この惑星Z.D.Rはユニークな文明が造られていた。
それが鳥人族の文化なのかは知るところではないが、この惑星に適したエネルギーの使い方だと私は考える。
それが、
この惑星は地表の近いところまで溶岩の影響がある。ドロギーガ殿(とついでに私)の意味を失わせたビームに反応する爆発物のようなモノが生まれてしまうが、循環がうまくいけば星一つを十二分に稼働させるほどの地熱が存在しているのだ。
そのエネルギーを利用する事ができるならば、それはこの星が作る最強生命体だと言えるのかもしれない。そんな用途で研究されていたのが彼、実験体z57である。
彼は元々研究エリアであるダイロンにいた生命体だ。実験によって生み出されたモンスターとも言える。
そんな彼はこの惑星で起きた一騒動の際にダイロンより脱出した。彼なのかそれとも彼の体を模した“X”なのかは分からないが、実験体z57の能力は間違いなくそこにあった。
この惑星の熱を吸い尽くし、己の炎へと変換する最強のモンスターが。
コイツの強さは本物であり、最強のバウンティハンターであるサムス・アランをして苦戦させた猛者だった。
彼が負けた理由は、彼女が取り戻した最強の鎧“グラビティスーツ”の防御力と熱エネルギー吸収のための器官を嵐のようなミサイルの乱射で破壊されてしまったことがある。無論それだけで彼のエネルギーは尽きない。あくまで負けに繋がった要因だ。
決め手は紙一重。彼の奥の手である熱風放射と灼熱の体液の乱れ打ちに対して、彼女がスピードを一切緩めることなく走り抜けそのエネルギーを集中させた必殺の“シャインスパーク”に利用されてしまった事だ。
あの逆転の発想は彼女の経験が導き出した神業だ。最強の戦士の名に偽りはなかった。
実験体z57はこの惑星のメインシステムである熱エネルギー循環の全てを停止させ力としている。よって彼女がこの惑星から脱出する為には必ず倒さなければならない敵だった。彼がいる限り、ゲートは開かず転送装置も動かない。
そう、いかに彼女がとんでもなくても道がなければ先には進めない。彼を倒さないという事は道のほぼ全てがなくなってしまう事を意味するのだ!
……まぁ、道があれば、進めてしまうのである。
彼女の旅路を繰り返し見ると、道順が変化していくのがわかる。
はじめの変化といえば、彼女が鎧である“バリアスーツ”を取り戻し、カタリスにて彼女の力の門番になっていた巨獣“クレイド”を撃破した後だろう。彼女はダイロンの隠された道の先を目指した。溶岩だまりがあり、上部の連絡通路は的確な場所から強い力で引かないと壊れないような形のブロックにて塞がっている、そんな場所の先を。
彼女はスライディングからのジャンプという一見普通の、しかしよく見れば体が半分以上浮いているような異常な挙動のソレを行って連絡通路の下にある破損した道を伝って道を塞ぐブロックを無視して先へ向かったのだ。
その先にある彼女の装備“グラップリングビーム”を入手する為に。
このように、彼女は道とは思えない道を進む事ができる。グラップリングビームにしろ他のモノにしろ、その道しか獲得するルートがない訳ではない。しかし、そのルートを進むと彼女はより早くこの惑星を脱出できるようになる。
信じられない技能と共に無茶をすれば、道なき道を行けるのだ。
その無茶を通す為のモノがグラップリングビームであり、スピードブースターという我が同胞E.M.M.I 03 SBの能力であり、そして鳥人像に封じられた何度でも空を跳ぶ力“スペースジャンプ”である。
彼女の最強の鎧、グラビティスーツには2つの能力がある。重力と熱の影響のシャットアウトだ。
彼女はどんな熱状況でも、どんな環境でも万全に移動することができるようになっている。強すぎればダメージは食らうが、鳥人族の苦手とする水中、メトロイドの弱点である冷気などの影響を無視できるようになるのだ。
その力を用いなければ彼女の最強の力、銀河に轟く伝説の螺旋、“スクリューアタック”は取り戻せない。そうなるようにあの鳥人族が念入りに封じていたからだ。
