あべこべ×供給中毒(ウマ娘)   作:2Nok_969633

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ウマーマン

「ディープ。お願いがあるんだけど…いいかな?」
「…ハイ」
「ウマ娘の悪魔『どぼめじろう』を倒してほしいの。もしもディープがどぼめじろうを殺せたら、ボクが君の願い事、なんでも1つ叶えてあげる」





愛するものはいつも寛容で、愛されるものはいつだって残虐である。  

 

 

 

──その日、人類は思い出した。奴に支配されていた恐怖を…鳥籠の中に囚われていた屈辱を……。

 

 

「ボク達は最強なんだ」

「私達は最強ですから」

 

 

三女神の時代は、玉座と共に終わりを迎えることとなる。

 

 

「まさかここまでやるとはな…大した奴だ。やはり天才か?」

「この世に不可能ということは何一つとしてない、ということですか…」

 

 

新時代の扉が開く。

 

 

「人の夢は!終わらねェ!!」

 

 

──どぼめじろうとの同化継承。 

 

 

「帰ろう、どぼめじろう」

 

 

それは、この世の終末と最後の審判が訪れることを象徴する黙示録そのものと化した。

 

 

「失礼だな、純愛だよ」

 

 

で で で でん♪でん♪ で で でん♪ でん♪ でっ でん♪ でん♪ でっ で で で で でん♪ つっ で〜で〜で〜 で〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん♪ でれれんでん♪

 

 

 

 

 

 

 

 

「「何であんな人の為にボク(私)達ウマ娘のレースがこんなことになるんだよ(なるんですの)おおおおおおおおおおおお!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

物語は、ここより数ヶ月遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

『本拠地、フランス…パリ、ロンシャンにて迎えた凱旋門賞。

日本から参戦した1番人気ディープインパクトも、勢いを見せずクビ差3着の惨敗だった。

レース場に響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年もまたジンクスだな」の声。

無言で帰り始める選手達の中、彼女のトレーナーである奈瀬文乃は独り待機ルームで泣いていた。

日本で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる教え子達…。

それを、今の精神状態とロジックで得ることは殆ど不可能と言ってよかった。

「どうすればいいんだ…」奈瀬は悔し涙を流し続けた。

どれくらい経ったろうか、奈瀬ははっと目覚めた。

どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ。冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した。

「やれやれ、帰って練習メニューを組まないとな」奈瀬は苦笑しながら呟いた。

立ち上がって伸びをした時、奈瀬はふと気付いた。

 

「あれ…?お客さんがいる…?」

薔薇と胡蝶蘭が咲き誇るパラダイス(レース場)から飛び出した奈瀬が目にしたのは、会場の外まで埋めつくさんばかりの観客だった。

雷が落ちる勢いで激しく千切れそうなほどに朱色の旗が振られ、バンブーメモリー、カネヒキリ、ヴァーミリアン、シーキングザパール、ダンスインザダーク、ダンスパートナー、ワールドプレミアの先導の下、地鳴りのように彼女達の応援歌が響いていた。

どういうことか分からずに呆然とする奈瀬の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「文乃、いよいよ主役が走る番だ。早く行くぞ」声の方に振り返った奈瀬は目を疑った。

「おか…母さん?」 「どうしたんですか?お昼寝でもしたくなりました?」

「ク…クリーク?」 「なんだ奈瀬、また教え子に甘えたくなったのか?」

「フェ、フェアリーゴッドマザー…」 「おいやめろ」奈瀬は、半分パニックになりながら掲示板を見上げた。

 

1番:サイレンススズカ

2番:キタサンブラック

3番:メジロマックイーン

4番:ディープインパクト

5番:スペシャルウィーク

6番:キズナ

7番:アドマイヤベガ

8番:シャダイカグラ

9番:ドウデュース

選手兼監督:エアシャカール

風水:コパノリッキー

通訳:クロフネ

出資者:ゴールドアリュール、ジャックドール、ファインモーション、エアグルーヴ

目覚まし時計:タイムパラドックス、サダムパテック、スズカフェニックス

てるてる坊主:トーセンラー、インティ

ママ:スーパークリーク

 

暫時、唖然としていた奈瀬だったが、全てを理解した時、もはや彼女の心にはビリーヴを残して雲ひとつ無かった。

「勝てる…勝てるんだ!」

護衛に着いているメイショウサムソンが見守る中、右手を挙げたオグリキャップと左手を挙げたオグリローマン、サラシを巻いたイナリワンやハンディを乗り越えたベガから褒め称えるようにしてエールを受け取り、彼女達を見守る為、最前線の場までメサイアの如く全力疾走する奈瀬。その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった…。

 

翌日、タニノギムレットとウオッカが柵を蹴っているのを他所にして、ベンチででちゅね遊びをしながら大きな人参をあーんされている奈瀬がステイゴールドによって発見され、ナリタタイシンが作ったカレーを食べ過ぎたメジロマックイーンとスペシャルウィークは、病院内で太り気味だと診断された。マーベラス☆』

 

 

これを側から見た人はどう感じるだろうか?

 

 

(イケイケゴーゴー、チーターさんみたいに!ぴょんぴょんランラン、ウサギさんみたいに!パオンパオンはぞーさん!ガオーガオーはくまさん!ケロケロケロケロかえるさん!ふわふわふわふわちょうちょさん!みんなで仲良くおどりましょ!楽しく楽しく、おどりましょ!ランランラーン!ルンルンルーン!パンパカパーン!ピンピカリーン!)

