皆様初めましてKokomoです。今回初めて投稿させていただきました。いきなりですが読む前に注意事項です。キャラ改変や設定捏造、オリジナル展開などがあります。
また、失踪してしまう可能性が非常に高いです。感想など返信が難しいと思われます。それでもいいよという方は是非、楽しんでください。
※一部誤解を招く様な発言を改定致しました。申し訳ございません。
001
さて、どうしたものか。帰宅したと思えば見知らぬ土地に立っていた。夜にも関わらずねっとりとした風が頬をなで、嫌な汗が背中を伝う。
顔はポーカーフェイスを保っているがあくまで、2度目の人生で得た経験に基づいた行動からだ。内心『ココドコ?』でいっぱいいっぱいだ。ここでキョドってしまえば黒スーツ姿の不審者が完成し、即職質だ......職質があるのかわからないが、警戒しといた方がいいだろう。
少なくとも、自分がいた日本とは違うことが一目で分かる。そこはこの際どうでもいい。何よりも問題なのが歩いている人々の姿だ。
ケモ耳だ。
中には角や尻尾、今すぐにでも抱きついたら今の状況をなにも気にすることなく、安眠できそうな程の美しい毛並み……………うん異世界転移だ。少なくとも、日本や海外にあのようなホモサピエンスはいなかった。
実のところ、こういった経験は体験済みだ。しかし、現代の日本に転生したあと、獣人がいるような世界に放り出されるなど思いもよらなかった。しかも、それがどこか見覚えのあるような世界ならばなおさらだ。
まぁ、散策だ。目の前の問題は山積みだ。解決しなければ野垂れ死ぬか、そこら辺でうろちょろしているごろつきに殺されてしまう。そんな思考がよぎれば、歩く速度が自然と早くなる。とにもかくにも職や言語、金をどうにかしなければ。
ああ、しかし、
ふと、立ち止まり空を見上げれば満天の星。こんな状況でも美しく感じてしまう程で、そんな状況下におかれた自分につい苦笑してしまう。まだ自分の状況を詳しくで理解できてないからなのか、足取りは軽やか。
あまり動かせていな脳を動かそうと、原作知識を思い出す。
惑星テラ、それはHypergryphが開発したソーシャルゲームのアークナイツの舞台である惑星の名称だ。日本での運営がYostarであり、自分も転生する前に楽しませて貰った。しかし、こんな世界に来るならば、もっと真剣にやるべきだった。
なんせこの世界、なかなかに世界観が悲惨だ。そんな世界で生き残るために最低限知っておくべきことがある。
それは
病状が進行するごとに、
そのせいで感染者の差別が激しいのだが、こればかりは仕方がない。
政治や国際問題が複雑に絡み合った結果だ。いわば都合だろう。個人で動くにはここら辺のいざこざは、要注意だ。国を敵にまわすなど自殺行為だ。
この世界には様々な種族が生活しており、独自の文化を築き上げてきた。それぞれの文化が違えば当然争いが起こる。不治の病以外にも天災などの問題がある。
そんな中、感染者のために立ち上がるものもいる。その組織がロドスアイランドなのだが、その前の名前を覚えていない。
致命的である。確か経歴など不問で雇ってくれるらしいので事務員として入職したかった。
さて散策も終わり、一夜を明かすにはうってつけの場所を見つけた。ここまでで、できる限りの情報を整理してみたがやはりほとんど覚えていない。つまり原作知識など無いに等しい状態だ。
まぁ、見た目が10代後半でも精神年齢は95を越える。ゲームをプレイしていたのは転生前の大学生時代なのだから覚えているはずもない。
横になると精神的に疲れてるのか、瞼が異常に重く感じゆっくりと閉じた。
目が覚めるとすっかり朝になっており、昨日の雰囲気が一変し清々しい気分だ。無事に生き残れたことを噛み締めながら、全身のストレッチを行う。
昨日の散策で気がついたが、話している言語は日本語だったしポスターなども日本語だった。言語が同じなのが不思議でたまらないが、全く通じなくて詰みな状況じゃなくてよかった。
しかし、それでも一文無しに変わりはない。このままでは確実に死ぬだろう。スーツも野宿したせいか少々汚れている。
