機動戦士ガンダムSEED 未来を担う剣   作:Please

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動き始める運命

俺とアスランがプラントで休暇を過ごしてからしばらくして、軍本部から任務の呼び出しを受け、再び脚付きの追撃を再開する為、宇宙港に停めてあるヴェサリウスの入り口前まで来ている。

俺達の見送りをする為に、ラクスとシーゲルさんも宇宙港に来ている。

 

 

「残念ですわ…。せっかく帰って来たのに、もう行ってしまわれるんですの?」

 

「申し訳ありません」

 

 

寂しそうに言うラクスにアスランが申し訳なさそうに謝る。

 

 

「仕方ないよ。休暇の日程も決まってなかったからね」

 

 

俺の言葉を聞いてラクスは更に落ち込んでいると、シーゲルさんが俺達に話しかけてくる。

 

 

「ダン。アスラン。また休暇を得た時は、いつでも家に来なさい。その時は、また皆で食事をしながらゆっくり話をしようじゃないか」

 

「ありがとうございます」

 

「その時は必ず連絡を入れます」

 

 

シーゲルさんにアスランは礼を言い、俺は返事をした後、今も下を向いて落ち込んでいるラクスの頭に手を置くと、彼女は少し驚いた表情で顔を俺に向ける。

 

 

「休暇を貰った時は、また会いに来るよ。それまで、待っててね」

 

「…はい!いつでもお待ちしておりますわ」

 

 

俺がラクスの頭を優しく撫でると、彼女は嬉しそうに笑顔を見せてくれる。

 

 

「では、行ってらっしゃいませ。ダン。アスラン」

 

「うん。行ってきます」

 

「行って参ります」

 

「二人共、気をつけて行くんだぞ」

 

「「はい」」

 

 

ラクスとシーゲルさんに挨拶をした俺とアスランは、彼女達に見送られながらヴェサリウスの艦内に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェサリウスの艦内通路を通っていると、向こうに見覚えのある緑色の髪の少年の後ろ姿が見えてくる。

 

 

「ニコル!」

 

 

アスランが声をかけると、それに気付いたニコルが俺達の方を振り向く。

 

 

「あ。アスラン!ダン!この間は、ありがとうございました」

 

「いや、こっちも招待してくれてありがとな」

 

「いいコンサートだったよ」

 

 

アスランの言うコンサートとは、ニコルのピアノによるコンサートの事である。俺とアスランは休暇の最中、ニコルから招待を受け、ピアノのコンサートを見に行ったのである。

 

 

「…寝てませんでした?」

 

「え…?そ、そんなことはないよ」

 

 

笑顔で言うニコルに対し、アスランは少し慌てながら言う。

 

 

「ニコルの演奏は聞いていると安心するからな。眠くなってもおかしくないさ」

 

 

俺の言葉を聞いて、アスランは呆れたようにため息をつき、ニコルはクスクスと笑っている。

 

 

「本当は、もっとちゃんとしたのをやりたいんですけどね」

 

「そうだな。今は戦争中だから、難しいだろうな」

 

「だが、この“オペレーション・スピットブレイク”が終われば、情勢も変わるだろうから」

 

 

オペレーション・スピットブレイク。

地球軍との戦争に終止符を打つべくプラント最高評議会において可決された作戦で、唯一地球軍が所持しているマスドライバー施設があるパナマ基地を攻略し、宇宙にある地球軍の月面基地と分断させる事が目的だ。これが成功すれば、状況はこっちが有利になり、戦争の終結が早くなる可能性がある。

 

 

「ですね。でも、今回は結構ゆっくり出来ましたね」

 

「ああ」

 

「そうだな。以前みたいに、また早めに任務に戻されるかと思ったがな…」

 

 

俺がそう言うと、アスランは苦笑いし、ニコルは再びクスクスと笑う。

 

 

「僕、降下作戦初めてなんです」

 