(キモいよ…セクハラだよ…キモセクだよ…)

(どうした急に)

(どぼめじろうだなぁ)

(どぼめじろうだねぇ)

(どぼめじろうですわ)

(どぼめじろうですね)

(どぼめじろうですな)

(どぼめじろうですか)

(ドインランマンコマンドライン)

(ウマ娘の足に触れるとき、私が彼女らを直接感じるのは内股と膝、ふくらはぎ、くるぶしなどの内側だ。ジャージのズボンの比較的厚目の生地を通して37度の体温も伝わってくる。ルドルフの場合も、そこらあたりは毎年入ってくる新人ウマ娘と同じだった。だけれど何かが違う。雰囲気と言ったら一番正確に違いない。この雰囲気というやつが、例年の他のウマ娘に比べて半年分は成熟しているな、と感じた。スキンシップは手のひらでする。右手で、時には左手で、ルドルフの首すじ、腰から尻にかけたあたりを優しくさする。このタッチングのねらいは、ウマ娘の気を落ちつけること、その一点にしかない。必要とあらばボクはそれを何度もくり返す。ルドルフの心に大きな落ち着きがあらわれるまで、やめない)

(その時、ふと閃いた!このアイディアは、ウマ娘とのトレーニングに活かせないのかもしれない!)

(必要な悪というのは、常に国家が首輪をつけて支配しているものです)

(川西能勢口、絹延橋、滝山、鴬の森、皷滝、多田、平野、一の鳥居、畦野、山下、笹部、光風台、ときわ台、妙見口、Uma Shiko Uma Aho Uma Baka Uma Crazy Uma Doutei Uma Ero Uma Fucker Uma Gaiji La-li-lu-le-lo)

(な、なんだこれは!いきなり変なものを送らないでくれ!もうやめてくれ!いやがらせか!?…保存しとこ)

(タールタルタル)

(今際の際だぞ)

(尊み☆ラストスパー(゚∀゚)ート!)

(許してくれメンテ…ごメンテ…)

(『マヤ伝えてね!どぼめじろう(CV.デアリングタクト)の声を聴け!』何このコーナー…マヤやんないよ。マヤ知らないよ。え?以前に「マヤはレースを生業にしていたから、今でもテレビ越しに応援してくれている人の声が聞こえる。特にどぼめじろうの訴えは強く、画面を突き破ってくる。今回、オレは以前からずっと聞いてきたどぼめじろうの「心の声」を読者に届けようと思う。彼が求めている愛の形の参考になれば幸いだ」って、タルマエちゃんが居る時言っていたよねって?…知らねえっつってんだよ。じゃあマヤは忙しいから星谷ちゃんに任せるね!これは星谷ちゃんが始めた物語でしょ?ユー・コピー?)

(コ―パッパッパッ!エアプは帰れリッキー!)

 

 

健全な人間であれば、誰しもがそう思うだろう。それが正常な人の心の反応である、というのは明白たる事実だ。

 

だが、そうはならなかった。事実は小説よりも奇なり、世の中はそう単純ではない。

 

フフフ…と、笑いながら時折ブツブツと呟いている彼女と、それに嫉妬にも似た感情を秘め、密かに腰の炎を燃やすボクのトレーナー、そしてその教え子達が、とある一部屋に集められている。

 

集められた理由は言うまでもない。最早、語ることすら必要ないだろう。

 

そう…原因はどぼめじろうである。

 

より細かく言うと、ネット上にて行われていた『どぼめじろうが惚れているのは誰か論争』の一端である。スレ風に言えば、【どぼめじろうという名の勝利の女神は誰にチュウしてくれるのか?ステークス】と言えばわかりやすいのかもしれない。

 

前提として、周知の沙汰ではあるが彼は女神でもないただの人間だ。だが、彼はウマ娘に対して気狂いの如く愛を捧いでいる存在でもある。

 

そうして男は…いや奴は、奴の本性であるままに、本能のままに、あの姿のまま、あの場で具現化した。

 

その一部始終の結末を、ボク達は見届けた。

 

20世紀青年に因んで『血の大晦日』と称されたあの日から、その影響は留まることを知らず、政府が想定していた状況を上回る程に凄まじい勢いを維持したまま国内から世界中に広がった。奴が残していったとんでもない(汚物)と共に。

数々の怪文書及び芸術作品並びに彼の情報が、ウマ娘だけでなくトレーナー限定とはいえ人間でも興奮する個体であることも付け加えられた一報となって、至る所に拡散されるまでに至り、この一連の事件は、ウマッターにおいて世界一位のトレンドとして載ってしまう事態へと発展した。

 

生身の人間から生み出された無下限の愛という名の呪い。この無限の愛から発せられる負と正のエネルギーは、核兵器よりも恐ろしく強力なものとなって世界中をも包む領域となって襲いかかった。さらには、目の前に現れたウマ娘というバフも加わったことで、強制的に無限の知覚を与え、奴が顕現化させた無量空処の世界へと誘われることとなる。

 

これでは、ある種の鏖殺である。言うなれば、【どぼめじろう事変】とでも称して良いほどの厄災だった。

 

結果、被害は甚大なものへと成り果てた。数々の名誉毀損、威力業務妨害などを踏まえた罪状並びに罰則に基づいた罰金を額に直すと、その数なんと5000兆円である。

 

当然ながら、日本国政府では奴が暴走したことによる損失における対応や対処に関して決断をすることは出来ない、という判断が下されてしまった。だからと言って、気性難な男がしでかした一大事の責任をわざわざ持ちたい、などと述べるもの好きな国が居ないのも事実である。ましてや、この惨劇を引き起こしたからといって、それをしでかした張本人は若くて健康的で異性やウマ娘にも嫌悪を示さない貴重な男そのものである。故に、男1人に責任を押し付けるというわけにもいかない。事、政府と国力に関わるデリケートな問題ともなれば、全体ではなく一個人一政治家が我先にと絡みに行くというのも、はしたない行為として受け取られてしまう。そうした軽率な行動は、選挙に影響が出る他、日本の同盟国及び純同盟国等からの信頼度や日本国民の民意をたちまち下げることに繋がりかねない。

 

メジロ家やシンボリ家を始めとした日本の名家並びに海外の名家、そこから抜擢された先鋭たるメンバーによって構成されたどぼめじろう対策本部が、幾度となく検討に検討を重ねても、解決案や打開策が浮かび上がることは今日に至るまで欠片の文字もなかった。

