恋愛小説ものを久しぶりに掘り出して見て来ました。ああいう痒い感じもまた良きですなぁ。漸く読めるようになったんだなぁ…とちょっちびっくりしております。
これディストピアより地獄だわって感じてしまう人が居ると思うので閲覧注意ね。
物心がついた時から、俺は変わっていたそうだ。
何でも物覚えが早いとか、身体の使い方が人よりも上手いといった点で、だそうだ。
それもそのはずである。俺はどうやら転生したらしい。らしい…というのも当初、それを認知した時は頭にクエスチョンマークが浮かび上がっていたが、無理もない事だろう。
この世界がどんな世界であるか、を知ったところでその時に理解力があったか、と問われるとこれまた難しく、んな事知るか!の精神で幼少期から好き勝手遊びまくっていた事だけは今でも覚えている。前世とも大まかに変わっているような素振りも、様子も見せることも無かったからだ。そして何よりも、
「(なんとなく転生したような気がしますぞ!妙に馴染みますなぁ!)」
といった感覚だけが頭の中に残り続けて、2歳の時には既に厨二病のようなテンションで毎日を過ごしていた幼いあの日の自分は見るに耐えないものがある。死因がどうだったかすらも忘れて、兎に角童心に戻り、ガキのようにひゃっはー!と叫びまくりながら…といっても部屋の中のみに限られていたわけだが、住めば都というように些細な事は気にしないまま遊んでいた。何故俺にそんな感覚があるのか、といった疑問は直様頭の中から消え去り、人生を謳歌する気満々でいた。子供になっていたことを、完全に楽しんでいたのだ。
そんな馬鹿みたいなことを毎日のようにしていたある日、当初の違和感はよくある高熱と共に蘇った。そしてこの世界が別世界であってそうでないと気が付いた時には、酷く混乱した。
なんとなく見ていたニュース番組の中で毎回の如く取り上げられていた、頭に変な付け耳をした女の子が沢山いる映像が流れた時、俺の頭に電撃が走ったかのように記憶だけが瞬時に蘇ったのだ。
そしてこれは直感的に見て、俺はウマ娘がいる世界だと理解した。
あの時…俺は再び死んでも良いと思えるほどに舞っていた。親がドン引きするほどに騒ぎ立てていたくらいにウハウハであった。
「(これwww人生、勝ち組だwwwトレーナーになってイチャコラしよwww)」
と邪な考えを持っていた過去の自分には蹴りを一、二発くらいは与えたいが、誰しもが思いそうな事は、既に自分の心の中で曝け出して張り裂けそうだった。
さらに畳み掛けるようにして、決定付けるニュースが飛び交って来た時…俺の心は絶頂を迎え、頭が爆発しそうになるのは時間の問題であった。
『次のニュースです。先日、全世界平均の男女比率の差が1:80となって一年が経ちましたが…依然として改善の目処は立っていません。これに関し、専門家の意見では今まで以上に早急に対応しなければならないとの声が上がっています。WHOが制作した報告書によりますと、このまま男性の出生率が低い状態を維持したままこれ以上の右肩上がりは望めない可能性が非常に高い、との事です』
「俺、トレーナーになる」
「え…、え?」
自然と出たその言葉に身を任せ、父親の困惑する表情なんて見向きもせずに、この日から人が変わったように勉強を始めた。がむしゃらになって心身共に磨く日々が続いた。当然、身体を絞ることも忘れてはいなかった。
そして17歳となったその年から、もう充分だろうと踏んで、トレーナー試験へと何度も挑む日々が訪れる。所謂UMAO枠を狙っていったのだが…この狙いが仇となった。
1年目、三次試験不合格
2年目、最終試験選考落ち
3年目、最終試験選考落ち
流石にここまで来たとなると、つ…次こそ、次こそは、と期待してしまうのが人間というもので、URAから直々に焦らしプレイをされていると思うと中々に濡れるものがあった。…今年はもしかしたら受かるのではないか、と諦めきれない気持ちが強かったとある日の夕方…URAから電話がかかって来るまでは、の話だが。
その内容はそれこそバカでも理解出来るものだった。だが俺は内心気付きたくない真実があった。薄々気付いていても気付かないフリをして、多大なる時間を浪費していたのがバカバカしくなるくらいに、哀れで滑稽だった。
URA人事部曰く、
・ここ近年、男性でトレーナーを目指す人はまずいない。
・男性トレーナーが複数人存在し、かつ担当トレーナーの実力によって均整化が取れる等の状況ならば、検討の余地が見込まれ多少は緩和されるだろうが、3年連続して男性からの応募は自身1人のみ。
