あべこべ×供給中毒(ウマ娘)   作:2Nok_969633

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芦毛と芦毛のぶつかり合いがあった秋から1年・・それは悪夢だった



世界を震撼させたホーリックス
URAの心を脅かすトレーナー不足
神が降したかのようなエリザベス女王杯
混沌のドリームリーグ
世界を覆すイージーゴアの逆襲劇
しかし、そこに神が降臨した!!

ファンA:今年の年度代表ウマ娘 誰が選ばれると思う?

ファンB:やはりサンデーサイレンスだろうな ベルモンドステークスは8バ身差の二着だったが・・

だが、それは・・

メジロ!!

………………………Who are you?

メジロ!!

oh my god‼︎





神は愛なり

 

 

 

『あ、まって、降りてきた!構図もシナリオもダービーで降りてきたぁ!』

 

「ひょわぁ!」

 

 

たった一人の放った言葉にしてはそれこそ地鳴りにも似た歓声のような、そんな熱がこもった声だったと思う。

 

歓声には慣れているというのに、思わずその熱量に押されるようにビクッと反応してしまった。ルームメイトである子は既に寝息を立てており、夢の世界へと飛び立っているため、なるべく起こさないように…と音を立てないように気を付けていたのだが、イヤホン越しな事もあってか不覚にも不意打ちが決まるとは思ってもいなかった。飛び跳ねるようにして驚いた自分に対し落ち着け、と言い聞かせるように呟きながら息を整え、再度画面へと目を映す。

 

 

・シラオキ様がキタァ‼︎降臨したぁ‼︎

・いや、シラオキって神様じゃないやろ、ウマ娘やろ

・ん?まさかこれってアレか?

・あーこうなるとアンケートとか無いパターン確定やな

・久しぶりに来たってことは尚更歯止めがきかなくなるだろうね

・構図も消したってことは…あぁ、確定だわ

・どぼめじろう先生「イケる…捉える…ここから!」

・男×ウマ娘でも来るもんなんやなぁ

・多分…というか絶対ウマ娘メインだろ

・ウマ娘が入っていればええんやろな

 

 

常連である人達は何が起きたのかを知っているようで、初めてこの動画を見る立場としては何が起きたのか全く理解できない立場であった。コメント欄を冷静に見ると『久しぶり』や『歯止めがきかない』という事から、この放送では偶に起きる出来事なのだろうと、そういう風に受け取る事は可能なのだが…いかんせん情報が不足している。

 

(そもそも『どぼめじろう』ってどんなネーミングセンスしてんのさ。)

 

 

『ってわけで、これより私は頭に浮かんだ最高の絵を描かなければなりませぬ。後は各自よろしくお願いしまっす!」

 

・りょ

・へーい

・了解

・おー楽しみにしとるわー

・りょ

・了解です!

・朝になったらまた来る

・明日があるので今日は落ちますね!

・了解

・おやすみ、頑張って

・あたしは先に寝るわ〜、また明日な〜

・了解しました!

・りょー

 

 

場の流れに合わせるようして、咄嗟に初めて打ったコメントがまさかの『了解』の二文字。慌てていたとはいえ自分が書いたとは思えない返事の仕方と、それに合わせるようにスムーズに流れるコメント欄に処理が追いつかず、目が点になっていたことに気が付いたのは、暫く経ってのことであった。

 

改めてコメント欄を見るや否や、動画投稿者が放っていた内容にも勝る勢いで、最近のウマ娘の事情を語っている様子だった。その流れには思わず目を疑ってしまうほどのもので内容自体のレベルもそうだが、それこそそうした内部者がいるかのような情報まで飛び交ってる。あくまでも語られる範囲でのみ絞られている様子ではあるが、やれ、最近の芝の手入れはどうだ、とか広報部の人材育成が思ったよりも順調で、といった生々しい事情まで放たれていることもしばしば。

 

この状況には、どうしても慣れないものがあった。時間が経てば経っていくほど同接人数は減少傾向にあるというのに、コメント欄の勢いは衰える事はなく、更に発展して海外の事情まで話が広がっていく始末。

少なからず新たに入ってきた人もこの場に慣れているのか、直様順応するかのように話に入るものだから、余計に混乱が生まれてしまうのだ。

 

挙げ句の果てにはトレーナーの悩みや苦悩、改善案、育成のコツなどが巡るように飛び交い、ある種の掲示板のような状態へと変貌していく様は、先程までの放送とは真逆の真面目な雰囲気で統一されているような場となっていた。中には学生が書いたであろう内容に、教えられる範囲で説明をしている姿もある。それも海外の人が日本語にわざわざ直している場面もあるくらいだ。逆も然り。

 

こんな事は勝負の世界において敵に塩を送る行為になりかねないし、そもそもここでやる必要があるのか、と問えば決してそんな事はない…寧ろ場違いである、と結論付けても文句は言われないだろう。総じて良い雰囲気でいるため切り出す事は愚か、場を乱してしまえればただの厄介者でしかない。そんなリスクを超えてまで行動に移すような人が居るとは到底思えないが。

 

そんな中でも投稿者は、せっせと腕を動かし絵を描いている。こんな生放送があって良いのだろうか?、と未だに驚きを隠せない。時々聞こえて来る動画投稿主の「あ、ミスった」という単純な呟きや「そういやあのウマも脚が不安定だったなぁ…。それでも三冠とか取るんだろうけど」というボヤきも聞こえて来る。

 

それに釣られるようにして、急に慌てふためいたように騒めき、コメント欄の動きが一斉に変わったのはギャグみたいで面白かったのは秘密だ。

 

言葉のニュアンス的に、まだトゥインクルシリーズに挑んでいない子のことなのか、もしかしたら海外情勢の事なのかな?という疑問や予想は尽きない。だというのに画面の向こう側の腕は止まる気配は無く、筆が踊っているかのようにイキイキとしており、単純だと思っていた顔の表情の違いをここまで細かく表現するんだ、などといった着眼点などを自然と持つのは意外と楽しいものなのかもしれない…とも考えてしまうほど絵が完成されていく様子は目を引いてしまう。コメントと同時並行して見えてくるのも相まって、中々にシュールだ。

 

 

正直この現状を見逃せるほど出来ている人ではない。何が起きているのか知りたいという欲求が収まるわけがなく、いつの間にか時計の針は深夜の2時を回ろうとしている。同接人数がそれでも300人を超えているのは良いのだろうか、とまた新たな疑問が頭によぎって悶々とするのは、最早我慢の限界だったのかもしれない。

 

同じく止まる事なく徐々に完成されていっているリアル描写風なイラストは、少なくとも後は色塗りというところまで来たようだ。何か不安定さが醸し出されつつある不穏な流れに目を逸らしたくなるのは何故なのか…この考えを含め、理解できない事が多すぎる。故に思考は止まらず、眠気は既に飛んでいた。

 

あなたへのおすすめ、で偶々見ていた動画だというのにこの有様だ。運が良かったからか明日が休みだったのは丁度良かった事なのだろうか?最近はレース前だというのに水泳での調整ばかりで、少しだけ退屈な気分を味わっていたのは事実だ。だからといってこんな…選手にあるまじき体たらくはして良いものではない。十分に楽しめていることすら不愉快に感じてしまう。

 

 

・あのさ、この現象?って何?

