「何で?何でって、そりゃ…面白いからだろ?美しい競走馬や強くて可愛いウマ娘が走って苦しむのが面白いんだよ。そりゃあそんなもん見たくねぇ奴もいるだろうが、人は残酷なのが見たいんだよ」
ワイ、無事にニートとなったので初投稿です。
神自らの言葉による聖典を受け渡す。古来より、預言者は教授してきた。神々による我々への愛のメッセージ…それは愛よりも強く常に人と共にあるものだと、心に植え付けられている。そして今、創造主の意思は継承された。
我々は、聖書の教えによって自身をも統治されている。
『神の愛が無限であるように 神の怒りもまた際限はないのです。血を分かち合った兄弟は皆、この世の邪悪に鉄槌を下しなさい。私は、あなたについて以前予言されたことに従ってこの命令をあたえます。その予言に力づけられ雄々しく戦いなさい』
夢を見た。クソッタレで理想に塗れたバカの夢を…。
『────全てのウマ娘の民に告ぐ』
その夢は、憎悪と憤怒が混じった諸刃の剣となる。
『俺の名は────。始祖の三女神の力を介し、全てのウマ娘の民へ話しかけている。かつて存在した別世界の魂との因果は解かれ、その中に編み込まれていた運命は破壊され始めた。俺の目的は、俺の生まれ育った世界にある、数奇で…輝かしい歴史を歩むであろう彼女達の過去現在未来の結果を覆し、ウマ娘自身を守ることにある』
だがそれらは、摩天楼の頂へと達した男ごと、最も容易く粉々に砕かれていた。
『しかし、世界は…ウマ娘が史実の通りに走り続けることを望み、この国のみならず…全てのウマ娘が魂に沿った歴史を歩むまで止まらないだろう。俺はその望みを拒む』
そうして彼女達は、バベルの塔から見下ろし嗤うのだ。
『これよりウマ娘は、彼女達の本当の自由のために時の流れをも踏み潰す』
吐き出された邪悪は、大きな悪意となって地の底へと落ちる。
広がる決意は、かつての想いが具現化した願いそのものであった。願いとは、こうであってほしいという心の内側。聖杯のように、純粋で清らかな証としての人類の叡智。それは硬く、大河の如く勢いのままに、流れ出る。
『そこにある運命を…この世から駆逐するまで』
YOU ARE(NOT)ALONE.
YOU CAN(NOT)ADVANCE.
YOU CAN(NOT) REDO.
始まりと終わりは同じところにある。
『凄く変な気分だ。恐怖もあまり感じていないし、周りがよく見える。…きっと、どんな結果になっても受け入れられる気がする。…そうだ、誰も悪くない。全部仕方なかった。────だって世界は、こんなにも残酷じゃないか』
シリウスが貸してくれた本にそんな内容があったな、ということを思い出す。
それは、好きな人を守る為に世界を破壊した男の物語だった。
「……?…イオー!スゥ…テイオー!!」
自身のハッとした反応に思わず驚いてしまう。
辺りを見回せば、ボクの様子に不安げな一面を見せている人達が大勢居る。動揺、困惑、恐怖…正しく混乱している、といった雰囲気だ。
何処か懐かしいやり取りが脳裏に過ぎる。
「お先にどうぞ?」
「いえ、お先にどうぞ」
「いやいや、どうぞ」
「いえいえ、どうぞ」
罪は自分の意志で償おうとしなければ、贖罪の意味がない。
「「…ジャンケンポンッ!!」」
そうだ。あの時…ボクは彼を救えないんだと悟り、そして譲ったんだ。
ボクはあいつと夢を重ねる事が出来ない、と。
なら、ボクは一体何のために生きているんだろう。
何故、ボクは諦めたんだろう。
ボクは誰だ…ここはどこだ……誰が生めと頼んだ!誰が走ってくれと願った…‼︎ボクはボクを生んだ全てを恨む…!だからこれは…攻撃でもなく、宣戦布告でもなく、ボクを生み出した奴等への"逆襲"だ。
…奴等とは、誰なんだ。
『ホモサピエンスの愛の本質、即ち本能とは、全ての人を等しく愛することが可能なように作られていない。何故なら、博愛主義を実現するには神を信じて全ての人間がそれより下位であるという世界観を作った上で、全ての人間を小馬鹿にするしか方法が無かったからだ。だから友愛と神の愛は対比されてしまう』
そもそも、ボクを呼ぶ声は誰から発せられたものなのだろうか…まだ、頭が思うように働かない。
「テイオー…一体全体どういたしましたの?」
「なんだろう…ボク、すっごい長い夢を見ていた気がするんだけど」
「…?らしくありませんね。って、テイオーったら…確かに私は先程貴女に対して『負けても泣かないで下さいませ』とは言いましたが、決着が付いてしまう前に泣いておこう…というのはどうかと思いますよ?」
「…へ?」
ふと、目元へ指先を伸ばしてみれば、そこに触れたのはボク自身から流れ出た涙だった。
そうして再度、辺りを確認して状況を整理する。
そうだ…ここは。
淀だ。
第105回、芝3200m ──── 春の天皇賞。
天気は晴れ、良バ場。
