新世紀エヴァンゲリオンZ   作:カチドキホッパー

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8話 邂逅 涙のない世界

キングオブモンスを倒して10日、今は実験施設での戦闘訓練の最中だった。

 アスカの2号機とZのシンジとの模擬戦は超巨大ソフト棒によるチャンバラだった。

 先日のたたかいでベータスラッシャーによる二刀流を披露したアスカは二刀流で、シンジはアルファエッジで一本のソフト棒を構えていた。

 

『アンタ達、あくまで一般の模擬戦だからね。

 熱くなって被害出さないでよ!』

 

 ミサトからの注意が、開戦の狼煙になった。

 アスカは上段の大振りを右の棒で仕掛けてくるが難なく避けるZ。

 しかしそれはブラフで、避けたゼットに左手の棒が襲い掛かる。

 

「アスカっ、手加減してよ!」

 

「何言ってんのよシンジ、アンタは実戦だとベリアロクって黒い刀一本しかないでしょ!

 あと2体だけど、ここで手を抜く理由にはならない、わ!」

 

 そんな感じのやりとりが1分続き終了のサイレンがなる。

 

『2人ともお疲れ様!

 シンジくん、ダメージ受けた回数は3回ね。

 十日間でだいぶ進歩したじゃない。

 アスカも動きが良くなってるわ、回収ポイントで待機してちょうだい。』

 

 そう、ミサトの放送の通りこの訓練は10日目なのだ。

 近接の苦手なシンジ、二刀流が未完成なアスカのための戦闘訓練はまずまずの成果を出していた。

 シンジは梶から稽古をつけてもらい武道の動きを習得しつつあるが、決定打はやはりナイフやベリアロクなどの武器によることが多い。

 しかし、この訓練でだいぶ様になったようでアスカに何発か食らわされるようになっていた。

 

『シンジ、なかなかの成長ですな!

 これなら次の戦闘もばっちりじゃないか?』

 

「そんなZさん、まだまだですよ…

 この程度じゃアスカを守れないから。

 …いや、違うんですよ⁈

 さっき一緒に訓練してたから名前が出ただけで、そう、みんなを守れないから!」

 

 このゼットとのやりとりが司令室に筒抜けで、一同のテンションを上げているのはまた別の話。

 そして同じく聞こえていたアスカは

 

「〜っ、もう!

 馬鹿シンジったら」

 

 顔を真っ赤にして俯いているがにやける顔が止まらないようだ。

 それを見ていたレイは

 

『不思議、イライラする。

 私、嫉妬しているのね。』

 

 新たな感情が芽生えだしていたのだった。

 

 

「赤木博士、実験の結果どうだった?

 NERVキーの運用によるエヴァへの影響…使用を中止にする必要があるのかね?」

 

 ゲンドウの問いにリツコは向き直る。

 この訓練は能力向上と同時に、ネルフキーの使用によるエヴァおよびパイロットへの影響の検証も兼ねていた。

 

「はい、影響はあまりないです。

 エネルギーによる外装の増加という現象ですのでエヴァの素体自体への干渉は一切ありません。

 ただ、元々の外装も若干増加の際に一部を変形させているようですので長い目で見たときに外装の耐久力低下が懸念されますが戦闘でダメージを受ければ交換するので差して問題はないかと思われます。」

 

「わかった。

 今後もキーを運用する方向とする。

 また、キーのデータおよび内容については第一級の緘口令をしくものとする。」

 

 使徒を倒した先に待つ敵、ゼーレ。

 形式上ネルフの上位組織であることから報告の際のデータは一部改竄しているのだ。

 

「残る使徒はあと2体。

 いよいよだ、ユイ。

 今度こそ、家族で暮らせる。」

 

 

 それから10日が過ぎた時突然奴は現れた。

 

『駒ヶ岳の観測所から伝達!

 未確認飛行物体を確認。

 パターン青、使徒です!』

 

 光学映像に出されたのは天使の輪のような使徒だった。

 しかしよくみると二重の螺旋を描くような輪になっていた。

 

「あれ、どうみる?」

 

「現時点ではなんとも言えないわ。

 ただあれが固定の形態でないことだけは確かね。」

 

 ミサトとリツコな協議の結果、レイが先行して様子を見ることになった。

 仮に高威力の攻撃を持っていてもガンマディフェーザーなら防げるからだ。

 バックアップで2号機が離れた位置に出撃、万が一のための措置であり、初号機は格納庫で待機となった。

 そして出撃したレイは念のためライフルと盾を装備、様子を見ていた。

 

「レイ、様子を見て場合によっては仕掛けて!」

 

「いえ、くるわ」

 

 突如使徒は円を解き、一本の光の棒になって突っ込んできた。

 すでにガンマディフェーザーとなって防ごうとするが、

 

「フィールドを突き抜けて…

 これじゃ盾も…持たない…」

 

 フィールドをたやすく貫通しその勢いのまま盾に喰らいつく使徒。

 そしてヒビが入り…

 レイはそのタイミングで盾を手放し両手で使徒を掴むと地面に叩きつけた!

 しかしその掴んだ手から使徒は融合を始めた。

 

『ありえない!

 使徒が、エヴァを通して人の心を知ろうとしているですって?』

 

「レイ!

 2号機、あのミミズもどきを切るわ!」

 

 リツコの言葉を聞きやばいと感じたアスカは2号機を走らせる、が

 掴まれているのとは反対側の頭を2号機に突っ込ませた使徒は、クロスして防ごうとした刀を容易く砕き二号機の腹から侵食する。

 

「いや、やめて!