自分の目覚めきってない頭で必死に考える。
「あ、トランスポーター」
前世で見たアクション映画でジェイ○ン・ステイサムが主演を勤めていたものだ。あれには痺れた。ド派手なアクション(運び屋なはずなのに)は心が踊ったものだ。
案外いいかも知れん。というか国籍や身分証明がない状態だ。経歴は見事に真っ白。まともな職に就けると思えん。昨日見た貼り紙のところまで歩き、手に取る。
依頼書、もちろん非合法で給料が安く下請けのようなものだ。下の方には住所が書いており、そこで直接面接のようなものを受け仕事を行う、といったことが書かれていた。
ちなみに選んだ理由だが、マークがかっこよかったからだ。我ながらだいぶ気が狂ってると思う。
「一か八か、やるしかないかぁ」
どうせ生きるか死ぬかの瀬戸際だ。賭けてみるのも悪くない。
しかし、いざ行動するとなるとコードネームが必要だ。己のネームバリューになるかもしれない。真面目に考えねばなるまい。
自分に自覚を持たせるために、あえて声に出す。
コードネームーー
薄暗い部屋の中には口元を隠した緋色の髪の乙女と、黒いフードを被った男は、二人で見詰め合っていた。どちらも種族は、ループス族。詰めた重苦しい空気で二人とも疲弊を露にしていた。
男の方がアタッシュケースを眺めながら、生気のない声で問う。
「それで、追手は?」
緋色の乙女は頭を横に振るわせるだけだった。無意識に言葉を呑んでしまう。本来この部屋は会議室であり、二人だけで使われる場所ではない。
「別にお前を責めたいわけじゃない。合流先の見通しが悪かった。ナビゲーターである俺が気付けなかったんだ。お前のせいじゃない」
「.........」
乙女は、ただただ沈黙。残りの十七席には、戦友たちが座っていた。もはやその席に誰も座ることはない。目の前にいたナビゲーターは、席をはずした。
今回の任務は感染した子供達を保護することが部隊の作戦だった。
自分の仕事は密偵。この地区にいる敵対勢力の監視だった。あらかじめ、敵対勢力の不穏な動きを察知した自分は、己の足の速さを生かし仲間にいち早く伝えた。合流先を変更し5人の子供達を保護し無事に終わるはずだった。
相手の罠でなければ。
合流地点には6歳にも満たない保護する予定の子供達が倒れていた。外傷が酷く出血量が多い。時間も相当経過していたため、助かる確率が低かった。それでも諦めず、後ろにいた医療班が一歩踏み出した。その時だ。
バシャ
目の前にいた医療班の1人の首が宙を舞っていた。
そこからあまり覚えていない。
隊長が殿を請け負って時間を稼いでくれたことで命からがら逃げ延びたのだ。隊長を犠牲にして。
残ったものはアタッシュケースに入れた敵の資料、そして隊長が残してくれた謎の連絡先だけだ。通信なども傍受されてる可能性があり、連絡先は使えない。この仮拠点もいつ特定されるかわからない。3日保っている状態はまさに奇跡だ。
自分のアーツを使えば、この町から脱出することは不可能ではない。自分のアーツは敵の包囲網を容易く突破できる。幸い敵にはまだ知られてない。手持ちの武器がナイフ一本で心許ないが、ナビゲーターと協力すれば。そうすればーー
そんな思考は遮られた。アタッシュケースと連絡先を素早く回収する。己の直感に従い、後ろを見向きもせずに横に避ける。敵を視認する前に腰に携えていた得物を抜かず、アタッシュケースを窓に投擲。
バシャンと派手に音を立てて散った硝子。あそこから飛び降りても安全なのは、確認済み。硝子片で多少は負傷してしまうだろうが、後ろに迫っているであろう危機に比べれば安いものだ。
「ッ………」
腕やふくらはぎなどに硝子片がささった。着地には成功し、そのまま東方向を走り抜けてゆく。
しばらく先に人が倒れていた。見覚えのあるループスの男だ。近寄って状態を確認する。左胸に、ぽっかりと空虚な穴が空いた。
「…………」
とうとう生き残りは俺一人。
脚がすくみ、目眩がする。強い吐き気が腹のそこから込み上げてくる。そんな吐き気をグッと押し込み、目の前の現実をもう一度直視する。
彼が脱いだのだろうか?
