機動戦士ガンダムSEED 未来を担う剣   作:Please

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平和な国へ

アスランと合流し、足つきの追撃を再開してからしばらく経ち、ようやく足つきを発見した俺達ザラ隊は、母艦からモビルスーツを出撃させ、足つきに攻撃を開始する。

 

 

『散開!』

 

 

足つきも反撃にビーム砲を撃ってきた為、アスランの指示を受け、分断して回避した後、再び足つきに攻撃を仕掛ける。

 

しかし、こっちは5機で攻めているのに、足つきはこれを迎撃しながら前進し続け、全く止まる様子がない。

 

 

『何をやっているディアッカ!さっさと船の足を止めろ!』

 

『分かっている!』

 

 

イザークは足つきの粘り強さに少しイラつきながら足止めをするように言い、ディアッカは少し焦りながらも返事をする。

 

バスターが足つきを攻撃しようとした時、上空から二つの影が現れ、一方はバスターに高ビームを撃ち、もう一方は対艦刀を展開してデュエルに接近する。

 

バスターは高ビームを間一髪のところで回避し、デュエルはビームサーベルを抜き、受け流すように対艦刀の攻撃を防ぐ。

 

さっき攻撃してきたのは、スカイグラスパーという地球軍の戦闘機だ。

 

 

 

 

スカイグラスパー。

 

調べたところ、大気圏内で活動可能な戦闘機だ。おそらく、この前の宇宙での戦闘前に第8艦隊から支給されたものだろう。

あの戦闘機はストライクの支援として、背部にはストライクが使っている装備を取り付ける事ができる。

更にあの戦闘機のシステムは自動式となっており、経験の浅いパイロットでも操縦する事ができるようになっている。

 

 

 

 

しかし、さっきの攻撃は、明らかに素人とは思えない操縦技術である為、乗っているのは、あの時のオレンジと青のモビルアーマーのパイロット達だろう。

 

攻撃を回避するも、すぐには動けないバスターに代わり、デュエルが単独で足つきに突撃を開始する。

 

 

『イザーク!一人で出過ぎるな!』

 

『うるさい!』

 

 

アスランが呼び止めるが、イザークは聞く耳を持たず、足つきに突っ込んでいく。

部隊長の指示を無視するとは…呆れた奴だ…。

 

 

「エンジンを狙うぞ!ニコル!向こうから回り込め!」

 

『はい!』

 

 

俺はイザークを無視して、足つきを止める為、ニコルに足つきの背後に回るよう指示する。

 

ソウルとイージスはブリッツの援護をする為、足つきのバルカン砲をビームライフルで破壊していく。

 

その後、足つきの横を通り過ぎると、足つきの守備の為、奮戦するストライクが見えてくる。

 

 

『っ!キラ…!』

 

「…ちぃ…!」

 

 

俺とアスランはなるべくキラと戦わないように、奮戦しながらストライクと距離を取る。

 

ソウルとイージスが戦っている間に、ブリッツは無事に足つきの背後に回り、右腕の攻盾システム・トリケロスに搭載している3連装超高速運動体貫徹弾・ランサーダートを放ち、足つきを攻撃するが、エンジンには命中していないようだ。

 

足つきの被弾に気付いたストライクがビームライフルで攻撃してきた為、こっちもビームライフルで応戦する。ソウルとストライクの放ったビームは互いの横を通り過ぎ、被弾はしなかった。

 

 

『下がれ!こいつは俺が!』

 

 

デュエルがビームライフルでストライクを攻撃しながら突撃していく。

 

 

『イザーク!迂闊に!』

 

 

アスランの制止を無視するデュエルの攻撃に気付いたストライクはビームライフルでデュエルの乗るグゥルのみ撃ち抜く。

 

 

『ちぃ!』

 

 

グゥルを撃たれたデュエルはグゥルから飛び降り、ビームサーベルを抜き、落下の勢いを利用してストライクに切り込む。

 

ストライクはエールストライカーのスラスターを利用して飛び上がり、ビームサーベルを抜いて近付いてきたデュエルのビームサーベルのみを斬る。

 

 

『なにぃ!』

 