グラビティスーツを入手するまでに彼女が消費した時間は、惑星Z.D.Rにて実験体z57が熱を奪い尽くすまでにかかる時間とほぼ同じだ。なのでグラビティスーツを入手するまで手間をかけてしまうと、グラビティスーツがなければ取り戻せないスクリューアタックはz57が作り出した氷結の向こう側だ。
だから、彼はサムス・アランの敵として幾度となく死闘を繰り広げていたのだった。
つまり、グラビティスーツを取りに行くよりも手間をかけずにスクリューアタックを取ってしまえば惑星がz57の影響の前に惑星を脱出できてしまうのだった。
そう、そこからがサムス・アランの狂行の始まりだ。
まず、彼女はスペースジャンプを様々な形で盗み取った。
一つ目はスペースジャンプの封じられていた鳥人像の下にある、ボムでしか破壊できない壁を実に奇妙な形で破壊しての取得だ。スライディングジャンプ(またか!)とキッククライムの瞬間にモーフボール形態への変化といった精密動作によってボムを上に設置して道を切り開くやり方。(一番理解できる)
二つ目は一つ目の応用。ファーレニアにいる超生物“ゴッヅーナ”に擬態した“X”の能力である十字に爆発するクロスボムを使用して一つ目のルートを進む道。ボムを上に設置する手間が薄れている為少しばかり簡単そうに見える(実際どうかは彼女自身しか知らないが)。
ゴッヅーナの元に行くにあたって珍妙な道を進む事もあって、すぐにやめている。
三つ目は謎の儀式。ダッシュメレーという右手で敵を殴り払う技とそのまま射撃姿勢へと移り変わる一連の流れを、スペースジャンプのあるファーレニア左上部にて行い、“床を貫通した擬似ウェーブ”にて爆発物(まともな方向から破壊されてくれ)を炸裂させて道を作るルート。(どうしてそんな儀式を思いついたのだ)
そのようにありとあらゆる手でその道を進んでいった。それはスペースジャンプを入手し、そのまま左にある連絡通路へと抜け次に進む為だ。
次とは、スクリューアタックの取得である。
ここから先は私の主観や認識の問題もあって正しく理解できているかは怪しい。しかし、そんな事が行われていた。
彼女はアルタリアへと逆走し、冷凍エリアをダメージを受けながら走り抜けた。そしてその先にあるスクリューアタックが封じられている領域へと侵入した。
その進入路はスクリューアタックの下にあり、水の影響を受けた彼女は上に登ることはできなかった。だから、彼女はまず水面を進んだ。
スペースジャンプによる。水面を跳ねる行為である。
これは実際のところ上に進むには力が足りない。スペースジャンプの力は全方向から得ているようで、水の影響から逃れられないのだ。水面を跳ねる事はできても水面から飛ぶことはできない。
だが、彼女はやってのけた。
三度水面を跳ね、水の中に一度侵入してからスペースジャンプをしたのだ。進入した水中にはネズミ返しのような形の返しがあり、そのまま上にはいけない。しかしそこから逆方向にスペースジャンプを行うと水面で跳ねるより高く跳べるのだ。
理屈はわからない。目を疑っている。私のそれは壊れかけのカメラであるが。
場所が理由なのか、あるいは跳ぶタイミングが理由なのかは兎も角として水面より飛び立てる。そうなれば彼女はやる。水面から飛び立ち、スクリューアタックの封じられた鳥人像へと飛んでいった。
そこからは早業だった。今までも早業だったが気分的に早業だった。
さくさくとグラビティスーツを獲得し、スクリューアタックでしか破壊できなかった壁を破壊して地表エリア“エルン”へと進入し、サクサクと脱出していった。
つまり惑星Z.D.Rの全てのエネルギーを蓄えた実験体z57はエネルギーを蓄えたままに消えたのだ。
……配置された箇所からなにもせずに一緒に爆散した私が何を言えるわけではないが、無駄に頑張ってたな彼。
信じられるか?これ、もう“時代遅れ”のルートなんだぜ……