機動戦士ガンダムSEED 未来を担う剣   作:Please

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キラ

オーブ領内の岸辺で味方の工作員と合流した俺達ザラ隊は、彼等から潜入に必要なIDカードを受け取る。

 

 

「そのIDで工場の第一エリアまでは入れる。だがその先は完全な個人情報管理システムでね、急にはどうしようもない」

 

 

個人情報管理か…。当然の対策だろう。

他所からのスパイの侵入を許すほど甘くはないからな。そう心の中で思ってると、工作員は念を指すように話を続ける。

 

 

「だが、無茶はしてくれるなよ。騒ぎはごめんだ。“獅子”は眠らせておきたいってね」

 

 

“獅子”とはおそらくウズミ・ナラ・アスハの事だろう。

噂では彼は「オーブの獅子」と呼ばれており、国民からは、かなり厚い信頼を得ている人物だと聞いている。

 

 

「健闘を祈るよ」

 

 

そう言って敬礼をする工作員達に対し、同じように敬礼で返した俺達は、森の中へ向かって歩き出す。

 

 

 

 

しばらく歩いて森を抜けると、オーブの軍港に到着する。

軍港をしばらく見渡した後、俺達は足つきの情報を集める為に街の方へと移動を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街に到着した俺達は、二手に別れて街の調査に乗り出す。

 

 

 

 

イザーク、ディアッカの2人と別れ、俺、アスラン、ニコルの3人は、賑わうほどに落ち着いている街の中を見渡しながら歩いている。

 

 

「見事に平穏ですね。街中は」

 

「ああ。昨日自国の領海であれだけの騒ぎがあったって言うのに」

 

「普通なら慌ただしくなると思うがな」

 

「中立国だからですかね?」

 

「多分な」

 

 

電化製品店のテレビに集まってゲームを楽しむ子供達。

ベビーカーに乗った赤ん坊を連れて雑談する主婦達。

まるで戦争とは無縁と思えるほどに平和な雰囲気だ。

 

 

「平和の国、か」

 

 

呟くように言うアスラン。

確かにこのこの様子を見れば、そう見えてもおかしくないだろう。

 

まるで外側でザフトと地球軍が戦争してるとは思えないほどに…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大体は街を見て回った後、イザーク、ディアッカの2人と合流し、公園で休憩を取りながら、今後の事を話し合う。

 

 

「そりゃ、軍港に堂々とあるとは思っちゃいないけどさぁ」

 

「あのクラスの船だ。そう易々と隠せるとは…」

 

 

ディアッカとイザークが話した通り、まだ足つきに関する情報は掴んでいない。

 

 

「まさか、本当に居ないなんてことはないよねぇ。どうする?」

 

「ここまで来た以上、隅から隅まで探すしかないだろ」

 

「欲しいのは確証だ。ここに居るなら居る。居ないなら居ない。軍港にモルゲンレーテ、海側の警戒は、驚くほど厳しいんだ。なんとか、中から探るしかないだろ」

 

「問題は、どうやって中に入るかだ」

 

 

ソウル、イージス、ブリッツ、バスター、デュエル、そしてストライクの開発に関係しているモルゲンレーテを管理している国だ。

あれだけのモビルスーツを作る技術を持っているほど、この国の警備もかなり厳重だろう。

 

 

「確かに厄介な国の様だ、ここは」

 

 

イザークの言う通り、確かに一筋縄ではいかない国だ…。

 

休憩を終えた俺達は、足つきの手掛かりを探す為、再び行動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引き続き俺達はオーブを調査するが、あまり足つきの情報が集まらず、ある施設の近くで、どうやって奥へ進むか話し合っている。

 

 

「軍港より警戒が厳しいな。チェックシステムの攪乱は?」

 

「何重にもなっていて、けっこう時間が掛かりそうだ」

 

「もしもの場合は、通れる奴を捕まえて通るしかないな」

 

「まさに、羊の皮を被った狼ですね」

 

 

まあ、それは最終手段だがな。

なんとか隠密に潜入できる方法を考えていると……

 

 

 

 

『トリィ!』

 

「「!!」」

 

 

聞き覚えのある懐かしい機械声を発し、こっちに向かって飛んでくる“あるモノ”を見て、俺とアスランは驚愕する。

 

何故なら、その飛んでくる“あるモノ”とは…俺とアスランが幼年学校時代に、キラにプレゼントしたトリィだからだ。

 

 

『トリィ?』

 

 

トリィがアスランの手の甲に止まり、そんなアスランの隣でトリィを見ていると、イザーク達もそれに釣られ、集まってくる。

 

 

「なんだそりゃ?」

 

「へぇ、ロボット鳥だ」

 

『トリィ』

 

 

元気そうにしているトリィを見て安心するが、ここにトリィがいるという事は……

 

 

「トリィー!」

 

「「!!!」」

 

 

トリィと同じく、懐かしい声が施設側から聞こえてくる。

そして、施設から現れる声の持ち主の姿を見て、俺とアスランは再び驚愕する。

 

何故なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声の持ち主が、キラだからだ。

 

 

 

 

「あー、あの人のかな?」

 

 

俺とアスランに続いてニコル達もキラに気付き、アスランはトリィを連れ、フェンスの近くにいるキラの方へ向かっていく。

それに気付いたキラはかなり驚愕した表情でアスランを見ている。

 

そして、トリィを連れたアスランがキラの元に着き、ついに二人はへリオポリス以来の再会を果たす。

 

アスラン達がしばらく互いを見た後、アスランが手の甲に乗せているトリィを前に出し、キラは両手でトリィを受け取る。

 

それを見届けた俺はアスランに声をかける。

 

 

「おーい!そろそろ行くぞ!」

 

 

俺の声に気付いたのか、キラが驚愕した表情でこっちを見ている。

アスランは俺達の方に向かう途中、一度キラの方を振り向き、再びこっちに向かってくる。

 

その途中で金髪の少女がキラの横まで走って来て、アスランを見ている。

 

まさか、あの娘があの通信の時の……

いや、まさかな…。

 

 

 

 

そう考えていると、アスランが俺達の所に辿り着き、振り返ってキラと金髪の少女を見てから車に乗る。

 

俺達がその場を離れる前にキラを見ると……

あいつはとても悲しそうな表情で、俺達を…

いや、正確には…俺とアスランをずっと見ていた…。

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