平原の覇者   作:うすば

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1話

 

 ふと気がつくと僕はウロヴォロスになっていた。

 

 高い視点、触手を束ねた腕。そして何よりもフィールドの中心で渦巻く風。場所は【嘆きの平原】なのだろう。呆然としてフラフラ動くと、黒い身体が視界をチラつく。一瞬前まで部屋で寝転がっていたはずなんだけど……

 複眼の広い視野で辺りを見渡すも、アラガミ一匹居やしない。

 

『オオオォォォォ……』

 

 おお、人間の声じゃないね。ビクッとしたわ。

 僕は今人間の言葉で呟いたつもりだった。重機が動くような声に今更背筋が冷たくなる。

 

 そもそも今の僕はいったい何なんだ? アラガミはオラクル細胞の集合体という設定だったはず。とすると、脳を構成するオラクル細胞が僕ってことになるのだろうか。いや、コアが脳の働きをしていたんだったか? じゃあコアかっていうと……うーん、どうだろう。

 

 まぁ人間だった頃も脳に意識があることを自覚していた訳じゃないしな。気にしてもしょうがないか。問題は頭(仮)にガンガン流れてくる指令だ。

 

 どうもこの指令の送り主は人類とその文明を滅ぼしたいらしい。どちらかといえば滅ぼすというより排除するに近いかな。明文化されてるわけでもない意志を完璧に読み取るのは無理だ。なんかぼんやりしてるし。

 試しに頑張って働く旨を返信してみると少し弱まった。意欲が伝わったようだ。これでよし。

 

 それにしてもGE(ゴッドイーター)か。

 実際にこうして見ると普通に世紀末だな。僕が人間だった頃にゲームで遊んだ時には、きっとマップとしてしか見ていなかったのだろう。

 荒廃した大地に朽ちた建造物。そこに人っ子一人見えないってのが言いようもなく不吉だ。あるべきものを欠いた感触がある。

 

 それにしてもフィールド中心の竜巻はなんなんだ。実際に目の前にあると騒音が凄い。そもそも発生し続ける竜巻って物理的に有り得るのだろうか。オラクル細胞とかいう不思議生物の集合体になった僕に言えたことではないけれど。

 ならあの竜巻もオラクル細胞だったりするのかな? 

 

 そんなこんなであれこれ考えていると、頭に何か浮かんだ気がした。それも致命的な何かだ。嫌な予感と言ってもいい。

 そもそもこの状況、見覚えがあるような……

 

 竜巻、オラクル細胞、アラガミ、ウロヴォロス、ゴッドイーター、ゲーム、リアル……ストーリー。

 あっ……

 

 しかし考えている時間は無かったようだ。

 答えが出るより前に結論が歩いてやってきた。

 広い視野の外から一人。茶色い男。その手には大きな剣。神機……

 

「さーて、デートといきますかァ!」

 

 あっ……

 

 この後僕はリンドウさんにボコられて、コアをぶち抜かれてしまった。実に3分の出来事であった……

 

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