・我々も気を利かせ、UMAO枠を作ってはいるものの実際に稼働したのは数十年も前のことであり、必死にシミュレーションをしても結果は悲惨な状態を維持。
・URAの中でも各自知り合いも含め総動員し、家族に男性がいる者に声をかけたり、広告を打ったが何一つ効果はなく誰1人として反応は示さず、それでもなんとか合格を出そうとしたが理事会で却下され叶わなかった。(一年目は普通に不合格であり、2回目は審議の末別の人をトレーナーに選別、3回目にて理事会で却下されたとのこと。)
・他のURA広報部やバ場造園課などにも声をかけたが、広報部は男性枠を既に撤廃する流れが出来上がっており、バ場造園課は肉体労働もあってかトレーナーに比べて万が一の事が起きる可能性は大人だからこそ高いことが懸念され、レースどころの話では無くなる、と真面目な回答が為された。勿論、人事部も同様でやはり男性が目指すならまだ性知識が薄い学生相手であるトレーナーの方が、という認識が強いらしい。
・地方では中央よりも比較的難易度が低く、娯楽も少ない事からいくら10代とはいえ危険すぎる懸念点もあった。学生の中にも夢小説のように期待を持っている人が少人数でも居る時点で、死地へと向かっているようなものだ。それこそバカの所業だ。そんなことをするよりももっと楽しい事が待っているからそっちにしたほうがいい。
・私と永久就職しませんか?高収入で高学歴で美人ですよ?テクもありますよ?
との事である。当然、魅力的なお誘いは断りの申し出をした。
道理でリモートでの対面にしては、毎回歯切れが悪いと思っていたが…合格点が出ている以上最終選考までは残らせるという事が規則であった為に、本当に申し訳を無いことをした…というのが大まかな内容であった。流石国管轄の公務員様だ、と感服したが…俺の心は弄ばれていたのかもしれない。
だが、色々と裏にまで手が回っていたことはまず間違いないだろう。名前等、個人情報に関するありとあらゆる情報の隠蔽などをした上で応じてくれたのだ。こちらとしても考えたくなるもので、寧ろ申し訳ない気持ちの方が打ち勝っていた。国が決めている方針である以上は、逆らえないのが規則というものである。SNSも含め慌ただしく活動していた理由を、その時初めて知ったのがなんとも情けない話だった。後半部分については何も言わないが…。
それでもその日は、心の底から泣いた。三女神様に祈りを捧げても、何も起きなかった。
そんな苦い過去を胸に秘めながらも、それでも少しはウマ娘の活動に貢献したい気持ちはあの日から変わっていなかった。幼い日の情熱に駆られた熱意は、何としてでもターフの上で走る彼女達に注ぎたい…それはあの日を過ぎてからでも変わらずにいるのだろう、とそう思っていた。
だが、そう簡単に物事は上手くいかない。そもそも男性が世に出ること自体難しいものである。外に出れば視線は集まり、電車に乗れば痴女だらけの世界でそもそも男性が働くなんて事も無く…親に無理を言ってまで大学に行きたいからお金が欲しい、というわけにもいかないまま、うずうずして1日1日を無駄にしていった。その実、家族もどういうわけか早くに亡くなり、あるのは毎月送られて来る給付金といくらかの遺産だけ。
治安が良くまだ物価も安めであり、男性が1人で暮らしても大丈夫なように支援がされている場所で細々と生活しているとはいえ、黙って朽ちていくほど落ちぶれているとは思わせたくない…彼女達は今も、俺より切磋琢磨しているのだろう。しかし全ての人の人生が上手く歩めるかどうか…なんて保証はされていないのである。
どうか、どうか、と待てども暮らせども世界は変わらず勝手に動いていった。
三女神様に再び祈っていても、そうしている間に月日は流れていく。
いつからか応募要項を見ることすらなく、小さな頃から夢見ていた熱は完全に鎮火していた。無理もない話である。
そうして心が折れた俺は今日も配給されたものの確認を済ませた後、いつものようにパソコンを開いていた。一体何をしているかというと…
『カレン、今日も練習頑張ったんだ!レース前だからちょっときつかったけど…お姉ちゃんとなら一心同体だよ!』
「ひょええええええええ〜〜〜…推しがっ!!!!!!!!!尊い!!!!!!!!!幼少期に出会った運命の導きは!!!!!!!!!何よりも愛が不滅であるという証!!!!!!!!!愛は決して絶えることなどないのですっっっ!!!!!!!!!!ハァ〜〜〜ッッッた ま ら ん ッッッ!!!!!!!!!」
絶賛デジタル化していた。
別の意味で燃え上がっていた。
俗に言うオタクである。
愛とは即ち、何なのだろうか?