 

それでも尚、男の影響と進撃は止まることを知らない。何せ、規模が規模である。世界各地でネタとして広がったミーム文化の一つである「何故なら、私はどぼめじろうを信じている!私達は選ばれし神の子、ウマ娘の民だ!」「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」が、現実のものへと昇華され汚染されていく流れに抗うことは不可能だった。こればかりは仕方のないことである。

 

慌てふためく日本、翻弄される諸外国の有様を見たのか…いつからか、まるで1000年も前の呪いが解き放たれたかの如く、ワラワラと蛆虫共が這い寄ってくるように奴を狙う者が現れ始めた。

 

中には、奴の愛という名のエネルギーを日本が独占しているのはよろしくない、と声明を挙げる者や、その間を狙って国家に帰属しない独自の軍事国家をウマ娘を中心に作りそこで管理をしようとする者、挙げ句の果てには全世界の人間全てをIDで登録及び管理してその動向を監視し、どぼめじろうが起こす惨劇をAIを用いてコントロールしようとする者まで現れる始末である。

 

こうなってしまっては彼の国は勿論、欧州、中東、アジア近郊などを含めた国々がこれに黙ってない。日本だけに対処をさせるべきではないと判断した多くの国民達もまた民主主義の下これに応じ、今までの歴史背景に臆することなく協力的な姿勢を見せた。

 

つまりは、奴がしでかした一連の流れを世界が許したのだ。

 

だが、奴は日本に居られなくなった。当然だ。責任を取る取らないに関係なく、あれだけの騒動を起こしといて平然と暮らしていけるほど、この世界は甘くはない。

 

直様、奴は公安警察によって拘束され、一時的に安全な場所へと避難することとなる。

 

とはいっても、奴を抑えているその間に、少なからず必要な方策は打たなければならない。下手な真似をすれば数多の人々からの反感を買うが、今ここで手を打たなければ、彼が放つ夢バトルに威圧され、血の大晦日以上の悲劇が再び巻き起こるのは時間の問題であった。

 

そこで、プロジェクトL'Arcの立案者並びに責任者でもある『佐岳メイ』は、日本ウマ娘トレーニングセンター学園の理事長『秋川やよい』と共に各国を代表して提案を述べ、こう記した。

 

欧州のみならず、世界中のウマ娘が英ダービーやケンタッキーダービーと並び憧れ、勝利を目標とする世界最高峰の競走の1つとして知られている凱旋門賞…その地、その聖祭にて、彼の対応及び対処を下す国を決める、と。

 

これは、昨今起きていた戦争や紛争を一時的な休戦状態にまで持ち込む程の効力を持つものへと昇華した。

 

 

ボク達は、何処かありふれた戦場にも似た場所で、どぼめじろうの支配が日常化した近未来に居る。

 

 

── 戦争(レース)は変わった。

 

 

国家や思想、家族や友人の為ではなく、ましてや利益や民族の為でもない。ウマ娘達が1人の男を巡って、果てしない代理戦争を繰り返す。命を消費する戦争は、非合理な痛みしかないエゴなものへと変貌した。

 

 

── 戦争(レース)は変わった。

 

 

トレセン学園に所属しているウマ娘は、トレセン学園に所属しているウマ娘であるが故に、トレセン学園から逃れることなく走り続ける。

体内に入ったどぼめじろうの因子が、彼女達の能力を助長し管理する。

遺伝子の制御、情報の制御、感情の制御、戦場の制御…全ては、奴の監視の下で統制されている。

 

 

── 戦争(レース)は変わった。

 

 

時代は抑止から制御へと移行し、大量破壊兵器によるカタストロフは回避された。

そして戦場の制御は、歴史のコントロールをも可能にした。

 

 

── 戦争(レース)は変わった。

 

 

戦争が芸術作品(曇らせ)と化した時、戦争は変態のサディストのものとなった。

 

 

【DOBOMEJIRO IS WATCHING YOU】…まあ、流石にここまで落ちぶれてはいないが、もしかするとこんな世界もあり得たのかもしれないと思うと、我ながらゾッとしてしまう。

もしそうなっていた場合、ボク達は一瞬にして絶句し、まともなレース生活を送ることはままならなかっただろう。

実際のところ、最悪の展開として上記のような世界になりかけていたのだから笑えなかったのだが…(どぼめじろうに関する陰謀論が流行した際、ウマチューブコメ、個人ブログ、ウマ娘まとめ速報、UMA知恵袋、そして恋鐘が描いていた作品の一つ『ウマミナティー』のアクセス数が伸びた。これによって所謂情弱スターターセットが稼働し、更なる混乱を生むこととなった)まあ、それはこの際置いておくとして。

 

 

愛とは末恐ろしいものである。

 

 

愛、愛という呪いのすれ違い。

 

 

それ故の孤独──。

 

 

(呪い)の王、どぼめじろう…果たして、この悲劇の物語は奴との…強者同士のすれ違いとでも言えば済む問題なのだろうか?

 

 

──閑話休題。

 

 

さて、本題に移ろうと思う。一先ず、世界はありのままの状態へと戻りつつある。しかしながら、物事はそう単純に収まることはない。いや、寧ろ元に戻りつつあるということは戦争よりも惨たらしい状態へと変化していくに等しいのである。

概して言えば、そういうことなのである。

その実、新たな問題が発生していた。

 

それは奴が興奮する対象である。

 

奴は、ウマ娘のみならず、そのトレーナーまでをも興奮する対象としている。

 

これが偏に不味かった。

 

そう…ウマ娘を担当しているトレーナー自身の問題である。

 

文字通り、トレーナー業というのは過酷だ。実態として、何処ぞの赤いジャージを身に着けた先生よりも過酷な仕事である。

 

