誰が為に艦娘はいく   作:愉快な軍楽隊

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※注意
ゲーム内容準拠で話は進行しませんのでゲーム準拠じゃなきゃやだという人はあんまり期待することはおすすめしません。
艦娘の性格などの設定は作者のイメージです。あなたの中のイメージと違っても怒らないでください。


第四話 花火

 「あら、もうこんな時間になっていましたのね。そろそろかしら?」

 

 剥き出しのコンクリート壁に掛けられている時計を見て、熊野はつぶやいた。

 窓の外を見ると水平線の向こうへと夕日が沈もうとしている。

 

 「島風、行きますわよ」

 

 そう言うと手の平の上でで遊んでいたジャガイモを近くの木箱に放り込み、熊野が立ち上がる。

 

 「え、どこにいくの?」

 

 「あれ? 聞いていませんの? これからパーティーですわよ」

 

 「そうなんだ」

 

 「あまり乗り気じゃありませんのね。主役がそんなことではいけませんわよ」

 

 熊野はそう言うと立ち上がらない島風の腕を掴み、無理やり立ち上がらせる。

 

 「私あまり行きたくないな。行かなくちゃダメ?」

 

 「ダメですわ。主役が来ないと始まるものも始まりませんわ」

 

 「え、なんで私が主役?」

 

 「勿論、貴女の歓迎会だからですわ。貴女のために色々と準備をしていたのですわよ」

 

 「…………」

 

 「ほら、行きますわよ」

 

 熊野は島風の手を掴むと倉庫を後にして会場の浜辺へと向けて歩き出した。手を掴まれている島風は振り払うわけにもいかず、熊野の半歩後ろにつづいて歩くしか無かった。

 

 熊野と島風が浜辺に出ると美味しそうな食べ物の匂いが漂ってきた。

 浜辺には簡易テントが張られ、その下にはプラスチック製のイスとテーブルが設置され、テーブルの上に置かれた電池式カンテラが辺りをぼんやりと照らしている。

 そんなテントから少し離れた位置に相変わらずラフな服装をした提督の姿が見えた。

 

 「提督、島風を連れてきましたわ」

 

 「あぁ、ありがとう。あれ? 初霜と三日月は一緒じゃないのか?」

 

 「えぇ、あの子達とは会っていませんわよ」

 

 「……お前、また掃除サボっていただろう」

 

 提督にそう言われ、熊野は自分がなぜ倉庫区画に行っていたのか今頃になって思い出していた。

 

 「…………」

 

 「後でちゃんとお礼を言っておくんだぞ」

 

 「勿論、心得ておりますわ」

 

 熊野は得意げな顔をして胸を張って答えた。

 

 「自慢するようなことじゃないからな。今度からはちゃんと掃除するんだぞ」

 

 「勿論ですわ。今度からは島風も手伝ってくださいますからね」

 

 「え!?」

 

 まさか話をふられるとは思っていなかった島風は、なんと返答すればいいか分からずに口をパクパクさせるしかなかった。

 

 「まぁ、なんだ、島風。時には諦めることも重要だ」

 

 未だに状況が良く飲み込めていない島風であったが、とりあえず掃除当番の事らしいので「分かりました」。と返事をしておくことにした。

 

 「さて、後は初霜と三日月の二人を待つだけだな。すぐに来るだろうから島風と熊野は先に席についていてくれ」

 

 「あら、そういえば扶桑さんと山城さんの姿が見えないようですが、どちらにいらっしゃるのかしら?」

 

 「扶桑は食堂に食材を取りに行ってくれているよ。山城は例の準備だ」

 

 「で、提督は何をするわけでもなく暇を持て余してボーと海を眺めていたわけですわね」

 

 「失礼な、私だって立派に任務をこなしていたのだぞ。あれを見ろ」

 

 そう言うと提督は、テントから少し離れたところに置かれているバーベキューコンロを指差した。

 バーベキューコンロを指差す提督は、なんとも自慢気な顔をしていた。だからこそ、熊野はあえてスルーすることにした。

 

 「……そんなことよりも私もなにか手伝うことはないのかしら?」

 

 熊野に無視された提督は露骨に肩を落とす仕草をするが、すぐに標的を熊野から島風に変更する。

 

 「うむ、無い。ところで島風、あのコンロの火、私が点けたんだ」

 

 「はぁ、先ほどの話は聞いていましたので知っていますが」

 

 「で、どう思う」

 

 「はい?」

 

 「夏の暑い時期に火を起こすのは、とても疲れたんだよ」

 

 「そうですか」

 

 適当に受け答えしながら、島風は頭のなかで目の前の男性はとてもめんどくさい人なのだなと認識していた。

 

 「あ、提督、初霜と三日月が来たようですわよ」

 

 そう言うと熊野は倉庫から浜辺の方に来る二人に向かって手を振る。

 二人も熊野が手を振るのが見えたのか駆け足でテントの方へと向かってきた。

 

 「すいません、お待たせしました」

 

 少し息を切らせながら初霜はそう言うと、少し遅れてきた三日月と共に頭を下げた。

 

 「二人もさっき来たところだから、丁度いいタイミングだよ。さぁ、全員揃ったことだ。そろそろ始めようか」

 

 「あの、扶桑さんと山城さんがまだ到着していないではありませんでしたか?」

 

