東方短話録   作:puc119

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苦味とえぐみの強い珈琲へ溶けないよう角砂糖をそっと底へ沈めてみました

約7000文字です
それでもよろしければどうぞ




一緒にいるだけで

 

 

 ちょっとした勘違いとか、すれ違いとかそれくらいは生きていれば起こることがあると思う。

 

 結局のところ、アイツは何時だって私に優しかったし、私のために頑張っていた。

 そのことを私は気づいていたはずなのに、ちょっとずれちゃったせいで……少しだけ間違えちゃったせいで、それは簡単に終わった。

 

 私だけがいけなかったわけじゃないと思う。でも、やったのは私で、やられたのはアイツだ。

 

 

 だからこれは――私が壊したお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

「あ、あの……妹様?」

「なあに?」

 

 いつもの場所でいつものように過ごす。それが最近の私の過ごし方だった。

 此処は自分の場所なんだって思うことができると、それだけで安心できる。そんなことが心地良かったんだと思う。

 

 私の部屋で、そこにいるのは私とアイツだけ。それが私の過ごす日常のほとんどだった。

 

「その……膝の上に座っていられると仕事が……」

 

 困ったようなアイツの顔。そんな顔を見るとクスクスと私の口から何かが落ちた。でもこれは悪い気分じゃない。

 

「あら? 私が重いってことかしら?」

 

 そんな言葉を私が溢すと、アイツはもっと困ったような顔をして、慌て始めた。

 それはいつも通りの光景で、私はそれが気に入っている。

 

「い、いえ、まさか。そうは思いませんが、その……これじゃあ、立ち上がることもできませんし」

 

 相手が何もできないのをわかっている。ちょっと意地汚いかなぁ。なんて思わなくもないけれど、アイツが相手だからやっぱりこれで良いと思う。

 

「私は知らなーい。ほらほら、掃除に行かないとまた咲夜に怒られちゃうよ?」

「そう言うのなら、退いてくださいよ……」

 

 困り顔のアイツ。

 クスクスと笑う私。

 

 うん。やっぱりこれは悪い気分じゃない。

 

 

 

 

 アイツが紅魔館に来てから、幾年かの時は過ぎたと思う。何があって紅魔館へ来たのかは知らないし、その時の私はアイツに興味なんて何もなかった。

 霊力なんてほとんどないし、空だってまともに飛べない。つまり、何の力もないただの人間。それがアイツだった。

 

 そんなアイツが紅魔館で暮らすようになり、そこで私の世話と言う役割が与えられた。それはたぶん、お姉様が言ったからだと思う。自分で言うのもおかしいけれど、普通なら私に近づこうとするはずがないもの。それも力もない人間ならなおのこと。

 そんなことくらい私もわかっていたから、できるだけアイツとは関わらないようにしていた。どうせ私が怖くなって直ぐに逃げ出す。例え私が優しく接しようが、相手は逃げてしまう。そんなこともわかっていたから。

 

 そうだと言うのに、アイツは何かがおかしかった。

 毎晩、ちゃんと私を起こしに来てくれるし、食事だって運んでくれる。どんなに私が無視しても話かけてくるし、何が楽しいのかはわかんないけどクルクルとよく笑う奴だった。

 

 だからアイツに対してちょっとだけ興味が湧いた。

 

 今じゃ考えられないことだけど、その頃の私は本当におっかなびっくりと言った感じで、アイツの顔も見なければ、その身体に触ることもしなかった。

 それでも、少しずつ少しずつ私は近づいた。挨拶から始まって、雑談まで広がって、やっとアイツの顔を見ることができるようになって、その身体にも触れるようになって……今では離れることができそうにないほど。

 

 私と比べて人間は弱く……脆い。簡単に、直ぐに壊れてしまう。だから私は避けるようになったんじゃないかなって思う。別に壊すつもりはなくても、壊れてしまうことがあったから。

 