側には男のフード付きのパーカーが投げ捨てられていた。自然に手が伸びる。薄汚いやや大きめなパーカーを羽織って、フードを深く被った。
視界は狭まり、仲間の匂いがうすらうすら香る。
歯をくいしばって後ろを振り返らず、がむしゃらに走る。何も考えず、ただひたすら前へ、前へ。
裏路地などを経由したお陰だろうか。密偵として、仮拠点からの逃走ルートを確認していたのが、功を奏し得た。月明かりが夜道を薄暗く照らしなんとか隠れられそうな場所を探す。
少し先に分かれ道がある。右の通路を通り抜け角を右に曲がったときのことだ。
「ッ……」
「おっと……ん?」
ドンと派手な音たて、思いもよらない衝撃で後ろに倒れる。そこで、ぶつかってしまった相手の姿が初めて目に入った。
黒髪であまり見たことのない顔立ちをしている。感染者のようには見えない。黒のジャケットを着こなしており、種族は不明。おそらく男性で20代。身長は、170以上だろうか。瞳は黒く、どこか引き付けられる。いや、目がそらせない。
彼の手には、俺がぶつかった時に落とした連絡先が載っている紙。
「そこのお嬢さん」
目の前の男から声がかかる。
「この連絡先を渡した奴、知ってるか?」
声からは、感情が読み取れない。
だが、彼の黒い瞳が濁っていく。首にナイフを突き立てられたような感覚が押し寄せ、尋問を受けている気分だ……答えない訳には、いかない。
「ああ………死んだ………」
「そうか……それで、誰にやられた?」
横に転がっているアタッシュケースを、渡すべきか迷う。そんな様子を察してか、軽い口調で先程拾った紙を見せびらかしながら、声をかけてくる。
「奴とは知り合いでな。この連絡先は俺の事務所なんだよ。個人的な契約で雇われていたんだが……どうしたもんかね。死んだとなると、契約は無効だな」
彼は、背を向けこの場を立ち去ろうとする。その後ろ姿が、俺の不安を煽った。
ーー独りになりたくない、置いてかないで。誰でもいいからーー
「待ってくれ!」
「…………なんだ?」
思わず呼び止めてしまった。不安と恐怖でどうにかなってしまいそうだ。目の前ので倒れ散っていた仲間のためにも、生き残らなければならない。
先程の様子から察するに、男は傭兵で間違いないだろう。それも相当の修羅場を潜ってきたにちがいない。
この男と一緒に行動したい。そのためにはどうすればいいか……覚悟は、決まった。それを相手に伝えるため大きな声で伝えた。
「雇いたい」
男の足が止まった。
「…………………………対価は」
当然お金など置いてきた。あるのはナイフと敵の資料だけだ。差し出せるものなんて、一つしかない。断られてしまうかもしれない。それでもどうしても生き残りたい。独りになりたくない。これは、賭けだ。ここで助かったとしても次はない。
「(俺の)いのちを」
おそらくだがこの男はこれを予想していたのだろう。その証拠に報酬ではなく、対価を要求してきた。ぶつかった時に、俺にお金がないことに気がついたのだろうか?
「本気か……なんて聞くのは、愚問だな。わかった。その依頼、受けよう」
黒い瞳が、こちらを射ぬく。
「まずは、自己紹介だ。まぁ、偽名だがな。ーーーーー」
あれから七年良く生きていられたものだ。しかし、ここ最近は忙しすぎて体調に影響が出た。そのため事務所を休みにしてしまった。
ふと、自分にご褒美があってもいいのではないか、と思い旅行に来てみたのだが。仕事で殆どの大陸にいく機会があってか、移動都市にはよくお世話になったものだ。まぁ、仕事のせいで殆ど楽しめた記憶などなく、命にかかわることばかりだ………………うん、俺が必死に逃げ回ってる記憶しかないぞ。
おかしいなトランスポーターってこんなにブラックで危険な職業だっけ?
