大体半分くらいは修正したと思います。
それでは、今回もゆっくりお楽しみください。
リハーサルを始めてからしばらく経ち、ラクスの綺麗な歌声は更に上達している。
今日も本番に向けて、ラクスは会場で歌の練習に専念し、俺は護衛として彼女の側についている。
しかし、そこへ軍本部が厄介な報せを持って来る。
ユニウスセブンの周辺を巡回していたザフトの部隊が地球軍からの攻撃を受けているという事だ。
味方部隊も迎え撃つが、地球軍の抵抗が激しい為、状況は緊迫している。
その報告を聞いたプラントは早期決着を付ける為、本国から援軍をユニウスセブンへ派遣したという。
しかし、それはザフトの戦力の大半をユニウスセブンへ誘い込む為の地球軍の罠だったのだ。
地球軍の別動部隊がユニウスセブンの戦闘の隙を突き、本国であるプラントに迫って来ているという事らしい。
プラントに接近する地球軍を迎撃する為、ラクスの護衛の任務についていた俺にも出撃要請が来ている。
俺はその要請に応じて移動用シャトルに乗り、ヴェサリウスが停泊している宇宙港に急行する。
宇宙港 ヴェサリウス入り口前
プラントを狙う地球軍の迎撃に向かう為、ヴェサリウスの入り口前にいるが、ラクスも一緒に来ている。
俺が出撃すると聞いて心配でついて来てしまったらしい。
「ダン…どうか、お気を付けて…」
ラクスは不安な表情で心配しながら俺の頬を触れる。
俺は自分の頬を触れているラクスの手の温もりを感じながらも、彼女の手に自分の手を重ねて安心させるように口を開く。
「うん。ラクスも、すぐに避難するんだよ」
「…はい…」
ラクスの返事を確認した俺は、彼女に見送られながらヴェサリウスに乗艦し、先にプラント付近で戦っている味方部隊がいる戦闘宙域に向けて出航する。
ヴェサリウスが戦闘宙域に近付いている中、俺は艦内のブリッジでアデス艦長の説明を聞いている。
「…知っての通り、現在地球軍は、このプラントに向けて迫りつつある。あの血のバレンタインの悲劇を繰り返さない為にも、何としても、奴等の侵攻を阻止しなければならん!」
血のバレンタイン…。
俺が両親を失った悲劇…。
もし俺達が地球軍の侵攻を止める事が出来なければ…今度はその悲劇が、ラクスがいるプラントで起きてしまう。
そうはさせない……
これ以上、俺の大切なものは奪わせない!!
「敵は既にプラント付近まで接近している。各員、直ちに出撃準備にかかれ!」
「「はっ!」」
アデス艦長の説明が終わり、出撃命令を受けた俺は、他のパイロット達と一緒にブリッジを後にし、モビルスーツデッキに向かう。
ブリッジを後にし、モビルスーツデッキに向かっていると……
「先程の君の眼、中々強い意思のこもったものだったよ」
後ろから誰かに声をかけられ、その声の方を向くと、俺と同じ赤服を纏った男が近付いてくる。
「…貴方は?」
「ああ。突然ですまない。俺はジャン・エクシーグ。君とは違う隊に所属しているが、プラント防衛の為に招集を受けてここにいる。君の活躍は噂で聞いているよ。今回はよろしく頼む」
「…こちらこそ」
ジャン・エクシーグという人物と挨拶を済ませた後、俺は彼と一緒にモビルスーツデッキに急いで向かう事にした。
パイロットスーツに着替え、久しぶりに乗機であるソウルに乗り込み、出撃準備を整える。他のパイロット達もそれぞれのモビルスーツに乗り込み、次々とヴェサリウスから発進していく中、ソウルに通信が繋がってくる。
『ダン・ホシノ』
通信相手はさっき艦内通路で出会ったジャン・エクシーグだ。