 

 

無意識に近かった。聞かなければならないと思った。ここで納得しておかないと気が済まないと感じて、抑えられない気持ちが爆発して、胃がムカムカして、自分の何かが否定されるのではないか…深淵を覗いてしまったのかもしれない…運命的な何かを感じるなんて、そんな事あるはずがないと真っ先に否定したかったのだ。自意識過剰とも受け取れてしまうまでに怪しんで、得体の知れない恐怖心はピークへと到達し、いつの間にか手が動いていた。

 

 

・うp主ってその時閃いた!って感じで絵を描く時があるんだよ

・しかも一度この状態になったら完成するまでずっと垂れ流し

・何かに取り憑かれているんじゃないかって雰囲気にもなるし、何だったらコメントなんて読めなくなるくらいに集中力が上がるんよ

・ウマ娘風に言うなら領域取得者って言えばわかるのかもしれないけど、実際はあたしらもよく知らないんだわwww兎に角こうなったらキめているんじゃって思うくらい手がつけられねえのは確かだな

・放送中になるのは半年前が最後だっけ

・7ヶ月ぶりかな、菊花賞前だったから

・海外とかになるとどれがどれだか分からんし、確定なのは菊花賞やな

・春天はまあ…ライアンには悪いけど勝てる土俵じゃなかったからしゃーなし

・男を絡ませるのは今回が初めてな筈だけど、決まってこういう時に描く絵はウマ娘メインで尚且つ好みが別れやすくなる傾向にあるよ

・時々ロクでもない絵を描くから覚悟はしといた方がいい

・大体8時間はぶっ通し、覚悟はいるけど見たい人は徹夜してみるのもありよりのあり

 

 

成る程…となる内容に合わせるようして、所々何か怪しげなコメントがちらほらと浮かび上がってきて、ほんの少しだけ身構える。中でもキめている、領域という言葉は不気味であった。その言葉から推測するに、恐らくはレースで夢中になるのと同程度かそれ以上に無我夢中の境地へと到達しているのだろうとは推察する事は可能だ。だが、何故そこに菊花賞…細かく言うと恐らくマックイーンが勝ったであろうレースが絡むのかがあまりにも不透明すぎる。

 

まさかとは思うが、レース展開の予測でもして完璧に言い当てた…とかだろうか?で、あるならば…それくらいのことはファンであればあるほど行うだろうし、偶然で片付けられる場合が殆どだと疑うのは必然である。強いものが勝つのではなく、勝ったものが強いと認識される最も代表的な競技において、その程度の運であれば到底語っていい代物ですらないからだ。

 

しかし、そんな予想は裏切られる形となって露わとなる。

 

 

・あまりの集中力からか時偶変なことを呟きながら絵を描くんよ、本人的には無意識なんだろうけど…これがまたリアルすぎるのよ

・キングヘイローの頭真っ白事件や高松宮記念一着から始まり、スペシャルウィークの日本ダービー、セイウンスカイだと菊花賞世界レコードを当て、グラスワンダーでは毎日王冠での不調から宝塚記念での巻き返し、エルコンドルパサーに至っては凱旋門賞二着を見事に的中させているのよね

・ホワイトストーンやライアンより本格化したマックイーンが勝つって言うわ、それに向けて制作しないと〜とか変声機越しに呟いて来るんだぞ?普通に怖いわ

・中でもヒヤッとしたのは、スズカが大逃げしてレース中に大怪我をするってやつね

・秋の天皇賞後に左脚骨折発覚…最悪な展開とも呼ばれた『沈黙の日曜日』が外れたってだけで実質当たったようなものだわ

・実際悪い方向での的中っていえば、アイネスフウジンやハクタイセイが最近かなぁ…現に病院通いだし

・偶然なんだろうけどスズカについては、スズカのトレーナーがここの視聴者だったっていうね…未然に防げたのはデカかった

・同期にマチカネフクキタルいるしその繋がりでってのはわかるっちゃわかるが、普通に色々な意味で心配になったわ…とはいえ、グッジョブ

・スズカが一着を取ってようやくこの人の予想が外れたんだって思った矢先に骨折発覚は…冷や汗パネエのなんの

・戦略を変えたからといって今まで蓄積されていた骨の負担が軽減するわけではないからな

・まあダービーに関しては…ダービーで燃え尽きるウマ娘なんて沢山見てきたからそりゃあ数打ちゃ当たるよね、って話にはなるんだけど、こうも当たるものだから目を光らせようってわけ

・お告げ抜きで観に来ている人もちゃんと居るけどね

・試験に落ちたとはいえ普通に勝負勘は強いし、知識もあるおかげか話せる人達が自然と集まった結果、こうなりました

・勿論普段の放送でもウマ娘のことで持ちきりなんだけど、不気味がって大半の人は居なくなったし、一部の人たちからは名前を言ってはいけない人って呼ばれているくらいには魔境だね

・あまりにオカルトすぎてスレを建てようにも建てられないし、ファンアート界で上位にいるとはいえ…配信者としてはマイナーもいいところなんで

・普段はちゃんとしてるのよ、ホント…偶にデジたん並みにオタク語り発症するってだけで

・デジタルはデジタルで新たな同士が…とか言うからホンマにどうしようもない

・この人はこの人でデジタル…というか現役の選手が公式アカで来ただけで発狂し、最悪気絶する性質持ちっていう…ね

・お陰で明らかにヤバいウマ娘でもこの放送では珍しく抑止力として動くからさらに魔境になるという悪循環

・元々ウマ娘の話しかしないような人で、そのせいか最初期は荒れるに荒れたし?せめてこの場限りは幸せになっても良いんじゃないの

・動画主も大変だったって愚痴をこぼしていたけど、負けずに方針はこれでいく!って腹に決めた途端いきなり「うおおおおおお、手が止まらねえ!」って叫びながら破茶滅茶な放送した時はポカンよ

・今でも普通にポカンだわ

・この先もイかれた放送しかしないんだろうなぁ

 

 

「何それ…バカみたい。」

 

 

先程の呟きにあれだけの反応があったのか、その謎が解けた。それもただ現実を見ないで互いを慰め合っているだけにしか見えない、厄介極まりないもので手遅れだと側から見てもそう受け取れてしまう程に宿痾なだけだった。

 

わかったようなわからないような曖昧な解答が、慣れた様子で返ってくる事がより病的なまでに異端な要因を増強させている。当本人含めて気が付いていないというのがオチとして相応しいのだろう。別段理由なんかはどうでも良かったが、自身にとっては興醒めだ。

特別な理由を欲していたわけではない。本能が納得していなかっただけだ。

 

だというのに、普段なら魅了する側であるはずだったしなやかさすら霞むほどの、何か特別な力強さに魅了され続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目に映っている一着は勝利の証。掲示板には20、11、13、12、14の枠番の文字。

 

4F48.5

3F36.4

時計にして2:25.9は彼女にとって完璧と言ってもいい内容だった。絶対的な強さを表す横綱相撲で今年の優駿が終わる。

 

無我夢中に走ったわけではない。

持てる力を振り絞り、憧れの存在と同じように圧勝しただけだ。

 

二本の指を同時に挙げる。高らかと、後一本もすぐに挙げて見せると、彼女と一緒に宣戦布告をした過去はもう、互いに笑い話で済ませてしまうほどに懐かしく思えていた。

 

誓いを立てたならば、それ相応の約束は果たさねばならない。どんな世界であろうと、危険要素は常に排除した。だからといってもう安心しても良いだろう…という油断をした覚えもない。

 

全てのありとあらゆる事象に対して挑み、そして掴み取ってやると宣言をした伝説はもう目前だ。無敗の三冠ウマ娘が新たに生まれるその様を、彼女と共に歩めるかもしれない。初めて出会った時に見せたあの笑顔と同じようにニシシっと笑っているその姿に、少しだけ安堵からか胸を撫で下ろす。その瞬間、頬を伝っていた冷や汗が流れて落ちた。

 

どうかこのまま、彼女が曇らないまま栄光の歴史が続いてほしいと願っているなんて、倒れた当本人は思ってもいなかっただろう。そんな願いなんて知ったことかと突き進む彼女は眩しく、そんな彼女だからこそ夢を叶えるに相応しいと思えてしまうのだ。だからどうか、どうかそれだけは、頼むからこの夢だけは、せめてこの夢だけは覚めないでくれ、と知らない誰かが涙を滝のように流し、残酷な有様に嘆いている。

 

こちらの考えを見抜いていたかのように全てを嘲笑う運命は、最も容易く彼らをねじ伏せようとしてくる。この残酷さがリアリティを生んで伝わってくる。相乗効果は体感するよりも、より強く現れた形となって君臨している。彼女らの前に聳え立つ壁があまりにも強靭で歯が立たないことが、その場から立ち退き逃げてしまいたくなるほどのものだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俯瞰してその様子を誰かが見ていた。

 

そんな必死に懇願している姿が実に哀れで綺麗だと心のどこかで感じてしまった事も、既視感にも思えてしまった事も、それすらも置いてけぼりにしてしまう程に悔しくて仕方がないと感じるもの全てがぐちゃぐちゃになって、込み上げてきた怒りを何処へぶつけて良いのかすら分からず、気分は晴れずにいる。

 

そこで一気に視界が揺らいで、無重力から戻される。飛んでいるような居心地の良かった夢は段々と崩れ始め、気が付けば幕を閉じてしまっている。いつかは覚めて消えるのが道理だとしても、突如としてここからという時に終わりを告げられた身としては納得いかないものだった。

 

 

 

 

 

『完成したよ』

 

 

 

 

 

その一言で目が覚める。

 

 

朝の光がカーテンから漏れている。眩しさにつられて思わず腕を動かそうと意識した途端、微かな痛みと共にピリピリと腕が痺れて思うように力が入らない。

 

どうやらスマホを付けたまま意識が完全に落ちてしまったようで、机に突っ伏せるようにして倒れ込んでいた。変な姿勢で寝ていたからだろうか、背中が濡れて気持ちが悪い。

 

 

気持ちが悪くなったのは、果たして姿勢だけの問題だったのだろうか?