 あたしを見ないでぇぇぇぇ!」

 

『2号機の侵食、30%を突破。

 危険域です。』

 

「ミサトさん!

 僕が初号機で出る!」

 

 そして出撃した初号機が見たのは、えびぞりで悶える2号機と何とか融合を防ごうとする0号機だった。

 

「綾波、もうちょっと耐えて!

 アスカ、今助ける!」

 

 ブートアップ!アルファ!

 

 青き鎧を纏いガントレットからエネルギーの刃をだして2号機につながる使徒を叩き切るシンジ、しかし

 2号機を解放した使徒は隙だらけなシンジへ向かい融合を始めた。

 そして途端に0号機に食らいついていた方の頭も初号機に食らいついた。

 

「はぁ、はぁ

 あれ、使徒は…

 え、なにこれ

 嘘でしょ、シンジィィィィィ⁈」

 

 使徒から解放されたアスカが見たのは2か所から侵食され使徒に縛られるような形になった初号機だった。

 

「碇君、今助ける。」

 

 機体を動かそうとするレイとアスカ、だが融合の時にエネルギーを吸われたのか内部電源すら無くなっていた。

 かろうじてモニターがプラグの予備電源で見える程度だ。

 

「そんな、碇君…」

 

 レイの瞳からは知らないうちに涙が溢れ出ていた。

 

『ここは…』

 

 シンジは見慣れない赤い空間にいた。

 確か使徒に融合されて…

 そしてシンジは足元が赤い水溜まりになっていることに気づく。

 その中から2人の白い人間が上がってくるが…

 

「綾波とアスカ?」

 

 白い人間は見慣れた2人の姿だった。

 

『ねえ、碇くん/シンジ。

 私と一つにならない?

 それはそれはとても気持ちのいいことなの。」

 

 2人は男子中学生なら誰もが喜ぶようなことを言い出したのだ。

 その甘い誘惑に乗りそうになったとき

 

「ダメよシンジ。

 幸せにする女の子はちゃんと手順を踏まないとダメよ。

 お母さん、お嫁さんが2人でも別に気にしないけどまだ早いわ。」

 

 茶髪の綾波レイそっくりな人がいた。

 え、お母さんってまさか

 

「え、母、さん?」

 

 初号機の中にいるとは聞いてたけど、まさか会えるとは。

 

「大体の事情はわかってるわ。

 そいつらは、使徒があの子たちの情報を読み取って形作っているにすぎないわ。」

 

 そうか、ならいけるか。

 

「話したいことはいろいろあるけど、あまり精神内部にいると戻れなくなるわ。

 この使徒は圧倒的な力で吹き飛ばすしかないわ。

 時間がないから手短に言っておくわ。

 お父さんは未来を変えようとしている、だから手伝ってあげてね。

 あの人、あなたのことが可愛くて仕方ないんだから。

 それと使徒を初号機に食べさせてはダメ。

 一度覚醒すればこの世界に絶望をもたらす悪魔になるから。

 大丈夫よ、あなたには、他のあなたが持ってない光の力があるんだもの。」

 

 その言葉を聞き終えるとシンジの目は覚めていった。

 

 目を覚ますと侵食の痛みとプラグスーツにはる根のような侵食痕が生々しかった。

 

「君はこうやって人を知りたいだけだったんだね。

 でもごめん、僕の大切な人を守るために君を…

 殺します。」

 

『シンジ!シンジ!

 応答しなさいシンジ!』

 

『シンジ、私の声が聞こえるか?

 最悪初号機を捨てても構わん!

 命を優先しろ!』

 

 Zさんと父さんの声が聞こえる。

 

「大丈夫だよ父さん。

 リツコさん、ちょっと無茶しますけど許してくださいね。」

 

 ウルトラマンZ!デルタライズクロー!

 

 コードアップ!デルタ!

 

「解き放て!黄金の嵐!」

 

 そしてシンジがエヴァスパークレンスのトリガーを引く。

 すると初号機の内側から光が溢れ出し、使徒が内部から逃げるように出てくる。

 そして使徒が再び円の形になる頃には金色の鎧を纏う初号機がいた。

 Zのデルタライズクローの金色の鎧をそのまま纏ったような初号機だった。

 溢れ出る光が両手に大型の爪を形成する。

 そしてフィールドを歯牙にも掛けないその爪が使徒を蹂躙し、爆散させた直後に初号機はエネルギー切れを起こした。

 

 シンジが目覚めたのは5日後だった。

 その間の話はミサトから聞いたが、エヴァは三機ともしばらく修復に時間がかかりそうらしい。

 そしてパイロットは使徒に融合されたので全員影響がないと判断される3日間は隔離されたそうだ。

 その件をうまいこと誤魔化して報告したら、ゼーレから新しいパイロットを派遣されることになったらしい。

 

「シンジくん、新しく来る子にはゼットやNERVキーのことは言ってはダメよ。

 彼が敵かはわからない以上、警戒するに越したことはないわ。」

 

 そして退院したその足で久々の外を満喫しに芦ノ湖の方に行くと

 

「やぁ、待っていたよ。

 碇シンジくん。」

 

 銀髪のイケメンが岩の上に座っていた。

 見覚えはない。

 

「あの、君は?

 なんで僕の名前を?」

 

「僕はカヲル、渚カヲル。

 君と同じ運命を仕組まれた子供、パイロットたる5thチルドレンさ。

 君の名前はこの世界ではとても有名だ、失礼だがもっと自分の立場を自覚したほうがいい。」

 

 そしてカヲルがシンジを見つめ…

 

「あぁ…君があの光の戦士か。

 なるほど、老人たちが君に近づけというわけだ。」

 

 うそん、バレとるやないかい。

 

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