「君の魂と重なるように、あの光の巨人の形が見える。
僕の目は特別でね、変わったものが見えるのさ。
安心してくれ、誰にもいうつもりはないよ。」
新たなパイロット、渚カヲル。
初対面でシンジがウルトラマンZだと見破った。
警戒するシンジにカヲルは手を差し出した。
「そんなに小動物のように警戒しないでおくれ。
僕は老人たちの指示できたけど、そんなことは瑣末な問題だよ。
そして君はとても優しいね、警戒しながらも僕のことを優しい目で見てくれている。
初めて出会うタイプだ、好意に値するよ。」
確かにゼーレにあるこの少年が無理をしていないか、昔の自分に重ねて心配していたのは事実だ。
しかし好意って…
「わかりづらかったかな?
好きってことさ。
友達としてよろしくね、シンジくん。
僕のことはカヲルって呼んでよ。」
この人となら仲良くやれる。
「こちらこそよろしく、カヲルくん。」
そして2人は握手を交わした。
だがそこへ、
『シンジ、そいつから離れろ!』
ゼットの声が響く。
「どうしたんですかZさん?
たしかに見抜かれたのは驚いたけどそんなに警戒するほどじゃ…」
『違うんだシンジ!
こいつ、レイと同じ感じがする…
作られた命の形、そしてその魂は』
「使徒と同じ、かい?
初めましてウルトラマンZ、こんなにも早く見抜かれるとは思わなかったよ。
君が気づかなければ、シンジくんと楽しい時間が送れたのにね。』
そう答えるカヲルの顔をシンジは見れなかった。
魂が使徒?何言ってんだ2人とも…
だってカヲルくんは、僕に優しくしてくれて、友達になってくれて…
「僕も改めて名乗ろう。
我が名はタブリス、第17の使徒にして最後の使者。
我が魂は第1使徒のものだ。
君たちに終わりを告げるものだ。」
カヲルくんが、使徒。
その事実に理解が追いつかないシンジ、しかし
次の瞬間、カヲルの拳がシンジの腹に刺さる。
「君の力を分けてもらうよ。
ふぅん、これで変身していたんだね。」
その手にはスパークレンスとブランクのキーがあった。
慌てて腰のホルスターを見るとスパークレンスもキーも全てあった。
「君の力をコピーさせてもらった。
ごめんね、シンジくん。
もし君が僕を止めたいならドグマの最下層で会おう。」
そういってカヲルは宙をまい、本部の方へ行った。
「おいかけ、なきゃ」
痛む腹を抑えたながら、本部に駆け出したシンジ。
所変わって発令所、カヲルはゲンドウへの挨拶のため職員に案内されてきた。
「初めまして、碇司令。
僕は渚カヲル、5人目のパイロットです。
どうぞよろしく。」
「あぁ、遠くからご苦労だった。
キール議長はお元気かな?」
「ええ、とても。
碇司令によろしくとおっしゃってました。」
「そうか。
君にも頑張ってもらいたい。
ところで渚カヲルくん…
いや、第17使徒タブリス。
セントラルドグマではなくこちらにきたのはなんのつもりだ?」
その言葉で発令所が一気に緊張する。
パァン
そして乾いた音が響く。
ゲンドウが構えた銃から煙が上がり、弾は
カヲルのATフィールドに阻まれていた。
「今日はZといい、あなたといいよく正体がバレるなぁ。
しかしあなたは僕が使徒であると知らなかったはずだ。
シンジくんには連絡できない程度には痛い思いをしてもらっていますが…」
カヲルの言葉に別の意味で空気が凍りつく。
この使徒、なんてことを…
「貴様の正体を知っているのは前からだ。
答えろ、シンジに何をした。
返答次第では転生すら叶わぬようにしてくれる。」
「まさかあなた…
なるほど、ループを外れた人か。
いつの世界で僕に出会いました?」
「貴様の知らぬところでだ。
でなければ、生命の書から解放された貴様が使徒として現れるはずがない。」
他の職員たちが全く理解できない会話を続ける2人。
「なるほど、ということは…
まぁいい、僕がここにきた理由は体を返してもらいたいからですよ。」
そしてカヲルが手を伸ばすと、ゲンドウの懐から再生されたアダムの一部が飛び出して、カヲルの手に収まった。
「これで老人たちの思惑とは外れるはずだ。
なにがリリスとの契約だ、そんなものに僕を巻き込むなよ。
さて司令、僕はこれからガフの扉を開きます。
あんなゲテモノとの融合なんてごめんです。
しかし猶予を差し上げましょう。
今から一時間後にこの上空で儀式を始めるので止めたければどうぞ。
まぁ、止められればの話ですがね。」
そういうとカヲルの手にあったアダムとブランクキーが一つになり夜色の輝きを放つ。
そうするとカヲルは姿を消した。
「総員、第1種先頭配置。
全兵装の使用を許可、直ちに第17使徒の殲滅行動に移れ。
保安部はサードチルドレンの安全の確保を。
エヴァ各機は準備が整い次第順次発進だ。」
ゲンドウの指示によりなんとか元の動きを取り戻す職員たち。
そしてジオフロント内に0号機、2号機を配置すると、ネルフ本部上空にカヲルが現れた。
「僕を真似て作った粗悪品か。
醜いね、君たちの中にいる魂も苦しそうだ。
せめて浄化の時まで、安らかに。」
そしてカヲルがアダムが融合したキーを使う。
『ADAMS』
それだけでエヴァは全て起動できなくなった。
「大変です0号機及び2号機、起動できません!
エネルギーは供給されていますが、エヴァ側が起動を拒否している模様!」
「碇、これはまさか…」
「おそらく、取り戻したアダムの力を使っているのでしょう。
エヴァの素体はアダムのコピーですから。
おそらくあの使徒の魂は…
第一使徒、アダムだ。
またあの子に全てを託すことになるとはな…」
すまないシンジ、頼りない父を許してくれ。
シンジが本場に着いた時に見たのは無傷で倒れるエヴァ二機と、宙に浮かぶカヲルだった。
「カヲルくん!
やめようよ、君となら話し合える。
僕は君の話が聞きたいんだ!」
「遅かったねシンジくん。
儀式を始めるまで残り五分だ。
本音を言うとね、僕は友達である君に止めて欲しかったんだよ。
だがもう遅い…君たちが弄んだ、地球の始祖の怒りを知るがいい。」
そしてカヲルは持っていたスパークレンスのコピーと夜色のキーを構える。
キーを起動すると、スパークレンスも夜の色に染まった。
『ADAMS』
ブートアップ!THE FIRST ENGEL OF WHITE MOON!
そしてシンジがいつもする様にスパークレンスにキーを差し込んだカヲルは天に掲げて厳かに言霊を解き放った。
「絶望を誘う原初の光、ADAM!」
そして輝いたスパークレンスの後には、エヴァと同じ形をした光の巨人が立っていた。
『さぁシンジくん、いや人類よ。
絶望をもう一度、サードインパクトをはじめよう。』