 「いや、ちょうど二人も来たみたいだよ」

 

 熊野達が提督の目線の先を追うと、いつもの巫女服の上からエプロン着用した扶桑と何故かジャージ姿の山城が食材を運んでくるのが見えた。

 

 

 

 「さぁ、じゃんじゃん食べてくれ。ほら、肉食べろ、肉」

 

 提督は、そう言いながら焼きあがった肉や野菜を次々と艦娘達の紙皿へと盛っていく。

 

 「すいません。私これ以上は無理です」

 

 食べても食べても盛られる肉と野菜を前に三日月が一番最初にリタイアする。

 三日月に続くように初霜と島風もリタイアする。

 

 「う~、はちきれそう。少し、波風に当ってきます」

 

 初霜はヨロヨロとイスから立ち上がると重たそうな足取りでテントから少し離れた砂浜を目指す。

 

 「島風さん、私達もあっちに行きませんか?」

 

 「えぇ、いいですよ」

 

 「じゃあ、行きましょう」

 

 三日月はイスから立ち上がると島風と一緒に初霜がいる砂浜へと歩いて行く。

 

 「そういえば、私まだ島風さんに自己紹介していませんでしたね。私は睦月型駆逐艦の三日月といいます。そしてあそこの砂浜に寝転がっているのが初春型駆逐艦の初霜といいます。優しい子なので私共々、駆逐艦同士これからよろしくお願いしますね」

 

 三日月は自己紹介を終えると島風に向かって右手を差し出した。

 

 「えぇ、まぁ。 ……よろしく」

 

 島風は、そう答えると三日月の差し出した右手を自分の右手で握り返した。

 

 「えぇ、よろしくお願いします」

 

 三日月は笑顔を浮かべながら右手を握り返すと、そのまま手を握ったまま初霜のいる砂浜へと向かった。

 

 「初霜、食べてすぐに寝転がると身体に悪いですよ」

 

 三日月はそう言いながら初霜の右隣へと腰掛けた。そんな三日月の行動に引きづられ、手を繋いだままの島風は強制的に初霜と三日月の間へと座ることになった。

 三日月と島風が砂浜に腰掛けると今まで寝そべっていた初霜も重そうに体を持ち上げ、島風の方へと顔を向ける。

 

 「先程、三日月が代わりに紹介してくれましたが、私は初春型駆逐艦の初霜と言います。改めてよろしくお願いします」

 

 「よろしく」

 

 島風は正面の日も沈み暗くなった海を見ながら、ぶっきらぼうに返事をした。

 そんな島風の態度を気にするわけでもなく初霜は塞がっていない島風の左手を握った。

 

 「な、なんですか。いきなり」

 

 島風は初霜の行動に驚いて反射的に初霜から逃げるように左手を引くが、その左手はすでにしっかりと初霜に握られていた。

 

 「うーん、なんとなく。それに三日月とだけなんてズルいと思いまして」

 

 「…………」

 

 そう言うと初霜はニッコリと島風に笑いかけた。

 島風が初霜の顔と手を見ながら、この両手のふさがっているよくわからない状態にどのように対処するべきか考えていると、今まで静かだった夜空が明るく照らされ、爆音が轟いた。

 

 「敵襲!?」

 

 光と爆音に反応して島風は右手と左手が塞がっていることも忘れ、三日月と初霜を引っ張るように立ち上がる。

 

 「痛い痛い。島風、敵襲じゃないから。落ち着いて」

 

 そう言うと今度は初霜が下から引っ張り島風を無理やり砂浜の上に座らせた。

 

 「ほら、島風さん、見てください」

 

 島風が三日月の指差す方向を見ると、先ほどと同じように花火が辺りを照らしながら爆音を轟かせては夜空に消えていく。

 花火は1分近くに渡り打ち上がり続けると最後にひときわ大きな赤色の華を夜空に咲かせると、辺りは再び夜の静かな海へと戻った。

 

 「どうでした?」

 

 「……綺麗だった」

 

 「そう、島風が喜んでくれたなら私達も苦労して準備したかいがありました」

 

 島風の返答に満足そうに頷く初霜の顔はどこか誇らしげだった。

 

 「あ、そういえば。初霜、あれ言ってませんでしたね。折角練習したのだから今言いましょうよ」

 

 「あー、そういえば言ってなかったね。じゃあ、1・2・3で言うよ。……1・2・3」

 

 「「ようこそ第五艦隊へ。私達は新しい仲間の貴女を歓迎します。これからよろしくね島風(さん)」」

 

 「……よろしく」

 

 島風は顔を俯かせながらボソッと呟くように言うと、立ち上がりその場を去ろうとするが、あいにく初霜と三日月に手を握られているせいで逃げ出すことが出来なかった。

 初霜と三日月の二人は笑いながらも絶対逃がさないように握る手により力を込めて砂浜に座り込んでいる。

 そんな二人の様子や昼間のことを思いながら、ここでうまくいけたら良いなと思い始めた島風であった。




色々忙しなり、なかなか完成せずにいた4話ですがなんとか完成に辿り着くことが出来ました。
これでようやく一日目終わりです。ようやく話を進めることが出来ます。
次の話も出来る限り早い間に完成させたいと思います。

それにしても大鯨がドロップしません。ではでは
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