あべこべ×供給中毒(ウマ娘)   作:2Nok_969633

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メジロマッQueen「I was born to love you‼︎」←このネタのここすき!

皆はどのQueenが好き?





ウマ娘あべこべダービー:破/ 0.2:ybreDEMUSUMAMU

 

 

 

『君にも見える ウルトラノホシ

遠く離れて 地球にひとり

ウマ娘を守りに 使命をかけて

【火のウマ】見れば あとわずか

とどろく叫びを 耳にして

帰ってきたぞ 帰ってきたぞ

どぼめ〜じ〜ろ〜(ハモリ)』

 

 

「ウルトラ」とは、英語において「過度の」「極度の」「超」などの意味を表す接頭語を指す。英語での発音は「アルトラ」。語源はラテン語のウルトラー。「アルティマ」、「ウルティマ」も同じ語源である。

かつ、ウルトラと言えば日本ではウルトラマンが代表例だろう。無論、主題歌の人も例に漏れずウルトラ級の存在であることは皆もご存知の通りである。あのファンファーレは、いつ聞いても良いものだ。

 

 

話は逸れるが…春の天皇賞が終わった後、この世界でもウルトラQと称されるべき事案が発生した。これがウル・トラウマ…いや、本当の意味でのシン・シンデレラグレイということなのだろうか、疑問は尽きないでいる。因みに、タケシバオーやオグリキャップ記念が創設されることとなった所謂怪物と呼ばれる者達、実在するultraとは何にも関係がないので、この際彼女達は置いておくとする。

 

 

では…一連の流れを、順を追ってテロップ口調のように説明して行こう。

 

 

・どぼめじろう、メジロマックイーンの勝利を見届けた後、久しぶりに悪夢を見たとツイートし、その内容を映像作品にして投稿‼︎多くの読者から賛否両論のコメントを受ける。カミノクレッセ、ウマッターにて猛烈に批判‼︎メジロマックイーン、どぼめじろうをまたまたまたまたブロック‼︎本人曰く「偶にはこういう創作も悪くないかな」と述べており、反省するつもりがない模様。恐らくデヴィッド・ウォーク・グリフィス賞を貰えなかったことに対する腹いせも含まれている、と一部の界隈の中では推察されており、國民の創生がネタにされた。翌日、日本でロサンゼルス暴動と似た騒動が発生。想定をはるかに超える甚大な被害。自衛隊法78条発令。自衛隊、総力戦でついに鎮圧。

 

・再びどぼめじろう、「今、忘れられているとても大切なものがここにある」「家族愛」とツイートし、マンモスフラワーと称した隠語のイラストを投稿。多くの女性が二酸化炭素を排出したのち、インターネットにて有名な火消し隊が数日にかけて削除に取り掛かり、駆除に成功。後に「極彩色の大決戦」と呼ばれる。当本人は、「外出許可申請が降りなくてむしゃくしゃしてやった。俺は悪くない、社会が悪い」と供述しており、反省するつもりがない模様。世間では「モスラと勘違いした破壊神」「人間が生み出した恐怖の象徴」と述べられていた他、「まあただよ」といった東宝映画の題名をパロディとしたミームが発生した。

 

・どぼめじろう、パリオリンピックのOPを『Gojira』も含めて1人で再現。全世界氷河期突入‼︎未曾有の事態。国際オリンピック委員会大パニック‼︎パリオリンピックの評価が史上最低まで落ちる。ウマウマ動画、アクセス集中によるサーバー落ちにてインターネットが麻痺‼︎フランス、モンジューとトレヴ、ダンシングブレーヴを決め手として抜擢。インターネットによる通信でのやり取りを実施し、リモートでの対話による説得を試みる。3名の尊い犠牲を払い、これを鎮圧。

 

・超自然発生巨愛不明生物である男性『どぼめじろう(S-class Species)』に対し、一連の現象も含めて災いをもたらす獣、略して禍威獣(かいじゅう)へ改名しようとする運動が勃発する。

 

・「I thought what I’d do was, I’d pretend I was one of those deaf-mutes or should I ?」と声明を発表した、どぼめじろうを狙う反URA組織「黄金旅程団」が設立される。どぼめじろう、笑い男のマークでネタ化し応戦。後日、ジェンティルドンナが凱旋門賞の視察に訪れた際、彼女等と接触。銀髪の1人がジェンティルドンナに無作為に絡み、挙げ句の果てにタックルを繰り出して来たので、必殺マジシリーズ『マジ殴り』を繰り出すも、その衝撃によりエッフェル塔の半分が文字通り消滅。どぼめじろう、ジェンティルドンナに対する処置として男性保護法を活用し、無罪と主張。挙げ句の果てに、感激のあまり全額補償を謳いフランスに全財産を寄付しようとするも、日本政府がこれに反対し対応に当たる。ジェンティルドンナ、どぼめじろうから某ジャンプアニメのオマージュファンアート、クイーンパンチを受け取った後、求婚へと迫る。どぼめじろうは真剣に悩むも「なんだろう。。。あの、ジェンティルドンナのお母様ってペイン六道なんですよ。つまるところ、神の許可が必要なんですよね」と謎ツイートを残し、母君を困惑させる。翌日、ライスシャワーが「所詮は私に動かされているだけのコマに過ぎないんだよ。痛みを知れ…お兄さ間ァ…(フルフルニィ)」というツイートと共に黒幕であるうちはマダラのコスプレ写真をネット上に投稿し、どぼめじろう見事に撃沈。尚、黄金旅程団は消息不明。ステルス機能を所持しているかの如く姿をくらまし消えた模様。一連の流れを広域重要810号事件として登録される。

 

・政府、防災庁を設立。同時にどぼめじろう対策本部改め、どぼめじろう対策復興本部を設立。防災庁内にどぼめじろう特設対策室、通称『ウ特対』を設置。

 

・国連、巨愛不明生物特設災害対策本部、通称D対策センターを設立。

 

・どぼめじろう、うちはマダラのコスプレをしたライスシャワーに対して、おかゆライスを投稿。両者のやり取りに賞賛の声が上がる。

 

・どぼめじろう、ジェンティルドンナのマジ反復横跳び、シルバーズ・レイリーの弾丸飛ばしや矢武鮫、竜巻旋風脚といった一般人向けツイートの投稿に対し、「もうこれで終わってもいい…だから、ありったけを」や「おっぱいが重力に従っている様は非常に魅力的である。きっとアイザック・乳トンも、木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を発見したのではなく、女の子のおっぱいが重力に忠実なさまを見て万有引力を思いついたのではないか」といった乳トン先生が提唱したとされている禁断の果実…所謂万乳引力なる類の諸説を事細かく述べる。加えて「全部…全部、出す…」等々の発言を意味深気な内容も踏まえて引用RT。ウ特対が生物兵器マークと共に注意喚起を促し、どぼめじろうのウマッターを凍結することに成功。

 

 

 

 

 

 

 

 

────そして、現在。

 

 

 

 

 

 

 

 

「FR-ALERT発動。巨愛不明生物に対する警報を一斉に伝達!」

「緊急状態法、それらに関わる男性保護法による第一次情報の通知及び送信を完了しました!」

「この信号は止まっています!直ちに降車して警察官の指示に従って行動してください!地区全域に避難指示が発令されました!対象者でない住民の方は直ちに避難してください!」

「こちらは、巨愛不明生物特設災害対策チームです!ただいま政府により巨愛不明生物出現による緊急避難警報が発令されました!」

「該当地区以外の住民は屋内待機です!許可のない外出は法律で禁じられています!」

「急いで!急いで!立ち止まらないでください!!我々が安全な場所へ誘導します!!急いでくださいっ!!」

「怖がらないでください!皆さんの自衛隊です!どぼめじろうの警護にやって参りましたっ!!」

「目標以前沈黙。到着予想時刻まで、後30分」

「DGSI及びCRSより連絡。第1指定区域内は警備完了との連絡有り」

「C01、こちらCP、送れ」

「CP、C01、送れ」

「観察可能領域にまで前進、他部隊は別命あるまで待機。送れ」

「C01、了解」

「…うぁ!あれはやばいっ!!」

「報告と形状が違います!!」

「美しすぎる…あれは危険です!!」

「私には黒い天使にしか見えませんっ!!」

「あれがどぼめじろう…正に悪魔か!?」

「CP、C01、目標が報告と違う。繰り返す、目標が報告と違う!」

「C01、CP、警護作戦は続行。そのまま待機、指示を待て!」

「射撃陣地に進入完了」

「特科大隊、射撃準備完了」

「目標接近。到着予想時刻まであと29分」

「第1から第4対戦ヘリ小隊、間もなく現着」

「C01、こちらCP、送れ」

「CP、C01、送れ」

「C01、CP、P01はエトワール凱旋門上空、OP1にて待機。P02から04はブローニュの森内部レース場後方、ホールディングエリア2にて待機、送れ」

「CP、C01、OP1進入。目標との距離、2200、送れ」

「了解。待機維持せよ、送れ」

「対戦ヘリ小隊による偵察、準備完了」

「全該当地区の安全確認、完了しました」

「ホ、ホントにここに彼が来るんですよね」

「緊張しなくて大丈夫よ」

「Let's take it easy‼︎」

「Oui, oui, nous devons simplement le faire comme nous avons été formés à le faire‼︎」