業務内容としては以下の通りである。

まず中央であれば、給料は高いが休日もウマ娘に付きっきりでほぼ休みは無し。

地方であれば、他の業種よりは高給だが中央と比べると尚のこと低く休日は無いも同然の扱い。

加えて、ウマ娘の保育士などの待遇は薄給以外は良いものの、一部の名門家やクラブを除けばウマ娘にとって必須な環境である広大な土地が必要となる為、大抵が北海道を中心として展開している。その為、出会いを求めるには札幌市内へと出向くしかない。仮に札幌市内へと出向いたとしても、所詮は北海道… 出会いがあるはずも無いも同然のど田舎だ。

 

謂わば、トレーナー業及びトレセン学園に携わる者というのは、そういった覚悟のある者だけが務まる仕事なのである。

 

要するに、数多の金やウマ娘に対する愛と引き換えに男と出会うのを半ば諦めた者が多いのだ。

 

そこに、奴が現れた。

 

奴は男。タマモクロス、イナリワン、ステイゴールド、エアシャカール、ドリームジャーニー、オルフェーヴル、セントサイモン、ダイヤモンドジュビリー、ヘイルトゥリーズン、ヘイロー、ディクタス、サンデーサイレンスをも超えた気性難だとしても、悲しきかな…男は男である。

 

彼女達トレーナーにとっては、戦争や紛争を食い止めた英雄よりも眩い希望の光…救世主そのものに見えてしまった。例えそれが、自身の認識の欠如における錯覚や幻想だと理解していても、だ。ただでさえ出会いが無い環境下に投下された劇薬である奴の効力は、凄まじく凄く凄いまでに絶大である。残酷だが、一度定着してしまった認知は、引き剥がすことが難しい。加えて、彼女達は若年層が多いとはいえウマ娘よりかは年上の年齢だ。焦るのも無理は無い、ということも考慮すれば、効果はより凶悪なものへと変貌する。さらに厄介なことに、どぼめじろうという麻薬はトレーナー間に広く認知されてしまっている。これが1番の肝であり痛手となってしまった。

 

従って、

 

(年金問題、地方の過疎化、貧困格差…私よりも若いぴちぴちのウマ娘がライバル、かつその人数が多いという点を除けば、手に入りさえすればそれは些細なこととして処理出来る。幸いなことに金は莫大にある…金は莫大にある!)

 

という思考が生じてしまった。

このように、ギャンブル依存症にも似た報酬系の麻痺症状が頭、とりわけ海馬に構築されてしまったが最後…否、最期。彼女達は手遅れ(うまぴょい伝説)となる。

どぼめじろう中毒という名の『幸せスパイラル(頭トレセン音頭状態)』が完成してしまうのだ。

 

ここで、彼女達トレーナーやその周囲の人々に亀裂が生じた。これは、ボク達のトレーナーも例外に漏れることは無い。現代において、普段からどぼめじろうに耐性があるはずもない、ましてや普段から男性と接することのない人達でなら尚更な事柄だった。何せ、男という存在自体を見ることのない人が圧倒的に大多数を占めているのだ。

 

よって、現場は今以上に混沌と化す。

 

そんな中でバチバチと睨み牽制し合う大人2人は、今や他のトレーナーよりも脳みそをズタボロに破壊されてしまっている。病人同士が互いに譲り合う精神すら欠けた状態を維持し続けて、感情や願望を司る部位が止まらないでいる。無意識に自身が執着している物を奪い取っている。さながら、おもちゃを取られた猫同士が喧嘩している情景が目に浮かぶかもしれないだろう。とはいえ、彼女達の中身は、猫は猫でもネコ科の凶暴なライオンだ。もしかしたら、シンボリルドルフことカイチョーが2人居るのではないか、と言い換えても過言ではないのかもしれない。

異質な空間に澱むようにして広がる黒いオーラは、ライスシャワーやドゥラメンテ、グラスワンダーの《領域》にも似た禍々しさがあった。

まるで、目線の先の対象に独占力のスキルが発動したかの如し。狙い澄ました殺気は覇王色の覇気である。正に愛は重バ場というに状況を生み出すのに相応しい代物だ。これが漫画やアニメの世界であれば、さぞや被害は拡大していたことだろう。あまつさえその発生源は、よりにもよってトレセン学園でも屈指とされているトレーナー達である。彼女達から発せられている汗と、穢らわしいものを見て出た哀れみの涙は未だに収まる気配が見当たらない。二郎系もびっくりな固め濃いめ多め早死三段活用湿度マシマシによる質量は、とうの昔に臨界点を超えていた。

 

地獄である。

 

どのくらい地獄かと表せば、いつもは大人しいディープインパクトが、度重なる怪文書等によるストレスとプレッシャーによってワンカップ大関を片手に持ちながらタバコを吸うようになったことで慢性気管支炎を患ってしまい、イプラトロピウムを常用しなければならない具合に陥ってしまったレベル、と言い表せられる程度のものである。現に、サンエイサンキューは奴が公安の手に保護された後のトレーナーの動揺と豹変ぷりを目の当たりにし、そのストレスで痩せ細ってしまった。無論、ボクもその1人である。

 

怯えているのはボク達だけではない。ボク達以外のトレーナーもまた、どぼめじろうに脳を破壊されてしまっているのだ。そこから伺えることは何か?

