 まさか、使徒か⁈』

 

「その通りだ。

 彼女は第2使徒リリス。

 ネルフ本部を含めたジオフロントやこの地下空間は彼女が別の宇宙からこの地球に来たときの方舟、『黒き月』の名残だ。 

 それに対をなすのが第1使徒アダム、この地球における始まりの命だ。

 アダムから生まれたのが我々の戦う使徒だ。」

 

 衝撃の事実だった。

 全ての命の始まりが使徒だったなんて。

 

『ちょっと待ってくれ。

 そうすると地球では同族争いをしているということか⁈』

 

「そうともいえるが、そうではない。

 我々人類はリリスから生まれた第18使徒。

 本来であればこの星に生まれることはなかった存在だ。

 リリスの持つ、知恵の実を継承した我ら人類。

 アダムの持つ、生命の実を継承した使徒。

 異なる2つの実を継承した者たちが、地球の覇権を争っているのだよ。

 生き残りをかけた戦いであるという認識は間違いではないのだ。

 そしてアダムも今我が手にある。」

 

 ゲンドウは手の平大のケースに収まる胎児のような物体を見せる。

 

「これがアダム、最もこれは爆散した欠片を再生したものに過ぎないがな。

 エヴァは初号機以外のすべてがこのアダムの複製体にすぎない。

 奴らと戦うために同じ力を得る必要があったのだ。

 初号機は唯一リリスをベースにしている。

 最も恐れるべきは使徒とリリスの融合。

 そうなれば、我々は個の形を維持できなくなる。」

 

『おいおい、なんてことだ。

 そうなったら全てが混ざり合って一個の命にはなるが、そんなのみんな死んでるのと変わらないだろ!』

 

「そのとおり。

 そして、一度はその儀式が発動されようとした。

 15年前南極における爆発、結果的に地軸を歪める結果に終わったが、これは永き眠りから覚めたアダムを見つけた人類が、人間の遺伝子を入れてコントロールしようとしたところアダムが暴走、融合を始め世界中が取り込まれるところだった。

 葛城くんの父上が命懸けで止めたことでなんとかなったがな。

 今、使徒の脅威だけではなくこれを自らの意思で行おうとするカルト集団がある。

 名をゼーレ、我らの上部の組織だ。

 奴らのいう人類補完計画を止めるために、私と冬月は従うフリをしている。

 そして我々は別の補完計画を企んでいる。

 それは儀式の核を、奴等ではなく我々NERVに変え、この計画に巻き添えになった人たちを蘇らせることだ。」

 

 明らかになるゲンドウたちの野望。

 

『それはダメだ!

 命は、そんな簡単に扱っていい代物ではない!』

 

 Zが激昂する。

 

「ふっ、シンジを甦らせた貴様がいうか。

 安心しろ、15年前から個の形を保てなくなった人たちに改めて形を与えるだけだ。

 エヴァの中で戦っているものは死ねば魂がLCLに溶け込む。

 そこで死したパイロットたちも復活させる予定だった。

 そして他にも…

 シンジ、お前がなぜエヴァとシンクロできるかわかるか?」

 

「え、そんなの…わかんないよ!」

 

 突然の父の質問の意図がわからないシンジ。

 しかし、父から告げられる事実は衝撃的だった。

 

「やはり気づいていなかったか。

 それはな、エヴァのコアにお前の母の魂が溶け込んでいるからだ。

 みな、エヴァの中に母の魂が入っているのだよ。」

 

 母さんがいる?

 じゃあ母さんとまた会える?

 

「そしてそのとき生まれたのが綾波レイ。

 お前の母、唯の遺伝子情報をもとにリリスが魂を移したのが彼女だ。

 もっとも、レイはこの事実を知らない。

 そして0号機にはリリスの魂の一部が入っている。

 ダミープラグはその波長パターン解析して作っていたのだ。」

 

 こうして長い話は終わった。

 

『碇司令、質問に答えてくれたこと感謝する。

 最後に聞かせてほしい。

 あなたの目的はなんだ?』

 

 一瞬視線をシンジに向けるゲンドウ。

 

「無論、ゼーレを打倒する。

 この子たちの生きる明日を作ることだ。」

 

 まっすぐな目をしていた。

 なるほど、これがこの男の本音…

 

『わかった。

 あなたを信じよう。』

 

 Zはそういうと姿を消した。

 

「シンジ、話は以上だ。

 全てが片付いたあと、もう一度話そう。

 そのときは母さんも連れてくる。」

 

 それだけ言うとシンジを置いて立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 それから3週間が過ぎた。

 使徒が来ない平和な日常を過ごしていた。

 ギクシャクするかと思っていた関係も全く変わらなかった。

 しかし平和を乱す、呼び出し音が昼間に鳴り響く。

 

「召集…行こう、アスカ、綾波!」

 

「シンジ、あんた自信満々ね…

 いいじゃない!