「おい、景気付けにmusicでも流しとけ」

「お前ら、長いこと訓練した甲斐があったな!!」

「芝生はあまり荒らすなよ!!」

 

 

パリロンシャンレース場及びURAは、ここ数ヶ月忙しなく動いている。本来行われたであろうレースの時間の調整も含めれば、何倍以上もの働きだろう。今日は一段と気合いが入っているようで、見るからに顔つきが違っていた。ガラガラと唸る蛇、龍の大群と言い表しても不思議でない程の隊列。現代兵器の並がロンシャンへと押し寄せている。こんな光景は生まれて初めてのもの…いや、生涯に一度あるかないかのネタと言っても過言ではない。ある意味では戦車競走だ。

 

 

「シン・ゴジラの撮影か何かかな?」

「いや、あれはCGだし…」

「じゃあクレヨンしんちゃん?」

「ガルパンはいいゾ…でもないねぇ」

「周り回って野球で有名な松井選手でも来る…とか?」

「そしたらマックイーンが泣いて喜ぶだろうから、そっちの方が良かったかな」

「一先ず開催は出来そうだな。いやぁ、よかったよかった」

「にしても何だかなぁ…。アイツ1人の為に金が消えていくってのが、どうにも納得が行かないんだよな」

「んー…誠に遺憾ですね。残念です」

「全くだ。税金の無駄遣いにも程がある」

「ある意味では−1.0…無から負へってのは合っているけどさぁ。…これは皮肉と称していいものか?」

「電力消費とか色々とエグいんだよなぁ」

「全世界同時中継とか思い切ったことやるよね」

「まあ、世界が『私だけのモナリザ』を見つけてしまったからな。無理もない…」

「そんなにどぼめじろうが好きになったのか…女性達よ」

「モナリザ、あんなに凶器みたいな代物じゃないよ」

「どちらかと言えば最強の拒絶タイプでしょ?」

「確かに…銃の女神の弾丸も彼なら無効化しそうだよね」

「アイツそんなATフィールド硬いかぁ?」

「だって、ほら…あそこ。アレを見てもそう言える?」

「…うわぁ。アレは酷い」

 

 

『これから30分、あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間の中に入って行くのです』…というようなナレーションがありそうな雰囲気だ。

掲示板に映し出された映像には、忠告を守らずどぼめじろうに近付こうとしている女性の人達が居る。

なんてことだ…ボク達や軍事に携わっている人達はまだ耐性がある。長年の訓練や事情を知っていれば、まだ理性が勝ってしまうからだ。

だが、一般人は違う。

彼は、あの騒動があったとはいえ、知名度的にはあくまでウマ娘界隈では有名なだけだった。実際のところ、一般人には表層的にしか知られていないのであって、その実彼がどのような人物でどのような思考回路を有しているのか、それらを界隈の外側に居る人達はボク達ほど把握はしていない。

見方を変えれば、『福音』と言い表しても良いのかもしれないそれは、その分だけ人類を脅かす『厄災』でもあったのだ。

…当事者を含め、ボク達はあの怪物を軽視していた。政治も、経済も、軍事も、たかが男1人だとしか考えていなかった。いや…もしかしたら、ボク達は期待しすぎていたのかもしれない。ボク達にとって、都合の良い天からの恵みが降り注いできたものだと…そう、甘く見ていたのだろう。そうしたものの積み重ねが、現状を物語っていると言っても過言ではないのである。何故なら、彼はこの世界での普通の男性よりも100倍性質が悪いことを平気で行動に移すことが可能である唯一無二の存在だからだ。

 

 

奴にとっての普通と、数多の人間にとっての普通は基準がてんで違っている。

 

 

「Bonjour‼︎」

「「「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」」」

 

 

急いで学んだであろうカタコトな日本語が街中にこだまする。それらが連鎖反応を起こし、まるでドミノのようにバタバタと倒れていく。発狂しながら勢いのままにTの文字が浮かび上がるそれは、両手を広げながら満足げに天国へと逝ったようだ。中には徘徊じみた行動をする者も居る。これぞTT姉妹といったところか…やかましいわ。「さあ、日常にあるTを探してみよう!」みたいなノリで十字架を量産するんじゃない。

 

 

「あーあ…壊れちゃった」

「なんて事だ、もう助からないゾ」

「心タンポナーデに匹敵するレベルの衝撃波だろうな…南無」

「CPA起こさないだけまだマシですわ」

「ノルアドレナリンが必要になるのかならないのか、時折よくわからなくなることが多くなりましたねぇ」

「南無…また1人プシコへと至ったか」

「罪人よ…安らかに眠れ」

「医療現場が火の海と化すぞ…」

「ただでさえ必要事項が多い現場だってのに…勘弁してクレメンス」

「防衛医大出身のワイ、発狂しそう」

「暴威が発狂しそうとかこの世の終わりか何かだろ」

「鉄緑会に今すぐにでも逃げたい」

「河合塾に居た頃は、まさかこんなことになるとは思っても見なかったなぁ」

「これがインフィニティのなり損ない達か…」

 

 

ブラックボイスを放ったかの如くスマホを弄る彼は、無邪気にもただの笑顔と手を一振りしただけで人を死に追いやったのだ。文字通り、死地という名の沼へと呼び寄せたのである。

 

 

「You still have lots more to work on…」

「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!」

「Girl!What a shame!Nobody else…Is gonna get to see your die!」

「It serves you right…」

「YOU IDIOT!」

「Fuck you‼︎」

 

 

その様子を見ていたウマ娘は随分と楽観的な様子だった。

今更、彼が何かをしたところで動揺するようでは二流だからだ。

各国の名高いウマ娘達も、どぼめじろうはそのような無粋な輩に染まるヤワな奴ではないと知っているのだろう。だからこそ、こうしてネタとして笑っていられるというものだ。

 

 

「何はともあれ、ご苦労様なこった…」

「私達の方が上位互換だった筈なんですけどね」

「サンデー…それにゴアも」

「こうなるのは目に見えていたってのに、どいつもこいつもこの有り様とはな」

「さっさとアメリカに送っとけってぼやいていましたからね」

「出てくる言葉が全部物騒なんだけど!?」

「1100万ドル出すって言ったんだけどな…見事に断られちまった」

「うえっ!?その話本当!?…そんな話、こっちには届いてないんだけど?」

「本当ですよ」

「ぴぇっ!?」

「そりゃそうだわ。極秘で大統領まで駆けつけたんだぞ?まあ…その反応から察するに、負けても日本は日本。お得意の箝口令は今も健在ってわけだ。ちっとは骨があったってものよ」

「いやはや…大変な仕事でしたね、あれは」

「えぇ…ただの学生が何をどうしたらそんなことが出来るのさ。自分で言うのもあれだけど、ボクもそれなりのお嬢様なんだよ?そんなこと、会長でも出来ないってのに」

「色々と手を回しましたからね。それにそこはアメリカなので…アメリカンドリームの特権ですよ」

「…ふっ。あんな奴だが、所詮腐っても男は男。貴重な資源の1つでもあると同時に、外交にとってもうってつけのカードでもある。おまけに、奴は女性に対して嫌悪感を示さないどころか、力のあるウマ娘にも何なく平等に接することが出来る希少価値のある珍種だ。即ち、切り札という名の最強の手札たり得るんだ。…そう簡単に手放せる訳がないってことは、織り込み済みだったんだけどなぁ。…ハァ」

「とはいえ、彼がコントロール不可能な存在だとわかった途端に各国総出で手を引きましたけどね」

「アレには思わず笑っちまったけどな。アイツ…男なのに本当にモテてないんだな…って心の底から思ったよ。まっ、そんなところが愛い奴なんだけれども」

「そもそもこのプロジェクトL'Arcなる取り組みも、今となっては単なる建前に過ぎませんからね。どの道、彼は日本に送還されるでしょうし」

「…それって、まさかないとは思うけど八百長で?」

「んな訳ねえだろ。今日走るウマ娘は全員全力で挑むわボケェ。…EUが全員揃ってワンワンと泣きついて来たんだとよ」

「えぇ…そんなバカな…」

「とあるトレーナーのように「直接帰れ!」とは、言われてはいないようですけれど…。とはいえ、余程のことがない限りは…最終的に選択する権利が与えられているのは彼自身にありますから、どうなるかは神のみぞ知る…と言ったところでしょうか。日本はそうは言っていられないんでしょうけど」

