仮面ライダーアンフィル   作:酢トリーマー

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最終回(3回目)これがほんとの最終回


最終話【満たされる可能性】

「………一体なにがどうなったんだ……」

 

神楽屋は真っ暗な空間にいた。そこに壁はなく、ましてや天井や地面もあるか分からないほどだった。

 

「どこなんだ…?ここ……」

 

しばらく歩いていると真っ暗な空間でもわかるぐらい異様な黒い霧のようなものがあった。

 

「なんだあれ…?」

 

その霧に近づく、しかしそれは目の前にあるように見えて、ずっと遠くにも感じる。

 

「これは…向こうが離れてる…?どうなってるんだ…?」

 

しばらくしているとその霧は晴れる。そこに黒いホロスが横たわっていた。

 

「ホロス!?その姿……それにそんなボロボロでどうしたんだ!?」

 

ホロス「……」

 

「それに一体ここはどこなんだ?」

 

だが黒いホロスは沈黙を貫く。

 

「黙ってても分からない……教えてくれよ」

 

しばしの沈黙から、ホロスは言葉を発する。

 

ホロス「………すまない」

 

「すまない…?やっぱ息子とは戦いたくないか?なら俺がやる」

 

ホロス「いや……もう終わったんだ」

 

「終わった?何がだよ」

 

ホロス「戦いが終わったんだ」

 

「戦いが終わったって……あの時…」

 

ホロス「いや……多分お前が言ってるあの時じゃない……その後だ、俺が…アイツに存在理由も何もかも否定されて……それでお前をこんな所に閉じ込めて……戦ったんだ、だけど……すまない………勝手な事した挙句負けて……。 」

 

「いや…ホロスは戦ってくれたんだろ?それは自分のためかもしれない…それでもあのままでは結局負けてた、それなら少しでも戦い続けてくれたなら…それでいい」

 

ホロス「自分の体の制御が効かなくなって、それで酷使されたんだぞ?それでもいいのか…?」

 

「あぁ…どっちにしろ死ぬならその方がいい」

 

?「いや、死んでないぞ」

 

「え?ホロス今なんか言った?」

 

ホロス「いや……」

 

?「いや、ホロスが言った」

 

「ほら、ホロスが言ったって………え?」

 

ホロス「まさか……いやありえない……」

 

?「ありえるからこうやって話してるんだろ」

 

その方を見ると、そこには黄金のホロス……またの名を械都がいた。

 

ホロス「なんでお前が……」

 

械都「投げられた剣の破片、あれにくっついて来ちゃった」

 

「あなたが…先代のホロス…」

 

械都「君が神楽屋…アンフィルか、うちのがお世話になってるよ」

 

ホロス「…それで、何しに来た」

 

械都「何しにって……まぁ死んでないってのを伝えに来た」

 

「死んでない…ならなぜこんな所にいるんだ?」

 

械都「簡単に言えば今は寝てる状態、次第に起きる」

 

「なるほど」

 

械都「もう1つは……こっちが本題だな、…俺の息子を止めてほしい」

 

そう言ったホロス…械都は頭を下げる。

 

ホロス「自分でどうにかしたらいいんじゃないか?」

 

黒いホロスはトゲのある言い方で返す。

 

械都「本当はそうしたいのは山々なんだ……だが俺はシヴィを抑えてなきゃいけないせいで降りられない。今はこうやって力の一端を剣に宿し、それをお前らが刺されたことで話してる訳だが……これじゃ実体は持てない」

 

「ならこの力をアイツに…息子に刺せば、倒せるし話も出来るんじゃないか?」

 

械都「いや、あいつは神同然の力を手に入れている。本体の俺ならどうって事ないが…力の一端でしかない今の俺では止められない。下手したら神の力を抜かれるリスクだってある………それに俺はアイツに会う資格はない…」

 

ホロス「…それで?どうしてほしいんだ」

 

械都「方法は任せる……俺にはアイツをどうこうする事も言える事も出来ない」

 

ホロス「さっきから聞いてれば無責任じゃないか?そんなだから会いに行く…もとい械都を殺すために神になるなんて言うんだろ」

 

械都「…………あぁ…だがこれだけは言える……アイツにこんな事…神になんてさせたくないんだ」

 

無責任に感じた言葉たちだったが、この一言は今まで発したどの言葉よりも重く感じる。

 

ホロス「はぁ……まぁ分かった、だけど今度こんな事になったら自分でやれよ」

 

械都「すまないな……もう1人の俺と神楽屋にこんな事を任せてしまって」

 

解消されていく空気から一変、一気に重くなる。

 

ホロス「……それで、止めるっていうのは……息子を殺す、って言うのも入ってるんだろうな」

 

械都「……………それに答えるのは……やめておく…俺はもう1人の俺と神楽屋を信じてる、それに……任せると言ったからな」

 