最高の晴れ舞台に相応しい…絶好のレース日和である。
「ううん、何でもないっ!!再度にはなるけど、ウイニングライブ…ボクの後ろで踊ってもらうから!!」
「…!望むところですわっ!!」
ボクは何を望んでいるんだろう。
少し場を移したところで、場内にアナウンスが流れる。
『お知らせいたします。メジロマックイーンが落鉄した為、蹄鉄を打ち替えますので発走時間が遅れます』
ざわめく人々の群れ。当然だろう…何せ、前年の桜花賞でも似たような事例があったのだ。その時のウマ娘…イソノルーブルは蹄鉄の打ち直しも不十分であった為、結果として5着の成績を残している。
今回のTM対決…春の天皇賞の連覇もあってか、観客の不安は高まるばかりだ。
「もしかして…マルイ。もしかしなくても…おいおい。まさかとは思うが…オイオイオイ」
「不退転は…(清楚系鎌倉武士)」
「やめてくれよ…(絶望)」
「まあマックちゃんだからね、仕方ないね」
「ミスが多すぎんだよね、それ一番言われてるから」
「お前(メジロマックイーン)さっき私等が期待していた時チラチラ(どぼめじろう)見てただろ」
「あっ、おい待てぃ(江戸っ子)」
「また君か壊れるなぁ」
「そりゃ聞くって言ったのに聞かねぇっておかしいだろそれよぉ!?」
「おっ、そうだな」
「自分から(聞きに)行っているのか…(困惑)」
「これもうわかんねぇな」
「あのさぁ…もっと人のことを考えてよ(棒読み)」
「マックちゃんの事情も考えてよ(棒読み)」
「先輩コイツどぼめじろうの配信見出しましたよ、やっぱ好きなんすね~」
「マックちゃんもしかして、どぼめじろうの事が好きなのか?(青春)」
「おいヤメルルォ!」
「え、そんなん関係ないでしょ(正論)」
「なんで見る必要なんかあるんですか(正論)」
「嘘つけ絶対見てたゾ」
「とぼけちゃってぇ…」
「なんのこったよ(すっとぼけ)」
「そんなことしたらオバアサマに怒られちゃうだろ!」
「うるせぇ!ホラ、見ろよ見ろよ」
「やだよ(即答)」
「ホラホラホラホラ(鬼畜)」
「ファッ!?う〜ん…」
「堕ちろ(願望)堕ちたな(確認)」
「意外と早く堕ちたな~(嬉しい誤算)」
「お前らもよーく見とけよ」
「おう、考えてやるよ(見るとは言ってない)」
「私もやったんだからさ(嫌々)」
「ああ逃れられない!(カルマ)」
「お前もう生きて帰れねぇな?」
「(正直に言って)マックちゃんの自意識過剰なんじゃねえか?」
「(んな訳)ないです」
「ところでマックちゃんさぁ…衣装変わってる…変わってない?」
「(新衣装)すっげえ白くなってる、はっきりわかんだね」
「あーもうめちゃくちゃだよ」
「何やってんだあいつら…」
…聞こえてくる人々の声に、ボクが1番不安になってきた。し、心配…しているんだよね?マックイーンも何かプルプルと震えているし…。これ、大阪杯みたいにちゎんとしたレースが出来るんだよね…?ってか、何でそんな雰囲気になっているの!?
「さぁいらっしゃい!!いらっしゃい!!トウカイテイオー愛が重バ場怪文書付きとんかつ弁当!!メジロマックイーン秘蔵どぼめじろうインタビュー付きスイーツ弁当!!もうすぐ売り切れちゃうよぉ〜!!スペ、在庫見て来て!!」
「ちょっ!ゴールドシップさん!何しているんですかっ!やめた方が良いですよ本当に!!」
「9月だというのに、たくさん汗をかいたシーザリオ。またがっていた(またがっていた!)僕の手にはびっしょりシーザリオの汗。両手を広げて吹かれる…時間を忘れた。手にできた結晶を、僕はおひつを開けて、おにぎりを握った。おいしいね…ジャッパニィィズ!!スゥッパァスタァァァア!!!セィッザァッリオォォォオ!!!!おにぎりも好評です!是非お買い上げになってくださいっ!」
「直線を向いて、まだクィーンスプマンテとテイエムプリキュア、クィーンスプマンテとテイエムプリキュアが粘っている。あと300メートルは切っている。ブエナビスタは届くのか。これはとんでもない波乱になるのか。とんでもない波乱になるのか。これがレースだ!これがレースの恐ろしさ!ブエナビスタ猛追、ブエナビスタ猛追!!しかし、しかし、クィーンスプマンテェッ!!コレがレースの恐ろしさ弁当、いかがですかぁ?」
「いや、2人とも何をしているんだっぺ!?」
「何って…お手伝いですよ」
「ほら、スペさんも!早く手伝ってくださいっ!ただでさえ配るの大変なんですから!!」
「何でそんな平然と一連の作業を行えるんですか!?」
「私も手伝いますよ」
「パンサラッサの母!?(グラスちゃん!?)」
遠くの方からでも聞こえて来る悲鳴と喜悦は、最早お笑い草だ。いや、そんなことよりもゴールドシップ!?ちょっと、まずいですよ!!ボクが元ネタの怪文書もそうだけど、そのインタビュー記事は今や発行されることはない限定品で、かつメジロ家の権限で消されたものなんだから!!