「俺だってそうだよ」

 

「とは言ってるが、俺達の初任務はヘリオポリスからだから、地球に行くのは全員初めてだろ」

 

「あ、そうか」

 

 

少しの間雑談した後、先に来ていたクルーゼ隊長と合流し、俺達を乗せたヴェサリウスは地球に降下する為、宇宙港から出航する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球付近まで近付いた俺達は、ヴェサリウスから降り、現在はそれぞれの機体に搭乗した状態で、ローラシア級の下部に備えられている楕円状の降下カプセル輸送艦で待機している。

 

 

《ジブラルタルサービス。晴、気温12、湿度45、風西北西27、バナローナ沖に低気圧警報》

 

 

オペレータの放送を聞きながら待機していると、別のオペレータが通信で話しかけてくる。

 

 

『グラウンドとのコンタクトはチャンネル2番。雲を抜ける事になる。揺れるぞー』

 

『はい』

 

「問題ない」

 

『隊長のシャトルは?』

 

『リムジンは既に降下を開始している。さあ、お前等の番だ。なぁに、目ぇ瞑ってる内に着くさー』

 

『…そんな事しませんよ…』

 

 

クルーゼ隊長は一足先にシャトルで地球に降下している。

オペレータとの短い会話を終え、ついに降下カプセルがローラシア級から切り離され、大気圏に突入しながら、地球に向けて降下していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大気圏を無事に突破し、地球に着地した俺達はジブラルタル基地に到着する。俺とアスランが機体から降りると、既にブリッツから降りているニコルが駆け寄ってくる。

 

 

「ダン!アスラン!クルーゼ隊は第二ブリーフィングルームに集合ですって」

 

「わかった」

 

「よし、行こう」

 

 

集合場所を確認した俺達は、すぐに第二ブリーフィングルームへ急行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パイロットスーツから軍服に着替えた俺達は、第二ブリーフィングルームの手前まで来ている。

 

 

「お願いします隊長!あいつを追わせて下さい!」

 

「イザーク、感情的になりすぎだぞ」

 

「ですが…」

 

 

ブリーフィングルームの室内から覚えのある声が聞こえてくる。

 

 

「(クルーゼ隊長と…イザークか)」

 

 

さっきイザークが言っていた“あいつ”とは、おそらく脚付きかストライク……

 

いや、大体はストライクの事だろう。

 

 

「失礼します!」

 

 

アスランが声をかけた後、俺達はブリーフィングルームに入室する。入室すると、クルーゼ隊長、イザーク、そして席に座っているディアッカの姿がある。

 

 

「イザーク!その傷…」

 

「ふん!」

 

 

アスランの言葉で、イザークの顔をよく見ると、わかりやすい程の傷痕がある事に気付く。傷痕を見られたイザークは、不機嫌な表情でそっぽを向く。

 

 

「よう、お久しぶり」

 

 

そんなイザークに比べ、ディアッカは落ち着いた感じで軽く挨拶をしてくる。

 

 

「傷はもういいそうだが、彼はストライクを討つまでは、痕を消すつもりはないということでな」

 

 

クルーゼ隊長の言葉を聞き、アスランは辛そうな表情を浮かべている。

 

 

「脚付きがデータを持ってアラスカに入るのは、なんとしても阻止せねばならん。だがそれは既にカーペンタリアの任務となっている」

 

「我々の仕事です隊長!あいつは最期まで我々の手で…!」

 

 

クルーゼ隊長の説明に待ったをかけるように、イザークが話に介入してくる。アカデミー時代に何度俺に負けても、勝負を挑んで来た頃を思い出す。

 

…面倒な意味でな。

 

 

「私も同じ気持ちです隊長!」

 

 

さっきまで落ち着いて聞いていたディアッカが突然立ち上がり、イザークに便乗するように声を上げる。

 

 

「ディアッカ…」

 