いや、違う。

 

 

寝ていた姿勢の影響なんだ、と片付けたかったのだろう…嫌な夢だった。悪夢と表現しても良い…誰の目線かもわからなかったが、生々しい悲劇を実際に体験した気分である。まるで誰かの記憶を共有して、そっくりそのまま覗き見たかのような夢だった。

 

 

バッテリーを示す赤いランプによってもう残り僅かだという証を告げている。どうやら限界ギリギリ、というところでしぶとく粘っていたようだ。充電器を慣れた手つきで取り付け、画面を覗こうとする。

 

ふと、不思議に思ったことがある。場の空気に呑まれてしまったのは百歩譲ってまだ良い…だが、初めてこの放送を覗いた身として、最後まで見届ける義務や義理なんてものは断じて無い筈である。そこまでしてこのコンテンツを気にする必要性は感じられないのだ。にも関わらず、ここまで理解が及ばないものに対し執着するのは、一体何故なのだろうか?

 

レースでもないのに昨晩から働き続けた脳は完全にキャパオーバーしている。疲れているのがはっきりとわかる。そうした思考回路は諦めた方が楽なのだと即決し、自分に対しての疑問などは完全に麻痺させ捨てた方が吉と見ていたので、そうした不都合的な異物は完全にシャットアウトしていたのだ。一度寝てしまったことが影響して少しだけ回復したからか、意識した途端にありとあらゆる考え事が過ってきたのだろう。

 

再びそう処理をした。しなければ耐えられなかったと勘が告げていた。

 

下を見た。

 

画面に映っている絵がよく見えない。

 

それでも視界に収めようとした。

 

 

朝っぱらから視聴者が偏っているにしてはそこそこの人数が集まっているようで、それに応じるようにしてコメント欄は深夜帯に比べて勢いを増し、ガヤガヤと賑わっている。

 

ぼやけた視界が徐々に鮮明になってきて、その様子がくっきりと目の前に繰り出されている。

 

 

『はぁはぁ…疲れた。はぁ…はぁ………ふううぅぅぅぅ…。クヒヒ……ヒヒっ、怖いなぁ。何度目だよこれ…ホント…怖いなぁ…怖くない…ああ、怖い。怖くない、怖い。怖いなぁ…ヒヒっ』

 

 

完成したことによる笑みに混じるようにして時々涙ぐむ様子が、マイク越しに伝わってくる。恐らくは同時に溢れているのだろう…余程高揚しているのか、作者の息遣いは最高潮へと達している。落ち着きを取り戻す頃には、自身もまた頭が冴え始めていた。目に映る情報を脳が処理し、どのような絵が描かれていたのかが理解出来るまでになった時…ボクはどんな顔をしていたのだろう。

 

唖然としてしまっていたのか、それとも興奮の余り頰が緩むほどの嬉しさに浸っていただろうか。

 

どれも間違いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

恐らくはあの夢に出てきた人と、全く同じ顔をしていたに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

・おお!完成度高えけど…

・ん?ターフの上?これどこ?

・多分東京レース場やな

・府中やろ

・府中だね

・府中確定

・HAHAHA…何これ

・男もウマ娘もええ感じやん…なんか、暗くね?

・特定早すぎ

・なんかお互い苦しそうな顔してる

・お前さあ…疲れてんだよ

・涙が出て…あっ

・てめぇ…ふざけてるのか?

・人の心とか無いんか?

・美しい…これ以上の芸術作品は存在し得ないでしょう

・心は痛まないのか?

・クレイジーサイコレズが真っ当な絵なんて描けない…筈だ

・おま、なんちゅうものを描いてるんや

 

 

場面こそ違っているものの、そこに映し出された内容そのものに大差は無かった。夢よりかは少なからずマシになってはいるものの、胸糞悪いことに違いは無かった。

 

作者によってよりくっきりと顕在化された絵は、視聴者の心を確実にへし折っている。描いた張本人は息を整えた後、その趣旨と内容を語った。

 

 

『ってわけで今回は今期のダービーをモチーフに描いてみたよ。未熟な男性トレーナーの指導の不安定さと世論の責任に耐えかねてハードトレーニングをこなしてしまったウマ娘がダービー勝利直後倒れてしまうシーン。これは正にその時の様子で、男が焦ってターフの上にまで侵入し、駆け寄って抱きしめている様子だね。流石に現役の選手に似せるわけにはいかなかったからアレンジはしているし、男も現存のトレーナーをモデルにするわけにもいかないから…あくまで創作上と現実上の都合ってのはわかってくれたまへ。で、こっちは純粋に主人公的な存在に負けて凹んでいるところを慰めているって感じ』

 

 

・やめてくれええええええ‼︎

・おい、なんで…ウマ娘の脚が…折れている…

・なんだよもおおおお!!またかよおおおおおおお!!

・こいつ偶に全力で曇らせてくるよな

・悪魔め

・リスナー「「「無理ィ〜!」」」

・神にでもなったつもりか?

・ガビガビしてそう

・視聴者の性癖歪ませるのやめろ

・レズのサディスト

・本当に気持ち悪いよ

・度し難いな…

・こんな絵が描かれていると知って…アタシはがっかりした

・救いはぁ…救いはぁ…?

・こんなん精神崩壊するわ

・どぼめじろうと視聴者、折り合いが合っていないぞ!

・掛かっているかもしれません、息をつけると良いのですが…

・私が悪いんだよ…

・落とされた恨みか?イヤ、ここまで来ると寧ろもう好きだな

・シテ…コロシテ…

・悪いけど現実でメスガキわからせツアーは禁止

・傷だらけになっても皆で痛みを分かち合えば平気という真の平等主義

・誰かこいつを止めてくれ

・ほんまに今期のウマ娘から動機を得たんか?

・これ描いた奴絶対早死しそう…それも爆死するタイプの

・↑究極芸術?それともダハハ派?

・早死だから派手に自爆の方だろうよ

・どっちも爆死だから似たようなものでしょ

・儚く散らせる一瞬の美を究極とする芸術と、人生全てを革命に捧げて無能な権力を究極に落とし込む芸術は違いますよ

・何考えてこんな絵描いたんや

・頭覗かせろ、マジで一回でいいから覗かせろ

・わかんないよ、なんでこんな絵を描いたのか全然わかんない!

・とりまボートを用意しろ

・まともなのは私だけか⁈

・お前は何と戦っているんだよ…何を背負ってるんだよ…

・こんな子に育てた親を一度でいいから見てみたいわ

・もう絵描くな

・泣いておられる…女神様も泣いておられる…

・動機というか発端がテイオーってこれ不味くね?まあリクエストしたの視聴者側だけどさぁ…

・一先ず描いた理由を聞こうか

 

 

阿鼻叫喚の中、冷静な視聴者は理由を聞きたがっている。勿論、自身もその一人であった。こんな絵を描いておいて流れに合わせるかの如く「何でってそれは…面白いからだろ?」なんて言葉を発して逃げれば、スマホをぶん投げていたかもしれない。

 

本人がここに居ないのを良いこととして好き勝手に話に入ろうとする、という前提条件に加え、わざとらしく緩急を意図的に組み込み放送を盛り上げる手法が成り立っているのも腹正しい要因だ。その度胸の良さだけは認めるが、よくもまあおめおめと語ろうとするなどと思い切ったものだ。しかもダービーまで残り1ヶ月と少しというタイミングに差し掛かっている時に、だ。乗っかっている視聴者も同様である。

 

この人達は余程性格が悪いのだろう。

 

仮にもしも、だ。話に上がっていたある種予言めいたものの延長線上として、この絵が完成されたのだとしても本人から見ればだからどうしたとしか思えないのだ。そこに正当な理由があったとしても、ボクはそういう堅苦しいのが嫌いな性質持ちだ。曲げたことはしない、するつもりもない。いつでも全力投球で挑む…こうした人に対しアンチめいた行動をするならば、もっと真っ直ぐで欲深く頭一辺倒に否定してくるものばかりだと認識していたのだが、性質や性格をよく分析した上でさらに本番で影響しないと踏むことを必須とし、土俵に上がることなく何度も針でチクチクと刺してくるあたり、一番性質が悪い攻め方である。

 

あまりにも狡猾で、狂っている。

 

 

『んー、まあリクエストがテイオーだったし…視聴者のせいってのは明白だから、喋っても良いよね。これはおまいらが描かせた物語だもんね』

 

・まーたうp主の悪い癖が始まったよ

・もう止まれ

・前世で何か悪いことでもしたんか?