ワナワナと慌てふためくボクは、その内容を思い出す。
────。
「な、ななな、なっ、なんですのこれは〜〜〜っ!?」
確かあの時も、マックイーンは食堂で…喚き散らかしていたんだっけ。
「私、こんなにどぼめじろうのお話ばかりした覚えは…い、いえ、少しはしたかもしれませんが…」
「マックイーン、どうしたの?そんなに慌てて…」
「おうおうどーした?いきなりでっけー声出しやがって…合唱コンクールの練習か?それとも詩吟に目覚めたか?」
「違いますわ!先日受けたインタビュー記事の確認です。ですが…これは由々しき事態です…!」
「いつもじゃねえか…んん?何々?」
「インタビュー…ねぇ。ボクだって色々と弄られたことがあるからそういうのは気にしない方が良いと思うけどなぁ。一先ず見せてよ!どれどれ?…クェー」
それで、ちょっとだけボクも気になって読みに行ったんだよね。
『休日の過ごし方ですか?そうですね…友人達とお茶会をすることが多いですわ。…ええ。ミルクティーに合う紅茶と、それに合った焼き菓子を嗜むことが増えましたわね。これがまた何とも絶品で…あとは結局チョコに帰ってしまいますわね。甘美と渋味の交響曲…やはり「チョコが一番ですわ」ワッフルといえばコレですわ。種類いっぱいありますけどもチョコですわ。これだけあれば勝ちですわ!…ハッこほん。
え?ああ、はい。…彼について、ですか。…はい。………ええ。…正直に申し上げますと、ウマチューブなどを覗く機会が増えました。…誠に遺憾ですが。………なんだかんだ言って彼とは長い付き合いになりますわね。まあ、癖になる…と言えば聞こえはよろしいのかも知れませんが、もしあなたが私の立場に居たならば…耐えられます?まあ、そういうことです。
…対処法、ですか?ドカ食いして気絶する…コレ以外にありませんでしてよ?…食事制限?甘いものを食べて限界まで体と頭と心を動かして精一杯生きると、何と痩せるという真理に到達いたしましたの。実質0キロカロリー理論を構築した私に不可能の文字はありませんわ!…とはいえ、最近はいちごのショートケーキで誤魔化そうとしても、どうにも出来ないことの方が多くなりましたし…配信で好き勝手言うのにも限界は訪れますからね。…いつしかそれが待望のマリアージュとなって、何をどうしても美味いに決まってますわ!美味すぎて手が止まりませんわ!パクパクですわ!毎夜コレですわ!!そのままつまんで見ながら食べられるどぼめじろう!ほんのり塩味がいい感じ♪これ食べて配信を見て永久コンボですわ!永久機関の完成ですわぁっ!!オホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ…』
────率直に言って、これは悲惨だと思うしか無かったな、と我ながら呆れていた。ところどころから見えてくる、隠しきれない誤魔化しと恥じらいがあるのも度し難く、また捨て難いものである。
『それは 言霊と言うには あまりにも大きすぎた
大きく ぶ厚く 重く そして 大雑把すぎた
それは 正に 愛だった』
…おお、これは酷い。
「えーさらにメジロマックイーンさんはどぼめじろうさんの配信を第7回から見ていると言う、所謂エスパーダの1人であり…」
「お、音読なさらないでくださいませ!」
「ああ、これ私と出会った時に見てたヤツじゃねえか!めちゃくちゃ面白かったよなぁ!」
「ええ、とてもっ!って、そうではなくて!これでは、まるで私がどぼめじろうのことを好いているみたいじゃありませんの!」
「スイーツの時といい、大好きじゃねえか。へいへいへいへい!マックちゃんの胃袋、ブラックホール!」
「…ああっ!もうっ!こうなりゃヤケですわ!パクパクですわ!パクパク!んっ!むぐむぐ……!」
「あのさ…気のせいじゃないと思うんだけど、この配信の内容って最初期の方じゃない?それこそ7回目よりも前の…」
「…そ、そんなことはありえませんわっ!!まさか、私が最初っからあの男のリスナーというわけでもありませんし!それだけ話題になりがちというだけのことですわ!!」
「へ、へぇ〜…そうなんだ〜…」
「…そ、そうですわよ〜っ!!」
「あははははははは…」
「おほほほほほほほ…」
────。
今思えば、彼女の本心はそういうことなのだろう。
「聞こえてますわよゴールドシップゥッ!!」
「ウエッ…アタシハ、マックイーンノタメトオモッテ…ウェ、ウェーン‼︎ウェーーーン‼︎」
「ちょっ!!ちょっと!!そ、そんなに泣かなくても良いじゃありませんか!?私は何もそこまで怒っているわけでは…」
「とりま2人とも…その距離感で話すの辞めない?物理的に滅茶苦茶離れてるし…」
アレだけ叫んでいても…内心ではどうなのか、それが手に取るようにわかってしまう。心が…心がイテイオー。(エアグルーヴのやる気が下がった)