 そんな私は臆病者だった。

 別段好かれるようなことをするわけでもないのに、自分が嫌われることは酷く嫌がる。

 

 でもやっぱり嫌われるのは好きじゃない。

 

 

「そう言えば、いつもその手帳に何か書いてるけど、何を書いているの?」

 

 このままアイツの膝の上に座り続け、咲夜に怒られる姿を見るのも良かったけれど、それは昨日見たから止めておいた。

 そして感謝されるようなことではないはずなのに、私が退くとアイツは――ありがとうございます。とお礼の言葉を述べた。そんなアイツの言葉はどうにもむずがゆい。

 

「色々なことですよ。せっかく咲夜さんから戴いたので、使ってみようと思いまして」

 

 色々なこと……それがちょっと気になった。

 

「見せて」

「すみませんが、こればかりは……それにパチュリー様に頼んで、この手帳には魔法をかけてもらいました。ですので、僕が死ぬまで中身をお見せすることはできないかと思いますよ」

 

 なんだ。つまらない。

 そうまでして隠したいことがあるってことなのかな? もしその隠し事を私が知ってしまったら、コイツはどんな顔をするだろう。いつものように、困った顔をしながらも許してくれるのだろうか。

 

 それとも……

 

「っと、すみません。流石にそろそろ行かなきゃいけません。お嬢様に用事があるので時間はかかるかと思いますが、また来ますね」

 

 そんな言葉を落とすと、申し訳なさそうな顔をしながらアイツは私の部屋を後にした。

 パタリとこの部屋にある扉がゆっくりと閉まる。

 つまり、これでこの部屋にいるのは私だけ。一人ぼっち。ため息が溢れる。

 

 咲夜みたいに時間を操ることができれば、私と一緒にいることができるんだと思う。でもアイツは普通の人間だから、そんなことはできない。むしろ、私に合わせて夜に起きてくれているだけで充分なんだろう。

 

 これ以上は望めない。

 

 望めはしないけど……

 

 

「つまんない」

 

 

 少し昔までは一人でいることが当たり前のはずだったのに、今じゃこんな調子。それもこれも、きっとアイツが原因だ。

 勝手に人の領域に入ってきて、好き勝手荒らして、でもアイツは普通の人間だからきっとまた勝手にいなくなる。なんて迷惑な奴だろう。

 

 ……そんな私の想いは随分と自分勝手なものだってわかってる。それでも嫌なものは嫌だし、一緒にいたいものはいたいのだ。

 

 自分勝手で迷惑なのは私の方。

 そんな私ではあるけれど……

 

 

 ――お願いだから私のことを嫌わないでください。

 

 

 本当に弱くて脆いのは私の方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイツが私の部屋を出て行ってから、本を読んだり、ベッドに腰掛け足をプラプラさせてみたりと、どうにか暇を潰そうと頑張ってみた。

 いつもなら、そんなことをやっているうちにアイツがまた部屋に戻って来てくれるから。

 

 それなのに、その日はなかなかアイツが戻って来なかった。

 

 何かあったのかなって思っていたけれど、アイツが部屋を出るときにお姉様に用事があると言っていたことを思い出した。たぶん、それが原因だ。

 全く……アイツは私の世話係なんだから私の方を優先してもらいたい。

 

 そんな自分勝手な考えがぷかりと浮かんだけれど、その考えは直ぐに何処かへ追いやった。

 アイツにはアイツの事情がある。それに迷惑をかけ過ぎて嫌われてしまうのは嫌だ。

 

「……つまんない」

 

 そうだと言うのに、私の中にはモヤモヤとした何かが広がって、どうにもよろしくない感じ。

 

 少しだけ考えてみた。

 いつもいつも、アイツから私の所へ来てくれている。だから、たまには私の方からアイツの所へ行ってみるもの良いんじゃないかって。

 そうしたら、アイツはどんな表情をするんだろう。やっぱりいつも通りの困った顔をするのか、それとも――喜んでくれるのか。

 