人の心には多くの計画がある。しかし主のはかりごとだけが成る。人の望むものは、人の変わらぬ愛である。
最高の愛とは、魂を目覚めさせるようなもの。それは私たちの心に火をともし、心に平穏を与えてくれるもの。それは、私があなたにどんなときも与え続けたいと願う、たったひとつのものである。
人生で最も幸せを感じる瞬間というのは、他人から愛されている…もしくは、自分自身を愛することを実感できるとき。或いは自分と同じように誰かを愛するときだ。
ならば俺の答えはただ一つ!!推し活だ!!ウマ娘しか勝たんっ!!
俺の味わった絶望から救いあげてくれたのは、天でも、神でもなく、愛だった…即ち、ウマ娘である。いや… 誰かを愛することは、神様の顔を見れたようなものという言葉があるように、ウマ娘が神様だったと言っても過言ではないのかもしれない。もうね…尊みが通り越して輝いている彼女らに、ただただひれ伏すしかないよね!という気持ちが、身体全体に満ち満ちている。
つまりは…ここは神の国だったのか?
と、まあ紆余曲折はあったものの、ようやく辿り着いた最果ての景色がここであった。そして文字通り人生における全てを彼女らで満たし、堕落したに相応しい生活をしているわけだ。給付金が思ったよりも高い為、推しグッズにこれでもか!と徳を詰めるなんて幸せ以外ありえないwwwというただのイタイ大人の完成形である。これについてはあべこべ世界で本当に良かった、と感謝の言葉もないほどに満喫しているくらいには楽しんでいた。
例え給付金が安かろうと遺産は大事に取っているが、それでも推し活はどんな形であれしていたに違いない。今の俺の熱中ぶりからして断言出来るほどだ。そしてお金の管理にも抜かりはない。最後の良識であり、推しを愛することは即ち財布との相談が外せないのも、良きオタク街道を歩む上で欠かせない。これが原則であることはお忘れ無く…。
しかし、振り返ってみれば我ながらバカだなぁ…と今では笑ってしまうものだ。推しなんて目の前にいるようなものじゃないか!と発見をしたときは、それこそ泣いた。号泣した。良い大人がワンワンと1時間くらい泣き叫んでいたのだから。
ウマスタ、ウマッター、ウマライブ、ウマチューブetcetc…考えてみれば、見方を変えてみれば、推しとは直接会えずともフィルター越しに会うことは出来る…我ながら天才では?と思った程に頭がイッていた。
金にも困らず、推しに愛を与え、人生は豊かになるのだと!これこそが、第二の生なのだと!すぅぅぅうううう…はぁぁぁぁああああ………俺は感じている。三女神様…本日も良きウマ娘ライフをこうした形でも見せていただきありがとうございまっす。ごちそうさまです!
『そろそろ放送切っちゃうけど…大丈夫かな?』
・大丈夫です!写真もバッチリ!
・また次のライブ、楽しみにしています!!
・カワイイカレンチャン!本当に可愛いカレンチャン…。
・グッズ予約するから早く〜!