『守るべきものの為に闘志を燃やす事も大事だが、あまり燃やしすぎると、肝心なものが見なくなってしまう。くれぐれも気を付けたまえ』
「…分かった」
『俺も若いから引き起こしたくないものだ。若さによる功の焦りと、過ちというものを、ね…』
《エクシーグ機、カタパルトへ》
ジャン・エクシーグからアドバイスを受けていると、艦内アナウンスが彼の番を伝えてくる。
『どうやら時間のようだ。ではダン・ホシノ、先に向かっているよ』
「…ああ」
互いに通信を切り、エクシーグが搭乗するシグーがカタパルトに移動し、発進した後、俺の番が回り、ソウルをカタパルトへ移動させる。
発進位置に着いたソウルのコックピット内で、久しぶりの宇宙での戦闘に集中するように呼吸をする。
「…ダン・ホシノ、ソウル行きます!」
第8艦隊との戦闘以来の宇宙へソウルを出撃させ、エクシーグ機と一緒にプラントに迫る地球軍の迎え撃つ為、全速力で戦闘宙域に向かう。
戦闘宙域に到着すると、すでに戦闘は始まっていた。
ソウルのビームライフルを構え、プラントに向かおうとしている数機のメビウスを撃ち抜き、エクシーグ機も続くようにアサルトライフルでメビウスを撃墜していく。
敵艦から次々と出撃してくるメビウスを撃墜するが、敵の勢いが落ちる気配がない。それでも俺達はプラントを防衛する為、迎撃に専念する。
地球軍を迎撃してからしばらく経ち、ようやく敵の勢いが落ち始めるが、そこへヴェサリウスからの入電で更に厄介な報せが来る。
「プラントの背後に地球軍の艦隊…!?」
『なんと!ここの敵部隊も囮だったのか…』
俺達がプラントから少し離れた場所で攻防戦を繰り広げている間に、新たに地球軍の艦隊が本国の背後に現れたらしい。
まさかユニウスセブンだけでなく、プラントでも陽動を仕掛けるとは…。
『ダン!ここは俺達に任せろ!』
敵を迎撃している最中、味方のジンがソウルに通信を繋げ、プラントに戻るよう伝えてくる。
『ジャンも!俺達が敵を食い止めてる間に、早くプラントに!』
背中を押すようにもう1機の味方のジンがエクシーグ機に通信で伝えてくる。
『…ダン・ホシノ。ここは彼等に任せて、我々はプラントに戻ろう!』
「…了解した。ここは頼むぞ!」
エクシーグの言葉に答え、味方の部隊に後を任せ、ヴェサリウスに通信を繋げる。
「こちらソウル!プラント背後に現れた地球軍の迎撃の為、戦闘宙域を離脱する!」
『味方部隊!我々に続け!』
ソウルとエクシーグ機は、シグー、ジン数機を連れて急ぎプラントに引き返す。
プラントに戻ると、すでに味方部隊が地球軍と攻防戦を始めていた。
ソウルはビームライフルで、エクシーグ機はアサルトライフルで、接近してくるメビウス部隊を撃ち墜としていく。
敵も反撃してくるが、それをソウルのスラスターを生かした回避とシールドで防ぎ、エクシーグ機は巧みに回避しながら迎撃していく。
しかし、少し目を離した内に、数機のメビウスがこちらの防衛網を突破し、プラントに進んでいく。
すぐに追撃しようとするが、敵に妨害されているせいで、追う事ができない。
敵の必死の抵抗で味方の数機が墜とされ、メビウス部隊は徐々にプラントに接近していく。
その光景を見た俺は、あの時の……
…血のバレンタインの時に両親がいたユニウスセブンが核ミサイルによって無惨と化した光景を思い出す…。
ラクスが死ぬ……
両親を失った時のように……
させない……
そんな事はさせない……
絶対にさせない!!
ラクスは……
絶対に死なせない!!