「まあ…うん。薄々そんな気はしてた。自衛隊といい、手際の良さといい…不自然だったから」

「この試合が終われば、各国に居るウマ娘が大量に日本に押し寄せて来ることになるでしょうね。ジャパンカップ…例年とは桁違いの質になるやもしれませんよ?」

「『ココココ。これだから乱世は面白い』って言った方が良い?」

「流石テイオー…余裕だな」

「この顔を見てそう言えるの、君達だけだよ」

「ンォフゥ…誰も諦めたとは言ってませんよォ。策がなければ力技です。この死地に力ずくで活路をこじあけます!!皆の背には常にこの帝王がついていますよ!!」

「ゴア…そこまで細かすぎて伝わらないモノマネはしなくていいから。変にあの唇まで再現しなくて良いから。単にムカつくだけだから」

「降りそうで降らないこの曇天。嫌いじゃありませんねェ…」

「おもっくそ雨降ってるけどな」

「しとしとと雨粒が落ちているけどね」

「果てなき婦共の命がけの戦い。ンフフフフ…全く、これだから乱世は面白い」

「ダメだこりゃ。スイッチ入っちゃったよ」

「ったく、やれやれだぜ」

 

 

ボク達は慣れたようにやれやれといったポーズを取る。

 

 

話題は残念なことこの上ないが、ボク等は何やかんやでいつも通りなやり取りをしていた。

 

 

周りを見渡していても、特別変わったことはない。変わったことはあの異物のみ。

 

 

ここに居る殆どのウマ娘が総じて思っていた感想はただ1つ。

 

 

「(アイツ…外見だけは神懸かっているからなぁ)」

 

 

掲示板に映る光を背にして、呆れたように首を振っていた。

 

 

「因みに話は変わるけどさぁ。二人は来日予定とかってあるの?前までよく来てたじゃん」

「当面の間は考えてねぇな。…あぁ、そういえばこの前北海道に良い土地があったから奮発して買ったわ。趣味で学校でも作ろうかな、と。Ms.メイとMs.やよいを脅し…もとい、協力させて」

「…今、脅すって言ったよね」

「私は、彼の作品を貯蔵する為の美術館を建設中ですので、この後すぐに日本に行けるかどうかは…」

「…は?」

「建造が上手く行った暁には、当面の日程を文化庁の方とお話しする予定ですね。内容はどうであれ、総理大臣の方も是非拝見したいとの旨がこちらに届いておりますので」

「ファッ!?」

 

 

訂正。やっぱりコイツらも頭がやられていたし、既にイカれてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうした状況下の中、肝心のどぼめじろうは…というと、

 

 

「どんな状況でもウマ娘を愛せよ。1日に8時間は愛でるんだ。

レジェンド級ウマ娘が好き?結構。1日に8時間は愛でるんだ。

ミック・トムソンも言ってただろ?1日に8時間は愛でろって。

ファンになれ…さらにハマれるぞ?1日に8時間は愛でるんだ。

そこに愛はあるんか?何でやねん。1日に8時間は愛でるんだ。

楽して君の愛バになれると思うな。1日に8時間は愛でるんだ。

死ぬ気で愛せよ?死なないからな。1日に8時間は愛でるんだ」

「それらを形にすれば良い…つまるところ描けば良いんですよ。絵画も…小説でもそう。何でもいいんだ。書いて描けば何とかなる。下手くそでも何とかなる。仮にダメだったとしても、マヤノの「下っっっっっっ手!!」からしか得られない栄養素もあるんだ。要するに…愛は、これ」

「さて、今日のウマ娘は…ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」

「メジロマックイーン…パクパクウマモン。絶対の 強さは 時に 人を 退屈にさせる。素麺126人前を 2週間で 食べ切った記録が トレーナー室の 机の上から3番目の引き出しの奥底に 眠っている」

「ではでは〜、今日の凱旋門賞エクストラマッチにおけるバ体チェックとイキましょうかねぇ。…んぉっ!?マックちゃん!!一年ぶり15回目のナイスバディです!!」

「ってな訳で…メジロ、行きまーす!!」

「焦るんじゃない。俺はウマ娘が好きなだけなんだ」

「早くレースが見れないかなぁ…レースと言ったらウマ娘だろうが」

「うわあ…なんだか凄いことになっちゃったぞぉ…!」

「まるで俺の体は原子炉、胃は核分裂を起こしているようだ」

「うおォン!俺はまるで人間原子力発電所だ!」

 

 

うん…オニクダイスキマンにも負けないくらい、相変わらず図太いね。彼は彼で平常運転らしい。良かった、こうでなくては…動揺の色も無し。こういうのでいいんだよ、こういうので。

 

既にボク等は悟っている。連載が続いている『はじめの一歩』だって、初めは枯葉を掴むところからスタートした筈なのに、気が付けば141巻だ。もうはじめでも何でもない…そのレベルである。乾いた笑いが起きていて、その実誰もそれらを疑わない。

 

例えるならば、鎖に繋がれた象のようだ。

 

誰も彼も、人の心象なんてわかるわけがないのだと。男と女がわかりあえるわけがないというのに、怪物と人間が心を寄り添える…なんてことは初めから用意されていないのだ。そんなものは映画や小説の、ごくごく一部だけの物語にすぎない。

 

何が多様性だ、何が愛だ。そんなものは幻想だ。

 

人は何故物語を描くのか。それは、この世に蔓延るあらゆる嘘を数多の詭弁を通して正当だと主張する為の自衛手段として活用するためだ。それこそが、人を人たらしめる根源なのだ。

 

何故神話が残っているのか、それはこうした理不尽やどうにも変えることが出来ないような苦悩というものを忘れない為の教訓であると考えている。自然は時に祟りを起こす。そして、それらに振り回されている時の人類は、本能的に興奮するように予め設計されているに等しい。戦いとは、神とは、絶望とは、即ち生き抜くための必須元素であり、ツールのようなものなのだろう。

 

『君達はどう生きるか』…。いや…敢えて述べるならば『生きて、抗え』と表すべき事態。我々はどう蹂躙されるべきなのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす…但し、俺たちを除いてな」

 

 

 

 

 

 

 

 

本来の凱旋門賞が終わり、異端のレースが始まるまで、あと10分と迫った頃…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちに待った時が来たのだ!多くの英霊が無駄死にでなかった事の証の為に…!再びウマ娘の理想を掲げる為に…!星の屑、成就の為に…!どぼめじろうこと!私が帰って来た!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ…遂にこの時が訪れてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ!!俺がどぼめじろうだ!!よろしくなぁ!!スボティカ!!凱旋門賞勝利おめでとう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

悪魔が来りて笛を吹く。スボティカの名が薄まらない彼なりの配慮は出来る癖して男性保護観察官などクソ喰らえの精神は、紛うことなきロックそのものだ。監督不行届もピッタリと言ったところだろう…良い加減にしてもらいたいものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「Oh…」

「ビューティフォー」

「グッナイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

地面が揺れているような感覚。ゴォッと今にもなりそうなほどにピリピリと震えた空気。覇王色の覇気でも放っているかのような威圧感を周囲に纏うそれは、キョロキョロと何かを探すかのようにして首を振り、そして我々を目に入れた瞬間、獲物を捉えるかの如く一目散に近寄ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいっす〜。へへっ…どもども、ご無沙汰しております〜。皆様、お元気そうで何よりです〜。良かったらこれお土産なんですけど…奈瀬トレーナー、お菓子食べます?」

「ビスコかな?とりあえず…あ、ありがとう」

「…ハッ!一瞬にして包囲網が崩されている…だと!?」

「神風の覚悟で行ったのに…何て速さだ!」

「これがアイヲサケブオトコ…いや、アラシヲヨブオトコの力か…!」

「眩しい…眩しすぎる…!」

「オーラが凄い…!」

「まなみ先輩のような良い匂いがする…」

「うわぁ、本物の男性だ。間近で見たのは初めてですよ〜」

「わ、わざわざお土産を…あ、ありがとうございます」

 

「つい先日買ったので、鮮度は抜群ですよ!お支払いはモズMayMayでよろしくお願いします」

「僕が言うのもなんだけど、それPayPayね」

「開幕からロケットスタート並に飛ばしてくるね…この人本当に男性なの?」

「一瞬にして我に帰った」

「ゲートの中では大人しかったりするのかな…音無さんなのかは知らないけど」

「いや、この人ゲートの中でも多分五月蝿い側ですね。っていうか…多分ですけど、ノアの方舟の中とかでも間違いなく騒ぐタイプですよ」

 

「確かに五月蝿い側ではあるかもしれませんが、そんな時は『うるせえよ』って返しますからご安心を。ささっ、どうぞどうぞ、皆様も遠慮しないでお召し上がりください!左からエビ・イカ・ホタテ・ズワイガニです。全部入りって最高ですよね!では…はいっアーン、ほいっアーン、そいっアーン、とりゃっアーンッ!いやぁ…、改めてにはなりますが、皆様にお会い出来て光栄でございます。スーツ姿もお美しい限りで…私、ウマソウルに似たナニかが燃え上がっちゃいそうです。感無量ってヤツですね。…やや?チームアスケラのトレーナーさんの服装は…もしかしなくてもジーパンですかね?」

「モグモグ…それは抽選会の時の話だから違うね」

「ボリクリ…噂通りちゃんとチェックしているんだ…」

「パクパク…ングッこの人、その内『絶対空くと思った』とかまでネタにしますよ」

「モグモグパクパク…ゴックン…。ウマイウマスギル」

 

「オシャレさんですもんね。その…ドラゴンのセンスとかも変わっていないようですし。今度リュックでも背負って渋谷に行きませんか?一緒に服とか買いたいなって思ってて…あ、やべ。今日初めてレース場で見ることになりましたってウマスタで告知しても良いですか?」