ホロス「そうか……」

 

真っ暗な空間が白く変わろうとしていく。

 

械都「どうやらそろそろ目覚めのようだな」

 

ホロス「…正直別れが惜しいな」

 

械都「もう1人の俺にも可愛いところあんじゃん」

 

ホロス「うるさい」

 

械都「ふっ……こっちも寂しくなるな。……任せたぞ、神楽屋、それにもう1人の俺」

 

「はい……俺たちが止めてみせますよ」

 

ホロス「あぁ」

 

械都は心配だった、だが神楽屋の顔を見てその気持ちは消える。そして真っ暗な空間は完全に白で染まった。

 

 

現実の神楽屋が目を覚ます。

 

「…っはぁ…いたた……」

 

それと同時に黒いホロスはぬいぐるみのような姿に戻り、排出される。

 

飛滅「神の力で刺されてもなお、まだしぶとく生きるか……!」

 

「あいにく、お前の父親に止めるよう言われたからな!」

 

ホロス「お前がしたことは許せない…絶対……だが今はそれよりも大事なもんがあるんだ」

 

飛滅「俺の父だと…?死に損ないと出来損ないが!!気でも狂ったか!」

 

「なら見せてやるよ…!真なる力を!」

 

虹のエネルギーを纏った剣の欠片は神鳥のボトルと空のボトルに変わる。

 

飛滅「…そいつらに味方するのか……械都ォォォォ!!!!」

 

「変身!」

 

『ホロスガイスト!On!ライダーTheホロス!!』

 

黒と黄金のエネルギーが解放される。それは紺色の鎧となり、翡翠の瞳が輝いた。

 

飛滅「今更その姿で!!」

 

神として完成されかけているリホロスは、大きな翼を広げ幻影により何十倍にも巨大化したロボットアームを振りかざす。

 

ホロス「避けきれないぞ!」

 

「なら!」

 

『救済!』

 

サブスロットに救済ボトルを装填し球体を回す。

 

体を液状化させ、背後に回り込む。

 

『禍彌鳥!』

 

禍々しいエネルギー全てがボトルから抜け、元の神鳥に戻る。そしてその禍々しいエネルギーは形を作り、今までよりも鋭く、強大な鎌に変わる。

 

「はぁぁぁ!!!」

 

大きな一振りは、いとも簡単にリホロスの大きな翼を引き裂く。

 

飛滅「ぐっ……その程度!!」

 

よろけつつもロボットアームだけはこちらを捉え、アンフィルを鷲掴みにする。

 

飛滅「茶番はおしまいだ」

 

「…それは…こっちのセリフだ…!」

 

『審判!』

 

モザイクからホロスが現れる。UMAキックの蹴りは折るほどではなくともロボットアームからアンフィルを引き剥がすだけの火力はあった。

 

飛滅「くそっ……死に損ないのくせに!」

 

「そういう決めつけ、されたら嫌じゃなかったのか?!」

 

『言葉!』

 

ホロスはモザイクに戻る。そして手元に槍が現れる。その槍を高跳びするかのように扱い、リホロスの死角に舞う。

 

飛滅「なにっ…?」

 

『聖騎士!』

 

槍の姿を可変機構がついたブラスターに変える。それを最大出力でリホロスに発射した。

 

「ここだよ!」

 

飛滅「なっ…!!!ぐわぁぁぁ!!!」

 

リホロスとアンフィルは爆煙に巻き込まれる。

 

「死んでなければいいが…」

 

爆煙の中を突き進む。すると足元には突如として灯りが現れる。

 

「どうしてこんな所に灯りが…?」

 

ホロス「これは…!逃げ………」

 

飛滅「遅い!!」

 

爆煙の中から現れたリホロスは救済の姿に変わっていた。

 

飛滅「そのボトルは俺の父……本物の神の力だろ…!」

 

「おまえ…!」

 

その力を実としてリホロスは取り込む。それはすぐに変化を起こす。先程までの大きく広がっていた神に近い姿とは一変、今の姿は寝てる時に会ったホロスの…械都の姿そっくりのものになる。

 

飛滅「これが本物の力…!」

 

ホロス「どこまで腐って!」

 

飛滅「こうなった以上もうお前らに勝ち目など!」

 

取り込んだ体勢のまま、手を突きだす。たったそれだけの動作でアンフィルはその場から吹き飛んだ。

 

「がはっ………」

 

飛滅「死に損ない……今度こそ本当に殺してやる…!」

 

「………まだ気づかないか………」

 

飛滅「何に…!?」

 

リホロスはアンフィルの方へ歩を進める。

 

「分かるだろ……神になったなら……その暖かい力が…」

 

飛滅「何かと思えば……そんなもの…!」

 

「……そんなものか……思えば俺には神の力なんて早かったのかもな…」

 

飛滅「今更後悔か?それで許されるとでも…!」

 