「こんな時、どんな顔をすれば良いのかわからないの」
「笑えば…良いと思うよ」
…パーマーも苦労しているんだね。
7人の天使達がラッパを吹く。ファンファーレ…中世ヨーロッパまで遡る程の起源を持つそれは、軍隊や狩猟、式典の際の合図などが元であった。
けれども、ボクにはそのように聞こえて来なかった。今やそれは、別のものと化しているに等しい…。黙示録…少なくとも、ボクはそう感じていた。
『小羊が第七の封印を開いたとき、天は半時間ほど沈黙に包まれた。
そして、ボクは七人の天使が神の御前に立っているのを見た。彼女達には七つのラッパが与えられた。また、別の天使が来て、手に金の香炉を持って祭壇のそばに立つと、この天使に多くの香が渡された。すべての聖なる者たちの祈りに添えて、玉座の前にある金の祭壇に献げるためである。香の煙は、天使の手から、聖なる者たちの祈りと共に神の御前へ立ち上った。それから、天使が香炉を取り、それに祭壇の火を満たして地上へ投げつけると、雷、さまざまな音、稲妻、地震が起こった。
時は満ちた。七つのラッパを持っている七人の天使たちが、ラッパを吹く用意をする。
第一の天使がラッパを吹いた。すると、血の混じった雹と火とが生じ、地上に投げ入れられた。地上の三分の一が焼け、木々の三分の一が焼け、すべての青草も焼けてしまった。
第二の天使がラッパを吹いた。すると、火で燃えている大きな山のようなものが、海に投げ入れられた。海の三分の一が血に変わり、また、被造物で海に住む生き物の三分の一は死に、船という船の三分の一が壊された。
第三の天使がラッパを吹いた。すると、松明のように燃えている大きな星が、天から落ちて来て、川という川の三分の一と、その水源の上に落ちた。この星の名は「苦よもぎ」といい、水の三分の一が苦よもぎのように苦くなって、そのために多くの人が倒れた。
第四の天使がラッパを吹いた。すると、太陽の三分の一、月の三分の一、星という星の三分の一が損なわれたので、それぞれ三分の一が暗くなって、昼はその光の三分の一を失い、夜も同じようになった。
また、見ていると、一羽の鷲が空高く飛びながら、大声でこう言うのが聞こえた。「不幸だ、不幸だ、不幸だ、地上に住む者たち。なお三人の天使が吹こうとしているラッパの響きの故に」
第五の天使がラッパを吹いた。すると、一つの星が天から地上へ落ちて来るのが見えた。この星に、底なしの淵に通じる穴を開く鍵が与えられ、それが底なしの淵の穴を開くと、大きなかまどから出るような煙が穴から立ち上り、太陽も空も穴からの煙のために暗くなった。
そして、煙の中から、いなごの群れが地上へ出て来た。このいなごには、地に住むさそりが持っているような力が与えられた。いなごは、地の草やどんな青物も、またどんな木も損なってはならないが、ただ、額に神の刻印を押されていない人には害を加えてもよい、と言い渡された。
殺してはいけないが、五か月の間、苦しめることは許されたのである。いなごが与える苦痛は、さそりが人を刺したときの苦痛のようであった。
この人々は、その期間、死にたいと思っても死ぬことができず、切に死を望んでも、死の方が逃げて行く。さて、いなごの姿は、出陣の用意を整えたウマ娘に似て、頭には金の冠に似たものを着け、顔は人間の顔のようであった。また、髪は女の髪のようで、歯は獅子の歯のようであった。
加えて、胸には鉄の胸当てのようなものを着け、その羽の音は、多くの馬に引かれて戦場に急ぐ戦車の響きのようであった。
更に、さそりのように、尾と針があって、この尾には、五か月の間、人に害を加える力があった。
いなごは、底なしの淵の使いを王としていただいている。その名は、ヘブライ語でアバドンといい、ギリシア語の名はアポリオンという。
第一の災いが過ぎ去った。見よ、この後、更に二つの災いがやって来る。
第六の天使がラッパを吹いた。すると、神の御前にある金の祭壇の四本の角から一つの声が聞こえた。その声は、ラッパを持っている第六の天使に向かってこう言った。「大きな川、ユーフラテスのほとりにつながれている四人の天使を放してやれ」四人の天使は、人間の三分の一を倒すために解き放された。この天使たちは、その年、その月、その日、その時間のために用意されていたのである。
その騎兵の数は二億と、ボクはその数を聞いた。
ボクは幻の中で神託を受けた者とそれに乗っている者たちを見たが、その様子はこうであった。彼女達は、炎、紫、および硫黄の色の胸当てを着けており、ウマ娘の頭は獅子の頭のようで、口からは火と煙と硫黄とを吐いていた。その口から吐く火と煙と硫黄、この三つの災いで人間の三分の一が倒された。ウマ娘の力は口と尾にあって、尾は蛇に似て頭があり、この頭で害を加えるのである。