個人で営業してるお陰で一度の報酬がでかいのが救いだが(生きていれば)。
ただ最近身に覚えのない大金が送られてきて、ビクビクしてる。どこから送られてきたのか分からないので、ずっと使わずに保管している。そのせいで貯金がだいぶ潤ってきた。
過労とストレスのせいか、目が濁ってきたが。
知り合いの闇医者に偽札みせたところ、偽札ではないそうで一安心だ。でも肝心の目は診察してくれなかった。
というか、ここら辺は物騒だな。先程から夜だというのに爆発音などが聞こえてくる。まぁいつものことか(感覚麻痺)。この世界は大体そうだ。
歩くさなか見上げれば満天の星。この世界に放り出された時もそうだった。
「お、流れ星」
なにか良いことがありそうだ。自然と気分が上がり、近場にちょうど良さそうな店がないか探す。その時だった。
曲がり角を左に曲がろうとしたら、パンを食わえた乙女がぶつかってきた。
そんなことだったらどれ程よかったか。飛び出してきたのは、サイズがやや大きめのパーカーを着ており、腰回りが細長い形状に膨らんでいることから武器を携えていることが分かる乙女。種族はループス、口元を隠していた。
悲しいかな。映画や漫画なら彼女を支えたり、自分の敵になりうるか素早く判断してから、落としてしまうであろうアタッシュケースを華麗にキャッチするのだろうが、現実はそう上手くいかない。
「ッ……」
「おっと……ん?」
彼女は勢い余って後ろに尻餅をつき、横にはアタッシュケースが転がっていた。
一瞬、依頼しにきたかと思ったがよくよく体をみると、所々傷が目立つ。
彼女の目を視て確信する。戦場を知ってる目だ。疲弊しており、近寄りがたい。その癖して体は殺戮マシーンのように素早く動く。さて、そんな人物が裏路地から出てきたとなれば大抵厄介事だ。
………………嫌な予感がする。頼むから休日に仕事なんてやめてくれ。しかし、彼女が落としたメモらしき物が視線に入ってしまう。
連絡先は、俺の事務所で書き方にも覚えがある。たしか、ループスで固めた民間軍事企業で部隊を率いていた奴だ。
彼女が持っているということは………
連絡先を拾い、努めて優しくきいてみる。
「そこのお嬢さん、この連絡先を渡した奴知ってるか?」
すると小さな声だが返事をかえしてくれた。
「ああ………死んだ………」
ふむ、精神がすり減ってるな。奴はなかなかに腕がたつようだがこの様子だと目の前にいる彼女以外全滅か………ヤバ、どうしよ。あまり親しくなかったが、個人的に契約を結んでいたのに。これでは契約無効だ。思うところもあるが、今はそれどころじゃない。
先程の爆発音と関係があるならここは、戦場になる。
「そうか……それで、誰にやられたんだ」
彼女は一瞬アタッシュケースを視て俯いた。
「奴とは、知り合いでな。この連絡先は俺の事務所なんだよ。個人的な契約で雇われていたんだが……どうしたもんかね。死んだとなると、契約は無効だな。」
まぁ、契約といっても護衛などではなく運送だが。
「待ってくれ!」
おっといけない、考え事をしようとすると、つい歩き回ろうとしてしまう。
こんな夜道に一人にはさせないもりだったが勘違いさせてしまった。しかし、大人になると空気を読むことも必要なスキルだ。
「なんだ?」
「雇いたい」
…………立ち去った方がよかったかな。あれか、お前の契約中に死んだから責任とって道連れだよね、と言うことか…………妙に涼しいのは、気のせいだろう。たぶん夜だからだ。
まぁ、この程度で動揺する程やわではない。冷静に言葉を選び、小さな声で聞いてみることにする。
「…………対価は」
「いのちを」
なんだろう。川の向こうで祖父が手で招いてる気がする。
あーあ。逃げるにしろ、巻き込まれるにしろ契約は契約。依頼主がたまたまバカンス先にいて、そこでたまたま死んだのならば後始末は必須。そんな掟があったなぁー。一体誰がこんな裏社会の掟作ったんだよ。お陰で腹をくくるしかない状況だぞ。
「本気か……なんて聞くのは、愚問だな。わかった。その依頼を受けよう。(白目)」
ああ、忘れるところだった。俺にとって、もっとも大事なこと。己の存在証明。
といっても自分で決めた方は、殆ど使わなかった。周りからの二つ名の方が有名だ。商売的にもそっちの方が都合が良かったがどうせならと、二つの呼び名を合わせて使っている。意味は分からないがそれなりに気にいっている。
「まずは、自己紹介だな。まぁ、偽名だからさほど意味はない。パラベラム・クリープ、そう呼ばれてる。以後よろしく」
この出会いがなにをもたらすかはまだ分からない。
未来はまだ不確定だ。
小さな変化はやがて大きくなる。勘違いもまた激しくなる。
それだけが男の預かり知らぬところで決まったことだ。