そう心の中で強く思った瞬間、俺の中で何かが弾け飛ぶような感覚がした…。
「…ラクスは、絶対に死なせない…!」
ジャンside
一体何が起きたというのだ…。
先程まで、俺と一緒に地球軍を迎撃していたはずのダン・ホシノは近くにはおらず、プラントに向かっていたメビウスの部隊は、いつの間にか残骸と化している。
そして、メビウスの残骸の近くには、ダン・ホシノが操縦するソウルの姿がある。
「まさか…彼がやったというのか…」
敵味方も少しの間、唖然としていたが、地球軍はすぐに立ち直り、ソウルに攻撃を仕掛けてくる。
ソウルはメビウス部隊の攻撃を、なんとシールドを使わず、スラスターによる機動力のみで全て回避し、ビームライフルで次々と撃ち落としていく。
それを見て不利と見たのか、メビウス部隊はソウルを無視し、プラントを狙って直進を始める。
残っている味方と共に迎撃してそれを阻止しようするが、またしてもメビウス数機を通してしまう。
しかし、その数機のメビウスをソウルはビームライフルで撃ち抜いたり、ビームサーベルで両断に斬ったりと一瞬にして撃墜してしまう。
ダン・ホシノの活躍もあり、プラント周辺の敵を一掃に成功すると、彼は単機で敵艦隊に突撃を仕掛ける。
「早期決着を着けるつもりか…」
しかし、俺と同じ赤服とはいえ、ただ1機で敵艦隊を突撃など、あまりにも無謀すぎる。
しかし、援護に向かおうする我々は目を疑った。
なんと彼は、数隻の敵艦の砲撃をソウルの機動性で一発も被弾せずに全て回避していき、メビウスを出撃させる隙を与えず、ビームライフルで敵艦のハッチとブリッジを撃ち抜き、次々と撃沈させてしまう。
ソウルが殲滅した艦隊が主力だったのか、残っているメビウスの部隊と、プラントから少し離れた宙域、そしてユニウスセブン周辺で味方と戦っていた敵艦隊は逃げるように撤退していく。
ソウルの驚異的な活躍には驚いたが、そのおかげで プラントの危機は去り、本国の防衛に成功する事ができた。
「…彼に感謝しなければな…」
ダンside
俺は必死だった。
ラクスを死なせたくない…その一心で、必死に戦っていた。
しかし、心とは反対に感覚は落ち着いており、冷静に敵の対処をしていた。
まるで自分自身が別人のように…。
そして気が付いた時には、地球軍の部隊は既に壊滅しており、残った敵戦力は月の方へと撤退していく。
とにかく、本国を防衛したソウルは、ジャン・エクシーグ達と一緒にヴェサリウスに帰還する。
ヴェサリウス艦内 モビルスーツデッキ
ヴェサリウスに戻り、ソウルから降りると、乗組員達が俺の周りに集まってくる。
「ダン!お前凄いじゃないか!」
「メビウス部隊をあっという間に倒しちまうとはな!」
「ダン。どうやったらあんな風にできるんだい?」
突然の歓声を受け、どう対処するか考えていると、ジャン・エクシーグが乗組員達の間を通り抜け、俺に話しかけてくる。
「先程の戦い、見させてもらったよ。見事な戦果じゃないか」
「いや、正直俺も驚いている。今までソウルを使いこなしているつもりだったが…まさかあんな風に操縦できるとは思ってもみなかった…」
俺はソウルを見上げながらジャン・エクシーグに返事をする。ソウルの事はデータを見て全て把握していたつもりだった。
「だが、理由はどうあれ、君が地球軍を退ける大きな功績を挙げた事には変わりはない。それは誇りに思うべきだ」
ジャン・エクシーグは優しい笑みを見せ、先程の戦闘を誉めてくれる。
「…ああ。ありがとう」
俺が礼を言うと、ジャン・エクシーグは手を出して握手を求めた為、彼の手を握ってそれに答える。
「…ではダン・ホシノ、今度会った時は、ゆっくり話をしようじゃないか」
握手していた俺の手を離したジャン・エクシーグは笑みを見せ、モビルスーツデッキを後にする。
俺は彼の後ろ姿を見えなくなるまで見届ける。
少し変わった人物だが、一緒にいて悪い感じはせず、逆に落ち着くほどに、不思議な人物だ…。
ジャン・エクシーグが去った後、再び乗組員達からの質問の嵐を受けながらも、俺は説明できる範囲を答えていき、ヴェサリウスでラクスが待っているプラントに戻るのだった。