これらの災いに遭っても殺されずに残った人間は、自分の手で造ったものについて悔い改めず、なおも、悪霊どもや、金、銀、銅、石、木それぞれで造った偶像を礼拝することをやめなかった。このような偶像は、見ることも、聞くことも、歩くこともできないものである。
また彼女達は男を愛すること、まじない、みだらな行い、それらに伴った略奪行為を悔い改めなかった。
ボクはまた、もう一人の力強い天使が、雲を身にまとい、天から降って来るのを見た。頭には虹をいただき、顔は太陽のようで、足は火の柱のようであり、手には開いた小さな巻物を持っていた。そして、右足で海を、左足で地を踏まえて、獅子がほえるような大声で叫んだ。天使が叫んだとき、七つの雷がそれぞれの声で語った。
七つの雷が語ったとき、ボクは書き留めようとした。後に、天から声があって、「七つの雷が語ったことは秘めておけ。それを書き留めてはいけない」と言うのが聞こえた。
すると、海と地の上に立つのをわたしが見たあの天使が右手を天に上げ、世々限りなく生きておられる方にかけて誓った。即ち、天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを創造された方にかけてこう誓った。
「もはや時は残されていない。第七の天使がラッパを吹くとき、神の秘められた計画が成就する。それは、神が御自分の僕である預言者たちに良い知らせとして告げられたとおりである」
そうして、天から聞こえたあの声が、再びボクなや語りかけて、こう言った。「さあ、行くのだ。海と地の上に立っている天使の手にある、開かれた巻物を受け取れ」
そこで、天使のところへ行き、「その小さな巻物をください」と言った。すると、天使はボクに言った。「受け取って、食べてしまえ。それは、あなたの腹には苦いが、口にはハチミーのように甘か感じるだろう」
ボクは、その小さな巻物を天使の手から受け取って、食べてしまった。それは、天使の言う通り蜜のように甘かったが、喉元を過ぎればボクの腹は苦くなった。
されば、ボクにこう語りかける声が聞こえた。「あなたは、多くの民族、国民、言葉の違う民、また、あの男…即ち王について、再び預言しなければならない」』
どこからか、『主よ、人の望みの喜びよ』が聞こえて来る。
────私の全てを捧げます。
走り始めたのなら───儚くも強い意志が込められなければならない。秘めた想いを胸に、夜空に浮かぶ月へと祈る。想いとは、全ての人々に幸福が訪れるようにとの意味が丹精に込められた、それこそ1つの青い薔薇と短剣そのものが具現化したような、鋭利で綺麗なものである。
「私には…幸いなことに、彼がいる。どんなに強く彼を抱きしめていることで救われたか。彼は私の心を癒してくださる。病の時も、悲しみに枯れている時も、彼は私を愛してくれた。そして私に自分自身を捧げてくれている。だから私は彼を離さない。たとえ私の心が壊れそうになっても…」
「彼は私の喜びであり続ける。私の心の潤いであり、慰めてくれる。彼は全ての苦しみから私を守ってくださる。彼は私の夢魂の力。目の歓びにして太陽のように輝く存在である。私の生命に変えても変えられない宝そのものである。今こそ歓喜と祝福の導きを我等に示したまへ。私は彼を一生離さない…この心も視界からも外すことなく…」
「我らに罪を犯す者を…我らが赦すかの如く、我らの罪をも許したまえ」
「「「
「なっ!!」
運命を仕組まれた子供達は、その魂を真っ先に彼へと売る。躊躇なく、戸惑いもなく、ましてや恐怖もないままに、彼女達の手からはポタポタと血が流れていた。
「「「信じられないのね、彼の力が」」」
「信じられる訳がないよ!!」
どんな時でも希望は残っているものだ。そう…信じていたのに。
レースだけは、誰にも裏切られることがない…揺らぎのない世界だと思っていたのに。
「私がこの世界で死んだら、誰が私達について知ろうとするの?」
「私達は失われ、誰も知らず、我々が生み出した軌跡の痕跡も誰も見ようとはしない」
「人間が幸福の夢を追うときに犯す大きな過失は、人間の生来から備わっているあの『死』という弱点を忘れてしまうことだ。無論、死者が望むことはない」
「私には希望が無くなった。だけど、彼は亡くなった私に『私は好きにした、君らも好きにしろ』と告げて来た」
「「「ならば私は、私の怖れるもの全て、私の流した涙全て、私の心の全てを、神の化身へと与えよう」」」
「【The Saga of Darren Shan】って物語…知ってる?その本に、有名なセリフがあるんだよ。…The death and no still shine to the crown of victory『死してなお勝利の栄冠に輝かんことを』ってね。今なら私、もう死んでもいいわ」
「カミノクレッセまで…」
いつの間にか、彼に縋る者たちが大半を占めていた。