アンフィルはふらつきながらも立ち上がる。

 

「いや……俺は神なんてものじゃなく……人らしく……最後まで人間としてやらせてもらう…!」

 

飛滅「人間としてだと?」

 

「お前も言っただろ…!械都が神になったせいで幸せになれなかったと!ならそれを知っておきながらなぜ神になろうとする…!」

 

飛滅「今更この世に用など!」

 

「用がなかろうと、なんだろうと生きなければいけないだろ…!!」

 

アンフィルはモデレーターチェインと空のボトルを構える。それを見たリホロスは嘲笑う。

 

飛滅「い、今更モデレイトだと?それは既に破っている、それに空のボトルで……」

 

『神楽!』

 

「……変身…!」

 

モデレーターチェインをサードスロットに、神楽のボトルをメインスロットに装填し、球体を回す。

 

『アンフィル×アンフィル!ムーヴ!On!ゴーイングライダーTheライブアンフィル!』

 

緑の暖かいエネルギーと黄色の活力溢れるエネルギーが解放される。それはアンフィルの装甲となり包み込む。黄色のエネルギーはモデレイト同様4本の角となる。そして翡翠の瞳は、より美しく、強く輝いた。

変身完了と同時にホロスは排出される。

 

ホロス「人として、か……械都が選べなかった選択…見せてくれ」

 

飛滅「今更人間1人の力で!」

 

「はあぁ!!」

 

黄色のアンテナを光らせる。強化された身体能力により大きく突き進む。リホロスが振り返るよりも早くにその後ろに回り、腕を回し正面からパンチを食らわす。

 

飛滅「なにっ…!!」

 

「人間の力を…可能性を舐めすぎだ!」

 

飛滅「人間の力なら…これは届かまい!」

 

リホロスは翼を広げ天高く飛ぶ。

 

「人間の想像力に届かないものなんてない!」

 

可能性の力で緑が跡を引く跳躍を見せ蹴りを食らわす。それはリホロスを地面に落とした。

 

飛滅「可能性だと…!そんなもののせいで俺はどれだけ夢を見て再び絶望に変えられたか!」

 

虹のオーラはアンフィルを貫こうと伸びてくる。

 

「なら力を持った今、それを実現できるだけの事はできるだろ!」

 

黄色のアンテナを光らせ、可能性の力も同時に発現する。その攻撃橋のように伸び、リホロスのオーラを打ち砕く。

 

「人間の力を見せてやる!」

 

ボトル上面のボタンを押し、球体を回す。

 

『フィリウム!フルリビリティフィニッシュ!』

 

橋をかけ渡り、大きく飛び上がる。全身が緑の、可能性の力が包みアンテナが光る。両足を突き出しリホロス目がけてそれは放れる。

 

「はぁぁぁぁ!!!!」

 

その蹴りはリホロスを突き破る。

 

飛滅「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

リホロスの神としての力は砕かれ、変身が解かれた。

 

ホロス「終わった…のか?」

 

アンフィルは飛滅の元へ歩み寄る。

 

飛滅「……許せないんだろう、俺の事」

 

「…あぁ」

 

飛滅「そっちの出来損ないのホロスだって」

 

ホロス「……」

 

飛滅「ならやることはひとつ、俺を殺せ」

 

「それは…」

 

ホロス「それはしない」

 

飛滅「…何故だ、許せないんだろう……それに出来損ないのホロスにとっては一生をかけたものを殺したんだぞ」

 

「まだ分からないのか?」

 

飛滅「なにがだ」

 

「お前のしたことは許されない、だがそれが殺す理由にはならない……………お前には、裂刀達や陰道さんの分まで生きなきゃならないんだ」

 

ホロス「一生をかけて償うんだな」

 

飛滅「いいのか?また神になろうなんて言うかもしれないぞ?」

 

「その言い方ならもうなる気はないでしょ、それになったとしても必ず止めるからな、何度でも」

 

ホロス「あぁ、だから早く立ち上がれよ。もう自由だろ?組織は潰れて、自由をするだけの力がある、それを悪用するのはダメだが…まぁ好きにするんだな」

 

「…カイトの名を持って生まれたんだ、械都が出来なかった人間としての人生を楽しめよ」

 

飛滅「………俺程度で出来るならやらせてもらう」

 

ホロス「お前は械都に比べたら何もかも足りないが、まあそれも自由の中で見つけていくんだな」

 

飛滅「……出来損ない……いや、ぬいぐるみのホロス…ありがとうな」

 

「じゃあ一件落着だよな?そろそろ帰りたいしな」

 

ホロス「というか今、ぬいぐるみって言ったか?」

 

「あーもう!ぬいぐるみみたいな見た目してるんだしいいだろ!」

 

飛滅「…楽しいな、こういうの」

 




これでおしまいです、番外編とか色々まだあるけど
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