……よし、落ち着いた。
落ち着くまでに三度ほど惑星Z.D.Rは粉々になった気がするがとにかく落ち着いた。
彼女の行動のおかしさについて今更どうかと思えるほど常識的に生きては居ない。機械なので生きてるのかは知らないが。
まず、彼女は自由自在に壁をすり抜けたりする能力は持ち合わせていない。スライディングやダッシュメレーといった姿勢を普段の姿から変える事で妙な貫通を起こす擬似ウェーブを使えるが、それでも彼女自身がすり抜けたりはしていなかった。
つまり、相応のやり方があるのだ。
彼女はアルタリア、カタリス、ダイロンあたりの最初の方に訪れるエリアにおいては比較的まともに動く。変な頭の向きで擬似ウェーブとかするが、きっとあればマトモなのだ。
彼女が本格的におかしな事をするのは、ダイロンから。E.M.M.I.04SBが破壊されてからだ。彼女は04SBからある力を奪い返す。それがスピードブースター。
詳しい研究内容は知らないが、スピードブースターは走る事によって得られるエネルギーによる加速を基本にする力だ。その力は両足で踏み締めることにより少しの間体に留める事ができ、それを解き放つ突撃がサムス・アランの“シャインスパーク”だ。
さらに、彼女はシャインスパークでの加速を走る力に変える事でさらにスピードブースターを起動するという神技を使いこなす。スピードブースターの起動に必要な助走や、坂道のように走りに力を変えやすい地形が必要だが、条件が満たされれば彼女の速度は銀河一となるのだ。
と、そこまでが常識的な話。
彼女は、スライディングとダッシュメレーに加え、シャインスパークを組み合わせることにより文字通り次元を超えた。
具体的な挙動を(私の認識できる範囲での狂気的な儀式として)見ると、シャインスパークを溜めた状態で壁にフラッシュシフトとスライディングをし、その後反転。そしてシャインスパークを発動(しようとしているような不思議な動き)と共にスライディングとグラップリングビームを放つ。
すると、彼女はなんか滑るような挙動と共に下へと沈んでいく。
私は何度も記録データを見返したり、爆散する彼女を見てようやく理解できた。しかし、なぜグラップリングビームを放ってるのかはわからない。放っていないと壁に埋まり圧力で爆散するのだが、グラップリングビームでその圧力をどう逃がしているのかさっぱりわからない。
しかしながら、彼女はそんな事をして床を抜けるのだ。
この惑星Z.D.Rはハリボテでできているのか?
と、恐ろしい事を考えてしまったところで彼女の動きを見る。
今回の彼女は、あの床抜けを多くの場所にて試しているようだ。アイスミサイルを元にした能力を保持するE.M.M.I.05IMのセントラルユニットを破壊し、そこのエネルギーを利用したオメガキャノンを“盗んだまま”どこまで行けるかだったり、スクリューアタックを“盗む”ためのルート探しだったりと様々だ。
うん、なんか普通でないルートで力が奪われる事を“盗む”とか“不正入手”とか言いたくなる気分なのだ。決して私に盗まれるモノが何も無いことを僻んでいる訳ではない。私の配置の上にミサイルタンクあるし!
そんな訳で、今回の彼女はスピードブースターの輝きと共に惑星Z.D.Rを縦横無尽に走り抜けているのだった。……本当に文字通りに。