しかしながら、ボクは彼に縋る気持ちを否定出来なかった。
何故なら、あそこにはボクも含まれているのかもしれないからだ。
人類は昔から、困った時は神頼みをする。ウマ娘にとって、どぼめじろうは神様に最も近い力の象徴だ。
もしかしたらという懸念、度重なる事例、驚愕、そして無言。静寂から訪れるゲートが開く音。
それが、今この場に雷が落ちた衝撃のようにも聞こえて来る。その威力たるや、まるでルシファーによって反射されたレーザー光線のようだった。
ボクは、それを防ぐ為のバリアを持ち合わせていない。つまるところ、直撃である。
「…急にこんなことになっていて、もうワケワカンナイヨー‼︎」
「あぁっ!!トウカイテイオーが叫んでいます!!あのテイオーが叫んでいます!!はい!!」
「珍しいこともあるものです。普段の彼女からは到底考えられません!!これは果たしてどうなるのか!?さあ、行こう。春の天皇賞…スタートに注目です。…スタートしました!!あぁっと出遅れたぁ!!地鳴りのような歓声、どよめき、いや、これは寧ろ悲鳴が上がりました。トウカイテイオーはなんと最後方です!!」
ボクらしくない叫びが、スタートに大きく影響を及ぼした。ただでさえ距離適性の差かつ未知の道のり、そして無敗という記録がかかったレースという場。強者として出ているG1ウマ娘としてのプライド。
それら全てが、文字通り一瞬にして崩壊したのだ。
ボクは、このどうしようもない現実から逃げたかった。嫌なことから逃げ出して何が悪いんだ、と叫びたかった。
でも、ボクにそれは許されていない。否、許されない。あってはならないことなのだ。
「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」
しかし、ボクは知っている。それだけで勝負が決まるほど、この世界は甘くはない…と。
ボクは学んでいる。モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差ではないということを。
ボクは知っている。変わっていくこと、それが学ぶということ、知るということなのだと。自分が変わっていなかったら、何も学んでいないと思えばいいのだと。
ボクは教えてもらった。挑戦とは背伸びをすることである。しかし、その背伸びとは、手が届かないことを無理してやることではないのだと。
不幸に屈することなかれ、否、むしろ大胆に、積極果敢に、不幸に挑みかかるべし。
「それでも、テイオーなら…彼女ならやってくれる…!」
「トレーナーちゃん…!」
「彼女は逃げずにレースに挑んだ。自らの意思で降りない限り…彼女に託すべきなのだ、と。私は、そう信じている」
ボクの運命は決まっていない…ボクは、ボク達はそう信じ続けているからだ。
「為せば成る。為さねば成らぬ、何事も」
何故なら、ボクはまだ走れている。
「七転び八起き、ボクの好きな言葉だ」
ここで逃げる訳には行かない。ホームストレッチを抜け、向正面。メジロマックイーン…彼女の試合は全て見て来た。退屈と称されるまでの圧倒的な強さは、阪神大賞典でも健在な模様。スピードとスタミナでゴリ押しガス欠に持ち込む、駆け引き無しの純粋な勝負師。
ここから打てる最大の策はただ1つしか残されていなかった。
「ヤケになったウマ娘が何をするか、そこで見ていろ!!どぼめじろおおおおおおおおおっっ!!」
策がなければ力技しかない。我、事において後悔せず。一体全体誰が、この獣と戦うことが出来ようか。
「絶対にあきらめない!ボクは…最強を超えるウマ娘になるんだっ!!」
グラタンのようにぐつぐつと煮立ったボクの怒りの火は、頂点へと達している。
「う゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ゛!!」
「ウマ娘にこんな力が…!」
「まさか…暴走!」
「リミッターが外れていきます!!全て規格外です!!」
「恐らく因子継承深度マイナス値…汚染区域突入も厭わないとはね」
「ダメだよテイオーちゃん!!危険すぎる!!」
終末の刻は来た。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれッッッッッッッッッ!!」
ボクが出したものとは思えない土煙が宙へと舞う。それこそ、あのジェンティルドンナにも匹敵する程の轟音が、地上に鳴り響いた。
「トウカイテイオーからアンチどぼめじろうフィールドが出現、拡大していきます!!」
「固有スキルの具現化…ごく一部のウマ娘がレースにて発揮すると噂されるレース戦の極致。圧倒的強者のみが創造せし最後の切り札。その傲慢の行き着く先がこれとはな…」
「ヒトの生きた証は永遠に残る…よく言ったものね」
「いや、どう考えてもおかしいだろ!皆、正気に戻れ!まさかあれが、あんな悍ましいものが、…本当のウマ娘の姿だとでも言いたいのか!?」