「告知が遅すぎる」

「初対面なのに滅茶苦茶いじってくるやん」

「エピファネイア並にパワーがあって心臓がキュッてなるんだけど」

「どちらかと言えば『ハイハイハイハイ…あっすみません!アァッー!』レベルゥ…ですかね」

龍王(ドラゴン)!?」

「カナロア…ステイ」

「そろそろ蓋させないと不味いんとちゃいます?」

「チョットヤバイヨネ」

 

「っと、そうだ。レースが終わったらどうです?一杯飲みにでも行きませんか?ビールとかトンコツラーメンとか…それとも焼肉とかにします?キャンプってのもありですよね。あっ…バーとかも悪くないですよね?締めはゆうチャーハンを是非ともいただきたいですし、それに合ったものが堪らんと思う訳ですよ。でも奈瀬トレーナーは抜きね。後でこっそり2人きりで行きたいからね」

「君、普通に行ける立場じゃないからね?そんなことをしたら、まず間違いなく私達がお縄になるよ?デアリングタイホされちゃうよ?それでも良いの?ごめんで済まないんだけど」

「私は許すよ。鬼の目にも涙がリアルに見れただけ良しとするかな」

「飲み会は別にいいとして、流石にその絶交エピソードはネタにしないでもらえますかね…」

「ってか、今更すぎるけどツッコミが追いつかない…!誰か!誰でもいいからタマモクロスか小宮山さんを呼んできてくれ!」

「手を出すに出せないこのモヤモヤは一体どうすれば…」

「謙ちゃんを呼べばいいんじゃない?」

「いやここはさわやかレースおばさんにかけた方が…」

「確かに彼女なら男に反応しないし、南関東のウマ娘を全員暗記していたしで、最適解ではあるんだけどさぁ…。あれはどうにも強がりな気がしなくもないし、流石に危険すぎるかなって」

 

「まっ、気にしない気にしない。流れるままに〜…ハイッ!ソイヤッ!ソイヤッ!ウマッ!ウマッ!ソイヤッ!ソイヤッ!ウマッ!ウマッ!ウマ憑依!ウマ憑依!うー☆ウマだっち!うー☆好きだっち!」

「ウン…やっぱり今からでも遅くないから接触禁止にした方がええんとちゃうん?」

「ときめきスクランブルでも流して遠くに追いやった方が、身の安全が保たれるんじゃないかな?」

「ユユシキジタイだ」

「エロイムエッサイム…」

「どうでも良いけど滑ってない?大丈夫?」

「ダイジョバナイ」

 

「リンダリンダ!へこんでもエエヤン!滑ってもエエヤン!エエヤンエエヤン!ヒューマンエエヤン!これこそ正しくFantastic!」

「…私の手が、私の手が震えている。Genius…!私は気付いてしまった。やはり芸術は爆発、The Rocksなのだと。彼の力は、現代科学の力では計り知ることなど到底出来ない程に凌駕する代物であった。生まれ変わったら、私はあなたのウマになりたい」

「先輩…そこら辺でストップです。せめて、黒の軍団で留めておきましょうよ」

「それでも憧れは止められないんだよ!」

「テイクオフ⭐︎する場所くらいはキチンと弁えてください!」

 

「まあまあ慌てなさんな…実際のところ喋りで滑るなら無問題ですから。あと滑ると言ったら…ハワイでスケートをするくらいですからねぇ」

「文乃さんのプライベートが最早無いも同然で笑えないんだけど…こんなんもうズルやん。義母呼びたい」

「こんなにも癖が強い人…正直に言ってウマ娘でも見たことがないんですけど。トレーニングすらまともに言うことを聞かないような子なんですけど」

「男性保護委員も匙を投げるって…そも保護される気すらないようなものだし…オデノカラダハボドボドダ!」

「指示も聞いてくれない子とかどうしたらいいんですか…」

「シップの方がまだマシやなって」

 

「いえいえ、ちゃんと指示は聞いて実行に移しますよ?ヤマトダマシイもちゃんと受け継がれていますし…試しにしてみますか?それともここでお召し上がりになります?俺のマグロもそろそろ食べ頃ですよ?…なんちゃって、冗談ですよ冗談。HAHAHA…真面目な話、チンポジとか直した方が話題性上がりますかね?いっそのこと調整ルームに行った方が良かった…とか?あっ!ミカッテヨンデイイですか?それともウマッターで生放送でもします?」

「やめなさい」

「この人無敵すぎる」

「別の意味で鼓動が激しくなってきた」

「リップサービスが過ぎる」

「こら!こらっ!ルメちゃん!」

「アウトー、どぼめじろうアウトー」

「坐禅組んで紛らわさなきゃ…煩悩退散!!心頭滅却!!冷静沈着!!人バ一体!!」

「ここは大井じゃないんですよ」

「初手も締めもアオハル爆発の如く破裂させて来るやん」

「疝痛並にお腹がイテイオー…」

「ブラックジョークがすぎるって」

「地雷すぎる」

「この前の騒動のオマージュが、まだエヴァで良かったよ」

「恐らく進撃の巨チンネタをやろうとしていたヤツだ。面構えが違う…」

「粋なパーティを自らが望むとか、あたおかやん…。こんなん逆レをしてくれって頼んでいるようなものやんか」

「やっぱりマグロを食ってるようなのはダメだな」

 

「あっそうそう。私にトレーナーとしての依頼を出したいって人向けにアプリを開発したんで、良かったらどうぞ!安心してください、審査は問題ありませんでしたよ!」

「お前勇気も玉もスゲェなってBritishジョークかましていい?もういいよね?許されるよね?」

「ってか、君は試験に落ちとる側やろがい」

「心の内ラチ沿いがパクパクしてきた」

「心臓もバクバクしてきた…心房細動起こりそう」

「何でこの界隈って尖っている人しか居ないの?」

 

「ところで文乃ちゃん、このレースって何mやっけ?」

「そういうボケはアンカツこと北原さんで間に合っているんで、もう大丈夫です」

「パトラッシュ、疲れたろう。私も疲れたんだ。なんだか、とても眠いんだ」

「さてはシロウトだな?」

「こんなにも自己紹介の必要性が感じられない人、初めて見たな」

「やるとしてもURAで100の質問の動画をupした方が遥かにマシなの、どうにかした方が良いと思いますけどね」

「これほどまでに強いのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

この絶妙なる半殺しはいつになったら止むのだろう。畜生にも限界ってものがあるだろうに…何その距離感は…。ってか、ある意味で凄いな。襲われる気配がまるで感じられない。ネットで威勢を発揮するならまだしも、外界に出れば普通は怯えるか女性側が暴走するのが常だというのに…不思議なこともあるものだと、ある種の感心を覚えていた…ちょうどその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャコンッ。……チリンチリンチリンチリン。

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?『ガシャコンッ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、今の音って…」

「あっ、トレーナーちゃん達やっと気が付いた!もうレース始まってるよ!!」

「「「「「「「「「嘘でしょ!?」」」」」」」」」

「嘘でしょ…。レースどころじゃなくなってる…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっとお嬢様方!?といった盛大なツッコミが、ある程度耐えていたウマ娘から上げられる。ま、まぁ…多少はね?婚期とか色々あるから仕方がないよね?のような、心の内に秘めていた痛ましい本音があちこちから震えた声で聞こえて来る。それはボク達も同じであることに変わりはない。…最悪、トレーニング禁止命令も下るかもしれないが、それはそれ、これはこれ…だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

多少のいざこざも発生はしているが、それよりもレースだ、レース。レースへと戻ろう。集中だ…集中しろ。目の前にあるものが大事なんだ。

さて、そんなこんなで走っているウマ娘を見る。其々の名前を振り返ると…フランケル、パントレセレブル、シーザスターズ、ジェネラス、シャーガー、セクレタリアト、ハービンジャー、デイラミ、ダンシングブレーヴ、モンジュー、セントジョバイト、スワーヴダンサー、バーイード、エルグランセニョール、ドバイミレニアム、サキー、エリシオ、アレッジド、トレヴ、そして我等が日本代表…メジロマックイーン、総勢20名だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

うん…。マックイーンには申し訳ないんだけど、やっぱりこの感想しか思い浮かばなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

流石に勝てる気がしない、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

失礼だとは思うが…勝ち方云々の問題以前に、最強という基準のベクトルがあまりにかけ離れているのだ。賛否両論の嵐が今日に至っても未だに止む気配を知らない程度には、性質が違うのである。それに伴った懐疑的な側面も解決していないまま挑んでいる始末でもある為、根本的な決着が付くことはない…とまで述べられている始末だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中で、ギラギラと目を輝かせている人がボソッとこんなことを呟いた。

 

 

「何度見ても、ウマ娘の走る姿は美しいな…。スゥゥ…良い匂いもする。にしても、夢の11レース海外verにしては、レベルが高すぎる気がするなぁ。一体誰がこんな名ウマ娘達をここに集結させたんだ…」

「いや、その名ウマ娘達を集めさせた張本人お前ェッ!!」

「…オボエテナーイ」

 

 