・女神カレン様、どうか最後にカワイイお姿を収めるチャンスを私にください…。
・今日も生きてて良かったぁ…。
『ふふっ大袈裟だよ。写真を載せるときはいつものタグ付けよろしくね!任せてっ次のライブも頑張るよ!グッズは近々予約出来ると思う…かな?お姉ちゃんと相談したけど、そろそろ発表されると思うよ!んで、そこのキミ…キミはなんでカレンの事…見逃していたのかなぁ?カレン、悲しい…うるうる。』
・あぁあいすいません!カレンチャンさんに見惚れていたので手も思考も頭も止まってしまいましたっ!!
・怒ったカレンチャンもカワイイ…
・もうカワイければ何でも良いんだ。
・私が悪いんだよ…カワイイカレンチャンの写真が撮れなかったのは、私のせいだ!
・この中にカレンチャンの写真撮ってない奴なんている?いねえよなあ!!
・どうします?
・構わん、やれ。
・Currenを泣かせるなんてサイテーね、バッカみたい。
・カレンチャンの写真をよぉ!撮っていなかったなんて、んな事ぁ許せねえよなあ!!
・焼き討ちに行くぞ。
・奴の家を知るものは?
・何の成果も得られませんでした!
・とりあえずもう一回お姉ちゃんと呼んでくれないか?
・見惚れていたのならしゃーなし、私もその1人だ。というわけでお願いします本当に生き甲斐なんですお願いです300円あげるから!
・私も同行しよう。
・なんだ、お前もだったのか。
・怒ったカレンチャンの顔、スクショしたけどいる?
・いる。
・いる。
・いる。
・いる。
・絶対にいる。
『もぅ…怒った顔が欲しいの?それともカワイイ顔が欲しいの?どっちなのかなぁ?はっきりしてくれないと…カレン、困っちゃうよ』
・選べるわけないでしょ、このバカちんがぁ!
・……ふぅ、何とか堪えた。危うく魂まで持っていかれるところだった。
・究極の選択…!うっ、頭が!嫌だ…痛い…何でこうなるの…もう耐えられない、カレンチャンの写真全部撮りたい…。
・これがカレンチャンのやることかよぉ!!!!!!!!!
・ごめんなさい…ごめんなさい…。
・カレンチャンを撮り続ければよぉ!私の尊み貯金がパァだぜ!!
・私は撮り続ける…お前らがどう撮ろうが、それはお前らの自由だ。
・救いはぁ…?救いはないのでしょうかぁ…。
・汝、カレンチャンのカワイイを見よ。
・私のウマ娘ですね。
・結婚したい。
・これからが地獄だぞ。
・選べ、カレンのどの表情が見たい?
・ダメ、ワタシ…Curren…ツヨイネ。
・カレンチャン「ほら、頑張れ頑張れ。」
・カレンチャンの表情一つ一つ…その全てにおいて神にも勝る程に非常に魅力的だ。文字通り、私たちを殺しかねないと言っていい。
・どうした急に。
・そんなの嫌だ!どちらか一方のカレンチャンの表情しか見れないだなんて…一生私たちだけに見せて欲しい!私が死んだ後も10年以上は天国に残っていて欲しい!
・天国はここにありますよ、頭の中…脳味噌の中に。
・やってみせろよカレン!
・なんとでもなるはずだ!
・カレンチャンだと⁈
・お姉ちゃんとして、最後まで責任を果たすことだ。
・お前らに一つ問う…どんなカレンがタイプだ!
・どんなカレンがタイプだい?
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・怒った顔も撮る、カワイイ顔も撮る。両方やらなくっちゃあならないのが…お姉ちゃんの辛いところだな。覚悟はいいか?私は出来てる。
・対象のカワイイ係数が更新されました。カレンチャン、尊みオーバー。対象に完全悩殺されます、ご注意ください。
・カレンチャンがぁ!可愛くてぇ!カレンチャンがぁ!尊すぎぃ!みんなの心にぃ!入ってくぅ!カレンチャンがぁ!ちっ…近づいてぇ!カワイイカレンチャン!!
・ひゃいいいい!!ごめんなさいいいいいいい!!