「足が4本に見える…。敢えて例えるならばシン・ウマ娘…と呼称するべきか?いや、待て…成程。そうか、これが…これが『馬』か」
「テイオーちゃん…人を捨てる気?」
ボク達が下すべき最後の決断…それが齎すのは創造か破壊か。ここで全てをぶつけなければ、ボク達がどうなるか、どのような運命を辿るのかが決まってしまう。今日と同じ明日は、もう2度とやって来ない。
「どぼめじろうのふざけた力を、ボクの絶対的な才能で中和するっ!!」
もしこの戦いに敗れるのであれば、最後の審判が最後を告げて来るだろう。誰にも逃げ場はない。地獄の業火に焼かれ、世界は終焉へと向かう。今、ここで、ボクこそが、神をも殺すんだ。
「行け!!」
「行け!!」
「行け!!走れ!!」
「勝負だあああああああああっ!!」
《怒りの日 その日こそ
この世界は灰になる
ダビデとシビュラの預言として
大きな震えが訪れるであろう
審判者がやって来られて
全てを激しく破壊するときには
ラッパが不思議な音を響かせる
世界中の墓の上に
すべての者は王座の前に駆り集められるのだ
死は驚いた そして自然も
創造されし人間が復活し
審判者に答えんとすることに》
人の心が、世界を乱す。世界を崩す事は造作もない。だが、作り直すとなるとそう簡単には行かない。時と同じく、世界に可逆性はないからだ。
しかしボクには、間違いなく世界に抗う翼が生えていた。絶対とは、謂わばそういう力なのだ。…否、そうでなければならない。
明日のために、今日の屈辱に耐えるんだ。それがボクだ!
「勝つのはこのボク、テイオー様だあああああああああっ!!」
「行けええええええええ!!」
「行けええええええええ!!」
「行けええええええええ!!」
「行けええええええええ!!」
「行けええええええええ!!」
「行けええええええええ!!」
「「「「「「「「「テ・イ・オー!!テ・イ・オー!!テ・イ・オー!!」」」」」」」」」
「やべぇよ…やべぇよ…」
「つよい、つよそう」
「馬鹿野郎お前マックちゃんは勝つぞお前(天下無双)」
「出そうと思えば(メジロマックイーンの風格)」
「なんてことを…(憤怒)」
「何だお前根性無しだな(棒読み)」
「どぼめじろうよ…二度とこの世界にいられないようにしてやる」
「(マックイーンの力)見たけりゃ見せてやるよ(震え声)」
「はーい、ラストスパート(棒読み)」
「ゴールに目掛けてほらいくどー」
「「「「「「「「「おいゴルァマックイーンッ!てめぇ調子こいてんじゃねーぞコノヤロー(棒読み)」」」」」」」」」
「私の応援だけ雑すぎやしませんことっ!?」
会場の想いは満場一致だった。
「「「「「「「「「負けるなテイオー!!負けるなマックイーン!!」」」」」」」」」
心の内に潜めていた影が現れる。
「「「「「「「「「あのふざけた野郎の腑を引きずり出せぇ!!」」」」」」」」」
「これがぁ!!きゅうきょくぅううっ!!無敵のぉおおっ!!テイオーステップだああああ゛あ゛あ゛っ゛!!」
先頭を走るマックイーンまであと一歩。
「ぐぬぅうううううう…いっけえええええええっっ!!」
そうして追い付いた矢先、下からマグマが迫り上げて来たような熱がブチっと鳴った音と共にボクに襲いかかって来た。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!?あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛…」
ヒトを捨て、闘争に特化させても勝てない。これがボクの限界なのか。
「絶対はボクじゃ…無かったの………?」
神は、どこまでもボク達を愚弄する。
「マックイーンやった!マックイーンやった!史上初!春の天皇賞連覇!メジロマックイーン!どんなもんだい!メジロマックイーン!どんなもんだい!と言ったところ!!」
その瞬間、ボクの敗北は決定となった。
掲示板には1着に5番の文字、2着に14番の文字が浮かび上がる。
絶対が彼の所有物となったあの日、ボク達は互いに肩に手を乗せる形で支え合っていた。
「流石テイオーですわ。…私ももうバテバテで…正直、立っているのがやっとです。捻ったのか、少しだけ左足に違和感がありますし…」
「あー…ボクは当分の間はダメかも。当の本人が1番驚いているんだけど…あんな末脚を出しちゃったからね…多分軽くヒビは入ってるかな」
「お互い、してやられましたね」
「全くだよ…本当に最悪なレースだ」
「ふふふ…ふぅ」
「ははは…はぁ」
現実と虚構が入り混じり、絡み合うようにして溶け合った空想と浪漫。そして、友情。
こうして春の天皇賞は幕を閉じた。
ボクは、あれだけの末脚を出したにしては奇跡的に済んだとはいえ、軽度だが2度目の骨折が発覚したということを世間に告げた。