・害虫が

・自身の無能さをここまで露わにするって意味では芸術だよな

・2400m走ってこい人カス

・本人が聞いているとか思ったりしないの?

・話すよりも良い加減人としての心とか取り戻してこいよ、病院行ってこい

・人が気分良く楽しみにしていたところに一番聞きたくない話を持ってくるバカ

・お前ずっと一人ぼっちやん…そこに答え詰まっとるやんけ

・やめなさい

・これは低評価するわ

 

『私を芸術品に仕上げるな。それにその…テ、テイオーやネイチャ世代の人とかが?聞いている可能性とか言われても?べ、べべべ別に気にしないし、ここここ、怖くないし。あくまで、ほら…私が描く人達って愛着があると言うか思い入れが強いというか…ね?あるでしょ、そういうの』

 

・メジロをネタにする時の勢いはどうした?

・炎上不可避ですわぁ!

・お前他の子だって一生懸命走っているのによぉ

・なんでそこで吃るんや、こいつのメンタル面は一体どうなってるんや

・ネタにされたくはないから特別扱いとかそういうのは良いです

・い、嫌だ…うp主にネタにされるなんて!って思っている人の方が多いだろ

・だからタチが悪いんだよ

・愛って怖いわ

・うちは一族かよ

 

『そりゃあメジロ家の人達が有難い事に見ていてくれた時もあったけどさ、逆に怖いを通り越して吹っ切れることが出来たから可能なわけで。

っと、そろそろ話を戻すか。んで?なんだっけ、テイオー世代の人が聞いている可能性だっけ…んー…まぁ、ネイチャとかだったら1%くらいの可能性があるかもしれないけど、テイオーは普通に無いでしょ。うん…無いわ、絶対』

 

・急にテンションを素に戻すな

・朝っぱらから寒暖差激しすぎるんよ

・ウマ娘以上に気性難なのどうかと思う

・フラグ立ちすぎなんだよなぁ

・140-120

・ダメだこいつ…早く、なんとかしないと

・ちゃんとした根拠ありそうだから面白いんだけど

・ウマ込み冷静って人間でも発動するんだね

・理由あるん?

 

『根拠含めて言うわ。まず人を選ぶ癖が幼少期から身に染みているし、顔も知らない他人からの押し付けとか絶対嫌悪する傾向あり。ああいう子はプレゼントとか貰ったとしても、好きな人以外の…知らない人から貰ったものはまず間違いなく心の底から喜べないタイプだね。ああ見えて1人の方が居心地良いって雰囲気醸し出しているし、良い意味でプロ意識が高い分相手側からの信頼も得やすいのが仇になってるよな。全く…ぷっヒヒッ。先が読みやすいお子ちゃまだぜガーハッハッハ!あ、因みにソースはインタビュー記事とかも含めて色々なところから引っ張ってるけど、出典いる?』

 

・それは正解かもしれない

・なんとなくわかるような…

・ソースあるんかい

・レディスト怖い

・280-240

・ドーナツ持って土星に行く方がマシレベルの考察、これにはドン引き

・とんでもねえ、待ってたんだ

・あぁ〜どんどんいかん方向に話が進んでいる気配がプンプンしますぜ

 

 

このまま土俵入りさせずに、ネチネチと意識外から攻撃を受けられてはたまったものでは無い。なんとかして意識させてやろうと思い切って行動に移しコメントをしてみたが、成果は得られず逆に返り討ちを喰らってしまった。

拾われた矢先にこの反応である…とてもではないが我慢出来るものではない。

 

少なからず無関心では無くなったが為に、関心が芽生えればそこに執着してしまう、というのはどうやら本当だったみたいだ。このような場で経験するとは思わなかったが。

 

これ以上下手に手を出すのは悪手だ。そう思ったが吉、丁度お腹も空いてきた頃合いでもあった為、放送を抜けようとスライドしかけた時だ。ある言葉が出てきたことによって、その手がまた止まってしまう。

 

本日三度目の束縛が発動した瞬間でもあった。

 

 

『さて…後付けになっちゃうけど、描いた理由について移ろうと思う。唐突なんだけどこの有名な言葉は知っているかな?【レースに絶対はない】ってフレーズ』

 

・勿論

・ルドルフやな

・テイオーの憧れであり目標であり夢だね

・ルドルフには絶対があるってやつだな

・後付けかよ

・それがどうかしたのか?

・後付けって事はなんだかんだ言いながらも、(これは流石に不味いですよ。)って思っちゃったパターンやな

・そもここにその言葉自体知らない人がいるんか?

・↑いねえよなぁ!!?

・あ、やっぱ不謹慎な自覚あったんだ

・踏み止まろうとしないで描いたあたり、やっぱこいつ性格悪いな

 

『アタシ、正論嫌いなんだよね…ポジショントークしているのこちら側なんだけれども。で、正直なところトウカイテイオーには、その『絶対』があるとは思えないんだわ』

 

・は?

・え、それ本気で言ってるん?

・ダービーで負けるとか言うんか?

・それか燃え尽きるとか…いやいや、ないない

・でもテイオーに限ってそれは無くね?だってあのテイオーだぜ?

・お前センスねえな

・テイオーに絶対が無いと思ってるとかお前レースエアプか?

・皐月賞見たけどあの余裕っぷりは天才でしょ

・生で見たけどあれは天才超えてる…次元が違うって

・睨みつけるような眼光、溢れ出る闘争心はクラシック級じゃないぜありゃ

・同期が可哀想に見えるくらいの才能を全否定は試験に落ちて正解だわ

・失望しました、低評価押しますね

 

『待て待て待て、ダービーに関しては外枠だろうと99%テイオーが勝つと思うぜ?トレーナーだったら9割以上って言うだろうけど…それに勝った後だって、そこで燃え尽きるようなウマ娘ではないでしょ。無意識だろうけどあの勝利に対する絶対的なプライド、憧れの存在を超えようとする想い、そこに噛み合うように合わさった圧倒的とも言える才能、特に脚のバネに関しては正直ルドルフより上だと思う。秀才的な、少ない力でこなしていくような器用さはルドルフの方が上だろうけど、地頭とかは間違いなく天才だろうし、何よりあのレース勘はピカイチだろ。初戦、不良場で圧勝だぞ?もうね…しゅきぃ、ってなる。走っている時に芝が喜んでるのかって錯覚を覚えるくらい、気持ちよぉぉっっく飛ぶように駆け抜けるんだからさぁ…マジで見てみな、飛ぶぞ?』

 

・テイオーの素質諸々ちゃんと見抜いてるんかい

・見てみな飛ぶぞ、は一回ヤッとる人なんよ

・ちゃんとデビュー戦から見てるのね

・それは誰もが知ってる…のか?テイオーって頭良いの?