「…俺もね、散々屈辱を味合わされたんだよ」

 

 

いつも軽い性格のディアッカが、ここまで真面目になるとは以外だ。

 

 

「無論私とて、想いは同じだ。スピットブレイクの準備もあるため、私は動けんが…。そうまで言うなら君達だけでやってみるかね?」

 

「はい!」

 

 

クルーゼ隊長の言葉にイザークは嬉しそうな声で返事をする。よほどストライクを追撃できるのが嬉しいんだろう。

 

 

「ではイザーク、ディアッカ、ニコル、ダン、アスランの五人で隊を結成し、指揮は…そうだな…」

 

 

クルーゼ隊長は少し考え……

 

 

 

 

「アスラン、君に任せよう」

 

「え!?」

 

 

クルーゼ隊長に指名されたアスランは突然の事でかなり驚いている。

 

…イザークの奴は、凄い目付きでアスランを睨んでいる。

自分が隊長に任命されなかった事が、気に食わなかったんだろう。

 

 

「そして、アスランが不在の場合の隊長代理を…」

 

 

クルーゼ隊長は再び考えた後、何故か俺を見ている。

 

 

「ダン、君に任せる」

 

「…自分が…」

 

 

クルーゼ隊長から突然、隊長代理を任命される。アスランを睨んでいたイザークは、今度は俺を睨んで来ている。

 

 

「カーペンタリアで母艦を受領できるよう手配せよ。直ちに移動準備にかかれ!」

 

「隊長…我々が…?」

 

 

突然の事ばかりでアスランは動揺しているようだ。それを察したのか、クルーゼ隊長はアスランの肩に手を置く。

 

 

「いろいろと因縁のある船だ。難しいとは思うが、君達に期待する。アスラン。ダン」

 

 

俺とアスランにそう言い残し、クルーゼ隊長はブリーフィングルームを後にする。

 

 

 

 

「ザラ隊ね…。しかも、ダンが隊長代理とはね…」

 

「ふん!お手並み拝見と行こうじゃない」

 

 

後ろからイザークとディアッカの声が聞こえるが、いつものようにスルーした俺は、隊長に任命され、動揺しているアスランを心配しながら見ている。

 

それと同時に俺はあの時、キラと交わした言葉を思い出す。

 

 

 

 

《…次に会う時は、俺達は敵同士だ!戦う時は、どちらかがどちらかを討つ…それを忘れるな!》

 

《…わかったよ…》

 

 

 

 

あの時の互いの覚悟が実現するんじゃないのかと思いながらも、俺達はカーペンタリア基地に向かう準備に取りかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

準備を行ってから1時間程度が経ち、現在俺はソウルを乗せた中型輸送機の客室の席に座って、離陸を待っている。

 

 

「そろそろ離陸するぞ」

 

「カーペンタリアに着くまで、ゆっくり景色でも眺めてるといい」

 

「了解だ」

 

 

ニコル、イザーク、ディアッカは既に自分達の乗機を乗せ、離陸しているが、アスランとイージスを乗せる輸送機はチェックに少し時間がかかる為、遅れるようだ。

 

輸送機のパイロット二人に俺が返事をすると、輸送機は動き出し、離陸していく。

 

輸送機がジブラルタルを離れたのを確認した俺は、客席の窓から青い空と海を眺める。

 

 

「(綺麗だな…。俺達コーディネイターを批判するナチュラルが住んでるとは、思えないぐらいに…)」

 

 

そう心で思いながら、カーペンタリアに着くまで、俺はずっと空と海を眺めていた。

 

 

 

 

ジブラルタルを発ってからしばらくして、俺とソウルを乗せた輸送機は無事にカーペンタリアに到着し、ニコル達と合流、そして俺の次に到着するアスランとイージスを乗せた輸送機を待った。

 

しかしこの時…アスランが予想外の事態に巻き込まれるとは、俺はまだ知らなかった…。

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