 

終わりの始まりである。

 

彼女達は四天王の中でも最弱ではあるが、例を挙げるとすると、

 

ネオユニヴァースとそのトレーナーは、荒ぶる鷹のポーズをしたかと思えば「「どぼめじろう!刺し違えて、その命貰い受ける!!ユニヴァァァァァァァァァス!!」」と、壊れたように叫びながらぴょんぴょんと跳ね回ってヤマニンゼファーとそのトレーナーをポカポカと叩き、サトノクラウンとヴィクトワールピサが慌てて回収に向かうも間に合わず9日間のレース場使用停止命令が下され、同じチームに居るドゥラメンテは、それを聞いてショックを受けたのかパカパカ歩きが未だに収まることがなく、我慢出来なくなったコパノリチャードが飛行機の真似をしながら街中を走り回り、予定が狂ったことによるストレスによってエイシンフラッシュが納豆の箱を食べ、ロゴタイプはそんなチームの様子を見て見ぬふりをしつつ、慣れた手つきで豆腐を買いまくっていた。

 

また、オルフェーヴルとドリームジャーニーのトレーナーもいつも通り彼女達から挨拶代わりの洗礼を受け、いつも通りカレンチャンにはお酒を没収され、いつも通りスイープトウショウの我儘に付き合い、いつも通りメイケイエールとソングラインに手を思いっきり引っ張られ、いつも通りデュランダルのFateごっこに付き合い彼女自身を落ち着かせるようにして宥める、という異様な光景を何度か見る程度には無秩序な状態が続いていた。

 

最早、デアリングタクトの『前略、どぼめじろう様。私待つ〜わ、いつまでも待つ〜わ』ラブレターやソダシの『真っ白な私が彼の黒い人生を救う』と謳った怪文書、グランアレグリアの『どぼめじろうが怒っているゾ‼︎どぼめじろうは新◯結衣なんだ‼︎』といった頭が悪く見える捏造記事、ガイアフォースのどぼめじろうロックフェスが可愛く見えてくる程だ。

 

他にも、リバティアイランドのトレーナーは、「何度も言うようですが、私のケツと生姜ネタばかりが多くて私が担当している娘のネタが少ないですね。何度も言うようですが」と威圧感を醸し出したことで、一部の教え子達の発汗が収まっていない。その様子を知ってか知らずか、キングヘイローやコントレイルを担当しているトレーナーがワグネリアンではない子の頭を撫でながら直様「ネタにしないってのはあれなんじゃない?パワハラみたく接してしまうことを予期されたんじゃない?」と茶化し、その発言と行動に互いにボケとツッコミをかましながらイチャコラする寸劇を見せつけられる始末である。

 

…僅か短期間で、日本で屈指のトレーナーである彼女達がこの有様である。

 

 

ボクはどぼめじろうと出会うまで、ただの人間がこんな化け物だとはまったく考えもしなかった。こんな夢みたいなことがあるのか、とボクは自分の感覚を疑った。だが、それは実際にボクの目の前で起こっていることだった。

 

 

今際の際際で踊れや踊れ…。悲しきことかな、ボク達ウマ娘に以前のようなありふれた平穏は訪れない。

 

 

ボクも彼女達も、隠れる場所はない。

 

 

ボク達も(どぼめじろう)も、居場所はない。

 

 

NO PLECE FOR DOBOMEJIRO.

 

 

トレーナーの言葉を借りれば、ステージことレース場は正にガイア。神よ、どうかどぼめじろうをスタジオ(外厩)に閉じ込めることは出来ないのだろうか。

 

どうか…どうか、これ以上ボクの記憶に「や」みたいな反応で登場しないでほしい。もう、ボク達の脳に(|)のような師匠面のノリでゴミのような情報を流さないでほしい。

 

ああ、願わくば…願わくばこの現実が無かったことになって欲しい。

 

もう残されている手段は、どぼめじろうの悪い印象を頭に過らせ理性で誤魔化す以外に方法は無いのだろう。

 

こうした状況に1番最適な言葉がある。

 

善は急げ、と。

 

そうと決まれば、奴に一言ガツンと言う為に早速試してみるとしよう。

 

まず、彼の素質に触れる。一番評価しているのは、一度冷静になればずいぶん大人びた精神力を持っているということ。活動歴が片手を超えた頃には、ある程度キャリアを積んだトレーナーでも、予測の付かない現象が起きたりすると、どこかオドオドした面があるものだ。ところがどぼめじろうはスクーリングを兼ねて初めて中山のレース時(17日)にも、まったくそんなそぶりをみせなかった。忍耐力が強すぎて、逆にストレスがたまらないかと心配してしまうくらいの素晴らしさだ。

中山での結末を見てボクは、「ある意味ではどんなトレーナーより半年先、大げさにいえば一年先を行っている」といったが、カイチョーがそんなタイプだった。

カイチョーはパーソロンにも似た柔軟さがあったが、どぼめじろうからも何処かパーソロン的な感覚が伝わってくる。どぼめじろうと同じ素質を持っている人間は、もうこの世に存在はしないが、今まで積み上がってきた遺伝的体質によって特徴を覚えている。実戦でも予想でも単調でガーッと行ってしまい、行意のままに操縦できないのだ。

しかし、どぼめじろうにはそんなことは発生しない。ざっくりと説明すると、例えば、普通の女性と出会っても怯えることなくモサーッとしている。だが、いざウマ娘に会うとびっくりするくらいのいいスタートを切る。ひとことでいえば実戦に行っていいタイプ。そんな雰囲気をどぼめじろうは持っているのだ。彼は意のままに操縦しやすい面も持ち合わせている。だから、ダンシングキャップでなくパーソロン的などぼめじろうは、これまでのトレーナーとも違う、もっと前線の位置でウマ娘に教授することが可能なのではないか。

ボクは一流のウマ娘にトレーナーが付くというのは、特別な事情がない限り、追い切りだけにした方がいいと思っている。もちろん例外はあるが、一流のウマ娘というのは大抵鋭敏でクレバーなものだ。追い切り時にトレーナーが側に居ることにより、ウマ娘は普段と違う微妙な部分を感じ取り、レースが近づいていることを察知する。極論すれば"一流のトレーナーは教え子に体をつくらせる"のだ。

どぼめじろうがまったくそうだった。レースと追い切り以外で彼がウマ娘に何かを教えたことはほとんどない。ボクがたまに見ると、エキサイトし気合を表に出したものだ。どぼめじろうが偉大な功績を残したのは、こうした練習方法が少なからずプラスになっていたのではないか。