…目を逸らしながら大量の冷や汗をかく彼は、思い当たる節が多々ありそうな様子だった。加えてこの言い草だ。流石の男性と言えど、カチンと来てしまったのだろう。そも、ここに集いしは、各国代表を背負うような真の強者でもあるウマ娘であり、そしてそれら彼女達を献身となって支えているトレセン関係者である。そんじょそこらの肝っ玉とは訳が違うのだ。

 

 

「今から一言二言申し上げるがよろしいですか?」

「オレデヨケレバ」

「因みにですが、拒否権はありませんから覚悟しておいてください」

「ワラッテユルシテ」

「あ゛?」

「…シャイッ」

「ピエッ」

 

 

走り続ける彼女達と同様に、この地…否、この場にて走りたかった彼女達もまた止まることは許されなかった。

 

 

「『絶対の強さは時に人を退屈させるって言うからには、最強を証明しないといけないんじゃないの?』だの」

「『ごめん、やっぱり俺はこの娘達がただただ幸せに走っているのが見たいだけなんだ…』だの『ヨキニハカラエミナノシュー』だの」

「『頑張れ頑張れできるできる絶対出来る頑張れもっとやれるって!やれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだ!そこで諦めんな絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張る頑張る!北京だって頑張ってるんだから!』だの言っていたのは、他でもない…君じゃないか」

「それで急遽、元々の凱旋門賞に参戦予定だったメジロマックイーンのレースを変更し、かつそれとは別に『夢のvs』改めEX仕様の如く、最強に相応しいレートを持つウマ娘に声をかけなければならなくなったこと、忘れたとは言わせませんよ?」

「ロンジンワールドベストレースウマ娘ランキング他含め、多種多様にあるレートに乗った娘達も乗らなかった娘達もどんな想いで居るとお思いですか?血涙を流すどころの騒ぎじゃ収まらなかったんですからね!?」

「単純な距離の問題もありますし!適性の課題だってどうにもならないし!案の定予選大会も滅茶苦茶になりましたし!EUも後先考えないでなりふり構わず制裁を下すし!もう色々と大変だったんですよ!ウマ娘の皆さんのご指摘を真摯に受け止めて、職員という大きな、ク、カテゴリーに比べたらア、政務調査費、セィッイッム活動費の、報告ノォォー、ウェエ、折り合いをつけるっていうー、ことで、もう一生懸命ほんとに、どぼめじろう問題、男せえェエッハアアアァアーー!!男性の問題はー!我が国のみウワッハッハーーン!!我が国のッハアーーーー!我が国ノミナラズ!各国みんなの、世界中の問題じゃないですか!!そういう問題ッヒョオッホーーー!!解決ジダイガダメニ!私ハネェ!ブフッフンハアァア!!誰がね゛え!誰が誰に投票ジデモ…オンナジヤ、オンナジヤ思っでえ!ウーハッフッハーン!!ッウーン!ずっと対策してきたんですわ!立候補もしたんですわ!せやけど!変わらへんからーそれやったらワダヂが!何とかして!文字通り!アハハーンッ!命がけでイェーヒッフア゛ーー!!!……ッウ、ック。この世の中を!ウグッブーン!!ゴノ、ゴノ世のブッヒィフエエエーーーーンン!!ヒィェーーッフウンン!!ウゥ……ウゥ……。ア゛ーーーーーア゛ッア゛ーー!!!!ゴノ!世の!中ガッハッハアン!! ア゛ーー世の中を!ゥ変エダイ!その一心でええ!!ィヒーフーッハゥ」

「カナダやブラジル、香港、アラブ、オーストラリア、ニュージーランドetcetc…世界中に居るウマ娘がどんな気持ちでここに参戦したかったか…あなたにはわからないでしょうね!」

「おかげで来場者数は今までで1番ですけどね!!ええ!!全くもってどうなっているんだか!!」

「フランスで言うのも何ですけど…アナター、どうしてソンナ、言うこと聞かないんデスカー?」

「…ヒュッピュー(口笛)」

「はいそこ、ルメちゃんの真似しない」

 

 

しかし、ここで新たな爆弾が投下される。

 

 

「でも、オタクちゃん達…こういうバカが考えた最強決定戦、好きなんでしょ?見てみたいんでしょ?」

「それはそうだネ、オオキニッ!でもサイキョーなら、イクイノックスやアーモンドアイが妥当デショ」

「そこはサトノダイヤモンドって言っといた方が…その、ね?………ここはお嬢さんで」

「いや、私はここにエルコンドルパサーが居るべきだと思う。ロンシャンであればナカヤマフェスタも捨てがたいが…」

「ゆうちゃんもハープスターって言いなよ。うーん…だったら私はジャスタウェイか、まだ小学生だけど有望なコントレイルを推すか…いや、シルバーステート…」

「こういう時のスティルインラブは世界一ですよ」

「シンボリルドルフ」

「ネオユニヴァースは至高…ドゥラメンテは強いヨ」

「ディープインパクト…サイレンススズカ…キタサンブラック…いや、クリークか…」

「いやいや、何を言っているんですか!やはりここはオルフェーヴルでしょ!」

「オルフェはドリジャと一緒にアメチャンでも舐めてなよ…その隙にナリタブライアンが差し切るからな」

「はあ?ここまで来ておいてゴルシちゃんの名が上がらないとか、目ん玉潰されているんじゃねえかぁ?」

「何をほざいてやがりますの…最強はこの私、ジェンティルドンナですわ!」

「騎士たちよ!そして、黄金を打ち砕かんとする若きウェルテルよ!誇りたまえ!───ボクの前に敗れ、覇道の軌跡の1ページになることを…!ハーッハッハッハ!ハーッハッハッハ!」

「覇王よ、このサドラーズウェルズを前にしてそのような妄言を垂れ流すのか?その不敬…万死に値する!」

「この芝と距離でも強さを誇るフランケルが最強なんだってこと、はっきりわかんだね」

「セクレタリアトを忘れてもらっちゃ困るな」

「どぼめじろうの影響で海外適性やら距離適性やらを上げて漸く走れることが出来た凡夫(笑)が最強?ハッ笑わせないでくださいよ…トキノミノルが最強なんです」

「サイテーションの方が強いだろ」

「いーや、ケルソの方が強いね!」

「まるで知性を感じられませんなぁ…最強と言ったらカウントフリートでしょうが!!」

「ミルリーフこそ史上最強に相応しいのだよ」

「絶対王者ロードカナロアの名が出ないとは…」

「バクシーン!!」

「いやいや、アバーナントでしょ」

「こういう時こそテューダーミンストレルをだな…」

「ドクターフェイガーのスピードの速さは世界で随一のものだぞ」

「カルストンライトオ!!最速、即ち最強です」

「ネイティヴダンサーは可愛さも含めて最強…」

「カレンチャンだって負けてないよ?」

「はいはい、タイトルホルダータイトルホルダー」

「フォアゴーはいいぞ」

「ウマ娘に慕われているって意味での強さならガリレオが1番だよね」

「アーバンシー脅威のAライン舐め舐め小娘…」

「シアトルスルーに決まってんだろ」

「スペクタキュラービッドをお忘れなく」

「シンザンだろJK」

「トムフールを舐めてもらっちゃ困る」

「フライトライン、通常の3倍のスピードだぁ!!」

「エネイブルを知らんとか怨☆怨☆」

「デインドリームを出してない奴はコ☆ロ☆ス」

「オーストラリア育ちの褐色肌は目に刺さるニャン!おっぱいぷる〜んぷるん!!…ブラックキャビアは完璧なウマ娘だぞ」

「天地神明、森羅万象に誓っても言える!!セントライトのボディはマジでスケベェ」

「んんwwwアメリカンファラオが1番ですぞwww」

「アロゲートがサイツヨ、以上閉廷」

「カリフォルニアクロームこそ選ばれるべきだろ」

「シーバードを出していないとか、ちょっと意味がわからないです」

「ブリガディアジェラードを知らない…だ…と……!?くっ…早とちりをしてしまったようでござるな…失敬!ドヒューン」

「それでも最強はウィンクスや」

「リボーはこの世で最も強い…」

「ウインディシティ、私の好きなウマ娘です」

「ヴェイグリーノーブル、醤油付きで」

「ブリガディアジェラード、わさび抜きで」

「アファームド、ウォーアドミラル、バックパサー、コリン、ダマスカス、ラウンドテーブル、シガー、ボールドルーラー、スワップス、エクイポイズ、ファーラップ、ジョンヘンリー、ナシュア、シービスケット、ワーラウェイ、アリダー、ギャラントフォックス、エクスターミネーター、サイゾンビー、スキップアウェイ…その他諸々をアメリカ(BC)で倒してきた俺様ことサンデーサイレンスが目に入らぬか?」

「私に負けたくせに…と、ゴアはか細く囁いた」

「マンノウォーに蹴散らされた雑魚が何か言ってら」

 

 

 

 

 

 

 

 

暫し沈黙。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「何だテメェやんのか!?」」」」」」」」」

 

 

あーあ…もう、収拾がつかない。挙げ句の果てには、最強議論にまで発展してしまった。これだからオタクは面倒なのだ。本当に勘弁してほしいのだ。

 