『イザーク!』

 

 

ビームサーベルのみを斬られるという予想外の事にイザークはかなり動揺し、ブリッツがデュエルの援護に向かおうとするが、デュエルはストライクに背後に回られ、海に向けて蹴り飛ばされ、すごい勢いで落ちていく。

 

 

『くっそぉぉー!』

 

 

しかし、デュエルは落下中でもストライクに一泡吹かせようとレール砲で攻撃するが、ストライクはスラスターを利用したスピードで回避しながらブリッツに接近していく。

 

 

『う、うわぁぁ!』

 

 

猛スピードで近付いてくるストライクに対して驚きの悲鳴を上げ、反撃をする間もなく、蹴り飛ばされて乗っていたグゥルをビームサーベルで貫かれて破壊されてしまう。

 

 

『ニコル!』

 

「くそっ…!」

 

 

アスランはニコルの名を叫び、俺は現在の状況に歯を噛み締める。

デュエルとブリッツが海に落ちて戦闘不能となり、残ったのはソウル、イージス、バスターの3機だけとなる。

ソウルとイージスはビームライフルでストライクを攻撃するが、ストライクはそれを回避したり、シールドでガードして防ぐ。足つきに着艦したストライクはビームライフルで反撃してきた為、俺達はグゥルの機動性を生かし、ストライクの攻撃を回避する。

 

 

 

 

『接近中の地球軍艦艇、及びザフト軍に通告する』

 

 

激しい攻防戦が続く最中、突然どこからか音声が流れてくる。音声の方を見ると、足つきの前方の向こうに数隻の艦隊の姿が見える。

 

どうやらオーブの艦隊のようだ。戦闘に集中しすぎたせいで、オーブの領海に近付き過ぎたようだ。

 

 

『貴官等はオーブ連合首長国の領域に接近中である。速やかに進路を変更されたい。我が国は武装した船舶、及び、航空機、モビルスーツ等の、事前協議なき領域への侵入を一切認めない。速やかに転進せよ!』

 

 

オーブ艦隊は中立を貫き、引き返すよう発言をするが、後少しで足つきを墜とせるほどに有利な状況になっている。

 

このまま足つきを攻撃するか…。

それとも引き上げるか…。

 

どっちを選ぶべきか迷っていると、オーブ艦隊の警告が再び流れてくる。

 

 

『繰り返す。速やかに進路を変更せよ!』

 

 

俺達ザラ隊はともかく、足つきはオーブの領海に少しずつ近付いている。

 

 

『この警告は最終通達である。本艦隊は転進が認められない場合、貴官等に対して発砲する権限を有している』

 

 

それを確認したのか、オーブ艦隊は砲台を足つきに構え、攻撃体制に入る。

 

このままでは足つきだけでなく、キラまで討たれるのではという不安に襲われる。

 

 

 

 

『この状況を見ていて…よくそんなことが言えるな!!』

 

 

キラの心配をしていると、突然少女の怒鳴り声が通信に割り込んでくる。

 

 

『アークエンジェルは今からオーブの領海に入る!だが攻撃はするな!』

 

『な!?なんだお前は!』

 

 

怒鳴り声に驚愕しながらも、介入してきた少女にオーブ艦隊は問う。

 

 

『お前こそなんだ!お前では判断できんと言うなら行政府へ繋げ!父を…ウズミ・ナラ・アスハを呼べ!』

 

 

ウズミ・ナラ・アスハ…。

オーブ連合首長国前代表首長を務めている、あのウズミ・ナラ・アスハの事か?

 

しかも父って…まさか……。

 

 

『私は……

 

 

 

 

私はカガリ・ユラ・アスハだ!』

 

「『!?』」

 

 

少女の名を聞いて、俺だけでなく、アスランも驚愕している。

 

カガリ・ユラ・アスハといえば…ウズミ・ナラ・アスハの令嬢じゃないか。その令嬢が何故足つきと一緒にいる?