ボクにもこの日、気分の高揚をはっきり感じ取ることができた。ついでにいえば、着けていたイヤフォンをコース入り前にはずしてしまった。音に驚かないように耳を覆うのだろうが、三半規管を覆うのはいいことではない。そのことについても、彼は事前に注意を促すようにして述べていた。

加えて、どぼめじろうの素晴らしさは、以前のダービー当時に書いたとおり、ボク自身、肌身で感じていた。それでも、大レースの時、とくに最近は異様なほどの熱気に競馬場は包まれるだけに、ボクはどぼめじろうの精神力に少しばかり疑問が残り、観察してみた。

しかし、それはばかげた疑問だった。配信時でも、作品を作る時でも、どぼめじろうは実に堂々としていた。大歓声にもまったく動じることがなかった。あのシンボリルドルフとうりふたつのしたたかさである。

優雅っぷりもカイチョーそっくりだった。カイチョーはデビューした頃、軽快なスピードで勝負していたが、キャリアを積んでいくうちに、重量感が加わっていった。どぼめじろうにも同じことがいえると思う。

ボクがどぼめじろうに目を付けられた時、他のウマ娘からよく「トレーニングを一度でいいから教わってみたい」といわれたものである。どぼめじろうは見る者をハイな気分にさせた。真のトレーナーというのは、そういうものなのだ。どぼめじろうに対する今のボクの気持ちは、カイチョーの現役時代の活躍と同じである。

 

…って言ってるばあいかーーぃ!!

 

 

…失礼、どうやら存在しない(・・・・・)記憶と掛かりが同時に発動してしまったようだ。冷静に落ち着きを取り戻してから続きを述べるとしよう。

 

 

──ウマ娘祈祷中。

 

 

では、これらを踏まえた上で、再度今の状態を要約するとしよう。

 

 

と言っても、答えは単純明快である。率直に言えば…紛うことなき、ただの子供の喧嘩である為だ。

 

 

今起きていることは、全てにおいて低レベルで醜く度し難い争いであることに違いはない。違いはないのだ。だがしかし、この下らない争いによって…世にも出せないような戦争の火蓋が、今か今かと開きそうになっているのである。

暫し待った後、ボクのトレーナーは、敵を一手に引き受ける総大将のように胸を張り、高らかに宣言を告げるかのようにして息を吸う。そうして徐に取り出したハーモニカをファンファーレに合わせるようにして唐突に吹いた後、彼女は口を開いた。

 

 

「かーっ!見んねテイオー!卑しか女ばい!」

「ト、トレーナー…」

 

 

第一声がこれである。よりにもよって、奴が書いていた小説の台詞そのままの原本が飛び出してきた。これには、今すぐにでもアルミホイルを被って現実逃避をしたいものである。

 

 

はっきりと、ここに居る全ウマ娘が泣いた。「ブワッ!!」っと効果音も鳴った。もしかしたら口に出していたかもしれない。

極めてなにか生命に対する侮辱を感じる。マヤノなんて白い目を向けて遠くを見つめている。その瞳にハイライトは無く、声をかけても返事がない。ただの屍のようだ。

 

 

もしこの様子が動画サイトに流れていれば、忽ち…

 

・あ

・まずい

・ヒヒ^~ン

・芝生えない

・お祭りみたいだね

・お祭りだね

・お祭りですね

・どぼめじろうと勝利の女神のチューしてぇよぉ…

・Let's say together I copy?

・泣きました、ワタシは恋鐘のファンでどぼめじろうのアンチでウマ娘です。

・五条悟美を呼んで来いってこの世界に居るわけないだろ良い加減にセイー

・I don't stop Dobomejiro(⌒,_ゝ⌒)

・各地のトレセン学園は地方諸共ほぼ壊滅か…

・どぼめじろうを国外に移送ってマジで言ってんの⁉︎正気ですか⁉︎

・どぼめじろうのせいで円高になったり円安になったり酷い有様だな

・渋谷事変よりも悍ましい呪霊が1000万体以上現れるとか泣きたくなりますよ〜

・呪霊の発生源府中ってマジ?

・だからどぼめじろうが試験を受けた時、事務員でも良いから合格通知を出しておけと推したんだ私は‼︎

・逆に良かったんじゃない?これ霞ヶ関に元気がないと出来なかった判断でしょ?

・なるほど〜φ(´・ω・`)メモメモ確かに男性に会えば否が応でもこうなってしまうのは無理もありません: (´・ω・`):コ、コワイですが、私の周りのフォロワーさんや知恵袋、ブログなんかではこれは政府の陰謀であり、彼を独り占めするためのフェイクであるとみんなが言っています‼️「政府」か「仲間」か「どぼめじろう」か…本当に信じられるのは誰なのか、もう一度よく考えてみて下さい❤️

・陰謀論者湧きすぎwww

・愛よ愛♡

・呪術廻戦よりも呪われてて八握剣異戒神将魔虚羅出そう

 

と、さぞやネタにされていたことであろう。率直に言って笑えない。

 

 

そも、どぼめじろうがそんな器で収まっているなら、こちら側が苦労することはないというのに…もう終わりだよこの世界。

 

 

「き、急にどうしたんです?先輩」

「ウマ娘の声よりもこの子の声の方が聞こえる…来ましたわ…恋のダービーが来てしまいましたわ!」

 

 

溶けるほど燃えよ。凍るほど醒めよ。

 

ああ…なんてことだ。ボクの無垢で輝かしく眩しい迄に純粋な瞳は、今やハイライトは消え失せ、生気が完全に失われてしまっていることだろう。返せ、返してくれ、純情だった彼女を。真っ直ぐに輝いていたあの頃のトレーナーのイメージを。これではイメ損どころで済む話ではなくなってしまう。

 

ボク達のトレーナーが、奴にNTRれている。

 

皆の憧れだったトレーナー達が、奴にNTRれている。

 

AV(アドマイヤベガ)達のトレーナー(奈瀬文乃)も、奴にNTRれている。

 

柔らかい綱が滅茶苦茶にされている。

 