 

「ちょっと!トレーナーもボク達が最強だって言うべきなんじゃないの!?」

「テイオーちゃん!?もぉー、どうすれば良いのぉ〜〜〜!?」

 

 

恐山に引きこもった方がまだマシなのかもしれないのかなぁ、いや…それよりも銭湯の水風呂で修行をした方が…等ブツブツ呟いているマヤノを他所に、話はどんどんエスカレートしていく。それを黙って見ているほど、僕のプライドは安くはない。

ごめんねマヤノ、ちょっと黙ってて。

 

 

「トレーナー聞いてるのっ!?…トレーナー?」

「って、トレーナーちゃん…どうしたの?」

 

 

ふと、彼女の方を見れば「おかしい…」と顎に手を当てて考えているトレーナーが居た。普段がはっちゃけているだけに、いつになく真剣に見えるその姿は、本業…つまり本来の姿勢を思い出させる。

 

 

「メジロマックイーンの様子が変なんだ」

 

 

その一言で我へと帰り、前線へと赴く。確かによく観察して見ると、ごく僅かだが足を庇うように走っている姿が確認出来た。

 

 

そうして頭に過ったことがある。そう…そこに居る問題児が載せた作品の数々だ。

 

 

「まさか!どぼめじろうがこの前出していた作品のように繋靭帯炎(・・・・)が発症したんじゃ…!!」

 

 

騒つく会場…慌てふためく後輩達、額から汗が流れる先輩達。そして生唾を飲むトレーナー達が視線を向ける。数々の背に現れた不安は取り払うことすら出来ないでいる。そんな中、天才が冷静に診断を下した。

 

 

「いや、あれはヒールが外れただけだね…骨折とかそういう類のものでもないと思う」

「「「何だよ紛らわしい!!」」」

「主治医です…ありとあらゆる可能性を考慮し、万全を期して準備をしました。怪我という最悪の事態は万が一…いえ、億万一にも、訪れることはありえません」

「仮にもスズカの前例があるんだ。普通に考えて繋靭帯炎が発症していたなら…こんなものではすまないからね。初期症状や違和感が出たら真っ先に報告するように言ってあるし…流石にそれに気付かない程、僕含めトレーナーは鈍感じゃない。発症でもしていれば、こんなレースとっとと辞めてすぐにでも帰らせてるよ」

「恐らく、自然の芝生としての要素も絡んだものと推測されます」

「それはそれで不幸中の幸いではあるが…だがしかし、このタイミングでは余りにも…」

「仕方がないよ。今日のロンシャンは、見るに耐えないくらいの田んぼだもの」

「誰のせいでこんなことになっていると思っているんじゃい!!」

「ぴぇっ…」

 

 

彼の口から漏れた怯えるような声に、周りは驚愕し目が点となる。一瞬の間が訪れた後に、ボクを彼交互に見合う人々。何かを察するように騒めく山々。…え、何でボクのツッコミだけこんなにも静かになるの?おかしくない?

 

 

「アイツ男性に対して度胸があるよな…ヒソヒソ」

「前半は兎も角、天候はどうしようもないのにね…ポツポツ」

「どぼめじろう相手にあそこまで言えるだなんて、愛が重バ場なのね…ボソボソ」

「正月の時の告白といい、流石だよな…ニヤニヤ」

「もうテイオーが最強ってことで良いんじゃないか?アレには勝てねえよ…ピエン」

「まさかここまでやるとはな…大した奴だ。やはり天才か?…フッ」

「青○春!!そこ変わってほしい…ギリギリィ」

「大人になったな、テイオー…」

「そこ、小声にすらなってないから!!」

「テ、テイオーちゃん…どうどう」

「フーッ…フーッ…ああ、もう!これじゃあボクの骨折とか、皆の怪我とか…真面目に何だったんだよぉ…ふざけるなよぉ…」

 

 

運命はいつだって意地悪だ。

 

 

「ごめんな、テイオー」

 

 

膝から崩れ落ちたボクに優しく声をかけた彼は、寄り添う形でボクの頭を不器用なりに撫でて、何かを決心したかのように立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛みは生きている証拠だぞっ!!マックイーン!!」

 

 

その声は、大勢の人達が居た中でずば抜けて透き通って私の耳に聞こえてきた。

 

 

「『No pain, no gain』だぞっ!!マックイーン!!」

 

 

その声は、誰よりも素直で力がこもった叫びだった。

 

 

「だから走れっ!!やればわかる!!やらなければ一生分からん!!不可能を___なんとかする!!のがウマ娘だ!!」

 

 

その声は、紛れもない本気の声援だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それに何より…

 

 

 

 

 

 

 

 

飛べない豚はただの豚だぞっ!!マックイーン!!」

「最早それが言いたいだけだよね!?」

「いやちょっと待て、その発言はまずい。色々と不味い。今年上映された映画だけどそれはネタでも本当にまずい」

「待て待て待て待て!今のセリフ、男性と女性を逆転させて言ってみろ!炎上どころじゃ済まないぞ!」

「どぼめじろう…良いか?こんなところでかっこよさを履き違えるな。例えそれが同じセリフでも、女のフリをしていてもだ。『カッコイイとは、こういうことさ』なんてことにはならないんだよ。そこを履き違えちゃあ…いけねえよ」

「ってか、テイオー!何さらっと頭ナデナデさせられとんのじゃい!!」

「どぼめじろうのバカ野郎!!そういうのは1番大事な時にとっとけ!!」

「レース場で男性に頭を撫でられるとか、とんだ公然猥褻プレイだぞ!?」

「トレーナーが憧れるシチュエーション第5位をあっさりとやってのけるな!!」

「動け、動け、動け!動け、動いてよ!今動かなきゃ、何にもならないんだ!動け、動け、動け!動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動いてよ!もうそんなの嫌なんだよ!…私の人生を返してよ!!トレーナーになった動機をも返してよっ!!だから、動いてよっ!!」

「私がどうなっても良い…世界がどうなっても良い…!!だけどナデナデは!!せめてナデナデだけは!!絶対にして貰うっ!!」

「テイオー!!ルナはそんな子に育てた覚えはないよー!!」

「テイオーちゃん…相変わらず大胆だなぁ」

「そ、そもそも、トレーナーの人達だって堂々とアーンされてたじゃん!!ついさっきの出来事を無視して子供に当たるってそれはそれで大人としてどうなのさっ!?」

「情欲に溺れている方が人間としてリアルだ。少しは欺けるさ」

「い、いいい、今さら恥ずかしがることもないだろう?」

「君がチャンスをくれたんだ…ありがとうよ。私達は運命共同体ってわけだ」

「なんでたった一度の人生を『常識的な普通の一般人』として、周りの目を気にして生きなきゃいかんのよ」

「ファシストになるより萌え豚の方がマシさ」

「それはそれ!!これはこれっ!!」

「開き直った!!とうとう開き直ったぞ!!」

「イッポンミチ、マジックミラー、エロイコ、ドウディ、オトメゴコロ、ムラムラ、イツワリノユビワ、ノーノーノー、オトナノジジョウ、キンジラレタアソビ、ワタシデイイデスカ、イエス、ワタシキレイ、ヤラマイカ、ラヴラヴラヴ、ハジメテノチュウ、チュッチュチュ、リャクダツアイ、ナミダノキス、キスキスキス、ウインナー、チンスコウ、オシリペンペン、ウマムスコ、ウマピョイ、レマンコ、マーチンコウ、イッシンドウタイ、ラブラブバゴバゴ、ヒヒーン、ダイスキ、ポカポカタイム、イッパツギャクテン、ヤッタゼベイビー、メデタシメデタシ」

「変態だー!度し難い変態がいるー!」

「オワマリサン!」

「意地も見栄もないない女なんて最低だよ、堂々と戦えっ!!」

「てめえか?てめえかよ!えぇ!?その腐った根性!…笑ったね?その心、笑ってるね?悪いけどね、あんたよりよっぽど生きてんだよ、あたしは!もっと生きてるんだよ!おいっ!そばに居ないで、行って!顔も見たくないから!向こうに行って!うるさい!行ってよ向こうに!その女、向こうにやって!」

「大人はさ、ズルいぐらいがちょうどいいんだ」

「悪い大人だぁ…これがトレーナーちゃんのやり方かぁ…」

「ま、恋の始まりに理由はないが、終わりには理由がある、って事だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

ほぉ…へぇ。ふーーーーーーーーーん…。

 

 

「今、私の願いが叶うのならば… 」

 

 

全開の力で、本能のままに、地面を蹴る。

 

 

「あの憎たらしい男の前歯2本を、思いっきり端折りたいですわぁ!!」

「これでやっとお揃いになれるね!やったねマックちゃん!」

「そのネタだけはやめなさい!!」

 

 

何時に無く身体が軽い。

 

 

「ヒトの域にとどめておいたウマ娘が、本来の姿を取り戻していく。ヒトのかけた呪縛を解いて、ヒトを超えた神に近い存在へと変わっていく。天と地と万物を紡ぎ、相補性の巨大なうねりの中で、自らをエネルギーの凝縮体に変身させているんだわ。純粋にヒトの願いを叶える… ただそれだけの為に」