・これは…惚れてますね

・実際人気はあるからね、仕方ないね

・上から数えた方が速いくらいには頭良いぞ

・ウマスタ見てこい、あそこの部屋は天才組や

・マヤノとテイオーは頭良すぎるからマジでヤバい

・流れが変わったな

・もう、止まりはしない

・飛ぶように走る子は才能あるっていうからな

・不安を煽りつつ褒めるところは褒めていくってDVかよ

・絶対があるとは思えないとか言いながら99%っておま…

 

 

G1に出るような選手は一番は私である、頂点に立つのは私だ、と誰もが心のどこかでは思っている。どんなに才能の差があったとしても、それを覆すだけの手札を手放すような真似はしない。鍛え上げる手段を常に考え、勝利を目指すひたむきさは中央の良いところだ。そこに幻想を見るのは仕方がないとしても…それでもボク達は夢を勝手に与えるだけ与えて、己が勝ちたいからこそ走っているだけなのだから、それ以上の期待を背負う必要も資格もない。

 

その中で99%なんて数字を言い切るとは余程のバカだ。そんなバカにもわかるほどの一級品をお墨付きされている点で、それだけ飛び抜けた才能があるという事を意味しているのが伺えるし、自覚もしている。だからこそなのだろう…意味を見出し意図があると見抜けたのは。

例えはぐれものだったとしても、少なからずレースに精通していたからこそ可能にし導き出せた答えだ。正しくウマ娘の文化が生み出してしまったモンスターそのものである。

 

ここにいる人たちは、ボクを丸裸にする気でいる。

 

つまりはその先を見据えての事をこの人は発言するのだろう… 自身の身体だからこそ推察出来たわけだが、恐らくはボク自身の才能のデメリットについてだ。

 

その時点で既に見限っても良いのだが、折角なので見ていくことにしよう。

 

 

『ただテイオーの脚って正直ガラスじゃん』

 

・そこ言及するんか

・段々テイオーの弱点がバレてきたな…

・元々ガラスではないのかもしれないけど結果的にガラスになったパターンのやつね

・膝、足首含めた身体の柔らかさによるバネが異常に発達=負担先が骨に行く→結果ガラスになりやすい

・何処かしら問題抱えていないと有名なウマ娘になれないんか、この世界は?

・本格化を迎えていようがいまいが、車並みの速度で走るわけだからな…普通の人間の身体ならまず死ぬ

・人間でも何かしらのスポーツで怪我をするし、そもそも怪我しないなんて事は稀だからの

・テイオーステップってそんなに諸刃の剣なん?

・細身の身体であれだけのパワーとスピードを出しているんだから、並大抵のウマ娘とはわけが違うぞ…まあパワーを上げようとしたらしたらで問題発生するだろうからなぁ

・丈夫で強いウマ娘なんてそうそういないわ…強くて丈夫だけど走りたくないって子も中には居るけどな

・テイオーの骨が仮に丈夫だったとしてもキツイでしょ…ってレベルです

 

『流石視聴者ちゃんだ、その通りだよ。基本は柔らかい方がいいんだけど、あれは柔らか過ぎて癖が付きやすいし、単純な問題として骨に負担が行きやすいんよ。詳細は面倒だから大雑把に言っているけど身体が才能に耐えきれない…要は筋肉含めポテンシャルは一流品なんだけど、一流品すぎて壊れた時の損失がやばいパターンね。

ちな、一応テイオーの骨は丈夫な方ではあるし、あの走りを可能にしているのは上半身が完璧だからこそなんで…それと同時に丈夫だったからこそ、これまで保ったわけで…』

 

・高級品ほど壊した時の精神的ダメージもデカい

・絵画を修正しようと依頼したらミスった感じか?

・担当トレーナー結構葛藤してそうだな

・テイオーがプール練習得意なのって救いだよな

・ああ、だからあの練習メニューだったんか

・割と初期の方からウッドにしていたけどその影響か?

・それしかないだろ…ってかモロそれやで

・テイオー退屈に感じてそうだな、大丈夫かこれ

・理解はしていても拒絶しそうだよな

 

『事前に担当トレーナーの事も調べたけど、私と違って有能で試験上位15位以内のコミュ力高えバケモンだったわ。まじでテイオーのトレーナーパネエのなんの』

 

・あの人短距離とマイルの解説上手くね?

・なんか色々強烈っていうか…超越してません?絵は描けるし歌は上手いし…

・あの子ヤケになるとブランデー狂になるからなあ…飲み過ぎなんよなぁ

・香港で買ったらしいけどあの安っぽそうなクソダサ龍王フォントの服は何?www

・あれでハワイに行ったかと思えばまさかのキャンプですよ(ちゃっかりサーフィンとかもしてたけど)

・独特のセンスを持っているというか…どことは言わないけどルドルフに近いんだよな

・小倉愛強すぎる人だよね?

・↑その人で合ってるよ

 

『あの人マジモンの天才+努力家でほんまに格上なんだよ。特徴はわかった上で三冠に臨むつもりだっていうのが練習メニューを見て理解出来るから、その点も素晴らしいと思うし何より丁寧でわかりやすい。軽めのトレーニング内容や水泳重視のメニューにしているのは足元の不安材料がいつ爆発してもおかしくないからこそのもので、実質爆弾みたいな物だからそうするしかないよね?っていうのが丸わかりなくらいウマ娘第一主義でヤバい。真面目な話、ここにいる視聴者は理解している人達が多いから余計に思うところがあるでしょ』

 

・ただの男好きってだけじゃないからな

・練習風景を撮ってウマスタグラムとかに載せている理由ってそういう事?

・↑可能性はあるね、裏で密かに練習しているのかもだけど…と、同時に練習内容を公開したところで問題が無いって意思表明かもしれないし

・トレーナーからしたらヒヤヒヤもの、テイオーを信じたい…期待に応えて見せたいっていう気持ちが伝わってくるわけで、ある意味でプレッシャーを互いに与え続けているってことなのかも

・我儘な一面はあるけど普通に良い子…なのかなあれは

・人間性皆無な天才っているしそれで愛されているならええんとちゃう?

・性格が捻じ曲がっているって感じではない事は確かだから良い子なんじゃないの?

・そりゃあれだけ真っ直ぐな子だもん

・運命の悪戯って残酷やな

・レースが全てって子ほど才能と等しく付き纏ってくるんだもんな、ホンマにさぁ…

 

『だからこそあの才能を潰してしまったとしても認めなきゃいけないのよ…トレーナーなら尚更、ファンなら絶対に。正しく物語でいう主人公だよ、テイオーは…そんなウマ娘に選ばれた人は光栄だよな。正直言って…羨ましいいいいいいいい!!そこ変わってくれええええええ!!』

 

・妬みか

・妬みだな

・妬みね

・嫉妬かよ

・最悪だな

・うわぁ…

・妬みですね

・はぁ…

・しょーもな

・引くわー…

・トレーナーごっこ

・ファンもアンチもお前の死を望んでいると思うよ

・誰がトレーナーになれと望んだ?

・ダメに決まってるだろ…

・420-360

・ダービー前だってのにホント凄いよ、悪い意味で

 

『オホン…んで、その肝心のテイオーなんだが、悩ましいことにトレーニングバカというか…まあ、原因は一つしかないけど』

 

・カイチョー‼︎

・ミテテネー‼︎

・ボクハシンボリルドルフサンミタイナツヨクテカッコイイウマムスメニナリマス‼︎

・ワガハイハー!カイチョーヲー!コエルノダー!

・カッチャウモンニ!

・トウカイテイオーイッチャウヨー!

・ネェ!キイテヨトレーナァー!

・ト゛レ゛ェ゛ェ゛ナ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛

・コレガーキュウキョクムテキノーテイオーサマダー‼︎

・ロクガツミッカニチヨウビニ

 

『おまいらもおまいらで同罪だわ。心の中で良いから謝っとけ。それかテイオーに向けて一言でも良いぞ』

 

・無敗の三冠ウマ娘になるんだろ?お前ならやれる

・クソガキが…絶対ダービー取れよ

・何をしておる、走れテイオー

・止まるんじゃねえぞ…

・テイオーは勝つさ…何故なら私は始祖の三女神を信じている!

・こんなクズな奴らの思う壺になるんじゃねえぞ、ガキ

・ガキが…皐月賞かっこよかったぞ

・クソガキ…偶にはレースだけじゃなくて遊びも必要なんだからな

・ガキが…練習やレースだけが人生じゃないんだぞ

・クソガキ…グッズ大切にするからな

・ガキが…才能に限らず全てを大切にしろよ

 

『やっぱおまいらは私と同じだわ』

 

 

「………………………気持ち悪い」

 

兎に角気味が悪い…一足先の悪意を行っている。これが所謂厄介ファンというやつか。マスコミとはまた違った飴と鞭を使い分ける言葉の暴力を、これでもかと浴びせられるであろう場に、かつてメジロ家の人達やスズカのトレーナーがいたと言うのだから驚きだ。

 

何度も束縛を食らって初めて理解した。こんなものを観ていたら頭がおかしくなるに決まってる…この人はそういう存在なんだ。

 

第一、自身のリスクなんて幼い頃から知っていなければ選手なんて務まるはずがない。今更改まって語る内容でも無いのだ。それをこうして広めるとは…今、お前がどんな顔をして語っているのかは知らないけど、本当にクソ女郎だよ。一体何を考えているんだ?本当に気持ち悪いよ。その正義感溢れたような口調も発言も、聞いているだけで反吐が出そうだ。トレーナーごっこもいい加減にしてもらいたい。半端者の知らない人が、ボクの担当についてもまるで全てを知っているかのように勝手に話すのも腹立たしい。

 

ボクのモヤモヤごと、今から駆除してやる。

 

 

・好き好き言いながら傷を付けて蹴落としたいの?怪我を望んでいるの?どっちなの?