 アタシも負けないわ!」

 

「今度は足手まとい、ならないわ」

 

 3人が司令室へ駆け込む。

 そしてミサトからの状況説明が始まった。

 

「今度もまた宇宙からの使徒よ!

 2号機先行で、銃火器による射撃で様子を見て頂戴。

 こいつが今回の使徒の映像よ。」

 

 映し出されるのは月寄りの上空に浮かぶ青白い光を纏った鳥のような使徒だった。

 

「現在まで衛星からの爆撃を行うもフィールドで無効化されてるわ。

 おかしいのはなんの反撃もして来ないのよ。

 損害は使徒と直接接触した衛星が溶解したくらいね。

 高密度のエネルギーをまとっているようだからやっぱり銃火器ね。」

 

 ブリーフィング中、急にスパークレンスが起動した。

 

『ミサト、私とシンジでいく!

 他の機体は待機させてくれ!』

 

 慌てたようにZが捲し立てる

 

「どうしたのZさん?

 なにかあるの?」

 

 あまりの様子にシンジが思わず聞いてみると

 

『…こいつなんだよ、私がここに来る直前、ハルキと戦った怪獣は!

 まさか使徒だったなんて。

 こいつの放つ光線は人の精神を狂わせる。

 シンジは私が守りながら戦うから、行かせておくれ!』

 

 あまりの気迫にミサトはうなづいてから、ゲンドウに伺いを立てる。

 

「司令、よろしいですか?」

 

「構わん

 Z、さっきの言葉、忘れるなよ。」

 

 許可が降りたところで地上に上がるシンジ。

 

『一気にガンマフューチャーでとぶぞ!』

 

 ウルトラマンZ!ガンマフューチャー!

 

「変幻自在、神秘の光!」

 

 ブートアップ!ガンマ!

 

『ご唱和ください我の名を!

 ウルトラマンゼェーット!』

 

「ウルトラマン、ゼェーット!」

 

 そして一気に大気圏までワープしそこから使徒の元まで飛んでいく。

 

『シンジ、あいつはトリッキーだ。

 だからフォトンストリームが弾かれたら、デルタライズクローで勝負をかけるぞ!』

 

「了解!」

 

 そしてたどり着いた使徒の元、しかし

 

『な、この前より倍はでかいぞ!

 また怪獣でも取り込んだのか!

 決めるぞシンジ!

 フォトン、ストリーム!』

 

 両腕にフォトン粒子を集めしなるムチのようなエネルギーを相手に叩き込むフォトンストリームだが、やはりフィールドに弾かれる。

 ならば

 

「闇を飲み込め!黄金の嵐!」

 

 ウルトラマンZ!デルタライズクロー!

 

 黄金の光を纏い攻撃を打ち込むが、わずかに押す程度でダメージにはならない。

 

『ベリアロク!』

 

 ベリアロクで切りかかるが5回に一回通る程度でエネルギー消費とダメージ効率が割に合わない。

 

『デスシウムスラッシュ!』

 

 闇色の斬撃がフィールドごと使徒を飲み込む、が

 

 これまでより大きなダメージを与えたようでぐらつくも、致命傷には至らない。

 

「く、どうすれば…」

 

 シンジが策を考えるもどれも決定打にはならない…

 そう考えていると、使徒から光が放たれた。

 

『まずい⁈避けきれない。

 シンジィィぃ!』

 

「え、なにこれ。

 やめろ、やめろやめろやめろ!

 そんな、トウジィィィィ!」

 

 ハルキと同じく精神汚染されるシンジ。

 地上で映像を見ている司令部では声が聞こえるようなマイクを持たせていたが、だれもがまともな神経で聞いてはいられなかった。

 

「司令!私たちもバックアップに!

 このままだとシンジが!」

 

 アスカが出動要請を出すも

 

「ならん。

 君達まで同じく精神汚染されたらどうする。

 シンジにはZがいるからある程度中和するが、君たちは最悪廃人だ。

 あいつも男だ、守ると言って出ていったのなら黙って見守るのが周りの務めだ。」

 

 ゲンドウは頑として認めなかった。

 一番息子が心配であるはずの男がこう言っているのだ。

 周りが逆らえるわけもなく、ただ、全員が祈るだけだった。

 しかしその祈りが奇跡を起こす。

 それに気づいたのはマヤだった。

 

「⁈

 格納庫から高エネルギー反応!