 

 

今の私はきっと…

 

 

「さあ、メジロマックイーンがここで翼を広げるか!」

 

 

お助けガールと呼ばれた天馬と遜色ないまでの綺麗な白い翼が、見事に生えていることでしょう。

 

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

 

「マックイーンが今、翼を広げた!数々の名ウマ娘達をあっという間に置き去りにして行く!マックイーン先頭!マックイーン先頭!間違いなく翔んだ!間違いなく翔んだ!マックイーン先頭だ!最強とはこういうことだ!これが絶対の証明だ!!メジロマックイーンッ!!最強の名を懸けて、貴顕の使命を果たすべく、偉業を成し遂げました!!…強い!!メジロマックイーン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ!!ハァッハァ………ハァ……フゥ」

 

 

駆け抜けた時のことは覚えていなかった。流れ出る汗の重みが、汗と、そして雨粒と重なって、勝利したという現実を思い出させてくれる。

 

 

仰向けになって息を整えていると、長袖の左腕の部分をビリビリと破き、簡易的な包帯を作る彼が居た。

 

 

テイオーと張り合える程の整った顔立ち。雨に濡れた髪から滴る水滴から、私が居る場所まで全力で走ってきたことが伺える。しかし、その表情と手つきは何処か幼いように見受けられた。有無も言わず適切に巻こうとする、少しばかり情けないその姿に私は見入る。

 

 

「…そんなに慌てなくても、私は逃げも隠れもしませんよ」

 

 

ハッと息を呑む彼は、ネット上で見たような覇気は感じられなかった。ただ1人の人間を心配する、子供のような印象だった。

 

 

「やっぱり怖がってますわね…。どれだけ仮面を取り繕ってもわかる程に嘘がお下手…微かに震えた手が証拠そのものですわ」

「い、いやそんな筈はない!俺は…ウマ娘が好きだからこうして君の目の前に居るんだ。それが何よりの証拠じゃないか」

「強がっていても無駄です。…腐った縁とはいえ、一体何年やり取りをしていたとお思いで?普段のあなたならば、そのような処置…すぐに終わらせているでしょうに」

「違うよ、これは…ただ嬉しいだけだ。君に触れられて、感動しているだけだ。だから…その…」

 

 

目線が逸れる。…当然のことだろう。何故なら私達は、どうしようもない程にウマ娘なのだから。

 

 

「私に嘘をつくだなんて100年早いですわ。そんな大層なことが、あなたに出来るとは到底思えません」

「何を…」

「あなたの好意に嘘はないでしょう。…しかし、本当に私達のことをお慕い申しているのであるならば、真っ先に指名して自分のものにすれば良かったんです。無理矢理にでも、例え政略結婚と言われようとも、例え合意が無かろうとも…ね。そしてそれらをどれだけ勘違いさせるか、本物へと近付けさせることが出来るのか…それが人間が常日頃抱えている性です。でも、そうしなかった。出来る筈なのに、トレーナー試験に落とされたから…という名目で、好き勝手に意地を張り続けた」

「…」

「その程度の我儘の方が造作もなかったというのに、過去に囚われるフリをして…ただイタズラにおもちゃを振り回した。それがあなた自身が持つ自我の正体です」

「ハハッ…流石だな」

「あなたが男性である以上、その憎しみも苦しみも完璧に理解出来るとは思えません。ですが…人の心はわからなくても、本性は行動に出ます。これは、あなたが教えてくれたことです」

「相変わらず君は容赦がないな…」

「どうせ『自分が人から愛されるとは信じられない。俺にそんな資格はない…』みたいなことでも頭に過ったのでしょう?わかりますよ…あなたは、本質的に言えば私と似た精神を持っているのですから」

「やっぱり俺はどうしようもない奴なんだな。好きな人達も、世界も、ただただ都合の良いままに…なりふり構わず滅茶苦茶に壊して…ホント…何をしているんだか…」

 

 

私は自然と震える頬を優しく撫でることにした。我が子を守るように、慰めるように、全てを肯定してあげるように…今すぐにでも壊れてしまいそうな、本当の彼を。

 

 

「投げ出すことは簡単です。ですが…あなたは、まだやり直すことが出来ますわ」

「ダメだ…きっかけは沢山あったんだ。でも…それらを全て蔑ろにして、俺は…俺はっ!傍に居たであろうウマ娘達を傷付けるだけ傷付けたんだぞ!!」

「他の生き方は知らない…だからここで諦める、と?」

「そうだよ!俺は、ああいう生き方でしか生きられないんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ならば何故、私がメジロ家で落ちぶれていた時に無理矢理にでも話題にしてまで取り上げたのですか?わざわざ『どぼめじろう』などという名前を出してまで…例えドーベルが居ようと、メジロの犬だなんて…とち狂ってでもなければ、普通そんなことはしませんわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!」

「走るのを諦めかけた時、あなたが引っ張ってくれた。挫けそうな時…ネット空間とはいえ、あなたはそばに居てくれた。例えそれが同情心であろうと、嗜虐心であろうと、気まぐれであろうと、偶々であろうと、運命であろうと…それを機に毎度ネタにされ、その都度その都度起きる結果が何であろうと…私にとってはそれだけで十分だったんです」

「…待て、マックイーン。何を…何を言おうとしている!」

「私はどうしようもなくズルいんです。先程はああ言いましたが、実際のところ…この時をずっと待ち焦がれていたのですから」

「止めろ!それ以上は何も言わないでくれ!止めるんだ!」

「私もあなたと同罪ですよ。私もあなたに、世界に、全てに甘えていたんです。だからこそ、私はあなたを許さない。私達はあなたを許すことが出来ない。自分自身に対して、許す価値すら無い。あるのは、私達の罪と罰だけ…即ち報酬予測誤差だけです」

「止めてくれ!!」

「私達を私達だとたらしめる存在は、どこまで行っても欲望の塊なのです。ゲームにて…欲しいキャラが当たるかもしれない、上手く育成が出来るかもしれないと思うように。レースにて、勝てるかもしれないと踏んで肉体を鍛えるように…私はあなたがここに来るように望み、私達はあなたをこの地へと導きました」

「そんなことはない!!俺が、俺が全てやったんだ!!頼むから君は、君だけはふざけたことを言わないでくれっ!!」

「地獄への道は善意で舗装されている。…今更後悔しても遅いですわ。言っておきますけど…それくらいまでに私達は矛盾しまくり、可能性を信じて依存し、期待し、それらを貫き通したんです。それが偶像ではない…真のヒトなのです。何故なら私達は生きているんですから」

「あぁ…」

「私は、私達は…あなたという異物に対して中毒症状を起こしています」

「そ、そんなつもりじゃ…」

「…フフッ。誰かさんに無駄に感化されたおかげですわね。…ほら、目一杯に感じてくださいませ?あなたの知りたかったメジロマックイーンが、私の命そのものが、今…目の前に居るんですのよ?」

「…あっ………あぁ。あぁ!……ああっ、暖かいな。とても、暖かい…」

 

 

ですから、どうか…どうか。この夢がどうか覚めませんように。

 

 

「ごめん…マックイーン。俺、何にも出来なかった…」

「良いんですのよ。これで…これで良いんですの」

 

 

どうか、私を冷まさせないでくださいませ。

 

 

「…と、ところで、その…服は大丈夫で…ぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────渇いている者は誰でも、私のところに来て飲みに来るが良い。ヨハネ福音書7章37節

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人には常に希望という光が与えられている。だが希望という病にすがり、溺れるのも人の常だ。私達も彼も希望という病にしがみつき過ぎているな」

「…ふっ、無茶をしおる」

「彼は…いや、彼も普通の人間だったな」

「まあ、撐していた傘を放ってまで駆けつけたらなぁ…」

「国同士がグッダグダのゴタゴタになりかけているというのに、ホント…呑気な人達だよ」

「わかっていたとはいえ、やはりあの2人か…」

「メジロのワンコ君がよぉ…」

「何あのイチャイチャ空間は…もう私たち間接的にフラれたようなものなんですけど」

「な訳ないでしょ…あのどぼめじろうだよ?」

「そうそう、マックイーンが初めてってだけだから」

「それによく言うだろう…恋はいつでもハリケーンランだ!ってね」

「ってか、そろそろマックイーンが赤面する頃合いやろ」

「はっずぃわ〜…なんや変にムズムズするわぁ…」

「しかしながら罪深いなぁ…おにロリってどゆこと?」

 

 

今は全てに恐るな…痛みを知る、ただ1人の人間であれ。…彼は、怪物などではなかった。ただただ嘆くこととしか出来ない、ボク達が普段からよく知っている弱き男の1人だったのだ。

 

 

バッとマックイーンを抱きしめている彼。否、マックイーンが彼を引き寄せている。見事なまでの熱い抱擁。うむ…絵面としても完璧だ。まるで映画のワンシーンである。…うん。これが男女逆だったら凄く感動的なんだけどね。………ボク達からしてみれば度し難いまでの変態行為そのものの筈なんだけどね。…何でアイツは平気なんだろうね。どぼめじろうだから許されているんだろうね、これ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………エッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「エ?」