 

 

『あぁん?蹴落とす気なんてねえよ、そんな結末…嫌に決まってんだろ。そこのコメント…良いか、言っておくけどなぁ!こちとら生まれる前から生粋のファンじゃ、テイオーに対して並々ならぬ愛があるわボケェ!お前らも耳かっぽじってよぉく聞け!この先10年ぐらい怪我なんてしてほしくねえ!もっともっとルドルフ以上に勝ってほしい!こんなこと言うのは最低だと思うけど…無敗5連勝なんて気にしない勢いで10連勝くらいして欲しい!!沢山走って欲しいいいいい!!』

 

・ああ…そう…そこまでカッコ悪い事言うとは…

・外野がとやかく言うってのはマナー違反だよね?これって許されるの?

・↑ダメに決まってるだろ!

・困った事にわかった上で止まらないんですよこの人

・うp主、皆が言いたい事言ってくれてありがとう

・タチが悪い事には違いないんだが…理に適っている以上言いたくなるのも無理はないか

・560-480

・ここでどぼめじろう先生が動いた、どぼめじろう先生が動いた!スパートを仕掛けたどぼめじろう先生!大半の視聴者を置き去りにしていく!

・まあ第三者が代弁してくれることで気が楽になるって人もいるから

・この後一人で反省会するんだろうなぁ

・アーカイブにちゃんと残すし、この人まじで性格悪いよな

・これがどぼめじろう先生の本音か

・生まれる前からとか歌じゃないんだから

 

 

先程から呂律が回り、エンジンが回ってきているのが伺える。いや、一周回ってこれは寝不足気味からの深夜テンションなのだろうが、若干空気を読んでこうした発言をしたのだとすれば、配信者の性格的にピルサドスキーやオペラオーに通ずるものがあるのだろうか?それにしては…敢えて空気を読んでいる上での立ち回りにはまず見えない。

 

明らかに素で話している印象がパッと浮かぶのだ。今までの発言を振り返って見ても、話している内容自体は真面目そのものである。つまりは全てが本音であると仮定してまず間違いはないだろう。

 

但し、この雰囲気と知力だけは最悪そのもの…名前を言ってはいけない人扱いされるのも、これそのものが原因です…と示しているようなものだ。不合格者風情が…トレーナー試験に落ちたこと自体が全てを物語っているというのに…。自慢するかの勢いで語っている知識についても、質、量共に敵では無い。視聴者を少なからず離さないようにする話術を持っていようと、いつしか限界が訪れる。

 

そうと決まればやることは一つだ。相手のスタミナをいち早く消費させ後から突き放せば良い…斜行する勢いまで乗らせて、最後の最後にありったけの力を込めて追い詰めよう。

 

本物の天才には敵わないって追い討ちを、余す事なく喰らわせて“理解”せてやる。

 

(イケる…捉える。ここから…ここから!)

 

 

・選手一人一人を信じられない人が試験に落ちるのは当たり前なんじゃないかな?

 

 

・それはそうwww

・ぐうの音も出ないわ

・ど直球な正論は芝

・おい、言われてんぞ

・鎮魂歌には早すぎる

・仕方なかったってやつだ

 

『その通りだ視聴者、お前らの言ってることはすべて正しい』

 

 

・しかも怪我が怖いから、とか言っちゃって本当はメンタル弱々なのを誰かのせいにしたいだけでしょ?滑稽すぎて笑っちゃうよね

 

 

・ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ

・ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ

・惨めだなぁ、この上なく惨めだぞ小娘

・ほら頑張れ頑張れ

・欲しがりメンヘラマゾゴリラ

・トレーナーさん、あとは頼みましたよbyどぼめじろう

 

『頼む…静かに…』

 

 

・じゃあなんで今もトレーナーにしがみついてるの?何がしたいの?英雄にでもなりたいの?

 

 

・ウマ娘を一人残らず救うんだろ、お前ならやれる

・違う…違うんだ…

・お前らが大事だからだ、他の誰よりも…

・矜持も未来も!お前の全てを捧げてウマ娘に寄り縋ろうと!何も救えないとは!

・そうだ…私にはまだあの子達が…

・私にはわからない…ずっとそうだ…

 

『ただやるべき事をやる、ただ進み続ける…それしかないだろ』

 

 

・あのさ、そんな人がトレーナーに選ばれると思う?はっきり言って選ばれるわけないじゃん!

 

 

・んんんんんんん!!!!

・あの日、担当していた子が目の前で倒れて…二度と走れない身体になった…私にはわからなかった…何故だ?何であの子は、怪我をしたんだ?

・それは…私達ウマ娘が油断したから…

・ただ…私のすべきことは、自分がした行いや選択に対し、トレーナーとして…最後まで責任を果たす事だ

・進み続けるんだ、死んでも死んだ後も

・これはお前が始めた物語だろ

・誰かに尊敬されたかった…私が悪いんだよ…

 

『嫌だ…まだ終わりたくない!だから…ごめん…ごめん…ごめんなさい…ごめんなさい』

 

 

・悪いと思ってんなら償えよ!罪を被って責任取れ!

 

 

・負けた…私のせいで…契約も終わる…今日、ここで夢を諦めるんだ

・ここか…私の最後は…

・トレーナーが必要なら私がトレーナーになるから…

・もう嫌なんだ…自分が…

・私達が考えた練習メニューが、担当しているウマ娘達に直接影響しているんだぞ!トレーナーなら今最善を尽くせ!

・別にそれは普通のことだろう…トレーナーなんだからよ

・こんな結末を迎えるなんてしっていたら私は…こんな半端な…クソ女郎にならずに済んだのに…

 

『どうしてお前らは、私を…死なせてくれないんだ』

 

 

・これ以上、誰も苦しめなくていい。これ以上、苦しまなくていい…なのに何故?どうしてそんなに足掻くの?何の為にこんな放送をしているの?本当にウマ娘が好きなんだよね?

 

 

・終わらせるんだろ、ここで

・もういいんだ、トレーナー…もう…わかったから…

・トレーナーさん、ずっと苦しかったんだよね… 今のあたしには、それがわかると思う…

・もう私には何が正しいことなのかわからん!

・辛いなー

・一生URAの晒し者

・しかしよくここまでウマ娘のことを好きだとわかったな

・?そんなことすぐにわかるだろ?

 

『自分で選んだ道だが、オタクをやるってのはどうも体より先に心が削られるみたいだな…』

 

 

・ウマ娘が好きなオタクなんだ!ってそんなことまでして言うんだったら今すぐ証明しろ!テイオーのライバルと言われているマックイーンについて、誰もが知らないような噂の一つや二つ語って証明して見せろよ!

 

 

・なんで…そんなに急ぐんだよ…まだ何も、話し合っていないじゃないか!

・やるんだな、今!ここで!

・何故なら私はどぼめじろう先生を信じている!

・うおおおおおおおおおお!!

・うおおおおおおおおおお!!

・うおおおおおおおおおお!!

・うおおおおおおおおおお!!

・うおおおおおおおおおお!!

・うおおおおおおおおおお!!

 

『ウマ娘ちゃんを想う気持ちはよくわかる。だから………残念だ。すうぅぅ…』

 

 

これでボクよりマックイーンについての知識が劣っていれば所詮はそのレベルという事だ。…計画通り。ボクの勝ちだ。ボクの!勝ちだ!

 

(このまま…このまま!)

 

そう思っていた。侮っていた…ボクはこの人を甘く見ていた。

 

 

『参りましょう!