『しょうがないなぁ…じゃあ、これで最後だからね…はい!とっておきのポーズ、だよっ!!』
・…b
・カワイイ…しゅきぃ。
・ぐあああああぁぁぁぁぁぁ……しゅきぃ。
・ががががががががっっっっ
・あばばばばばはっっっっっ
・あああああああ
・あああああああああ
・あああああああああああ
・またデジタルが尊死したか…まあ、いい奴だったよカワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・やめて!もうデジたんのライフは0よ!カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・デジタルが死んだ、この人でなカワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・またデジタル殿が死んでおられカワイイカレンチャン!
・デジたんが決めたあカワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
・カワイイカレンチャン!
『ふふっ、いつもありがとう!みんな!カレンのこと、ず〜〜〜っと見ててね!まったね〜〜〜!!』
みんなにカワイイを与え続けるだなんて…ドーバー海峡並に愛が深いってものですよ!!ね、そう思うでしょ!!…と顔を見合わせて分かち合う人は誰1人としていないわけだが、これは仕方のない事でありもうどうにもならない…割り切るの一択である。
それはさておき、先程撮れたカレンチャンの写真を選出しなければいけない任務に早急に取り掛かろうではないか。
あっこれ、しゅごい…しゅきぃ。
これは正しく神のみわざ……。
………ゴッッホォォ!!!!!
…ふぅ。
おっと尊死している場合じゃない。早速ウマスタにあげなければ!と奮起し、厳選した写真を載せる。無論、#カワイイカレンチャン も忘れない。
よりカレンチャンらしく、カレンチャンが目指しているカワイイを追求し、カワイイカレンチャンをカワイイカレンチャンとして載せるべくして、何がウマ娘ちゃん好きのオタクと名乗れるのだろうか!!
見ていてくれ…これが、俺の、全力だ!(勝利の鼓動)
溢れんばかりの気持ちを近所迷惑だということを考えつつ抑え目にしながら、俺は今日も推し活の証を投稿をしたのであった。
はぁ…
今日もウマ娘ちゃん達は………サイッコ〜〜〜〜〜〜ッ!!
そうして俺は、この酔った気持ちのまま筆を手に取るようにしてサイトを開く。
「ん〜〜〜……。流石に今日はちょっと疲れた…かもなぁ」
とはいえ…私自身がちゃんとカワイイを作れているかどうか、確認作業は怠らない。流石私、今日もカワイイ。
「…ふふっ」
その中でも主観的に見て目を引くのは数人だ。取り分けこの人が撮る写真は、中でも別格である。画面越しからでも愛が伝わってくるような、暖かな写真なんてお姉ちゃんやデジタルさん以外ではそうそう見かけることが無い。
誰も正体を知らない。見たことすらない。私と同じ秘密主義者。
「相変わらずいい写真を撮るのに…う〜ん。この人だけ、やっぱりわからないなぁ。絵も描いているっぽいけど、商品として出回っている様子もないし…」
一時期はコメントが女性っぽくなくて男性なのかな?と夢見がちな乙女のような考えが頭に過ぎったこともあったけど…まだ子供とはいえそれは無いよ、と思うのが普通であり、その認識自体が常識だった。例えば病気で動けない人なのかもしれない…とか、もう少し現実味を帯びている推測の方にどうしても重みが偏ってしまうし、誰だってそう思う。しかしながら、そうした痕跡も一切無く、まるで別世界を生きているような人にしか見えないままで、私の中で揺るぎのない事実となってしまっている。いずれにせよ、私のファンの中でも異端の人物であることには違いない。
…あなたは一体どんな人なのだろう。
「他のウマ娘に対してもかなり熱心なのに…んー、デジタルさんと同種だと思うんだけど。悪い人ではないと思うんだけどなぁ…不思議な人なのかな、それとも不気味な人…とか?」
椅子に寄りかかり足をぷらぷらとさせながら、自然と呟いたその言葉は誰にも聞かれていないからこそ言えることではある。そんな独り言をするほど私は、その正体を暴きたいという欲に魅了されていた。
あべこべやぁ!
はよ、書かんかいコラァ!
あべこべウマ娘物早よ書けやコラァ!、ということで勉強し直してきましたわ。