 そんなことを考えると、少しだけ身体が軽くなった気がした。

 私からアイツに何かをしてあげたことはない。それにこの程度のことでアイツが喜ぶとも思えない。

 

 けれども、喜んでくれる可能性が少しでも……ほんの僅かでもあるのなら、私は動いた方が良いんだろう。

 

 だから私は扉を開け、外へ踏み出した。

 自分の場所を離れ、歩いてみることにした。

 

 

 

 アイツはお姉様に用事があると言っていたから、やっぱりお姉様のところにいるんだと思う。つまり、私が目指すのはお姉様のいる場所だ。

 もしかしたら、邪魔になってしまうかもしれない。でも、アイツが喜んでくれるかもしれないって考えると、そんな心配事は頭の中から直ぐに消えてしまった。

 

 

 いくら自分の家と言っても、紅魔館の中は広く、それに私があの部屋から出ること自体が少なかったせいで、お姉様の部屋を見つけるのに、酷く時間がかかってしまった。

 アイツと入れ違いになっちゃったかなぁ。なんてことも思ったけれど、とりあえず見てみないとわからなかったから、そっとお姉様の部屋の扉を開けた。何かが怖かったらそっと。

 

 そして扉の先には、お姉様と抱き合うアイツの姿があった。

 

 

「あっ……えっ?」

 

 

 急に呼吸が乱れる。息が上手く吸えない。

 私だってアイツとくっつくことはある。膝の上に座ったり、背中に乗ったり。でも、アレは違う。抱き合うようなことはやったことがない。

 

 色々な考えが頭の中をグルグルと回った。流石の私でも、抱き合うってことがどんな意味なのかはわかったから。

 

 でも、そうは思いたくなくて……アイツを取られたくはなくて……

 

 立っていたはずがいつの間にかその場へ座り込み、目からは何かが溢れ始めていた。視界がぼやける。

 そんなぼやけた視界でも、二人の姿はしっかりと見えてしまう。

 

 それが嫌で私は視線を下げた。その視線の先に映ったのは、床に落ちていたアイツがいつも持っているあの手帳だった。

 

 やたらと震える手でその手帳を拾う。

 魔法がかけてある。だから読むことはできない。アイツはそう言っていた。

 

 見ちゃダメだって思った。だってもし私がこの中身を見てしまったら、アイツに嫌われてしまうかもしれないから。

 でも、そんな考えすら浮かばないほど、私の頭は混乱していて――私はその手帳を開いてしまった。

 

 

 ――辛い。

 

 

 そんな言葉が最初に見えた。見えてしまった。

 

 そこで止まっていればまだ戻ることは出来たんじゃないかなって思う。そうだと言うのに、私の身体は止まってなんかくれやしなかった。

 

 

 ――毎日が苦痛で仕方無い。

 

 

 ページをめくる私の手は止まらない。

 

 

 ――顔も見たくない。

 

 

 目から溢れた雫は手帳の上に落ち、その文字を滲ませる。

 まだギリギリで耐えていたんだと思う。一番恐れていた言葉はまだ見えなかったから。

 

 けれども、嫌な予感ってのはいつだって当たるものなんだ。

 

 

 ――嫌いだ。

 

 

 ぼやける視界。

 それでも、その言葉ははっきりと見えてしまった。

 

 何かが突き刺さったような感覚。傷なんて何処にもないはずなのに、痛い。息の吸い方がわからない。

 声にならない声が私の口から溢れた。

 

 手帳は投げ捨て、どうすれば良いのかわからないまま、自分の場所へ向かう。

 知りたくなんてなかった。だって今までは充分幸せだったから。それでも、私は知ってしまった。

 

 アイツはお姉様のことが好きで――私のことが嫌いなのだと。

 

 自分の場所へ着く。乱暴に扉を開け、ベッドへ倒れ込んだ。どうしてこうなってしまったのかわからない。でも、きっと全部私のせいで、もう戻ることはできなくて……

 