マックイーンの最も優れているところは心肺機能が桁違いって部分。特徴としては瞬発力勝負をさせないレースに強制的に持ち込む単純に強いウマ娘。

重バ場とか雨とか関係なく無視して走れるし、レース配分と展開をミスらなければ基本どこでも勝てるヤベー奴。勝ち方がつまらないあたり、ルドルフみたいなもんだね。

 

本格化を迎える前からあの異常なスタミナとスピードはおかしいってくらいの才能の持ち主で、どの距離でもそれなりにこなせるが真に光る部分は約2000mを超えたあたりから。

凱旋門賞含む欧州でも普通に走れると思うってくらいのタフさは未知数で先が読めない最も良い例であると同時に、自身の体調管理には人一倍厳しく取り組む一面もあってプロ意識が高い真の強者だよ。

 

幼少期は体質が弱い上に名家特有の仕来りが面倒だったことから、その息抜きとして映画鑑賞を楽しんでいたっていう過去を持ってるね。その影響からか趣味は映画鑑賞になった模様だ。

特に映画に至ってはB級映画【来襲!スペース野球ゾンビ】や【大脱獄】だったかな…を最近だと見ていたと思うよ。因みにトレーニングはお休みというなのサボりをしていたってのがオチね。それが担当トレーナーにバレてしまってね…結論から言ってしまうと、毎日楽しみにしていたトレーナー直伝の手作りスイーツを一週間没収されたそうだ。

マックちゃん、根っこからの頑固者で練習嫌いなのはわかるけどちゃんと練習しましょうね。

 

ああ、そうそうマックイーンといえば野球だよ野球。野球観戦に至ってはライアンが誘ったきっかけからなんだよね。おかげで今では野球バカと断じていいくらいの熱狂的なファンにまで堕ちてしまったよ。ヴィクトリーズの試合で見かけたらそっとしておいてくれよな。

喉が潰れないステイヤーとしてそろそろ有名になるかもしれないって噂、広まってて良かったねマックイーン。もうこれでつまらないウマ娘って言われないで済むよマックイーン。落ち着いてその拳を引っ込めようよマックイーン。名優って二つ名、気に入ってくれると嬉しいな、と私はそう思っている次第であります。

おおっと …マックイーンの怒りがスパートに入ろうとしているぞ、もう言葉はいらないか、言葉はいらないのか!マックイーン、今年こそもう一度頑張れマックイーン。しかし噂は完全に広まってしまった!あぁ〜という悲鳴はただ一人しか挙げていない!これはもう奇跡でも夢でもない!現実だ!メジロマックイーンです!

あとあのステイヤーとしての素質、応援歌や試合観戦の長丁場によってスタミナが磨かれたかもしれないって可能性が浮上しているんだよね。野球好きのウマ娘は、マックちゃんと仲良くなれるチャンス掴めるかもねってこと。いい?もうパンドラの箱は空いちゃったの。

 

ああ、歌といえば!サンデーサイレンスはマックイーンとコラボして応援歌歌ってください、お願いします何でもしますから!

 

まあ、それはそれとして、ライアンはその責任を負うべきだね。罰として宝塚記念でマックイーンから勝利をもぎ取りなさい。ちな、今年の宝塚記念にライアン来るけど仕上がりまっっっっじでパネエから注目しときなさい。メジロでもライアンの方だと思っちゃうほど、期待以上の出来ですわ!

りゃいあん!カッコいいウマ娘ってだけで人気が出るわけじゃないってところ見せてくださいまし!あなたはマックイーンを倒すだけの実力は確実にありますわ!楽しみながら強さを証明するのですよ、りゃ!い!あ!ん!パワー!!…ハッ。

 

余談だけどスイーツといえばお菓子ってイメージが強いと思うんだが、だが!待って欲しい…マックちゃんはここに目がないんだ。さっきもネタにしたけど、マックイーンってお菓子やスイーツといった甘いもの…というより基本食べる事が好きというウマ娘らしい幼さというか可愛らしい一面があるんだ。実に素晴らしいギャップ萌えを持っているとは思わないかね?

そこのあなた!今なら和栗二種の限定モンブランをパクパクっと食べているマックイーンのイラストをここで描いてみせましょうか…それともプリンにして差し上げましょうか、如何です?食べる姿は正にパクパクっと擬音語がその場で聞こえてくるかのように、美味そうに味わうその姿は癒されること間違い無しですわ!って感じなんよね。

はぁぁぁああん‼︎手が止まりませんわ!美味すぎて手が止まりませんわ!パクパクですわ!って一回で良いから言って欲しいですわ。このセリフさえあれば勝ちですわ。シュパパパパサクサクサクですわーっ!!

 

因みに料理スキルはお嬢様の癖に壊滅的に下手ですわ!米を一粒ずつ洗ったり、食材を煮込む事すら出来ませんわ!お可愛いこと…ですわぁ!そんなんじゃお金を沢山積まれても、男は寄ってきませんわよ!レースだけでなく自分磨きにも精進なさい!

 

さてさて、盛り上がりも終盤へと差し掛かってまいりました!この幸せとも思える時間と引き換え…というか犠牲にしなければならない事態があってね。それがマックイーン…どうも太りやすい体質が他のウマ娘より酷いんだ。それが筋肉とかに変われば良いんだけどどうもプロレスラー並みかそれ以上に控えないと太ってしまうんだよ。けどね?それがまたね?良い味を出しているわけなんですよ…理解りますか?視聴者さんも理解っちゃった?この美学が!極端すぎてこれはびっくりマックイーン、ということなんですの!

 

誕生日は4月3日、靴のサイズは22.5cm、身長は159cmで体重はここ最近の様子だと2kgくらい増えたんじゃないかな?スリーサイズは上からB71・W54・H76、前が壁!体重については、トレーナーは気付いています。でも、肝心の本人が隠そうとするんですよね。気付いてない、動かない、マックちゃん、可愛いね。涙が出るくらい笑い転げてしまいますけれども。

 

そんなマックちゃんの交流関係はメジロ家以外にもサンデーサイレンス、イクノディクタス、トウカイテイオー、ゴールドシップなどなど錚々たるメンツに囲まれており、本人も「私みたいな未熟者と仲良くしていただき感謝しておりますわ。」とコメントするデレた一面も見せるあざといウマ娘ですわ!そんな場面を想像しただけで…えへへへええぇぇぁぁ……ン゛ッ!!!……ン゛ン゛ッッッ!!!!……はぁぁぁ…何とか堪えた…危うく魂まで持っていかれるところだった。

ンンッ…そうした一面すらも非常に愛おしく思える私、イチオシのウマ娘ですね。

 

というかメジロ家ってネタにする要素なんて基本無いのよね。アルダンとかラモーヌは清楚で美しいし良い匂いしてそうだし、パーマーやライアンは見ていて元気貰えるし、かっこよくてスタイルも抜群。ていうか、ドーベルだって姉妹想いで絵や写真といった芸術センスは羨ましいし、愛嬌があって可愛いんだよ。ブライトはふわふわでおっとりしていて癒されるし、マックイーンだってレースが強い』

 

 

(………………………え?………は?…え?)

 

 

・どうして…どうしてですのぉ!ってあの子は泣いてるよ、きっと

・どうした急に

・マックちゃん暴飲暴食してそう

・待ってあいつ2kgも増えてんのかよ

・プライバシーどこいったん

・少なからずマックイーンの印象が良くなったのは認めるけど正直認めたくない

・りゃいあん!りゃいあん‼︎

・名優って二つ名お前が発端かい!

・【定期】マックイーンのデレた発言はどぼめじろう先生の妄想ネタです

・なぁんでこんなメンタルでメジロ家に喧嘩ふっかけられるんでしょうねぇ

・怖いねえ、この若さ

・かっこいい二つ名付けたなぁ→由来聞く→ええ…

・消えない思い出がまた1ページ(物理)

・メジロ家×うp主×ダークライ

・そろそろメジロ家から訴えられても良いんじゃない?

