日本武尊がガンディーの寺院を訪れてから二週間ほど経ったある日。持って来た食料がなくなった為、滞在最終日となったこの日。いつも通り朝の市場に野菜を売り出し、そこで得たお金で街に買い物をする。溜まったお金で必要なものは既に買い物を済ませ。この日に得たお金は自分の好きなことに使える日本武尊にとっては一つの楽しみの日でもある。しかし、この日は少し違った様子を見せた
『ん?少し街が騒がしい?』
そう思うと街の中央にある広場に人だかりが出来ており、日本武尊もそこに行って見ると其処には街頭テレビにあるニュースが映っていた
『インド国防省はインド洋奪還作戦を正式に決定。イギリス、アメリカ海軍両国の海軍との合同で行われるとの事。なお、引き続きインド洋に展開している深海棲艦についての情報としましては・・・・』
ニュースで伝えられた奪還作戦に故郷を奪われた人々と思われる人からは歓喜の声が上がっていた。そのニュースを見た日本武尊は驚きを露わにすると共に急いで拠点に戻ってこの情報を伝えないと行けないといけないと言う思いが先走り、気づけば日本武尊は街を出て分身に乗り込むと拠点の方まで急いで帰っていった
日本武尊はあわてて拠点に帰還すると、黒潮が驚いた様子で日本武尊に声をかけた
「あれ、団長。今回は随分と早い帰りでしたね」
「え、ええ。黒潮・・・ちょっと皆んなを呼んでくれる?」
「え?わ、分かりました」
日本武尊のただならぬ雰囲気に黒潮は拠点中にいる全員に声を掛けた
そして少し時間が経ち、食堂に集まった全員は日本武尊からインド洋奪還作戦が行われると聞くと驚きの声をあげた
「そうなのですか!?」
「初めて聞いた」
「いや、うちらはそもそも陸地に行ってないんだから分かるわけないでしょ」
そう言って剣風に雷風が突っ込むと日本武尊は今後の予定を考えた
「しかし、インド洋に艦隊が来るとなると我々はどこに行こうか・・・」
「じゃあ、逆に奪還に来た艦隊と合流とかは?」
そう言ってニコが提案をするが日本武尊はこれを却下した
「いや、そもそもこの艦隊自体。人目を避けて行くことが大前提なんだ。私たちの艦隊ははっきり言って強力だ。もしそんな私達が人との交流に出てみろ。人通しの戦争が起きる」
「そっか、そう言えばそうだったね」
そう言ってニコは改めてこの艦隊の危険性を感じていた
「じゃあ、どうする?人目につかないところと言えば・・・」
するとヨークが突拍子もない場所を言った
「・・・南極」
「「え?」」
「南極なら、人がいない。南極大陸は人が住めない環境、だけど私達は艦娘。南極大陸に住める可能性は十分にある」
ヨークの意見に全員が困惑した。たしかに南極大陸ならば人目につかず良いかもしれないが、あそこは分厚い氷河に覆われた氷の大地である。行き価値はあると断定した
「・・・よし、ならば行き先は南極にしよう。日本武尊は小さいながら砕氷船能力がある。それを使えば・・・」
「本当にあの船はすごいね」
「そうですね。欠点らしい欠点が見当たりません」
そう言ってヨークとシカゴが半分呆れた様子でいると早速各々準備を始めた、日本武尊は砕氷能力向上のために改装を行なった
会議の後、各々がやる事をやるために全員が別れた
「あー、もう離れちゃうのか〜」
「仕方ないよ。私達が原因で争いになったら元も子もないでしょう?」
「それはそうだけどさー」
そう言って満風と葉月が拠点を手放すことを惜しみながら歩いていると視線の先に誰かが倒れているのが分かった
「ねえ、あれって・・・」
「っ!司令!」
そう言って倒れていた日本武尊に近づくと満風は日本武尊の体を揺さぶったが、反応はなかった
「大丈夫ですか、司令!!」
葉月は慌てて他の全員を呼びに行き、満風は日本武尊の体を揺さぶっていた
「司令!司令!」
そう言って体を揺さぶっていると日本武尊が返事を出した
「・・・ン・・・」
「司令!大丈夫ですか!?」
「・・・ン・・・ダ、イ、ジョウブ・・・」
この時、満風は心底ほっとした。だが、その感情は起き上がった日本武尊の姿を見てどこかに消え去ってしまった
「司令・・・!その目、如何したんですか!?」
そう言って起き上がった日本武尊の姿は青い眼に、真っ白な肌。それに頭からはツノが生えており、深海棲艦の特徴と一致していた
「あ・・・あぁ・・・」
満風は腰が抜けてしまっていた。日本武尊だと思って人物が深海棲艦だったのだ。そして日本武尊
「ヨウヤクテニイレタ、アタラシイカラダ・・・コノチカラ、マズハタメストシトウ。テハジメニオマエカラダ!!」
そう言って満風に手を伸ばした日本武尊であった
『マズイ!!死んじゃう・・・』
その時だった、日本武尊の手を何者かに撃ち抜かれていた。満風はその銃声のした方を向くとそこには銃を構えたシカゴとボウガンを構えた信長の姿があった。するとシカゴがつぶやいた
「驚いたよ。よもや指令に取り憑いた深海棲艦が私達を壊滅させた湾岸棲姫だったとわね!!」
「借りは変えさせてもらいますよ」
そう言って次にヨークが持っていた20.3mm連装砲を構えた。同じように葉月や雷、阿賀野などもそれぞれ砲を日本武尊に向けていた
「司令・・・まさかこんな事を隠していたなんて・・・」
そう言って涙ぐみながら雷風も砲を向けていた。砲を向けられた日本武尊は絶望的な状況なのにも関わらず笑い声を上げていた
「ハハハハハ、オモシロイ。ナラバワタシノサラナルシンカノカテニナッテモラオウ」
そう言って腕から禍々しい形をした砲塔が無数に生まれ、一斉にヨークたちに砲を放った
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