 泣き方なんて忘れていただろうに、いつまで経っても私の目から涙は止まらない。泣き止む方法だって私は忘れてしまった。

 

 どうして? 何故? そんなことばかりが頭に浮かぶ。別に私のことを好きになってもらわなくても良かった。

 ただただ、一緒にいてくれれば、嫌われさえしなければ、それで良かった……

 

 

「失礼します。すみません遅くなってしまって。ちょっと慣れないことをしていたので……」

 

 

 今ばかりは聞きたくない声が聞こえた。

 

 未だ泣き止まない顔をあげると、そこにはやっぱりアイツの姿。その顔はいつもよりずっと疲れているように見えた。

 

「って、妹様どうされたのですか! な、何か問題でも……」

 

 困り顔のアイツ。

 そんな顔も私は好きだったはずなのに、今はその顔を見れば見るほど何かが突き刺さる。

 

 

 痛い。

 

 

 痛い。

 

 

 ……ああ、そっか。痛いのは私の心だ。でも、心の傷なんて治し方もわかんないや。

 

 

 ゆっくりとベッドから立ち上がり、アイツへ近づく。

 

 

「え、えっと……妹様っ!?」

 

 

 そうしてから、両手でアイツの首を掴んだ。

 トクトクと私の手を通して血が血管を流れるのがわかる。そうだよね、だって生きているんだもん。

 

「な……にを?」

 

 目から涙は止まらない。

 心の痛みもなくならない。

 

 もっと……もっと早くこうしていれば良かった。もう少しだけ、もう少しだけ早ければ私は嫌われなかったのに。

 

 大好きな貴方に嫌われることなんてなかったのに。

 

 

 そして私は両手に力を込めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……アイツが動かなくなってからも暫くの間、私は手を離しはしなかった。トクトクと感じていた血の流れはとっくに感じない。

 

 相変わらず、涙は止まらない。それでも、心の痛みは幾分か和らいでくれたように感じる。

 漸く手を離してみた。その場に倒れこむアイツ。もうアイツが動くことはない。

 

 倒れ、動かなくなったアイツの側にはあの手帳が落ちていた。

 

 ……コレのせいだ。この手帳さえ無ければ。

 

 なんて考えが浮かぶ。だってそうやって言い訳でもしなければ、私が壊れてしまいそうだったから。

 

 跡形も無く壊してやろうかと思った。そうした方がきっと正解なはず。そう頭では思っていたはずなのに、私はその手帳を手に取り、また開いてしまった。

 

 

 ――毎日が楽しい。

 

 

 目に付いたのはそんな文字。

 

「……えっ?」

 

 思わず声が出る。

 でも、驚くのも仕方無いと思う。その言葉はさっき私が見た言葉とは真逆の意味だもの。

 

 

 ――今日は妹様から話しかけてくれた。それがすごく嬉しい。

 

 

「な……んで?」

 

 

 ページを捲る。

 見えてきたのは、やっぱりさっき見た言葉とは真逆の言葉だった。それは嘘みたいな本当のこと。

 

 

 ――口になんて出せるはずがないから、此処に書くことにする。

 

 

 ページを捲り続け、終に最後のページへ。

 

 

 ――妹様のことが好きです。もしかしたら迷惑かもしれないけれど、できる限りのことをしようと思う。

 

 

 そこからは白紙のページが続く限り。

 何度読み返しても、書いてある言葉が変わることはない。

 

『魔法をかけてもらいました』

 

 漸く……今更になって気づいた。

 この手帳の仕掛けとかそう言うことに。

 

 

『僕が死ぬまで中身をお見せすることはできないかと思いますよ』

 

 

 けれども、それじゃあ遅すぎた。

 

 

「ーーーーーぁっ!!」

 

 

 何かが私の口から溢れる。

 言葉ではないと思う。声にすらなっていないのかもしれない。

 

 私はなんて愚かなことをしたんだろう。アイツはいつだって私を想ってくれていた。それなのに、私は最期の最後で……

 