・訴えるなんてしたら大人げないってイメージ持たれるだけです

・する時間があるだけ無駄でしょ

・ゴルシは面白いけど、こいつのボケはクソボケすぎて…

・もうお前メジロ家に入れてもらえよ

・特定の人たち以外の視聴者全員がそう思ってるんだよなぁ

・「なあメジロ家、こいつどうにかして貰うことできるか?」

・「できる訳ないじゃないですか!」

・夢の対決.でメジロ家とうp主戦わせろ

・お前何人推し居るん?ライスシャワーやミホノブルボンはどうした

・スズカやシービーその他諸々私イチオシのウマ娘ですって言ってる人なんで…

 

『推しは何人いようと推しであり、ウマ娘ちゃん達は総じて最高なのです…私はただ!その光に平伏すのみなのですっ!ぜぇ……はぁ……ぜぇ………はぁ………ふぅ……』

 

 

ぴぇ…なんて反応では済まされない。ネタで済ましていい情報では無い。

 

 

・あの、ちょっといいかな

 

 

『あっはい!?なんでしょうか?ってさっきコメントしてくれた人だよね、ネタ提供ありがとう!で、どしたん?あ、もしかして語りたい側の人?ならお詫びにウマ娘ちゃん語りの一つでもしていくかい?あ、描きたい側の人かもしれないよね、どうしようかな…』

 

 

そんなオタクがどうのこうの…とかどうでもいい。今まで描いた絵だとか発言とか、変な気遣いも少し前に抱いていた感情とかもどうでもいい。それよりも確認したかった。

 

 

・現時点でのテイオーのスリーサイズや体重とかってのも把握してたりするのかな?

 

 

『へ?テイオーのスリーサイズ?B77・W54・H76でしょ。何なら学園に居る大半のウマ娘のスリーサイズ記憶しているけどってのは置いといて、体重なんて珍しい質問するね。えっと…あぁ、これかな?最近の傾向から見るに、恐らく0.4kg増加。あくまで予想なんだけど…それがどうかしたの?』

 

 

サーっと頭から血の気が引いていく感覚に、思わず顔を左右に振らしてしまう。同時に机の下や教科書の間など、身近にあるありとあらゆる隙間を探る。

 

管理体制がしっかりと整えられている為、そんなはずはない…あるはずがないと信じた上で尚、辺りを見回した。

 

(マヤノは居ないし、いつもと変わらない部屋のまま…だよね?)

 

それらしきものが見つかる事もなく、躊躇いながらそっとブラウザを閉じる。指は震え、冷や汗は止まらない。

 

ボクはこの放送を見ていなかった。

 

ボクハ、コノホウソウヲ、ミテイナカッタ。

 

ヨシ。

 

それでもこれだけは頭の片隅に残しておくべき事柄だった。単純な恐怖体験として、教訓にしておくべきだと…そう留めておいたのだ。

 

彼女は間違いなくレズのサディストなんだ…と。

 

ここへは二度と近寄らないと、心に刻み込むようにして誓いを立てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから先の事はあまり覚えていない。なけなしの体力を温存し、時間をこれ以上無駄にしないように、と休日を目一杯楽しんで過ごした。

 

休日が終われば、また何かから逃げるようにトレーニングに打ち込んだ…レース当日を迎えるその時まで、その記憶があったことすら忘れるくらい夢中になって…

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして訪れた忘れもしない5月26日。

 

 

 

 

 

 

 

 

『国民的スポーツエンターテインメント、トゥインクルシリーズ。本日のメインレースは東京優駿ですが、なんと入場規制が敷かれました。ここ府中に多くの人々が、ウマ娘を見に集まっています。

天候は晴れ、良バ場です。実に嬉しい限りですね』

 

『東京レース場のパドックにウマ娘が18名集まりました、それぞれご紹介していきましょう。一番人気のトウカイテイオーは46.0kgです。前走からは+0.4kgとなっています。二番人気に推されましたレオダーバンは49.2kg、+0.4kgです。こちらは三番人気シャコーグレイド、45.8kgは前走と比べて0.2kg増えています。四番人気イイデセゾンは……』

 

『二番人気レオダーバン、三番人気へと推されましたシャコーグレイドがターフへと入場してきました。それぞれマルゼンスキー、ミスターシービーが期待を寄せています。そしてそれらを押し退けて圧倒的人気を誇る、ここまで無敗の皐月賞ウマ娘トウカイテイオーも姿を現しました。無敗の三冠ウマ娘シンボリルドルフからは『言及する必要が無い出来だ、勝つ確率は十二分にある。』トウカイテイオーの担当トレーナーからも『9割以上の確率でテイオーが勝つだろう』、とそれぞれコメントを貰っています。果たして無事に二冠を制する事が出来るのでしょうか、こちらも注目です』

 

『スタート地点の方ではターフから湿気が立ち昇って、全体の熱気がより蒸し暑い感じがしています。選手の方ですが…えー、少しばかり汗が流れている様子は見られますが、各ウマ娘ほぼ掛かる事なく落ち着いています。特にトウカイテイオーの集中力は悠然といった表情です。ではファンファーレ!』

 

『レオダーバンが少しばかり枠入りを嫌がりましたが、順調に枠入りが進んでいます。各ウマ娘の枠入りが完了していっています。あとはトウカイテイオーを待つばかり。最後、トウカイテイオーが落ち着いた様子で…今、入りました。皐月賞に続いて、無敗で東京優駿を制する事が出来るのか!』

 

『……ゲートが開いて、スタートしました!トウカイテイオー中々良いスタートであります。逃げ宣言をしたアフターミーを始めとしてホクセイシプレー、シンホリスキーが続いています。内にスーッと切り込んでいっていった隊列を見るようにして、第一コーナーへ向かいましたトウカイテイオーは1.2.3.4.5.6.7.8番手、外目8番手で第一コーナーをカーブしていきます』

 

『各ウマ娘の現在の並びを整理していきましょう。アフターミーが先頭、2番手にシンホリスキー、その外目にホクセイシプレーが続いて、レオサイレンスが4番手、5番手にイイデサターン、6番手にワンモアライブ、中団アウトコースここにいた!ここに居ましたトウカイテイオーです!トウカイテイオーが7番手で向こう正面へと回りました!その後ろでありますが、ロングタックル、レオダーバンはこの位置、ここから先頭までは12.3バ身といったところか。イイデシビア、イイデセゾン、イブキノウンカイを見つつ後方からジワジワと狙っているのはシャコーグレイド、シャコーグレイドは後方から二番手であります。一人遅れる形でコガネパワーがその様子をじっくりと伺っている。ここから前を狙えるのか、早くも第三コーナーの手前、坂を登って下り坂、1000mを切ろうかと言うところであります。先頭アフターミー、1000mを切りました。四コーナーへと向かっていきます!トウカイテイオーは依然として7番手!好位置をキープした形でトウカイテイオー、そしてそれをマークする形でレオダーバンが前を狙っている!さあ!トウカイテイオーが6番手、5番手と上がってくる!トウカイテイオー少しだけ外に寄れたか、残り400mと少々!400を切った!坂を登る!早くも先頭争いは決着か、レオダーバンが2番手!』

 

『帝王が皇帝を超えるか!抜けた抜けた抜けたぞトウカイテイオー!悔しいと思える程の天才が現れました!格が違う!強い、強すぎるぞトウカイテイオー!プレッシャーなんて何のその!全ての不安を退けて、憧れに向かって、三冠に向かって爆進するのみ!トウカイテイオーが先頭!トウカイテイオーが先頭!3バ身と離した!最後は余裕を持って圧勝!今、ゴールイン!二冠達成!トウカイテイオー二冠達成!これは文句なしの横綱相撲!堂々と夢を追うようにして、見事勝利を収めました!トウカイテイオーです!』

 

 

無事に勝利を飾った後…いや、ゴール直前になる寸前だろうか。突如思い出したかのように嫌な記憶が蘇った。

 

 

余りにも夢と酷似している。

 

 

徐々に侵食していく左足の痛みが、ジンジンと身体を犯していくかのように広がってきた。

 

 

意識を奪われそうになるも、観客にだけはバレないようにと自分を偽った。

 

 

そうして控室で待っていたトレーナーに告げる。

 

 

暫くして場内にアナウンスが響き渡った。

 

 

その時、ボクはレース場には居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『お知らせいたします。トウカイテイオーに故障が見られた為、ウイニングライブに出場しないことを表明致しました。繰り返しお伝え致します。トウカイテイオーに故障が見られた為………』

 

 

 

 

 

 

 

 

ダービー勝利後、ボクは本当に怪我をした。

 

 

 




 


補足
現代基準かつアニメ、ゲームと同じく18枠での出走。単枠指定枠番20は史実要素として採用。

偉大なるウマ娘のおじさんさん、お誕生日おめでとうございます。(私事により超絶出遅れ)


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