 

 

 

 

『…何をバカな事を。姫様がその船に乗っておられるはずがなかろう!』

 

『なんだと!』

 

『仮に真実であったとしても、何の確証も無しにそんな言葉に従えるものではないわ!』

 

『貴様ぁ!』

 

 

オーブ艦隊はそのカガリ・ユラ・アスハの言葉を疑って否定し、足つきに乗っているカガリ・ユラ・アスハはオーブ艦隊の対応に怒りを露にしている。

 

 

 

 

『ご心配なく、ってね!領海になんて入れないさ!

その前に決める!』

 

 

カガリ・ユラ・アスハがオーブ艦隊と口論している隙をつき、バスターは高エネルギーライフルで足つきを攻撃しようとするが、スカイグラスパーの高ビーム攻撃によって阻止されてしまう。バスターは回避して高エネルギーライフルで反撃するが回避されてしまう。

 

 

『ディアッカ!オーブ艦に当たる!回り込むんだ!』

 

『そんなこと!』

 

 

ディアッカがアスランの指示に反論していると、ストライクがビームライフルでバスターの乗るグゥルを撃ち抜く。

 

 

『くそっ!』

 

 

グゥルから飛び降りたバスターにスカイグラスパーが高ビーム砲で追い撃ちをかけてくるが、バスターは落下しながらも回避し、超高インパルス長射程狙撃ライフルで足つきを攻撃する。

 

バスターの攻撃を受け、足つきが怯んでいるのを確認した俺は、ストライクの相手をイージスに任せ、足つきに近付こうとするが、対艦刀を構えたスカイグラスパーが阻止するように接近してくる。

ソウルのビームサーベルを抜き、スカイグラスパーの対艦刀による攻撃を受け流し、ビームライフルで足つきのエンジンの一部を撃ち抜く。

エンジンの一部をやられた足つきは海へと降下していき、着水してオーブ領海に進入する。

 

 

 

 

『警告に従わない貴官等に対し、我が国は是より自衛権を行使するものとする』

 

 

足つきの進入を確認したオーブ艦隊は、一斉に足つきに砲撃を開始する。しかし、砲撃が一発も足つきに直撃する様子がなく、ほとんどの砲撃が足つきの周辺ばかりに落下している。

まさかと思い、オーブ領海の手前まで近付いて確認しようとするが、オーブ軍の戦闘ヘリコプターに行く手を阻まれ、近付く事ができない。

 

これ以上の追撃は不可能と判断した俺とアスランは、海に落下したニコル達を連れ、その場を離脱する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーブ領海から離脱し、母艦に帰還した俺達ザラ隊は、しばらくの間、母艦で待機しながらオーブの様子を伺っていると……

 

 

「こんな発表!素直に信じろって言うのか!」

 

 

そのオーブからある事が発表され、それを聞いたイザークは激怒している。

 

 

「「足つきは既にオーブから離脱しました」なんて本気で言ってんの?」

 

 

そう思うのも無理もない。俺達がオーブ領海を離脱してから、そう時間は経っていない。

おそらく、足つきはまだオーブにいる可能性が高い。

 

 

「それで済むって、俺達バカにされてんのかねぇ。やっぱ隊長が若いからかな」

 

「ディアッカ…」

 

 

ディアッカがアスランへの嫌味のような愚痴を言った為、ニコルが叱るような口調でディアッカの名前を呼ぶ。

 

 

「今は俺達の隊長への愚痴を言っている場合か」

 

 

アスランはディアッカの言葉を気にしている様子はないが、俺はニコルに便乗するようにディアッカを叱る。

 

 

「これがオーブの正式回答だと言う以上、ここで俺達がいくら嘘だと騒いだところで、どうにもならないと言うことは確かだろう」

 

「なにを!」

 

 

アスランの発言に対し、イザークは怒りを露にして睨みつける。

 

 

「押し切って通れば、本国も巻き込む外交問題だ」

 

 

少しの間、アスランを睨んでいたイザークだが、落ち着きを取り戻していく。

 

 

「…ふん。流石に冷静な判断だな、アスラン。いや、ザラ隊長」

 

「だから?はいそうですかって帰るわけ?」

 

 

何故かにやけながら言うイザークに続くようにディアッカがアスランに問いかける。

 

 

「ここまで追い詰めて、そんな無駄な事をするか。もう少し頭を使って、先の事を考えたらどうだ」

 