 和らいだと思っていた痛みがまた始まる。突き刺さったその何かは抜けそうにない。壊してしまったものは直らないのなら、この痛みだって治ることはないのかもしれない。

 

 

「ちょっ、ちょっとフラン! 何ごと!? 今すごい音がっ」

 

 

 バタバタと慌ただしく私の部屋へ入ってきたお姉様。

 ああ、そっか。私はお姉様の大切なものまで壊しちゃったんだ。この手帳に書いてあることが真実だとしても、さっきのアイツとお姉様の姿も真実。

 

 後悔してももう遅い。どう謝って良いのかもわからない。私の目から涙は止まりそうになかった。

 

 

「え、えと、泣いてちゃわかんないけど……てか、コイツはなに寝てるのよ。ほら、起きなさいって。貴方の主人が困ってるじゃない」

 

 ペシペシとお姉様がアイツを叩いた。

 

 けれども、アイツがまた動くことは――

 

 

「あっ……あぅ……あれ? ど、どう言う状況でしょうか? どうして妹様は泣いていて、どうしてお嬢様が?」

 

 

 動いた。

 

「それは私が聞きたいわよ。フランの叫び声が聞こえて慌てて来たら、フランは泣いてるし、貴方は倒れてるし」

 

 この状況についていけない。

 確かにコイツは死んだはず。それなのに、どうしてまた動いているのかがわからなかった。

 

「ど、どうして貴方はい、生きて?」

 

 嗚咽が止まらず、上手く喋ることができない。

 でも、そんなことより、この状況を説明してもらいたかった。

 

 

「あ~……その、先程、お嬢様に頼んで血を吸わせてもらったんです」

 

 

 …………は?

 

「あら? まだ言ってなかったの? コイツったらね、紅魔館で一番偉いはずの私に頼んできたのよ。ホント、いい御身分なことで」

 

 

 え? え、それじゃあ……それって、つまりコイツは――

 

 

「はい。人間やめました」

 

 

 クルクルとあの笑顔を浮かべながらアイツはそんな言葉を落した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

「最初に言わなかった僕が悪いですけど、良い加減機嫌を直してはくれませんか?」

 

 そんなアイツの言葉に、私は何も答えずそっぽを向いた。

 あの後、安心したのかなんだかわからないけれど、私はわんわん泣いた。一生分泣いちゃったんじゃないかってくらい泣いた。

 

 詳しく聞いていないし、本当のところがどうなのかはわからないけれど、あの時、私が見たアイツとお姉様の姿は、ちょうど血を飲ませているところだったらしい。

 

 ――人間のままじゃ、いつまでも妹様と一緒にいられませんし。

 

 なんて言葉をアイツは恥ずかしそうに落としていた。

 

 このゴタゴタの原因の一つでもあるあの手帳を私が見てしまったことは、まだ教えていない。

 だから最初に私が見てしまった時と、次に私が見てしまった時、どちらの言葉が本当のことかはわからない。でも、そんなことを気にしてもしょうがないし、それが原因でまた壊してしまうのは怖い。

 

 それに今、私は満足している。それだけで、充分なんだろう。

 

 

「えと……もしかして、迷惑でしたでしょうか?」

 

 

 アイツの膝の上に座り、顔をそっぽへ向けていると、不安そうなアイツの声が聞こえた。

 

 それくらい自分でわかれ、ばか。

 

 座ったまま身体を回して、アイツが正面へ来るように。

 

 そうしてから、アイツの顔に自分の顔を近づけ、唇をアイツの唇へそっと当ててみた。やっぱり何かが怖かったから、そっと。

 

「えっ? ちょっ! い、妹様? 何を……」

 

 困ったようなアイツの顔。

 でも、その顔はいつもより少しばかり赤くなっている。

 

 そんなアイツの顔を見て、私の口からはクスクスと何かが溢れた。

 

 

 






2話に分けてもっと文字数増やせば良かったですね
体力不足を痛感

読了、ありがとうございました
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