どぼめじろうに脳が犯されて、ぐちゃぐちゃに侵されている。

 

 

「シェケナベイビー!無敵なシェケナベイビーだぜぇ!」

「うわぁ、また来たぁ…」

「シェケナだぜシェケナ…鬣が鬱陶しいぜ」

「…何で鬣が出てくるんですか」

「鬣は心のロックンローラーってことだぜ!シェケナシェケナ…」

「ちょっと何言ってるかわからないです」

 

 

レースに一途だった大人達が、どぼめじろうに寝取られている。

 

 

「無○敵ッッ!!」

「相変わらずハジけてますね、先輩」

 

 

ボク達のやる気が、ションボリブラック、ションボリルドルフ、ウシュバテソーロをも超えた絶不調となっている。

 

 

「闘○魂ッッ!!」

「だから何なんですか」

 

 

勘弁してくれ。てめえお手ウマ娘に恥かかせる気か?

 

 

「もう…突拍子もなくハーモニカを吹くわ叫ぶわで、流石の僕と言えどびっくりするじゃないですか。この子達にも迷惑ですよ」

「いやいやいやいや…あのレースにしか興味がない天才が、あれだけ嫌っていた彼のことを満面の笑みで思い浮かべながら乙女全開な顔をしてるんだから、そりゃあこうも言いたくなるに決まってるでしょ。以前、私が書いた記事の言葉を借りるなら、『大人の階段を昇るお嬢様は、この手の色気に弱いのだ』って感じかな?いやはや、世の中捨てたもんじゃないね」

「…お言葉ですが、それを言うなら先輩は先輩で、お互いにパロディネタでイチャイチャしてましたよね?イタコ芸を利用してジーニアスだのカモンベイベーだのあーだこーだお構いなしに言った挙げ句、ウマッターに彼との妄想の会話を繰り広げていたこと、僕は知っていますよ。自分のことは棚に上げて、競合を牽制していると見せかけて、敢えて注目を惹きつけて彼を掻っ攫う気満々だってところとか、先輩は昔っからそういうの本当にわかりやすいですからね。流石、彼の血を目一杯浴びて、一瞬で死にかけてた…否、キメてただけのことはありますわ」

「は?」

「あ?」

 

 

「(ヤダナーコワイナァー)」

 

 

「ねえ、文乃君…一応、あの場に居たからこそわかっているんだろうけどさ。彼は私で興奮していたんだから、これはもう相思相愛ってことで結論付けた方が手っ取り早く済むじゃん。偶には年長者に譲る気は無いの?私に借りくらいの一つや二つは返すってのが仁義ってものじゃないのかね?」

「年功序列の厄介ごとから助けてくれた先輩が、今それを言いますか?良い加減、彼から卒業しましょうよ?余計なお世話かもしれませんが、彼を頭の中で飼い続けるのは辞めた方が良いですよ。恐らく身が持たなくなります。最悪、憧れだったハードバージのトレーナーよりも酷い状態になりますよ?それでも構わないんですか?大好きなレースが可哀想だとは思わないんですか?」

「バカヤロー!トレーナー人生然り、普通の人生然り…あらゆる現象問わず、レースには本命の◎より重い印だってあるんだよ!」

「それ、サトノダイヤモンドやグランアレグリアを担当しているトレーナーに向けていたバチクソにキッショい激オモ♡矢印じゃないですか!これ以上『彼との会話は妄想です』で、許されると思わないでくださいよ」

「私は地の果てまで彼を愛しているんだよ!」

「血を浴びただけに地の果てまでってことですか?生憎ですが、彼を想う僕の気持ちは文字通り天まで(天馬で)駆けて行く勢いなんですけど?」

「随分と大層な夢を持ってて良いなア!!じゃあ夢バトルしようぜ!夢バトル!!彼が私を選んだらよぉ!!てめーの愛!!私のFantastic以下なぁ!!」

「やってみろよバァ〜カ!!」

「は?」

「あ?」

 

 

「(やめて、仲良くして!)」

 

 

そんな心の叫びは、無惨に散って逝った。

 

 

兎にも角にも、総じて言えることは『どぼめじろうは絶対的な強者だった』という事だ。偽りのない本物の強さを持った化け物には、最強のトレーナーも最狂のトレーナーも敵うことは出来ず、ただただひれ伏すしかないのである。

 

 

この世界はクソだ。そこに至るまでの道程も、いつもボク達を舐め腐っている。

 

 

ひたすらに、この現実を突き付けてくる諸悪をただひたすらに…。

 

 

こんなことをしている間にも各国は、フランスで見事な勝利を収め、どぼめじろうという最悪の兵器を奪おうとしている。

 

 

それでもボクは意志を曲げることなく、こんな世界にしてしまった元凶に責任を取ってもらう為にこの場に居るのだ。

 

 

それは彼女も同じである。

 

 

片や、その真正面に居るボクの強敵(ライバル)もまた、必死に賢さトレーニング(読書)を行っていた。

 

 

『小羊がその七つの封印の一つを解いた時、わたしが見ていると、四つの生き物の一つが、雷のような声で「来たれ」と呼ぶのを聞いた。

そして見ていると、見よ、白いバが出てきた。それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上にもなお勝利を得ようとして出かけた。

小羊が第二の封印を解いた時、第二の生き物が「来たれ」と言うのを、わたしは聞いた。 すると今度は、赤いバが出てきた。そして、それに乗っている者は、人々が互に殺し合うようになるために、地上から平和を奪い取ることを許され、また、大きな剣を与えられた。

小羊が第三の封印を解いた時、第三の生き物が「来たれ」と言うのを、わたしは聞いた。そこで見ていると、見よ、黒いバが出てきた。そして、それに乗っている者は、はかりを手に持っていた。 すると、わたしは四つの生き物の間から出て来ると思われる声が、こう述べたのを聞いた。「小麦──太陽の叡智、大海の叡智、大地の叡智を、損なうな」