 これは…エヴァ3機からオーラのようなものを検出!」

 

「まさか、唯⁈

 ようやく目覚めたのか。

 しかし、他の機体は。?」

 

 ゲンドウは唯が目覚めたためだけに起きた現象かと思っていたがそうではない。

 

「あ、もしかして…

 シンジを守ってって祈ったから…」

 

 どうやらアスカはシンジのために祈り続けていたらしい。

 レイも同様なのかコクコクと頷く。

 そして

 

「オーラ状のエネルギー、上空へ放出!

 この方向は、Zの方です。」

 

 やはり祈りが通じたようだ。

 アスカはそれを見てつぶやく。

 

「早く無事に帰ってきなさいシンジ。

 帰ってきたら、レイと二人でギュッとしてやるわ。」

 

 

「やめろ、もう見たくない!

 だから嫌だったんだ、戦うのは!」

 

 精神汚染が悪化するシンジはかなり衰弱していた。

 Zも使徒を倒そうと光線を放つがダメージにならない。

 

『どうすれば…

 ウルトラピンチだぜ』

 

 そんな時地上から紫、黄色、赤の三色のエネルギーが飛んできてZのカラータイマーに吸い込まれた。

 

『うわっ、なんだ…ってシンジ!

 だいじょうぶなのか⁈』

 

 三色のエネルギーはシンジを包むように広がった。

 すると苦しんでいたシンジも元の呼吸を取り戻した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…

 Zさん、みんなが…

 ネルフのみんなが応援してくれてる。

 まけるな、ちゃんと帰ってこいって!」

 

 そしてエネルギーはシンジの左手に集まり出した。

 

「今ならあいつに勝てる。

 この力はみんながくれた力だから!」

 

 そしてエネルギーは新たなキーを生み出した。

 

『そのキーは…

 あぁー、もう!

 考えても仕方ない!

 シンジ、ぶっつけ本番で行きますよ!』

 

「はい、ゼットさん!」

 

 そしてシンジは新たなキーを起動させる。

 

 ウルトラマンZ!イプシロンエヴァ!

 

「絶望を打ち払え!紫電の福音!」

 

 ブートアップ!イプシロン!

 

『ご唱和ください我の名を!

 ウルトラマンゼェーット!』

 

「ウルトラマンゼェーット!」

 

 そして顕現するのは頭部のトサカの前部分がツノのように前方に伸び、ウルトラマンネクサスのような顔つき、紫、赤、黄、銀に彩られた新たな姿だった。

 

 ウルトラマンZ イプシロンエヴァ

 

 エヴァ三機の力を纏った、この世界だからこそ至った形態だ。

 

『これならフィールドを中和できる!

 ベリアロク!」

 

 ベリアロクに紫色のエネルギーを纏わせ、使徒を切り付けるとフィールドごと相手を切り裂いた。

 そして両羽を切り落とすと人差し指を構え、左手で右手首を持ち固定する。

 狙いはもちろんコアだ。

 ゼスティウム光線のエネルギーが指先に集まる。

 力を圧縮し、解き放つ。

 

『ゼスティウム・ライフル!』

 

 使徒が最後の力で張ったフィールドすら容易く打ち抜き、コアを消滅させたのだった。

 

『凄いぞシンジ!

 君は自力で強化形態を作れなかった私に、新しい力をもたらしてくれた。

 ウルトラ大した男だな!』

 

 薄れゆく意識の中Zにほめられたきがした。

 

 目覚めたら頭の病院の天井だった。

 違うのは

 

「ア、スカ?」

 

 アスカが覗き込んでいた。

 

「あんた、ゼットが地上に連れて帰ってから丸2日寝てたのよ。

 心配したんだから。

 大丈夫ならさっさと退院なさい。」

 

 そういうアスカはあくびを噛み殺していた。

 目の下には黒い隈が…

 

「もしかして、ずっといてくれたの?」

 

 そういうとアスカはシンジの方をじーっと見て

 そのまま強く抱きしめた。

 

「うぉ、ちょ、え?

 アスカ、さん⁈」

 

「おかえりバカシンジ

 あと、そんな野暮なこと聞くんじゃないわよ。」

 

 そういうとウインクひとつ残して病室からアスカは出ていった。

 

 




どうも、オリジナル形態のお披露目でした。
ほんとは絵が描ければいいんですが、当方絵は苦手でして…
残る使徒はあと2体、ですが実はまだまだ話は続きます。
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