 

アスランに代わって俺が答えるが、俺の言葉が気に入らなかったのか、イザークは睨み、ディアッカは少し不機嫌そうに俺を見ている。

アスランが俺に気を使うように今後の事について説明を始める。

 

 

「カーペンタリアから圧力を掛けてもらうが、すぐに解決しないようなら、潜入する。それでいいか?」

 

「足つきの動向を探るんですね?」

 

 

アスランの説明の意味を理解したニコルの言葉を聞き、アスランは説明を続ける。

 

 

「どうあれ、相手は仮にも一国家なんだ。確証もないまま、俺達の独断で不用意なことは出来ない」

 

「突破して行きゃ足つきが居るさ!それでいいじゃない!」

 

 

ディアッカの直球すぎる反論を聞いた俺とアスランは、呆れながらもそれができない理由を説明する。

 

 

「だから、目先だけじゃなく、先の事を考えろと言ったはずだ。ヘリオポリスとは違うんだぞ」

 

「オーブの軍事技術の高さは言うまでもないだろ。表向きは中立だが、裏はどうなっているのか計り知れない、厄介な国なんだ」

 

 

 

 

「…ふん!OK従おう」

 

 

俺とアスランの説明に先に納得したのは…

なんと、俺とアスランに対抗心を燃やしているイザークだった。いつも突っかかってくるこいつが先に納得するのは意外だな。

 

 

「俺なら突っ込んでますけどねぇ。流石、ザラ委員長閣下の御子息に、クルーゼ隊長から隊長代理を任されたエリート様だ。ま、潜入ってのも面白そうだしな」

 

 

少し嫌味を含めた言葉を発し、イザークはディアッカを連れて作戦室のドアの手前まで移動し、俺達の方を振り向く。

 

 

「案外奴の…ストライクのパイロットの顔を拝めるかもしれないぜ?」

 

 

そう言ってドアを開けて退室するイザーク。ディアッカもそれに続いて出ていく。

さっきのイザークの言葉を聞いたアスランは、キラの事を考えているのか、複雑そうな顔で俯いている。

俺がアスランの肩に手を置くと、それに気付いたアスランは少し無理をしているが、笑みを見せて頷く。

 

その後、アスランの言う通り、カーペンタリアに要請して圧力をかけるが、オーブが圧力に屈しなった為、オーブ領内に潜入する為の準備に取り掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ。陸からじゃなく、まさか水中から潜入する事になるとはねぇ。しかも、こんな暗い夜中に…」

 

 

オーブに潜入する準備を終え、行動を開始する直前にディアッカは愚痴ってくる。

 

何故なら今の俺達は水中用のウェットスーツを着ているからだ。

 

 

「文句を言うな。アスランも言ってたろ。向こうの軍事技術は高いんだ。真っ昼間に堂々と変装だけで突破できると思っているのか?」

 

「…はいはい。わかりましたよ」

 

 

俺が説明を含めて注意すると、ディアッカは観念したような笑みで返事をする。

それを確認した俺はアスランの方に顔を向け、頷いて準備完了の合図を送ると、アスランもそれに頷いて答え、出発の号令をかける。

 

 

「よし、行くぞ」

 

 

号令後、アスランを先頭に俺達ザラ隊は次々と海中に潜り、目的地であるオーブ領内へ向かう。

 

 

 

 

しばらく海中を移動した後、ようやく目的地であるオーブ領内の岸辺に到着するが、目の前には3人の釣り人がいる。

 

しかし、俺達は動揺していない。

 

 

「クルーゼ隊、アスラン・ザラだ」

 

 

アスランがその三人に対し、自分がクルーゼ隊である事を明かす。

 

 

「ようこそ、平和の国へ」

 

 

一方の釣り人の内の1人がアスランに返事をし、互い握手を交わす。

釣り人を格好をしているが、この3人は俺達がオーブに潜入する為に連絡を入れ、待機させていたザフトの工作員だ。

 

無事、オーブの潜入に成功した俺達はウェットスーツを脱ぎ、オーブに隠れているかもしれない足つきを捜す為、行動を開始するのだった。

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