小羊が第四の封印を解いた時、第四の生き物が「来たれ」と言う声を、わたしは聞いた。 そこで見ていると、見よ、青白いバが出てきた。そして、それに乗っている者の名は「死」と言い、それに黄泉が従っていた。彼らには、地の四分の一を支配する権威、および、剣と、飢饉と、死と、地の獣らとによって人を殺す権威が、与えられた。

小羊が第五の封印を解いた時、神の言の故に、また、その証を立てたために、殺された人々の霊魂が、祭壇の下にいるのを、わたしは見た。 彼女らは大声で叫んで言った。「聖なる、まことなる主よ。いつまであなたは、裁くことをなさらず、また地に住む者に対して、わたしたちの血の報復をなさらないのですか」 すると、彼らの一人一人に白い衣が与えられ、それから、「彼らと同じく殺されようとする仲間や兄弟たちの数が満ちるまで、もうしばらくの間、休んでいるように」と、言い渡された。

小羊が第六の封印を解いた時、わたしが見ていると、大地震が起って、太陽は毛織の荒布のように黒くなり、月は全面、血のようになり、 天の星は、いちじくのまだ青い実が大風に揺られて振り落されるように、地に落ちた。 天は巻物が巻かれるように消えていき、全ての山と島とはその場所から移されてしまった。 地の王たち、高官、千卒長、富める者、勇者、奴隷、自由人らは皆、洞穴や山の岩陰に、身を隠した。 そして、山と岩とに向かって言った。「さあ、我々をおおって、御座にいます彼の方の御顔と小羊の怒りから、匿ってくれ。御怒りの大いなる日が、既に来たのだ。誰が、その前に立つことが出来ようか」』

 

 

もう名優(メジロマックイーン)もダメかもしれない。

 

 

本当に運命というものは意地悪だ。

 

 

「そんなことよりマヤわかっちゃった。今のとぼめじろうにはギラギラが足りてない」

 

 

恐らく、この場にまともな精神を保っている人は1人として居ないのだろう。奇跡でも起きない限りは無理だ。

 

 

だから起こすよ、奇跡。

 

 

ボクが証明して見せる。ボクとマックイーン…いや、世界中のウマ娘がもう一度レースに向き合えるようにって。

 

 

今度の凱旋門賞…ボクはそこで、誰よりも先にゴールする。

 

 

覚悟しておけ、どぼめじろう。

 

 

絶対はボクだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永いあいだ、私は自分が生まれたときの光景を見たことがあると言い張っていた。それを言い出すたびに大人達は笑い、しまいには自分がからかわれているのかと思って、この蒼ざめた子供らしくない子供の顔を、かるい憎しみの色さした目つきで眺めた。それがたまたま馴染みの浅い人の前で言い出されたりすると、白痴と思われかねないことを心配したこの世界での常識は険のある声で遮って、向こうへ行って遊んでおいでと言った。

笑う大人達は、何か科学的な説明で説き伏せようとしだすのが常だった。そのとき赤ん坊はまだ目が明いていないだとか、たとい万一に明いていたにしても記憶に残るようなはっきりした観念が得られた筈はないのだとか、子供の心に呑み込めるように砕いて説明してやろうと息込むときの多少芝居がかった熱心さで喋り出すのが定石だった。

 

 

彼は…1つの記憶、彼女達の汗の匂いを仮面越しに思い出す。

 

 

かつて英雄が居た地にて、香ばしい芝の匂いを肺に満たすようにして一気に嗅ぎ、そして昇華させたものを盛大に吐き出した。

 

 

トレーナーを志す者にとって、トレーナーの本義とは何だ!ウマ娘を愛する事…ウマ娘を愛するとは何だ!ウマ娘を愛するとは、ウマ娘で過酷なオナニーをする事である!お前ら聞けぇ、聞けぇ!静かにせい!静聴せい!話を聞け!数多のトレーナーが、命を懸けてウマ娘で過酷なオナニーをしているんだぞ!それがだ!今根幹の魂がだ!今ここでもって立ち上がらなければ、精液(精神の液)が込み上げてこなければ、過酷なオナニーなんてものは無いんだよ!諸君は永久にだねぇ、ただウマ娘と過ごすだけのウマシコ萌え豚勢になってしまうんだぞ!

 

 

──フランス、パリ。某橋。

 

 

「Dobomejiro go!」

「HAHAHA…Je ne suis pas Dobomejiro」

「Ne dites pas de mensonges!」

 

 

男はそこに立っている。

 

 

 




 


「13年前、日本に出現して今もどこにいるか分からない。全てのウマ娘が殺したがっている、とっても強い悪魔。ボクね、ディープなら殺せると思うんだ。君は他のウマ娘の誰よりも特別だから」


道徳0な余談。

イプラトロピウムを適当に漁るついでに、以前から執筆の際に必要になると考えていた外傷性高次機能障害等を調べたワイ。発達障害との明確な違いや症例を知らぬまま内容を先に書いた為、大惨事と化す。
それでは不味いと考え、外傷性高次機能障害と発達障害それぞれの定義とは何かを再確認しようと慌てて検索…厚生労働省が発表した発達障害者支援法を第一に視認。そこから手当たり次第に論文を精査するも、肝心の内容に関わる症例が1個も見つからず、只管焦る。挙げ句の果てには、精神疾患の症状の方が書く内容に近いのではないか、という考えが頭に過ってしまい、そちらも調べて見たところ珍紛漢紛すぎて脱線。結果、トップバリュのアルミホイルを被らなければ脳がキャパオーバーするにまで至り、最終的に研究者側から「素人は黙っとれ…」との宣言を受け、志半ば断念…放心状態へと陥った。

やはり力こそパワー、脳味噌筋肉。
つまり拳こそが正義。根性論で語れ、正しいのは俺、だって君のことがす筋肉その筋肉筋肉その筋肉その筋肉筋肉その筋肉。

データなんかねえよ、コピペこそが正義。


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