誰が為に艦娘はいく   作:愉快な軍楽隊

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※注意
ゲーム内容準拠で話は進行しませんのでゲーム準拠じゃなきゃやだという人はあんまり期待することはおすすめしません。
艦娘の性格などの設定は作者のイメージです。あなたの中のイメージと違っても怒らないでください。



第三話 朋友

 「熊野さんー。三日月ー。どこにいるのー?」

 

 目的の第四倉庫についたのはいいのだが、目的の熊野も島風も三日月も見つからなかった初霜は夕日の差し込む薄暗い倉庫区画を西にウロウロ、東にウロウロ彷徨っていた。

 

 「うーん、先に行っちゃったのかな」

 

 熊野を見つけた三日月が先に行ってしまったのではないかと思い、初霜が倉庫区画を後にして提督のもとに向かおうと思い歩いていると、前から右手に自在箒、左手にスチール製バケツを持ち、黒いセーラー服の上から大きめ割烹着を着た三日月が倉庫区画に向かって歩いてくるのが見えた。

 

 「三日月、その箒とバケツどうしたの?」

 

 「うーんと、熊野さんがやっぱり掃除してなかったみたいだから、倉庫も結構汚れてるみたいだから掃除しなきゃいけないと思って。熊野さん、まだ見つからないから見つけたら先に行っててくれる?」

 

 三日月は苦笑いしながらそう言うと、初霜の横を通りすぎて第四倉庫の方へと向かって行こうとする。そんな三日月を引き止めるように初霜は三日月の持つ半分ほど水の入ったバケツを半ば強引に奪うと横に並び、第四倉庫の方へと歩いて行く。

 

 「あんまり遅いと提督たちに心配をかけるから、軽く掃除したら行こう」

 

 「でも、熊野さんがまだ見つかってないですし」

 

 「扶桑さんもいるから大丈夫だよ。それに案外、熊野さんあっちに行ってるかもしれないよ」

 

 「そうだといいですけど」

 

 三日月がやっぱり先に行っていてと言うと、初霜は二人のほうが早く終わると返答する会話を二人がしばらく繰り広げながら歩いていると、気づけば二人は第四倉庫の前についていた。

 

 「さすがにここまで来たら手伝うからね」

 

 初霜が嬉しそうに腰に手を当てながら宣言すると、「はぁ」と三日月は溜息を吐くと、割烹着のポケットに入れてあった雑巾を取り出すと初霜に手渡した。

 

 「初霜は雑巾で窓を拭いてくれます? 私は、ゴミを集めておくから」

 

 「分かったわ」

 

 初霜は三日月から雑巾を受け取ると、持ってきたバケツの水で雑巾を浸し、力いっぱい雑巾を絞り、水気を切ると窓拭きにとりかかる。

 雑巾を渡した三日月は箒を両手で持つと手慣れた手つきで倉庫に放置されている木箱の間や木製机の下から埃やゴミを部屋の中央へとかき集めていく。

 

 「そういえば、三日月は、今日からここに来た新しい娘に会った?」

 

 「私はまだ会ってませんよ。初霜は会ったの?」

 

 「ううん、まだ会ってないよ。でも、私達と同じ駆逐艦の娘だから仲良くできたらいいよね」

 

 「初霜なら大丈夫だと思うよ。それよりも私は新しい娘が、ここに馴染めるかどうかのほうが心配だなぁ」

 

 「うーん、確かに少し変わってるけど…… 扶桑さんもいるからきっと大丈夫だよ」

 

 「そうですよね。……でもやっぱり心配だなぁ」

 

 「三日月はすぐ心配になるのが悪いところだと思うな~。あ、窓拭き終わったよ」

 

 「じゃあ、こっちも大きな埃やゴミは集め終わったので塵取り持ってもらえますか?」

 

 「塵取りはどこにあるの?」

 

 「塵取りならここにありますよ」

 

 そう言うと三日月は割烹着のポケットから持ち手がクマの顔の可愛らしい小さめの塵取りを取り出すと初霜に手渡す。

 塵取りを手渡された初霜が、ゴミに塵取りを近づけると、三日月は箒の先だけをゆっくり動かし、埃が舞わないように丁寧に塵取りの中へと集めてゆく。

 

 「そのポケットなんでも出てくるんだね」

 

 「なんでもというほどじゃないですよ。後は、輪ゴムと布手袋。それにビニール袋ぐらいしか入ってないです」

 

 「十分すぎると思うけど」

 

 「そうですか? あ、そういえば、その塵取り熊野さんがこの前買ってきたんですよ」

 

 「あー、だから、クマの塵取り」

 

 初霜は、この塵取りを熊野が買ってきたと聞いて非常に納得すると同時に備品の購入係が熊野でよかったと思った。もし、扶桑辺りが塵取りを購入していたとしたら、こんな可愛い塵取りではなく全金属製の無骨な塵取りなっていたことだろう。どうせか同じ塵取りならば可愛い方がいいに決まっている。

 

 「熊野さん、可愛い物の中でも特にクマが好きですからね」

 

 「枕元にも、いつも大事そうにテディベアが置いてあるよね」

 

 「確か、熊野さんの艤装を真似た衣装を着てましたよね?」

 

 「そうそう。ああいうの私も欲しいな」

 

 「司令官に頼んでみたらどうですか?」

 

 「うーん、扶桑さんがいる間は無理そうかな。……さ、掃除も終わったし急ごうか」

 

 塵取りからゴミが落ちないよう立ち上がると、初霜は部屋の隅に置いてあるゴミ箱へと塵取りの中を捨てた。

 

 「三日月、ゴミ袋はどうする?」

 

 「まだ、行けると思うから、今日は交換しなくてもいいかな」

 

 「了解」

 

 軽い調子で返事をすると、初霜は持っていた塵取りを三日月へと返した。

 

 「初霜に言われた通り、軽く済ますつもりだってけど、結構時間かかっちゃいましたね」

 

 「すっかり陽も沈んじゃったね」

 

 「やっぱり初霜だけでも先に行っていたほうが――」

 

 「はいはい、三日月は心配症な上に一人で働き過ぎ。私達、駆逐艦は協力して初めて一人前なんだからね。それに友達でしょ?」

 

 そう初霜に面と向かって言われると三日月はなんともムズムズした気分になり顔が赤くなっている気がした。

 

 「さ、三日月、急がないと私達の食べるものなくなっちゃうよ」

 

 「あ、待ってくださいよ」

 

 そんな三日月の気持ちを知ってか知らずか初霜はバケツを持つとそそくさと倉庫を後にする。三日月も後を追うように箒を持ち、倉庫の電気を消すと早歩きで初霜を追いかける。

 

 倉庫から数メートル先の廊下で後ろ姿を見せながら立ち止まっている初霜の真っ赤な耳を見ると三日月は、なんとなく嬉しくなり笑いだした。

 

 「お待たせしました」

 

 「一体、何がおかしいのですか!?」

 

 そういう初霜は耳どころか顔全体が赤くなっており、三日月にとっておかしな所を探すよりもは笑いを堪えるほうが大変な仕事だった。

 

 「さぁ?」

 

 笑いながら首を傾げると三日月は初霜の横に並び、次の目的地へと歩いて行った。

 

 




この回は予想以上に難産でした。
特に初霜と三日月が、どのような口調で話すのかを悩みました。
結果として初霜の口調はゲーム内に比べて砕けた感じのものになってしまいましたが、個人的には現在のが一番しっくり来る感じとなりました。

俺・私の知ってる初霜や三日月じゃないという人はごめんなさい。

PS:初霜も三日月も良い娘なので可愛がってあげてください
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