「えっ何…?」

「What happened?」

「どしたん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッド江戸(えど) は、東京の旧称であり、1603年から1867年まで江戸幕府が置かれていた都市である。現在の東京都区部に位置し、その前身及び原型に当たる。

 

 

…とまあ、冗談はさておき…何やら慌ただしい様子だ。

 

 

「何が起きた!!状況は!?」

「わかりません!!」

 

 

だから…必然と耳を傾ける必要があった。

 

 

「ち、ちっちちちちちっちちちちちちちっちちっちちっちちちちちちちっちちちっちちちちちちっちちちちちちっちちちちちちちっちちちちっちちちっ!!」

 

 

壊れた古時計にも負けない勢いである。ガタガタと揺れるマックイーンが、『チチをもげ!』に劣らず連呼している。創作で言えば、体内に高エネルギー反応が今にも生まれそうなシーンと言ったところだろうか…。

瞬間、雲の隙間から見える青空が彼女達を向かいれているかのように覗かさせてきた。唇を震わせてマッチのような火花を放つかの如く、ロンシャンの中心で虹と共に光っている。

 

 

「ちちちっちちちくくくっちちくちくちちちっちちっちちっちちちちちちちっちちちっちくくくくちっちちちちちちっちちちちくちちっちちちくちちちっ!!」

 

 

…ふと、彼が放り投げた傘が異様に視界に入ってきた。まるで、こいつのせいだと言わんばかりの主張を放つように…何かが、何かが致命的に欠けたせいでとんでもないことが起こるのではないのか、という前触れのように…。

この世界における男性と彼との常識について決定的な差によって生じた亀裂が、今にも弾けてしまったかのような感覚。そう…まるで、沈み込むプレート内のほぼ全部を破壊する地震が起きたかのようだった。

 

 

「ちちちちちっちくちくちちちっちちっちちちちちっちちっちちちちちちっちっちっちっちちくくくくクくちちちちちくち乳首が透けゃああっああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

まさかとは思いますが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

いや…まさか、ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな…ないない。いくら何でも…ねえ?

 

 

 

 

 

 

 

 

…ま…まさか。マサカウマザンマイ!?なんてそんな…キンシャサノキセキみたいなことが、この世界で起こる訳が…。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことがあるわけない…あっていい筈がない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

幾ら世間知らずとはいえ、下着(拘束具)を付けていないなんてことがあるわけないだろう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「乳首が透けて見えますわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

Peaceful times…ここに極まれり。

 

 

無へと還ろう。

 

 

うまぴょいへと還ろう。

 

 

余りの悲鳴に、男は直様気絶。そのままマックイーンの胸元へと、文字通り吸い寄せられるようにして頭が落ちる。────刹那、薄いながらも透けて見えていた秘部が、凶悪なまでのチラリズムとなってマックイーンの視界を襲う。強力な熱源は、今にも消えてなくなりそうな指と共にヘソの穴へと導かれており、男のそれを蒟蒻ゼリーのように押し返している。彼女の鍛えられた腹筋は、力を入れているのか徐々にバキバキに硬くなり、幾度となく痙攣を繰り返していた。

 

 

「ヌゥン!ヘッ!ヘッ!ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ!!!!!フ ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ン!!!!フ ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥン!!!!(大迫真)」

 

 

アナフィラキシーショックとは,急性で生命を脅かす可能性のあるIgE介在性のアレルギー反応を指す。既に感作…即ち、特定の抗原を与えて、その抗原に対し過敏状態となること、より細かく述べれば、繰り返される刺激によって、それに対しての反応が徐々に増大していく非連合学習プロセスが行われた場合…つまり感作抗原に再び曝露したことによって、免疫学的機序における過剰な免疫反応が引き起こされた現象である。

 

 

「ン゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ゛!!」

 

 

エヴァンゲリオン初号機よりも酷い咆哮が、フランスを中心として世界中に響き渡る。

 

 

画面越しから見守っていた数少ない男性達は恐怖が、間近で聞いていたウマ娘は聴力が、トレーナーは年齢が仇となった。トリガーとなったマックイーンの叫びを中心として、アナフィラキシーショックにも似た症状が、再びボク達を…世界中に居る全ての人間達を容赦なく襲った。

 

 

ボクは…敢えて寝ることにした。

 

 

決して、オスラー病や血友病のように噴き出す血に耐えきれなかったとか…そういうものでは断じてない。天地がランバダを踊ってもそんなことはありえない。

 

 

生前からウマ娘に備わっている、ありとあらゆる毒耐性が…それらをも無にしてしまうほどに狂気的な彼自身への抵抗力が、ものの見事に妨げとなって逆効果を生んでしまう。血液感染の心配がない世界とはいえ、流石にここまでの状態になるとは誰も予想していなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ポチャン…と鳴り響く、一筋の赤い液体。それが合図となり、世界は滅びの一途を辿る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「辛いに一本文字を足せば幸せになる。…成程、上半身の槍が絶望の槍ロンギヌスだとすれば、下半身の槍は希望の槍カシウスということだね。マヤ、わかっちゃった…ブハァッ!!」

「俺より変態なプレイをするとは、マックちゃん…やるじゃないかっゴハァッ!!」

「これが黄金の国ジパング…いや、これこそがクールジャパン…ということか。…ゴアゴアしてきた。素晴らしい…素晴らしいよっグハァッ!!」

「ええええっちすぎるぅ…死んじ…ブシャーッ!!」

「な、なんて羨まけしからんことを…パシャッ!!」

「高度すぎて私の性癖には合っていマ゛ァ゛ッ!!」

「カーッ!見んねミーク!卑しか女ばアアアッ!!」

「掛かってしまっているかもしれまアアアアッ!!」

「冷静さを取り戻せるといいのですがアアアッ!!」

「ぐあああああアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「キタァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「シャァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「ふざけるなあアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「羨まああああアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「ラ・ヴィクトワール・エ・タ・モアアアアッ!!」

「調子に乗るなアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「ポカポカああアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「シュヴァァアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「シェケナアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「ジーニアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「せんぱァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「コパコパアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「エンダアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「ウマアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「ストレッチャアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

現実は知らない所に、夢は現実の中に…それらを支える真実は、全て心の中にある。

かろうじて動ける自衛隊や各国の軍人達が救出しに来ている最中、走馬灯のように幻覚が押し寄せて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌い……誰が、あなたなんかと……。勘違いしないでくださいませ!」

「キミのことなんか好きでも何でも無いんだからね!

「私の人生には何の関係もありませんわ!」

「もう、こっちに…来いっての!」

「ですから、また私のことを…その…」

「ちょっと、つきまとわないでよ……。勘違いしても良いの?」

「一番嫌いなタイプなのよ。…嘘、ごめん」

「情けないわね……。でもそういうところが好…何でもない!」

「あは……あは……あははははは」

「もういい加減好きって言え!!」

「あは……あは……あははははは」

「意気地なし!」

「そんなに意地を張るのが辛かったら、もうやめてもいいのよ」

「そんなに意地を張るのが嫌だったら、もう逃げ出してもいいのよ」

「楽になりたいんでしょ。安らぎを得たいんでしょ。彼と一つになりたいんでしょ……心も身体も一つに重ねたいんでしょ」

「でも、アイツとだけは、ゼッタイに死んでも嫌…イ…わぁ…うぅ……」

「………愛してる」

 

 

 

 

 

 

 

 

悲しみのない自由な空へと羽ばたいて行くように、新たな人類の扉が開く。

 

 

────祈りと呪いは巡り合う。

 

 

どぼめじろうが目覚めたことによるファーストインパクト。

どぼめじろうが賀茂神社にてウマ娘の安寧と調和を願ったことによる、神をも巻き込んだセカンドインパクト。

どぼめじろうとウマ娘との初対面によって生じたことによる、日本を中心として発生したニアサードインパクト。

 

 

そして…どぼめじろうとメジロマックイーンが接触したことによって齎された、ロンシャンレース場を中心とする全地球規模の災害と化したサードインパクト。

 

 

尊み、嫉妬、怒り、喜び、恐怖、それらが同一に合わさり、常識という名の魂が崩壊していく。無へと還るは全ての理…それ即ち、今までの人類が築いた歴史そのものの『死』を表した。

 

 

日本内閣総理大臣を含めた霞ヶ関に居る官僚の人々、及び各国の首脳陣営の頭をも爆発させた頃…世界協定に基づき、どぼめじろうを封印することを余儀なく認定。申請が許可されたと同時にコードホワイトの嵐が続出し、医療崩壊が発生した。

 

 

 




 


「槍(意味深)があれば、全部やり直せるっ!」


〜A FEW MOMENTS LATER〜


「腰を振るスピードが足りなかったのでイマイチ感じませんでした」
「スタミナが足りないので気持ち良くなる前にイッてしまいましたね」
「パワーが足りないので奥まで届かずに気持ち良くありませんでした」
「根性が足りないのでラストスパートが物足りませんでした」
「最中の賢さが足りないので冷めました」
「他の人と比べてスキルが足りないのでマンネリ感がありました」


YOU ARE DEAD


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