そしてマックイーンの陣営からは、詳細な報告はなされていないが疲労度の関係上…宝塚記念や夏、秋を見送りそのまま凱旋門賞へと直行すると報じられた。
「じゃあ、一先ずここでお別れだね」
「ええ…暫しの間、お別れですわね」
「にしても、良いなぁ…ボクにも招待状が届いたっていうのに」
「骨にヒビが入っていなければ笑って過ごせていましたが、敢えて言わせてもらいます…コホン。何寝ぼけたことを言っておりますの。そういう冗談は、彼だけにしてもらいたいものですわ」
「だろうね」
「ええ、全くです」
成田国際空港、千葉県成田市にある首都圏並びに日本の空の玄関口の最大手。彼女はここからシャルル・ド・ゴール空港まで向かうのだ。
「あいつをしばくには…直接フランスに行かなくてはならないわけだ」
「きっと喜んでいると思うよ。何たって会うのは2回目だもんね」
「普通逆ではありませんの?」
「まあ、一学生がどうこう出来るってことでもないから仕方がないでしょ」
「彼は彼で『多勢に無勢…正にMany a small bird drive away a hawkだな』とか言ってますわよ。…ああ、本当に気持ちが悪い。反吐が出ますわ」
ボクには、その時彼女の身に起きていた些細な変化に気付くことが出来なかった。
「NO MORE RULES.…これが、私だけの赤」
闇夜に包まれた光も入ってきそうにない部屋の中で、男は1人泣いている。
「今日の日はさようなら、また会う日まで」
繰り返す言葉は詠唱を唱えるように淡々としていて、そこに感情はない。何せ、トウカイテイオーの骨が折れるように仕組んだのは、紛れもない彼自身がそう選択したからなのだ。史実とは違う結末にすべくなるべくしてなった運命は、本当に幸福へと導いてくれるものとなったのだろうか…彼は問いかけ、疑い続ける。
まるで、かつてあった彼女達への愛はかろうじて残されてはいるが、その内の何割かはハリボテが如く粉々に砕け散っているようである。
彼が望んだウマ娘が居る世界は、本来であればこうではなかった。
だが…森を出るには、これしか方法は無かったのだ。
「ウマ娘がもう、苦しまなくて良いようにする…だからっ!!」
神こそ愛の媒介なり。愛に懼れなし。全主愛は懼れを除く。懼れには苦難あればなり。懼るるものは、愛いまだ全からず。天の国をつくりしは己れ自分身をさげすむほどすでに神を愛する愛なり。
「私の怒りの火だ!!神罰を喰らうが良い!!」
そう言い残した男は銃を手に持つと、それを自身の戒めと言わんばかりに口へと向け、何度も発砲する。何度も、何度も…贖罪の意味を込めて撃ち続ける。
『無駄よ、お馬鹿さん』
こだまする三女神の声。カラカラと落ちる薬莢。充満する火薬の匂い。貫通した弾の衝撃による血飛沫は一瞬にして消え、使徒のように見る見る再生されていく。
『最後の神は人と同じ姿、あなたも愛とともに私達を受け入れるだけ。さあこちらへ…』
人の身でありながらこの世の理を超えた情報を自らの身体に書き加えられ神となった彼に、最早障壁はない。全ウマ娘との契約、即ち覚醒を経て、来るものを全て受け入れるだけとなった存在は、人類という名の種の器を容易に超えていた。彼はもう、彼女達が良いと許すその時まで、死ぬに死ねない『神から遣わされた者』へと至ったのだ。
『三女神の叡智をここに』
『繋がれた歴史に宿る想いを』
『頂点へと翔けるお前たちへ託そう』
遂に彼女達の願いが始まる。
『どぼめじろうを本来の姿に。我等人類に福音をもたらす真の姿に。等しき死と祈りをもって、人々を真の姿に』
『それは魂の安らぎでもある』
『我等が子孫であるウマ娘は、皆、この時のために』
死海文書外典は掟の書へと行を移した。契約の時は近い。
────10月4日 日曜日 ロンシャンレース場 芝2400メートル 雨天 重バ場
THE END OF UMAMUSUME
ONE MORE FINAL : I need you.
赤い芝。赫い大地。常闇の夜空に浮かぶ星々、月明かりに照らされる白いトロフィー。全てが破壊された神聖な場の周囲に、人やウマ娘の姿は見られない。輝かしく聳えていたエッフェル塔は地表へと崩れ、下半分だけの状態のみかろうじて形状を保っている。
どぼめじろうの原案を出す俺。
「こんなんでOKが出ると思った?」
「うわぁ出たよ(はい…)」
「まずウマ娘の世界観に合わせて顔面偏差値は高くしないとダメだ!それにこんな男を少女達が好きになると思いますか?こんなどぼめじろうの人参、僕舐めないよ!」
「はぁ…」
「こんな普通っぽい感じじゃ、ウマ娘どころかヒトミミ族に即食われてしまうに違いないんだ!もっと近付いてはいけない純粋で綺麗だけど全身が毒物で構成されている、所謂うまぴょいな感じにしないと(絶叫)」